食うに困った艦娘が頑張って生きようとする話   作:名無し

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海賊退治

やほー、北上様だよ

実は将棋よりチェス派だよ、将棋盤と駒が無いからだけどね

チェスボードとかは揃ってるんだ

 

大淀「こんばんは、お迎えにあがりました」

 

…わざわざ深夜に迎えに来るのってどう思う?

あたし的にはちょっと酷いんじゃないかなーと思うんだよね

 

夕張「ねえ、海賊退治って…軽く聞いたけど、つまりは悪さしてる艦娘をお仕置きするってことよね?」

 

大淀「まあ、そんな所です」

 

夕張「…私達をつけまわしてたみたいに、アジトを叩くとかは…?」

 

大淀が少し困ったように笑う

 

大淀「それが、アジトはこの国じゃないようで」

 

北上「…どういう事それ」

 

大淀「管理しきれず、外国に逃げられた艦娘もいるんですよ」

 

北上「…その後始末をあたしらに任せようってんだ?」

 

大淀「代価は望みのものを」

 

北上「なら、迫害されない世界」

 

大淀「それは無理です」

 

北上「チッ…」

 

夕張「なら、せめて生活に必要なものくらいは用意してもらえない?電気やガス、水道、食料品だってそう」

 

大淀「ある程度は可能ですが、時間を要しますね」

 

夕張「え、なんで」

 

大淀「あの辺りは元々かなり人里と隔絶していますので、電気や水道、ガスを用意するのは基地設立の頃も大変だったんですが…それをもう一度しなくてはならなくなりまして」

 

夕張「…何故?」

 

大淀「そういう設備全部突貫で作ったものでしたので…それを1年以上整備もせず放置してましたから、壊れてるようです」

 

夕張「……」

 

北上「そういう事、止められたのも随分前だし、すぐ慣れるから諦めてよ」

 

夕張「そんな…せめて、せめて何か…」

 

大淀「保存食なら届けますが」

 

夕張「……どうする?」

 

北上「…保存食ならそれよりも、発電機とガソリンだね」

 

夕張「ああ!確かに!それがあれば電気も賄えるし、ガソリンで発電できれば…!」

 

大淀「構いませんよ」

 

夕張「え!本当に!?」

 

大淀「それだけの仕事をしていただくのですから、コンロもIHに変えてみますか?発電機一台では足りないでしょうし、もう一台足しましょう、その分燃料も追加します」

 

北上(…本当に面倒な仕事持ってきたな)

 

夕張「なに、その…そんなにヤバいの?」

 

大淀「国ができない仕事をしてもらうのですから、このくらいはしますよ」

 

北上「…拒否権がないことに目を瞑れば優しい話だね、さて、そろそろ気になってる事質問して良い?」

 

観測者(オブザーバー)のみんなも既に疑問に感じてる今回は夕張も呼ばれてる

まあ、大淀からしたら人質がいて扱いやすい立場なんだろうけどさ

 

北上「なんで夕張さんもここにいる訳?」

 

大淀「1人では大変だろうという気遣いです、怪我もしているようですし」

 

北上「……1人でいいよ」

 

夕張「いやいやいや、むしろ足りないって所じゃないの?」

 

北上「囮役は1人でいいんだよ」

 

夕張「…囮?」

 

北上「主要な目的叩いてる間に、細々した奴らは処理してくれるんだよね?」

 

大淀「はい」

 

夕張「…そういう事…なら、むしろ私が適任じゃない?」

 

大淀「そう思ってお呼びしました」

 

北上「……どういう意味?」

 

大淀「夕張さんは佐世保のエース級の腕前の艦娘です、そして、艤装に関する知識も豊富で、さまざまな改造を施したりもしています」

 

北上「…えっ、エース?」

 

夕張「そう、深海棲艦の月間撃破数は常にトップ!……まあ、新兵器試しまくってただけだけどね」

 

大淀「だから私達も特に警戒して監視してました」

 

北上「そうなんだ…そんなに強いんだ?」

 

大淀「先輩程ではありませんよ」

 

北上「…励まそうとしないでくれる?ムカつく」

 

夕張(……この2人、ホント、どういう仲なんだろう…)

 

北上「…なら、手伝ってもらうけど、こんな時間に来た理由は?」

 

大淀「前回の襲撃者が目的の海賊と違いました、今回は確実に確認を取ってから仕掛けようかと」

 

北上「いや、だからなんでこの時間?」

 

大淀「ここから20キロ先の沖に襲わせるための船を通らせた所、見事にかかりましたので」

 

夕張「まあ、夜襲仕掛けるのは…わからなくもないけど」

 

大淀「なので、こちらも夜襲を仕掛けます」

 

北上「…移動ルートは?また自力?」

 

大淀「いえ…」

 

…特徴的な音が近づいてくる

コレは、まさか…この時間に…

 

夕張「…ヘリ…!?」

 

北上「前よりは親切かもね…でも、深夜にコレはうるさいよ」

 

大淀「ステルスで来るようにと伝えたのですが、すみません、しつけが行き届いていなくて。

でも、敵には見つからないようにしますので」

 

北上「……」

 

 

 

 

 

夕張「…こんなに静かになるのね」

 

北上「最初からコレで来てよ、暁達起きちゃってたじゃん」

 

大淀「すみません、それと今回は武器も支給します」

 

北上「えー!前回はなんも用意してくれなかったのに凄い対応の差だなー!…なんなの?ほんとに」

 

夕張(めっちゃキレてる…)

 

大淀「すみません、流石に従ってくれる確証のない相手に武器を渡すのは─」

 

北上「どうでもいいよ、そんな事」

 

夕張(居心地悪い…!)

 

大淀「……もうそろそろ、降下地点です、装備を」

 

席を立ち上がり、渡された防弾ベストを身につける

 

北上(…ナイフ一本?メタルギアじゃないんだから……やれんのかなぁ…)

 

大淀「それと、コレを」

 

北上「何この拳銃」

 

大淀「例の弾が込めてあります、それと予備のマガジンは2つ、1つあたり8発、合計24発です」

 

北上「……」

 

大淀「さて…聞こえてきましたね」

 

砲音がしてる…まだやり合ってる最中か

 

北上「…殺せって事?」

 

大淀「どちらでも構いませんが、無力化してください。

もし片腕切り落とされたとしても、修復材の使用申請はしてあります、ちゃんと切り落とされた腕さえ持って帰ってくれば治せますよ」

 

夕張「さっすが…安心してやれそうね」

 

北上「…はあ…脚痛くなってきたんだけど?」

 

大淀「穴は塞がりません、勘弁してください。

さて、降下地点です、ある程度片付いたら夕張さん、信号弾を」

 

ドアを開け、ロープを垂らす

 

夕張「お先!」

 

北上「ったく」

 

甲板のできるだけ暗くて目立たない所に着地

…脚がジーンと痛む

 

夕張「…ちなみに、私は人殺しになるつもりはないんだけど」

 

北上「奇遇だね、じゃあバレて面倒にならないように静かに行こう」

 

夕張「コレまた奇遇ね」

 

でも、砲撃の音が多い、思ったより大きい組織…になってるのかなぁ…

 

夕張「居た、艤装してるからわかりやすいね」 

 

北上「3人か、やれる?」

 

夕張「艤装…艤装か…ちょっと待ってね、今調べてるから」

 

北上「何を…?」

 

夕張がしゃがみ込む

 

夕張「……バン」

 

砲音、そして悲鳴

 

北上「へ…?」

 

続いて爆発音まで…

 

夕張「よし、片付いた」

 

夕張の言葉通り、3人とも…倒れてる

 

北上「な、今…何したの…?」

 

夕張「生体ユニットを接続して艤装をジャックしたのよ」

 

北上「あんなに離れた所から…!?」

 

夕張「まあ、難しいけど、油断してる相手には有効でしょ?」

 

北上(…とんでもないな…そんな事できるなんて、敵に回したくない…)

 

夕張「さて、電探はあるかな…あ、あった……うん、コレで大体の数はわかるわね」

 

北上「…ホントに凄いね、そりゃ深海棲艦も敵わない訳だ」

 

夕張「……こうならないと、何も守れなかったからね、だから、私の身体はみんなよりも…壊れてるけど」

 

北上「…そっか」

 

夕張「ここにある艤装の反応は…あと10ね」

 

北上「…待って、誰かいる」

 

振り返る、銃を向ける

 

北上「誰?出てこないとグレネード放り込むよ」

 

夕張(…よくもまあ、そんな物ないのに…

でも、艦娘じゃないの?電探に引っかかってない…)

 

物陰から両手を上げた金髪の女が出てくる

 

アイオワ「Wait(待って)!お願い、助けてくれない…?その、me(ミー)は…」

 

北上「この船、囮に使うつもりの船だから無駄な人間乗せてないんだよね」

 

アイオワ「Fuck(クソ)ッ!アッ!?」

 

手が動いた瞬間に肩を撃ち抜く

 

北上「…夕張、どうやら10じゃ済まないかもね、コイツも艦娘なわけだ」

 

どうやら弾の効果は本物らしい、肩に当てたのに、一瞬で意識を失ってる

 

夕張「電探もコレじゃ役に立たないか…」

 

北上「仕方ないよ、今度はあたしが前に出る」

 

…でも、この調子で本当に全員やれるのかは微妙な所だね

 

北上「…あー…うわ…グロ…」

 

この辺死体だらけ…

しかも、この死体…

 

夕張「銃で撃たれてるのはわかるけど、こっちは…」

 

北上「食いちぎられたような痕まである…深海も噛んでる……いや、今いたな」

 

何かが物陰に隠れた…多分…

 

夕張「艦娘の方ね」

 

北上「OK…あたしがやる、夕張さん下がっててよ」

 

拳銃を向け、誰かが隠れたところに撃ち込む

1…2…3…4…5…6…7…ガチッ

 

北上「お、弾切れた…うわっ」

 

敵が飛び出し、撃ってきたので物陰に隠れて弾倉を交換する

 

北上(うーん…もっかいいってみるか、いけそう)

 

向こうの銃声が止んだのを確認し、顔を出して撃ち込む

1…2…3…4…5…6…7……

敵が出てくる

 

北上「だと思った」

 

8発目を腹部に撃ち込む

 

夕張「8発目?」

 

北上「そ、さっき7発で切れたのはあの金髪に1発撃ったから」

 

夕張(そっか、元々8発入るから…わざわざ弾切れだと思わせたのね)

 

北上「ねえ、まだ意識ありそうだね?…お仲間あと何人…あ、落ちた……これの効果キツすぎない?」

 

夕張「…その弾、何なの?」

 

北上「生体ユニットとか、艦娘の機能を停止させるんだって」

 

夕張「怖…」

 

 

 

 

 

北上「あらかた、甲板は始末がついたかな」

 

夕張「信号弾あげるよ」

 

赤い光が夜空に昇っていく

 

夕張「はー……終わり?」

 

北上「…いや、まだ…深海棲艦が居るはずなんだけど…」

 

夕張「おお、そういや…」

 

磯の匂い…

 

北上「おいでなすったよ」

 

夕張「…待って、アレ」

 

ネ級「抵抗、スルナ、シタラ、コイツ、死ヌ」

 

腰から尻尾みたいに艤装が生えた深海棲艦…

ってかコイツ…

 

北上「喋っ…!?」

 

夕張「いや、それより…」

 

さっきの金髪の奴、人質にされてるんだけど…

 

北上「いやそいつ敵だし…何、あたしが止まると思ってるの?」

 

夕張「でも、一応艦娘…見捨てるのは…ねぇ?」

 

北上「ちょっと…そんなこと言ってたら……?」

 

…夕張の自身ありげな表情…まさか

 

北上(深海棲艦の艤装もジャックできるの…?ちょっと流石にズルすぎない…?)

 

ネ級の腰から伸びた主砲が、変な方向を向き始める

 

北上「……は…はは…はー……しゃーない、ほら」

 

もはや乾いた笑い

拳銃を足元に棄てる

 

ネ級「ソレデ、イイ」

 

夕張「ホントに?…ところで、背中、危ないんじゃない?」

 

ネ級の艤装が自身の背中を撃つ

 

ネ級「…エ…?」

 

北上「運悪かったね…終わりだよ」

 

意識が逸れたところで深海棲艦に飛び掛かる

拳銃を握り締め、持ち手を思いっきり顔面に向かって振り抜く

姿勢が崩れたところを押し倒して、拳銃の持ち手を顔面に向かって振り下ろす

何度も、何度も

 

夕張「え、ちょ…あの、そんな事しなくても……あの……」

 

北上「…ようやく動かなくなった…」

 

夕張(…わ、わざわざ殴り殺す必要…あったの…?)

 

北上「ん?…どしたの、夕張さん?」

 

夕張「…いや、なんでも…それより、来たみたい」

 

頭上でヘリがホバリングする

ドアが開き、ロープが垂れ、兵士が降りてくし、その後大淀が顔を出す

 

大淀「お疲れ様です、乗りますか?」

 

夕張「ありがとう!乗せて!」

 

北上「外国人がいた」

 

大淀「対処しておきます」

 

北上「深海棲艦もいたけど」

 

大淀「それはそれは」

 

北上「……何も思わないんだ?」

 

大淀「もう始末していただけたのでしょう?」

 

夕張「…まあ」

 

大淀「なら、これ以上は何も考えないで下さい」

 

北上「詮索されると困るって?」

 

大淀「そうですね、非常に困ります…下手な事をすればお互い様な結果になるかと」

 

北上「……」

 

ヘリに乗り込み、大淀の向かいに座る

 

大淀「もう直ぐ夜明けです、水平線に昇る朝日をお楽しみください」

 

北上「それを奪った奴が、よく言うよ」

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