食うに困った艦娘が頑張って生きようとする話   作:名無し

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十八食目

はーい…お腹ぺこぺこ北上様だよ

はらぺこあおむし並みにお腹減ってるかも

ちなみに青虫ことモンシロチョウの幼虫は食べてもそんなにおいしくないよ

 

閑話休題(まあいいか、そんなこと)

 

北上(流石に2日食べれないのは堪えるな…)

 

…みんな元気がなくなって来たように感じる

あのイノシシさえ居なければ、虫を食べさせられたのに

そうすれば越冬できた筈なのに…

 

阿武隈「…あ、北上さん…」

 

北上「ごめん阿武隈、動ける?今日は雪も降ってないし…何人かでご飯探さないと」

 

阿武隈「雪…そういえば、お日様が強いおかげで少し溶けてきましたね…今のうちにいきましょうか」

 

北上(雪は余ってるドラム缶にたらふく溜め込んでるから、これで沸かせばいつでも真水を確保できる)

 

でも、それじゃなんの栄養にもならない

このままではホントにまずい…

だけど、大きな獲物なんて見つけても今のあたし達に捕まえる体力なんてない

 

あと、問題はもう一つ、金髪の方

一晩経ってもまだ目を覚まさない

 

そろそろ大淀を呼ぶか…

 

阿武隈「ご飯も大淀さんに頼みませんか…?」

 

北上(絶対に嫌だけど、最悪みんなの分は確保しなきゃいけないし…仕方ないかなぁ…)

 

北上「とりあえず、行こうか」

 

空腹もピークを過ぎれば感じなくなってくるけど

この脱力感っていうか、力の伝わらなさはいつ感じても嫌な気分だよね

 

 

 

阿武隈「…んー……外、何日ぶりだろ…」

 

北上「今日は晴れてて良かったねぇ…」

 

曙「予定通り、釣りにするの?」

 

北上「暇な時間でたくさん釣り糸作ったからね、でも、針がもうないから…この方法もそろそろできなくなるかな」

 

阿武隈「針を毎回回収できれば良いんですけど…」

 

曙「…ねえ、床から飛び出してるあれ何?」

 

北上「え?…なんだろ、黒い棒?」

 

…って、これは…

 

棒の周りの床を払いのける

 

北上「…は、ははは…!ウソでしょ、ラッキー!!やっぱ自然なんてたいしたもんじゃ無いね!!」

 

この雪から除いてる茶色い毛

そしてこの大型解体ナイフ…

 

阿武隈「これは…」

 

曙「もしかして…例の…」

 

北上「そう!イノシシ!…よっしゃ!!」

 

掘り起こしてみれば、周りは流血で凍っており、地面から剥がすのも一苦労な状態

しかし…

 

北上(流石に口の中から2発は効いたか〜、よしよし)

 

北上「ぐっ!…ぬぬぬ…ナイフまで凍って引き抜けない…誰か手伝ってぇ…」

 

曙「よし…せーの!」

 

曙と2人がかりでナイフを引っ張り…

 

北上「ぐ…ぬぬ……うわっ!?」

 

阿武隈「ひゃあ!?」

 

抜けたナイフが阿武隈のすぐそばに落ちる

 

曙「ごめん、すっ飛んだ」

 

北上「やった…お肉だ…」

 

阿武隈「それで…イノシシなんて、解体できるんですか?」

 

北上「わかんないけど、とりあえず皮剥いで見ようか」

 

皮膚と肉の間の脂に大型ナイフを差し込み、切る

そしてペリペリと少しずつ剥がす

これを繰り返す

 

北上(…うまくいかないな…どうすれば良いんだろ)

 

曙「鳥みたいにお湯をかけるのは?」

 

北上「そうしようか、阿武隈、お湯沸かしてきて」

 

阿武隈「はーい!」

 

曙「……ねえ」

 

北上「ん?」

 

曙「今、向こうの…山の方に一瞬何かいたんだけど」

 

北上「……そういえば、少し獣臭いかな」

 

曙「そうじゃなくて」

 

北上「多分熊だよ、このイノシシ狙ってるのかなぁ…」

 

曙「…どうするの?」

 

北上「離れたところに内蔵捨てれば大丈夫、匂いが強いからそっちに行ってくれるはず…でもそれも食べたら味を覚えるし、深く埋めないと…

それと、確か熊は内臓が好きなんだよ、柔らかいから…つまり、あたしらが変われる時もまずは…」

 

曙「やめてよ、怖い話は…」

 

北上「1番怖いのは、はらわた食われてもなかなか死ねないところかな」

 

阿武隈「北上さーん!」

 

北上「何さ」

 

阿武隈「ドラム缶一つで足りますか!?あと30分くらいかかりますけど!!」

 

北上「…一回暖まろっか」

 

曙「そうね」

 

 

 

 

北上「さて、お湯ぶっかけるよ!」

 

阿武隈「…ドラム缶、どうやってひっくり返します?」

 

曙「少しずつバケツでかけましょ」

 

北上「賛成」

 

熱湯を何度かイノシシにかける

 

北上(うわ、くっさ…獣臭がヤバい……)

 

阿武隈「これでどうするんですか?」

 

北上「…ま、このナイフで…ビーッと……あれ、うまくいかない」

 

…毛はかなり落ちたけど、どうすれば…

 

曙「…仕方ないし、お腹の辺りを開いて、内臓だけ取らない?」

 

北上「だね…ついでに脚とか切り取って今日は食べようか」

 

阿武隈「…脚…脚だけでこんなに大きいんですね…」

 

腹を開き、内臓の付け根を切り取る

 

北上「離れたところに埋めよう」   

 

曙「アタシ達で行くわ」

 

北上「よろしく」

 

こっちは脚の骨の付け根に刃を突き立てて…

 

北上「……おお、とれた…しかもデカい…」

 

横たわった下半分はまだ凍った地面にくっついて手が出せないから、とりあえず上半分の前足と後ろ足一本ずつ

 

北上(前脚食べるところ少ないな)

 

北上「…この方式で全部肉取れないかなぁ…取り敢えず、雪被せておくか」

 

断面を雪で覆い、基地に戻る

 

 

 

 

北上「ってわけで、どん」

 

夕張「あー、死んでたのね、あのイノシシ…」

 

北上「細かい毛や皮を剥いで、焼こうか」

 

霞「早速やりましょ」

 

霞が後ろ脚に包丁を突き立て、捌き始める

皮を剥がし、なんだか見たことのあるような形に…

 

北上「あ、生ハム!生ハムの原木ってやつじゃない?これ」

 

夕張「あー…やってみる?保存は効くけど」

 

霞「干物と違うのよ、できるわけないじゃない」

 

北上「ダメか」

 

夕張「素人じゃ無理な話よね」

 

北上「で、どうするの?」

 

霞「こうするのよ」

 

沸騰したお湯にイノシシの脚を放り込む

…も、半解凍状態の脚では…

 

北上「お湯冷めちゃったよ」

 

霞「これでいいの、これでしばらく放置して……」

 

 

 

 

霞「そろそろいいかしら」

 

北上「…火通ってないよ」

 

霞「これを焼くのよ」

 

1人分ずつに切り分けた肉に塩を振り、串を刺して焚き火でよく炙れば……

 

霞「これで食べられるでしょ」

 

北上「お、おお…!あのイノシシが…こんな脂滴る美味しそうなお肉に…」

 

夕張「早く食べましょ!」

 

阿武隈「あー!できてる!」

 

曙「良い匂い…」

 

阿武隈「私達の分も分けてください!」

 

北上「はいはい、ほら」

 

霞(…でも、切ってた時にわかったけど、多分…)

 

北上「いただきます……あぐ…ぐ…?」

 

硬い…

 

夕張(それに、ちょっと臭いかも…)

 

北上「……これは、塊で焼くには向いてないね」

 

霞「貸して」

 

霞が串から肉を外し、薄く切り分ける

 

北上「…あむ……ん!?」

 

夕張「あ…これなら美味しいかも」

 

霞「手間だけどこうするしかないわね、ホントなら香草を巻いて食べたいけど」

 

北上「ちょっとまだ臭いけど、硬さも歯ごたえになって良いし、うん、これはお鍋にしたいな」

 

阿武隈「良いですね!お豆腐に白滝なんか入れちゃったりして…」

 

夕張「椎茸も外せないし、ネギも欲しいわね」

 

霞「…脂がよく溶け出した頃にご飯かおうどんを入れて……」

 

北上「…はぁ…」

 

…普通の生活が恋しい…

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