食うに困った艦娘が頑張って生きようとする話 作:名無し
やっほー、北上様だよ〜
今日も街に来てるよ、コーティングの実験も兼ねてね
北上「…マジでやんの?」
夕張「大丈夫、そこの自販機で試すだけなら壊れてもバレるまで時間かかるし」
北上「……よし、行くよ」
1番安い缶コーヒーを押し、ケータイを自販機に近づける
ピッ……ガコン
夕張「…出た…!」
北上「壊してないよね?!…よし!」
夕張「成功!!」
夕張さんにコーヒーを投げて渡す
夕張「…久々のコーヒー……んぶっ!?…これブラック!」
北上「文句言わないでよ、大人でしょ」
夕張「ブラックコーヒーなんて味覚異常者もしくは糖尿病患者が飲むの!砂糖の入ってないコーヒーを進んで飲むのは日本人くらいだし!」
北上(子供だなぁ…)
ヲ級「夕張、飲マセテ」
夕張「はいはい、全部あげる…はぁ……でも、これじゃヲーちゃん連れてきた意味なかったわね」
北上(いつのまにかあだ名呼び…?)
北上「ま、まあ、一回成功しただけだしそう決めるには早いよ」
夕張「…どうする?他のとこで試す?これより先に進むと流石に人通りも増えるし…」
北上「…コンビニくらいならいいんじゃない?…って、ヲ級、全部飲んでるし」
夕張「嘘…ブラックコーヒー美味しいの…?」
ヲ級「……ソンナニ」
北上「無理しなくていいのに」
ヲ級(…頭、ボーットスル…オ腹減ッタ…)
北上「大丈夫?」
ヲ級「ウン、大丈夫」
夕張「とりあえず、コンビニまで行ってみる?」
北上「だね」
夕張「さて、コンビニに移動したワケだけど」
北上「誰に説明してんのさ…
夕張「おぶ…何それ」
ヲ級「……北上、アレ何?」
ヲ級がゴミ袋を指す
北上「アレはゴミ」
ヲ級「ゴミ?沢山食べ物入ッテル」
北上「…廃棄品って言って、捨てるやつなんだよ」
ヲ級「ナンデ?」
夕張「賞味期限っていって、美味しく食べれる時期を過ぎちゃってるの」
ヲ級「…デモ、多分食べレル」
北上「まあね」
夕張「多分いけなくはないけど…」
北上「でも実際どうなんだろうね、ああいうの」
夕張「勝手に持って行ったら窃盗だし、触らぬナンタラに祟りなしで良いんじゃない?」
ヲ級(…勝手ニ持ッテクノハダメナノカ…)
北上「…あれ?」
ヲ級居ないし…
夕張「え、ヲーちゃん?どこ?」
北上「今の一瞬で何処に…!?」
夕張「あ!?北上!アレ!」
…夕張さんの指差した先に居たけど…
ヲ級「イラナイナラ、欲シイ、ミンナオ腹空イテル」
店員「いや…そういうのダメなんで…」
北上「ちょっ…ヲ級!」
ヲ級「北上…ダメダッテ」
北上「当たり前じゃん!ほら、行くよ!」
ヲ級「……」
ヲ級を引っ張って車に戻る
夕張「ヲーちゃん、なんであんな事…」
ヲ級「食べ物アルト皆喜ブ」
北上「……夕張さん、とりあえずここ離れよ」
北上「…ヲ級、優しいのはすごいし、良い事だよ…でも、あれはダメ、アレは捨てられるんだ」
ヲ級「イラナイナラ、貰エバイイ」
夕張「そうじゃなくて…うーん…」
北上「それに、昨日買い物したばっかじゃん、まだ食べ物あるでしょ…何か焦ってんの?」
ヲ級「……ゴメン…」
北上「いや、ごめんじゃ…」
夕張「…お腹でも減ってる?」
ヲ級「……」
北上「…ヲ級…?」
ヲ級「…ウン、オ腹、減ッタ」
北上「じゃ、帰る?」
夕張「そうね…でも、その前に、少しだけ買いたいものがあるんだけど…」
北上「もうゴムは買わないよ」
夕張「そうじゃなくて、お米…食べたくない?」
北上「お米…!?確かに前回買ってないけど…」
ヲ級「オコメ?」
夕張「それと、カレールーも欲しい…あとはわかる?」
北上「…カレー…?そっか!確かにできる!」
夕張「正直、浄水とかガスとか、考えたらやるべきことは他にも沢山あるけど…今は美味しいもの食べたいって欲求でいっぱいいっぱいなのよ…」
ヲ級「カリー…?」
北上「美味しいよ、買いに行くから手伝ってよ」
夕張「ルーは1回分でいいとして、とにかくお米!アレさえあればしばらくなんとかなるはず!」
ヲ級(嬉シソウ…)
ヲ級「カリー、食べタイ」
北上「ぃよっし!決まり!」
夕張「じゃ、車で待ってるから、行ってらっしゃい」
夕張「あ、買い物終わった?」
北上「うん、お米も沢山買ったし、カレールーもある」
夕張「じゃ、帰りましょ」
北上「あー、うん」
ヲ級「♪」
夕張「…?」
北上「…いや、ヲ級がさ…どうしてもこれ買うって聞かなくて」
ヲ級「カリーハ、コレ」
夕張「……ウインナー?」
北上「そう、こっちが折れちゃったよ…」
夕張「しかも、そこそこな数…北上ぃ…」
北上「甘やかすとかじゃなくて、ほんとに言うこと聞かないんだって…」
夕張「どーだか」
夕張(北上って気に入った相手には甘い印象があるからなぁ…私に対しても、阿武隈ちゃんたちにも…)
北上(…わかってもらえないと思うけど、本当に譲らなかったからやむを得なく買ったんだよ…)
北上「と言うわけで」
夕張「今日は、カレーです!」
霞「…曙、睦月、ほっぺ」
曙と睦月が霞の両頬をねじる
霞「…いひゃい」
睦月「ほんとにカレー…?」
曙「2度と食べられないと思ってた!あんた深海棲艦のくせにやるじゃない!」
ヲ級「ヲッ」
北上「手袋もまだ信用性に難ありだし、ヲ級無しじゃこんな買い物はできなかったからね」
霞「…でも、お米なんて炊けないわよアタシ、炊飯器しか知らないし」
北上「お鍋で炊けるから大丈夫だって」
夕張「ニンジンとタマネギ、ジャガイモは…あれ?ジャガイモどこ!?」
阿武隈「あー!昨日埋めちゃいました!増やそうと思って!」
北上(農業…その手があったか!)
夕張「それとお肉は…」
早霜「鶏肉、ありますよ」
夕張「私はビーフカレー派だけど、ここは我慢しましょう♪」
北上「へー、あたしチキン派だよ」
阿武隈「豚肉と牛肉って、厚切りかどうかでも派閥分かれますよね〜」
暁「みんな嬉しそうね」
北上「そりゃあ…あったかくて、美味しいご飯が久しぶりに食べられるんだもん、最高じゃん」
ヲ級(…ソウカ…最高…凄ク良イナ…デモ、コレガ最後ダ…)
北上「…ヲ級?どうかした?」
ヲ級「ナンデモナイ」
北上「さて、北上様特性、チキンカレーを作りましょうか!」
まずは玉ねぎの茶色い皮をむき、ヘタと根の部分を切り落とす
縦に切って、弱めの火をあてて鍋で炒める
北上「ちなみに今回は余ってる
阿武隈「…北上さん、誰に喋ってるんですか?」
暁「放っておきなさい」
同時進行でご飯を炊く
お椀か何かにお米を計量して、鍋に移す
はかりで測る必要は無いけど、できるだけすりきり何杯かを覚えておいてね
そして、お米に水を加えて、手のひらの付け根あたりで押し付ける様に研ぐ
刃物を研ぐ様に、鍋の面と滑らせて研いで、水が濁ったら捨てる
これを2度繰り返して、お米と同じ量のお水をお椀で測って鍋に入れる
これで20分ほど待つ!
北上「ちなみに、ここで30分くらい経つとご飯の仕上がりがふっくら柔らかになるよ
あたしはカレーのご飯は硬めが好きなんだよね」
ヲ級「……」
北上「あ!ヲ級、カレールー持って何を…」
ヲ級「カリー、作ル」
北上「え…料理できんの?」
夕張「やらせてみる…?」
阿武隈「いいじゃないですか!ものは試しですよ!」
北上「…あ、ウインナーまで…」
ヲ級がたどたどしい手つきでウインナーを輪切りにする
夕張(…料理を、知ってるのね…作り方まで…)
北上「…ま、ヲ級より先に作っちゃうか…」
玉ねぎの入った鍋に鶏肉を入れ、軽く焼き目をつけたら切ったニンジン、ジャガイモを入れて水を加える
北上「ここまで来ればあとはルーを入れるだけ!簡単でいいよね!」
阿武隈「もう美味しそうです…」
夕張「…あれ、すでにカレーの匂いが…」
ヲ級「デキタ…」
北上「えっ」
…ヲ級が差し出すフライパンには、輪切りのよく焼かれたソーセージ…だけ?
北上(というか、若干焦げてる…)
夕張「…一つもらっていい?」
ヲ級「イイヨ」
夕張さんが一つ摘んで食べる
夕張「ん!これ…カリーブルストだ!」
北上「…なにそれ」
夕張「カレー味のソーセージ!美味しい、ビール欲しくなっちゃう!」
北上(オッサンくさいなぁ…っていうか…最近20歳になったって言ってなかったっけ…?)
阿武隈「えー…た、食べていい?」
ヲ級「ウン、イイ」
北上「いや待って、美味しいのはわかったから待って、そんなに食べたらカレーライス食べる前にお腹いっぱいになるじゃん…」
阿武隈「でも…」
北上「すぐできるから、もう少し我慢してよ、ね、ヲ級も」
ヲ級「ワカッタ」
北上(……ヲ級に料理ができるのは、意外だったなぁ…)
ご飯は一度沸騰させたらごく弱火で加熱
カレーはルーを入れたら火から外してよく混ぜる
北上「…あ、ダメだ、ご飯の炊ける匂いとカレーの匂いが…」
…お腹が鳴り止まない
みんなも急かす様に見てるし…
北上「よし、完成!」
北上「…はぁ…カレーライスだ…」
ヲ級「カリー?」
暁「いただきます!…もぐ…あ、甘口…!」
阿武隈「はぁ…あったかいご飯…甘辛くて野菜ゴロゴロのカレー…」
北上(あたしも食べようかな…ん?)
ヲ級が口にウインナーを押し付けてくる
ヲ級「食べロ」
北上「わ、わかったから押し付けな…あぐ……ぁ」
…ダメだ、これ
ウインナーとカレーって不味いわけない
北上(というか、ウインナーなんていつぶりに食べたっけ…カレー味も最高だし…贅沢……)
ヲ級「美味シイカ?」
北上「うん、美味しい…めちゃくちゃ美味しい」
ヲ級「良カッタ」
ヲ級が満面の笑みを浮かべる
北上「でもヲ級が料理できるなんてなー…あむ…うん、味付けも丁度いいし…なんでできんの?」
ヲ級(…人ニ食べテモラウト、喜ビノ感情…ヤッパリソウカ)
北上「…おーい?」
ヲ級がカレーライスを口に運ぶ
北上(お…こんな積極的に食べてくれるの、初めてかも)
ヲ級(……ヤッパリカ)
北上「…どしたのヲ級フリーズして…辛かった?甘口だけど」
ヲ級「イヤ…ナンデモ……ン…」
ヲ級がウインナーを口に含み、また固まる
北上「……」
ヲ級「ウン、コッチノ方ガイイ…北上、コレガイイ!」
ヲ級がカレーライスを再びモシャモシャと食べ始める
北上「…変なヤツ…ま、いいけどさ!」
阿武隈「北上さん嬉しそうですねー…」
夕張「何?隣取られてすっかり嫉妬しちゃった?」
暁「そのセリフ、私たちにも刺さるものがあるんだけど」
阿武隈「…あむ………やっぱり美味しいな…カレーライス」