食うに困った艦娘が頑張って生きようとする話   作:名無し

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二十三食目

カニとエビならエビ派の北上様だよ〜

ちなみにエビカツバーガーとか大好きだよ、モスバーガー美味しいよね

 

閑話休題(それよりも)

 

北上「…カニも貝も減ったね」

 

ヲ級「取レバ、減ル、危険ト思エバ、逃ゲルヨ」

 

…流石にここ数日、砂浜の資源に頼りすぎたな…

このまま確保できないとなると困る…

 

北上「弱ったな…」

 

ヲ級(デモ、コノ減リ方ハ…変)

 

北上「……ま、雪も降ってないし、山行こうかな、海じゃないならヲ級は…」

 

ヲ級「ヲーチャン」

 

北上「ヲきゅ─」

 

ヲ級「ヲーチャン」

 

北上「…ヲーちゃんは待っててくれるかな…」

 

ヲーちゃん「ウン」

 

北上(…めんどくなったな…)

 

 

 

 

北上「でさー…もうあたしとしては疲れる訳なのよ」

 

阿武隈「でも、北上さんがちゃんと呼んであげれば済む話じゃないですか」

 

北上「……」

 

阿武隈にメンバーチェンジしたのに、愚痴すら言えないのか…

 

北上「…動物は居ないよね〜…」

 

阿武隈「あ、じゃあ代わりにこのキノコとか!」

 

北上「それは…毒キノコっぽいけど…?」

 

阿武隈「なら、前のコイの池…」

 

北上「も、見てきたけど…かなり少ないじゃん、コイ…取りつくしかねないレベルだし、最終手段かな」

 

阿武隈「…イノシシをまた…」

 

北上「や、もうこりごり」

 

拳銃を回収したはいいけど、グリップに歯形あったしね

あの時てっきり抵抗が弱いんだと思ってたけど、拳銃が代わりに噛まれてなかったら普通に腕とはおさらばだったみたい

 

北上「自然って怖いんだよ」

 

阿武隈「北上さんが言うと重みが違いますねぇ」

 

北上(適当なこと言ってくれる…)

 

北上「むっ!」

 

阿武隈「…何か見つけましたか?」

 

北上「いや、ほらあそこ」

 

阿武隈「うわ、木に蜂の巣…」

 

…あれは、スズメバチの巣かな?

 

北上「そこそこ大きいよ、あの中にどんだけ詰まってるかな」

 

阿武隈「残念でしたね、北上さん」

 

北上「んえ?」

 

阿武隈「冬にはハチ、死んじゃって巣が空っぽになるんですよ」

 

北上「…マジ?」

 

阿武隈「はい」

 

北上「嘘だぁ…せっかくご飯見つけたと思ったのに」

 

足元の石や枝を拾い上げる

 

阿武隈「…あの、何を?」

 

北上「落とすの、着火剤にしよう、蜂の巣はよく燃えるから」

 

阿武隈(いや…この目はまだ食べるの諦めてない目だ)

 

阿武隈「取り敢えず、荷物になりますし、他のご飯探しません?」

 

北上「……いいけどね、絶対取るから」

 

阿武隈「はいはい、じゃあ他探しましょう」

 

 

 

 

北上「だめだ、何も居ない」

 

阿武隈「どうします…?」

 

北上「…閑古鳥(かんこどり)も鳴いてないよ」

 

阿武隈「野草を摘んで食べます?それともキノコとか…」

 

北上「キノコに手を出すのはなぁ…危ないんだよ、アレ」

 

…お

 

北上「コレは…」

 

阿武隈「…フン?」

 

動物の糞…サイズ的に、小動物だ

 

北上(雪がないから足跡も追えないけど、多分…このフンはタヌキとか?)

 

ウサギっぽくないし…

熊やイノシシでもなさそうだし、安全な手段かもしれない

でも…痕跡はコレだけ、狩猟のプロならまだしも…

 

阿武隈「北上さん、コレを追うんですか?」

 

北上「…んや、無理だね…追っかける価値もなさすぎる」

 

…かと言って何も手に入らないのはマズイな…

 

阿武隈「うーん……でも、こっちに続いて…あ!」

 

北上「どしたの、阿武隈」

 

阿武隈「…コレ、見てください」

 

北上「…うわ」

 

この辺で狩りをした跡…それに、あのボロボロの皮に、折れたツノ

鹿を解体して、不要な物をあえて捨てて行ったみたいだけど…

 

北上(…普通なら売るんだっけ、ああいうのは……敢えて残すなら、嫌がらせ…か…)

 

…周りをよく見ると、内臓なんかも散らばらせておいてある

随分と杜撰な仕事に見える…嫌がらせは成功だけど…ほんとにコレで良いの?

 

北上(まだここまで猟師が出てくるの?…てっきりあの雪以来ここまで出張するのはやめたと思ってたのに…)

 

阿武隈「帰りませんか…?」

 

北上「…だね」

 

敵意を向けられ続けるのは辛いな…

 

 

 

 

北上「ってことで、収穫はなし」

 

霞「海も山もダメなのね」

 

夕張「最近が恵まれすぎてたのね…何か一つ二つ取り上げられれば、こんなに困窮することになるなんて…」

 

北上「自然は気まぐれだからねぇ…」

 

ヲ級(…自然?…違ウ…)

 

早霜「…やむを得ません、雑草をとりに行きましょう、毒のある草避ければ今日食べる分は何とかなるはずです」

 

夕張「栄養にはならないだろうけど…まあ、ないよりはずっといいか…私も行こうかな」

 

北上「夕張さんは車椅子作らなきゃでしょ

阿武隈、代わりに行ってもらえる?」

 

阿武隈「あ、はい!」

 

北上「あたしは海辺で土でも掘ってくるよ」

 

霞「また虫…?」

 

夕張「…逃げよ」

 

ヲ級「虫?…北上ハ虫ヲ食ベルノ?」

 

北上「まあ、それもあるけど…まあいいや、ヲきゅ…ーちゃん、来る?」

 

ヲ級「ウン」

 

阿武隈「北上さん、ヲーちゃんに変なもの食べさせないでくださいね…」

 

北上「変な物て…」

 

 

 

北上「全くみんな失礼ちゃうよねぇ」

 

ヲ級「……ホントニ、虫食ベルノ?」

 

北上「だって食べ物ないし…おっ、いたいた、コレだよコレ」

 

ヲ級「ウゲッ…イソメ…」

 

北上「いや、ミミズだけど」

 

その辺のミミズを適当に捕まえていく

 

ヲ級「…ナンデソンナ物食ベルノ?」

 

北上「他にないからだよ」

 

ヲ級「街ニ行ケバ、ナンダッテアルノニ?」

 

北上「近づくだけで逃げられるよ」

 

ヲ級「……ナンデ、ソンナニ…ソノ…北上モ食ベタクナイデショ?」

 

北上「まあ、流石にミミズはね、でもあたしが飢え死にしたらみんなが困るからね」

 

北上(イナゴの佃煮とか蜂の子なら歓迎なんだけど)

 

ヲ級「……海ニ潜ッテモイイ?」

 

北上「服は脱いでよ、海水漬けにしたら怒られるんだからね」

 

ヲ級「ワカッタ」

 

北上(…これで海に帰るなら、それでも良いんだよ)

 

 

 

 

 

北上「…ふう、そこそこ取れた」

 

大量のミミズ、そして…

 

北上「……食べられそうなのは、この蝶の(さなぎ)と、その辺の土から出てきた幼虫と、カマキリの卵…あと二匹だけ取れたバッタ」

 

…全然食べられそうにない

ちなみに、カマキリの卵と幼虫は全く食べたことがない

できるなら避けたい気持ちがある…

そして、サナギは食べた事ないけど食べることもあると聞いたことがある

 

あとバッタは多分美味しいかもしれない

 

北上(どうするかなぁ…てか、ヲ級戻って来ないじゃん…良いけど)

 

適当にその辺の枯葉や小枝を集め、ライターで火を起こす

 

北上(点きが前より悪い…このライターもそろそろダメかな…?……弱ったな…)

 

焚き火で串刺しにした各種虫を炙り、カマキリの卵はそのまま火に突っ込んだ

 

海を眺める

もうすぐ夜がやってくる、暗い、暗い、夜の海が

 

北上「……ふー…ま、コレでお別れなら…」

 

ヲ級の服を持ち上げ、焚き火を眺める

 

北上(…焼いとくか、みんなには何て説明したら良いかな…)

 

北上「っと」

 

目の前に小さな魚がいくつか降ってくる

 

北上「…なんだ、帰ってきたんだ?」

 

ヲ級「服ヲ温メタノ?アリガトウ」

 

ヲ級に服を渡し、魚を拾い上げる

 

北上「…どしたの、これ」

 

ヲ級「捕マエタ、夕飯ニデキルト思ッテ」

 

北上「……ねえ、一つ聞きたいんだけど」

 

ヲ級「ナニ?」

 

北上「いつまで居るつもり?」

 

ヲ級「…迷惑ダッタ…?イヤ、迷惑ナノハワカッテタケド…」

 

北上「そうじゃなくて…なんか、アンタを受け入れるのにまだ迷いがあるだけ」

 

ヲ級「…私ノ事、嫌イジャナイ?」

 

北上「……」

 

何だろうな、自分でもかなりおかしくなったのはわかってるけど

 

北上「嫌いじゃないよ」

 

ヲ級「良カッタ」

 

北上(…また、笑った)

 

北上「で、いつまで居るのさ」

 

ヲ級「ンー…満足スルマデ」

 

北上「いつ満足するのさ」

 

ヲ級「…イツ……一年後…イヤ、モット…北上、私、ズット居タイ、役ニ立ツカラ」

 

北上「本気で言ってんの?」

 

ヲ級「最初ニ提案シタ時カラ、ソノツモリ」

 

…てっきり期間限定とばかり思ってたのにな  

 

焼き上がったバッタの串をヲ級に差し出す

 

北上「はいコレ、1番美味しいと思うよ」

 

ヲ級「虫…1番ナラナンデ自分デ食ベレバ?」

 

北上「いいから食べなって、アンタの頑張りへのご褒美」

 

ヲ級が不思議そうに虫の串を眺めて、口に運ぶ

 

北上「どう?」

 

ヲ級「悪クナイ…カモ?」

 

北上「でしょ!」

 

ヲ級「ウン、悪クナイ!」

 

北上「さて、この辺も食べるけど…帰ってからかな」

 

ヲ級「…魚、今食ベナイノ?」

 

北上「みんながお腹空かせてるからね、あたし達だけ食べるわけにはいかないよ」

 

ヲ級「フーン…」

 

 

 

 

 

早霜「お魚…か、大きくはないけど十分ね」

 

阿武隈「良かった…雑草のスープで終わらなくて」

 

早霜「草は前に夕張さんが作った鶏油(ちーゆ)で炒めてみます、鳥の風味が移って美味しいかも」

 

北上「良いねえ、魚は?」

 

阿武隈「…スープ…ですかね、お腹を膨らませるために」

 

ヲ級「マタスープカ」

 

北上「…よし、じゃあこうしよう」

 

雑草を魚の半量、そして魚は鱗とヒレを取ってそのまま使う

大きくない魚だから、包丁の付け根の刃で何度も何度も叩き、骨や皮ごと細かいミンチ状にする

 

塩を加えてよく練り、最初に出た汁は鍋に移す

粘りが出たら刻んだ雑草を加えて形を作り、沸騰した湯に入れて3分煮る、煮上がったら移した汁を加える

 

北上「よし、つみれができた、あとは…」

 

浮かんでるアクを捨てて、味付けをして…

 

北上「完成、つみれ汁!」

 

阿武隈「こっちもできました!」

 

ヲ級「阿武隈ハ草ヲ炒メタダケダロ」

 

阿武隈「……」

 

 

 

北上「ふー…いただきます」

 

…うん、魚の汁を捨てなくて良かった

新鮮だからまだ臭くないし、魚の風味も出てて美味しい…

 

早霜「この草…鶏の香りがするせいで、食べてると…」

 

阿武隈「お肉が恋しくなりますね…」

 

夕張(…確かに、コレは毒かも)

 

北上「アイオワ、ちゃんと食べてる?ほら」

 

つみれをアイオワの椀に突っ込む

 

アイオワ「え、うん、ありがと…」

 

ヲ級「……」

 

北上「…何?アンタも欲しいの?ほら」

 

ヲ級につみれを差し出す

 

ヲ級「北上、ナンデ食ベ物ヲワケルノ?」

 

北上「そりゃあ、みんなお腹減ってるからね」

 

ヲ級「弱ッタ奴ハ群カラ見捨テラレル」

 

北上「…それは深海棲艦のやり方でしょ、あたしらは人間だもん

やりたいようにやるよ」

 

…わかってくれると思ったんだけど

 

ヲ級「ソウ…」

 

北上「…ヲ級?」

 

ヲ級「ナラ、食べロ」

 

北上「うわっ!何すんのさ?!」

 

ヲ級がつみれをあたしの椀に突っ込む

 

ヲ級「ヤリタイヨウニ、ヤッタ」

 

イタズラをした子供のように、ヲ級が笑う

 

北上「…ありゃ、一本取られたね、コレは」

 

夕張「……へえ…」

 

…なんか、思ったよりつみれ汁が美味しくできたね

だから嬉しいんだ、うん

笑顔になっちゃった理由はそれだけだよ

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