食うに困った艦娘が頑張って生きようとする話 作:名無し
北上「え?あのヲ級の話は大淀に通してないよ」
夕張「そらそうよね」
…だって大淀は普通に殺すなり解剖するなりするだろうし
北上(あたしだって気の迷いでもなければこんな事…する訳ないよねぇ)
夕張「ずっと隠し通せる?」
北上「難しいかな、なんで?」
夕張「大淀ちゃんの言ってたとおり、今の私達は存在を黙認された状態、深海棲艦との関わりを持つことの危険性はわかるでしょ?」
北上「…もう決まった事だよ」
夕張「共同生活の話じゃなくて、これからの身の振り方の話よ、アイオワさんの海賊問題も解決してないんだから」
北上「…まあ」
夕張「そっちの方面で話を聞きたいとか、急に気分で遊びに来るとか、何があるかわからないんだし…やる事は多いんじゃない?」
…つまり、痕跡を消せと
ヲ級「…ヲ…コレハ?」
北上「とりあえずであたしのお古の服だけど…だめだね、サイズ合わない…」
倉庫の保管されてる服をヲ級に押し付ける
夕張「流石に深海棲艦の衣装のままじゃまずいし、一瞬誤魔化せるくらいの服…このカーゴパンツ誰の?」
北上「その辺の棚はもう誰も使ってないから好きにして…埃っぽいけどね」
夕張「流石に文句は言わないでしょ?」
ヲ級「……」
文句は言わないけど、不満気だ
頬を膨らませて抗議してる
北上「ま、我慢しなって……お、これは?入る?」
ヲ級「…私ハ着セ替エ人形カ」
夕張「そう言う事」
ヲ級「…ムー…」
適当な服を着せ、適当な靴を履かせ、顔はキャップ帽でカバー
北上「…おお、ぐちゃぐちゃだ」
乱雑で、ファッションとかとはかけ離れてる気もする…
夕張「…まあ、これでいいんじゃない?帽子もっと深く被って、肌の白さが見えないくらい、そう」
ヲ級「暑イ…」
北上「まあ、我慢しなよ」
ヲ級「…今ハ夏?ソレトモ冬?」
夕張「深海棲艦も熱中症になるのかしら」
北上「ならないんじゃない?そもそも汗かけるの?」
ヲ級「…カカナイト思ウケド、コノ服ハ苦痛」
北上「……代わり見つかるまでは少し待っててよ、あたし出てくるから」
ヲ級「ドコ行クノ?」
北上「他の奴ら呼んでくる」
北上「さて、と…」
阿武隈や暁、如月を倉庫に送り込んだ事でようやく解放された
…別に身代わりとかじゃないよ?ファッションセンスありそうな人選ってだけ…うん
北上「…考えるべき事は、何なのかな」
ヲ級がここで暮らしてもう3日ほど
…いつまで居るんだろう
北上(馴染んだら…殺しにくくなるなぁ……)
深海棲艦である以上、いつかはやる事になる
それが嫌だとか、そんな感情は関係ない
一切関係無く、最後には排除されなきゃいけない
人喰いの化け物を…世界は許してくれないから
北上(…あれ……今、なんか…)
…何だろう、何か、変な感じがした
何なんだろうな…
阿武隈「あ!北上さーん!」
暁「よくも1人だけ逃げたわね!?」
北上「うげっ」
如月「もう終わったので、逃げなくて大丈夫です」
北上「…マジ?10分くらいしか経ってないよ?」
阿武隈「倉庫の管理は暁ちゃん達がしてたらしくて、あっさり…」
北上「あー…」
暁「さあ、出てきて良いわよ?」
ヲ級「ヲ…」
物陰からヲ級が顔を出す
北上「…随分と薄着になったね」
如月「でもちゃんと肌の露出は減らしてますから」
阿武隈「これで大丈夫だと思います!ね!ヲーちゃん!」
ヲ級「ウン、大丈夫…?」
北上(あだ名つけてるし…)
北上「…まあいいけど」
ヲ級「北上、北上ハ服替エナイノ?臭イヨ」
北上「失礼な…って言うか、あそこにあるのは…埃っぽいからヤダ」
暁「でも、それ最後に着替えたのいつ?」
北上「……いつだっけ」
如月「もしかして…制服だから気づかなかったけど、お風呂も入ってないんですね…」
阿武隈「確かにこんな生活してたら、服着替えて洗濯するのも水がもったいなく感じますけど…」
暁「違うわ、単に面倒なだけよ…いいわ、仕方ないもの」
北上(いやー、暁が理解してくれて助か…)
ん、手が動かない…
北上「…あれ?如月?なんで手を握って……ヲ級!両脇抱えられたら余計に動きが…!…まさか、暁?今の仕方ないって見逃す流れじゃ…」
暁「そんな訳ないじゃない、ちゃんと着替えましょ?」
北上「わ、離して!ヲ級離せ!」
ヲ級「ヲ級ッテドノヲ級?私ハ、ヲーチャンッテ名前モラッタノ」
北上「いや呼ばないから…って!離してよ!あ、こら、阿武隈脚持つな!」
阿武隈「はーい、連行しまーす」
如月「ごめんなさーい」
ヲ級(……)
北上「…ヲ級?」
ヲ級「サッサト着替エテ」
北上「ちぇー…」
ヲ級(……)
ヲ級「オ腹、減ッタ」
北上「はいはい、あとでなんか探してくるよ」
ヲ級「…ウン」
ヲ級「…デモ、ソレジャ、オナカ、ミタサレナイ」