食うに困った艦娘が頑張って生きようとする話 作:名無し
今日も寒いね…大雪で外に出られない北上様だよ…
…発電機設置に来るって夕張さんから聞いてたけど、5日経ってもまだ来ないんだよね、どうなってんのかね…?
雪で来られなかったのかなぁ…
北上「…ん?」
何か物音が…
夕張「あ!来たんじゃない!?」
北上「おー…みんなが凍え死ぬ前に来てくれて良かった…」
夕張「私ちょっと対応してくる」
いくら屋内とはいっても、北国で暖房も何もなしはヤバイ
ちなみに焚き火用の木も底をつきそうだった
だからコレでようやく助かる…
夕張「うわぁぁーーーっ!?」
…ハズなんだけど…?
北上「え、何、何なの?」
大急ぎで逃げ帰ってきた夕張さんを抱き止める
夕張「ち、ちちち、違った!発電機じゃない!な、なな、なんか居る!」
北上(…侵入者?…遭難した人とか…?まあ、敵意を持ってないなら…)
夕張「私みんなを避難させるから!」
北上「避難?」
物音のした先…というか、朽木の保管場所にソレが居た
北上「嘘ぉ…」
イノシシ…まさか、食べ物を探して来たのか?
そして今砕いている朽木は…大事な保存食…
北上「…どうしよ、イノシシ…どうしよう…コレ捕まえればかなり保存食になるけど…」
まあ、もう保存食に手を出された時点で答えは一つしかないし…
北上「いくしかないか!」
解体用の大型ナイフを逆手に握り、イノシシに後方から飛び乗る
そして間髪入れずにナイフを…
北上「っ…!?…毛深いな?!全然突き刺さらない…うわっ!?」
振り落とされ、地面を転がる
北上「った……うわっ!?」
のしかかろうとしたイノシシの脚をなんとか避ける
その辺のものを盾に右手で銃を構えて向けるが…
北上(拳銃…こんな豆鉄砲効く!?目…いや、あんな狭いとこ至近距離で止まっててくれなきゃ無理!)
イノシシに走って近づき、飛び越えるように飛ぶ
北上「っ…りゃあ!」
そして、首筋にナイフを振り抜くも…
背中の毛を切っただけ…
北上(…いや)
イノシシをより怒らせるくらいの効果はあったか…!
北上(さっきよりも怒ってる!…いや、こうなったらまずは…)
ナイフを猪に投げつける、そして狙い通り脚に刺さった
北上「っし!コレで機動力は……」
怒り狂ったイノシシが、全速力で突進…
北上(落ちてない!)
北上「ぅぐ…?…かっ…は……」
イノシシの突撃を腹部に受け、地面を転がる
流石に艦娘が頑丈といえど、コレですぐ動けるほどじゃない…
北上(…そういやイノシシってか…ブタ系って雑食性…逃げずに向かって来たのはあたしを食べる為か…)
弱肉強食、こっちが生態系において上なんて決まりはない
イノシシの口から、平たい歯が覗く
これですり潰されながら食べらたら…痛みは想像を絶する
北上(…ッ!)
だから、やられる前にやるしかない
右手をイノシシの口に突っ込む
そして、親指で安全装置を解除し、引き金を引く
脳天に向けて、2回目の引き金を引いたところでイノシシが悲鳴をあげて腕に歯を突き立てる
北上「がっ…ぅあ……ぁ!?」
あまりの痛みに手を引き抜こうとして銃をイノシシの口に置いて来てしまった
北上(…や、ば…)
北上「……っ?」
…イノシシが、逃げ出した…
北上(助かった…?…いや、そこそこヤバイか…腕が…」
北上「う……っ…」
さっき身体を打ったせいか…意識が…
北上「っ!?…はっ…はっ…はっ……はぁ……はぁ…あれ…?」
温かい…部屋が暖かいし、ここはベッドの上だし…
夕張「あ、目が覚めた?良かったぁ…見つけた時はホントに死んでるのかと…」
北上「え、なに、なにこれ……?」
夕張「じゃん!空調修理したので復活しました!」
北上「お、おお!?」
夕張「そんでもって、他の機械類は全滅です!根本的にイカれてます!」
北上「…うん」
夕張「……コレが現状よ、発電機の側があったかいからみんなそこに居るわ」
北上「…あー…火傷と一酸化炭素中毒にだけは注意しないとね」
夕張「それと、腕…まあ、折れては無いから」
北上「え?…あ、ホントだ、まだくっついてる」
思ったより痛く無いから忘れてた…
てっきり右手とはさよならしたとばかり
北上「……でも、ナイフも銃も無くなったんだよねぇ」
夕張「そればっかりは仕方ないわ、生き残る方が大事だし」
北上「…食べ物、残ってる?」
夕張さんがカロリーメイトを差し出してくる
北上「…どしたの、それ」
夕張「発電機持って来てくれた人がくれたの」
北上「チョコレート味……ねえ、包み開けてよ、食べたい」
夕張「はいはい」
…加賀の事思い出したけど…どうなったんだろうな
今頃…死んでるのかな
渡されたカロリーメイトを大口を開けて口に含む
夕張「一口…」
北上「
夕張「あー!ぼろぼろこぼしてる!呑み込んでからしゃべって!?」
北上「…むぐ……もしゃ…」
…甘いなぁ…
チョコの味がすごく濃くて、甘くて
そんで持って、口の中バサバサにしてくる
北上(…でも……なんでだろ、フルーツ味の苦味あった方が美味しいかも…)
夕張「…大丈夫?」
北上「……ごくん…はー……何が?」
夕張「その、辛そうに見えたから」
北上「そんな事ないよ、考えてただけ、明日からどうするかって」
夕張「その時は、私たちが頑張るから」
北上「ん、そん
北上(……あのイノシシ、食べたかったなぁ…)