食うに困った艦娘が頑張って生きようとする話   作:名無し

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二十四食目

好きなファミレスはサイゼリアの北上様だよ〜

ちなみにおすすめはミラノ風ドリア、あれ美味しいよね

あと煉獄の卵も好きだよ、見た目の割に辛くないから唐辛子フレークとオリーブオイルを垂らして、粉チーズぱっぱ…それをパンに乗せて…

はぁ……食べたいなぁ…

 

閑話休題(この話はやめよう)

 

北上(…収穫、ゼロ……)

 

マズイ、マズイマズイマズイ、非常にマズイ

わかってたけど、本当にマズくなってきた

 

北上(このままじゃ街に行くしかなくなる…)

 

手元には食料が無い

そして獲りに行っても何も見つからない

 

どうすればいい?

 

北上(わかるわけない…どうしたら解決できるだろう…)

 

車椅子が完成したあの日の夕張さんとの話し合いから、もう3日

ちなみに昨日と一昨日は野草を煮たり焼いたりして凌いだ

 

…正直、みんないつも以上に元気がない

 

こうなると背に腹は変えられない、いや、元々選択肢はない…

プライドを捨てる時だ…

 

 

 

大淀『はい、大淀です』

 

北上「…あのさ、大淀、あたしなんだけど」

 

大淀『はい、なんでしょう』

 

北上「……頼みがあるんだけど」

 

大淀『今はお力になれませんね、特に…深海棲艦を匿う様な相手には何もできませんよ』

 

北上「なっ…?」

 

…なんで、なんで

 

大淀『なんでバレたのか…とでも言いたげですね、直接顔を見なくてもわかりますよ?

……その携帯、誰が渡したと思ってるんですか?』

 

北上「っ…!」

 

そうか、この携帯に盗聴用の機能が…!

 

大淀『深海棲艦は現在、私たちの敵ではありません…が、貴方達は法や秩序の外の存在です

そんな存在が海賊行為に手を貸した事例のある深海棲艦と一緒に居る…となると?』

 

北上「ちが…あたし達は何もしてない!」

 

大淀『でしょうね、動向は常に監視していますから』

 

北上「は…!?」

 

大淀『当たり前です、どこに逃げられるかわからないんですからね…

もういいですか?貴方達に優しく対応してると私の立場も難しくなるんです』

 

北上「…こんな時に、立場なんて…」

 

大淀『それではまた、深海棲艦との関わりを絶ったら仕事を振り分けてもいいですよ』

 

北上「っ…大淀!…クソッ!」

 

大淀からも切られた…どうしたら…

 

北上「っ……ヲ級」

 

ヲ級「…困ッテル?」

 

北上「…まあ、ね」

 

ヲ級「皆、辛ソウ」

 

北上「…お腹減ってるんだよ、二日間草しか食べてないし、その前は…ちょっと貝と海藻食べたくらいだし」

 

ヲ級「…人間ハ脆イナ、私達ハ食ベナクテモ暫クハ支障ヲキタサナイケド」

 

北上「体の作りが違うんだろうね…どうしようね」

 

ヲ級「街ニ行ケバ、ゴハンモラエルヨ?」

 

北上「……ダメだよ、人間のフリして凌げぐのなんて…あと何回できるかね」

 

ヲ級「夕張モ、開発ノ為ニ行ッテ欲シイッテ」

 

北上「……」

 

ヲ級「…北上、街ニ行クノ、怖イカ?」

 

北上「怖い?…あたしが?」

 

ヲ級「ナラ行コウ」

 

北上「…どうしてそんなに街に行きたいのさ」

 

ヲ級「逆ニドウシテソンナニ行キタクナイ?」

 

北上「……悪意を浴びるのが、辛いんだよ」

 

ヲ級「デモ、行クシカナイダロウ?」

 

北上「いや、まあ…」

 

ヲ級「…言イ訳バカリデ、意外ダ、ソンナニ弱気ニナルナンテ」

 

北上「……」

 

ヲ級「デモ、北上ニハ、街ニ行ッテモラウ」

 

北上「…なんでさ」

 

ヲ級「必要ダカラ、私ジャ何ヲ手ニイレレバイイカワカラナイ」

 

北上「……」

 

ヲ級「北上、ミンナノ為」

 

北上「…はぁ……」

 

 

 

 

 

ヲ級「ココガ、人間ノ街…」

 

夕張「片道2時間…」

 

北上「お疲れ様、なんか買ってくるよ」

 

夕張「助かる…」

 

ヲ級「早ク、行コウ」

 

ここは、前回のむつ市よりさらに遠出して三沢市

青森の右の半島からまっすぐ下ったあたりにあるところ

まあ、ここも栄えてる所だよ

 

北上(……視線が痛い…みんな見てる気がする…)

 

…嫌だな、阿武隈と大湊に行った時より見られてる気がする

どうしよう、ここ、自衛隊の基地もあるし、急に追いかけられたら…

 

北上「ぐぇ…」

 

ヲ級に両手で頬を抑えられる

 

ヲ級「顔、暗イゾ」

 

北上「……暗くもなるよ」

 

ヲ級「怖クナイ、マワリノ奴ラ誰モ私達見テナイ」

 

北上「…そうかな」

 

そうでもない気はするけど…

 

ヲ級「ナラ、私ヲミロ北上、ココニ来ル為ニオシャレシテ、振ル舞イモ勉強シテ、頑張ッテル私ヲ見テレバイイ」

 

北上「……」

 

ずいと、ヲ級が顔を近づける

ヲ級の瞳いっぱいにあたしの顔が写ってる、暗い、逃げたがってるあたしが

 

ヲ級「北上、私ヲ見テ、自分ジャナクテ、私ヲ」

 

北上「…わかったよ」

 

どうしてこうも、見透かされてる気がしちゃうのかなぁ…

 

ヲ級「サア、楽シモウ」

 

 

 

 

ヲ級「フムフム、コノオ店高イナ」

 

北上「量は買えないね」

 

ヲ級「アッチノ店ノガ安イシ多イ」

 

北上「そもそも使える現金がこのくらいで…あー、待って、ここどの辺?」

 

ヲ級「地図ハドウヤッテ見ルノ?」

 

北上「それ逆さ…」

 

ヲ級「…ア、アノスーパーデ買エバ安イ?」

 

北上「ちょっ、待っ…」

 

 

 

 

 

北上「ったはー……ようやく買えたね、野菜にお肉」

 

レジが古いスーパーを探して買い物したせいで、基地で集めた現金のほとんどを使ってしまったのは痛かったけど

 

ヲ級「完璧、最高」

 

北上「1番の収穫は、これかな」

 

砂糖、そして醤油

 

ヲ級「サトーニショーユ?」

 

北上「これは日本人の心だからねぇ……ん?」

 

…尾けられてる

しかも、1人や2人じゃなさそう

 

ヲ級「北上、顔怖イ」

 

北上(交代しながら尾けてるな…艦娘だってバレた?

夕張さんのところに戻るのもリスクが…誘い出すしかない?)

 

ヲ級「ドウシタノ、北上」

 

北上「…ヲ級、ちょっと危ないけど大丈夫?」

 

ヲ級「ワカッタ、ヤバイ時ハ任セテ」

 

北上(阿武隈に負けてる癖に)

 

北上「じゃ、そこの路地に飛び込むよ、3…2…1…それ!」

 

路地を走り、入り組んだ道を通る

…先回りされてるかもしれないから、路地を抜けず、途中で物陰に身を潜める

 

北上(…来た)

 

男A「くそっ!逃げられたぞ!」

 

男B「…ダメだ、向こうも見失ったらしい」

 

男A「……どこに行った?…あの深海棲艦」

 

北上「…!」

 

狙いはヲ級の方、か…

 

ヲ級(……)

 

ヲ級が物陰から姿を現す

 

北上(あ、ちょっ!?)

 

男A「居た!こんな所に居たのか…!」

 

男B「動くな、深海棲艦…お前ここに何をしに来た!」

 

北上(マズイ、どうしよう、どうやって助け…)

 

ヲ級「待テ、私ハ何モスルツモリハナイ、コレカラ帰ルトコロダ」

 

男A「なんだと?…深海棲艦が街まで出てきて何を…!」

 

ヲ級「人間トノ戦争ハ、終ワッタト思ッテイルガ」

 

男B「黙れ!お前らが漁師だった俺の親父を殺したんだ!」

 

男A「みんな誰かを殺されてる!お前達を許さん!」

 

ヲ級「…私ハ、深海棲艦トシテハ生マレテ間モナイ、自主的ニ人ヲ襲ッタ事ハ一度シカナイ、ソレモ返リ討チニサレタ…

ツマリ、私ハ、オマエ達ノ復讐ノ相手デハナイ」

 

男A「知るか…!深海棲艦はみんな敵だ!」

 

男B「ぶっ殺してやる!」

 

ヲ級(…コレガ、悪意カ……確カニ、辛イナ)

 

男達がナイフを取り出し、ヲ級に向ける

 

男A「武器も無いらしいな、こんな人気のない所に逃げてくれたおかげで…遠慮なくやれる!」

 

ヲ級「…命ノ奪イ合イ…無縁ニナレタト思ッテイタ

…死ニタクナイカラ、来タ世界デ…悪意ニ殺サレル?私ハココデ終ワルノカ?北上」

 

北上「……ねえ、そこの2人、待ってよ」

 

男B「女…?さっき深海棲艦と逃げてた…何だお前!下がってろ!」

 

北上(同じだ、ヲ級も同じ目を向けられてる…

なのに、ヲ級の方が、ずっとあたし達より素直に生きてる)

 

北上「…あたし、艦娘なんだ」

 

男A「艦娘だと…?なんだ、お前もバケモノか!バケモノ同士の殺し合いか!?」

 

男B「いや、艦娘ならなんで深海棲艦を逃してた?バケモンがバケモン庇ってんだよ!」

 

ヲ級「…!…北上ヲ悪ク言ウナ…!」

 

男A「笑えるな…!艦娘と深海棲艦で仲良しこよしか!」

 

北上「……」

 

足元の、親指の爪ほどの小石を拾い上げる

 

男B「艦娘だってホントなら豚箱にいるんだ、構わねえ…まとめてぶち殺して…ぐっ!?」

 

男のナイフを持った手に石がクリーンヒットし、ナイフが落ちる

 

北上「あたしの仲間を侮辱して、タダで帰れると思わない事だね…あんたらの言う通り、簡単に死なない怪物が直々に相手してあげるよ」

 

ヲ級「…北上…?」

 

男A「くそっ!艦娘の癖に!!」

 

北上「…あたしは、仲間の為ならどこまでも残酷になるよ、脅しの段階で消えるなら…考えてもいいけど」

 

男B「っ!?スマホが!」

 

仲間を呼ぼうとした男のスマホに石をぶつける

 

北上「…どうする?本気で殺しにくる艦娘の相手…してみる?」

 

男B「…クソッ!」

 

男A「あ、おい!待てよ!この…覚えてやがれ!」

 

北上「……」

 

やってしまった…

 

ヲ級「…北上…」

 

ダメだ、問題を起こしてしまった

あたしのせいで、より行動が制限される

大淀が嗅ぎつけたらとうとう全員牢屋送りかも…

 

北上(…ごめん、みんな)

 

ヲ級「北上」

 

北上「あ…?」

 

ヲ級「アリガトウ」

 

北上「……うん、帰ろうか」

 

 

 

 

夕張「…へえ…流石北上、やっちゃったわね」

 

北上「茶化さないでくれる…?」

 

ヲ級「……デモ、アノ顔、怖カッタ」

 

ヲ級(スゴク、嫌ナ感情ダッタ…スゴクスゴク、辛ソウダッタ…)

 

夕張「さてさて……ん?!あれ!無い!」

 

北上「何が」

 

夕張「コンドーム!」

 

北上「ぶふっ!?…何…?下ネタ…?」

 

夕張「いやいや、そうじゃなくて!コーティング用の材料…えー…買ってないの?」

 

北上「買うわけないじゃん、ふざけてんの?」

 

ヲ級「コンドームッテ何」

 

北上「…いや、あたし説明しないから!夕張さん説明してよ!」

 

夕張「嫌よ!私だって使った事ないのに…!」

 

北上「……で、どうすんのさ…」

 

夕張「コンビニで買ってきて!ほら、お金残ってるでしょ?!」

 

北上「…マジか……」

 

 

 

 

 

店員「いらっしゃいませー」

 

北上(…うわぁ、コンビニってこんな入りづらいっけ、えーと…ってか、売ってんの…?)

 

…ある、入ってすぐのところに…

 

北上(どうしよう、店員さん男だし、他にもお客さんいるんだけど)

 

…しかし、コンドームの前で長く悩むわけにも…

 

ヲ級「マダ?」

 

北上「ひゅっ……心臓止まるかと思った…」

 

…出てきたのか、ヲ級

 

ヲ級「遅イ、早ク」

 

北上「……ええい、ままよ」

 

どのみち会計にはヲ級が必要だし、ここは諦めて…

 

1番薄いのと言われてたので、それを手に取り、渡す

 

ヲ級「スイマセーン」

 

店員「はい…肉まん出来立てですがいかがでしょうか?」

 

ヲ級「ヲ……ジャア、ソレモ」

 

北上(えっ)

 

 

 

夕張「で、肉まん?一つだけ?」

 

北上「…それよりもコレに触れてよ…はい」

 

夕張「ありがと、さて、それより肉まんよ!」

 

北上(…あたしの羞恥心返してくれる…?)

 

ヲ級「コレガ肉マン」

 

北上「食べた事ないのに買ったの?」

 

ヲ級「…買エッテ言ワレタト思ッタ」

 

夕張「半分もらうわね、いただきまーす」

 

北上「あ!?…ほんとに半分持って行ったし…」

 

夕張「ん〜!!あったかくて、おいしい!」

 

ヲ級「北上、食べテ」

 

北上「ヲ級が買ったんだし食べなよ」

 

ヲ級「ジャア、半分食べテ」

 

北上「むぐっ!?あっふ!!?」

 

さらに半分に割った肉まんを口に押し込まれる

…舌が熱い…

 

北上「…恥ずかしいのとやけどで味わかんないよ…」

 

ヲ級「オナジ、舌痛イ…」

 

北上「…くふっ」

 

ヲ級「…北上、今日初メテ笑ッタ」

 

北上「……かもね、肉まん美味しいからかな」

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