食うに困った艦娘が頑張って生きようとする話   作:名無し

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二十八食目

やっほ〜、北上様だよ

今の所太陽の位置と街にある時計で大体の方角を把握しながら北上中、さっき池袋駅を見たかな

…青森の最北端に着く頃には来月になってんじゃないの?これ

 

閑話休題(それよりも)

 

北上「……お腹減った…結局昨日のおむすび以来まともに食べてないし、喉は公園の水道で潤せるけど…」

 

ちなみに、公園でどんぐりを拾って食べたけど…うん、毒じゃないけど、渋すぎて口が食べ続けるのを拒否した…

20個ぐらい食べたあたりで具合悪くなったから、もうそこで本当にこれ以上はやめておこうって思った

 

北上(まあ、生食のどんぐりは初挑戦だったからいい経験かな)

 

にしても、ランチタイムだけあっていい匂いがいろんなところから…

 

北上(…とりあえず大通りは避けてるけど、これじゃあなぁ…ん?)

 

北上「……今の、艦娘?」

 

…首輪付きか見えなかったけど、路地の方を人間と歩いてた様な…

 

北上(なんだろ今の…気になるけど…

意外と艦娘も生きてけるのかな、この街なら…)

 

瑞鶴「はい、池袋駅の監視カメラに映ってたので…はい、ええ、厳重注意地区ですので…北側で抑えてます…はい……はい、今度こそ…」

 

…先回りされてたか

 

北上(ついてないなぁ…バレない様に…って)

 

瑞鶴「あ!いた!!」

 

北上「マジでついてない…」

 

路地裏へ、とりあえず人気のない方を目指して逃げ込む

 

北上(撒いても無駄だろうし、一回やっとくかぁ…)

 

北上「…おっ…絶好の場所…」

 

人気もないし、そこそこひらけてる…

 

瑞鶴「追いついた!…って、うわ!?」

 

北上「…反応いいな…」

 

不意打ちの飛び蹴りで仕留めるつもりだったけど、ガードされたか…

 

瑞鶴「何!?やるつもりなの!?」

 

北上「迷ってるあたりが三流だよね」

 

距離を詰め、顎を狙って徹底的に仕掛ける

 

瑞鶴(打撃は全然重くないけど…なんでこんな戦い慣れて…!)

 

ガードが顔周りに固まったのを確認して足払いをかける

 

瑞鶴「っ!」

 

北上「…あちゃー…重いな…」

 

…転ばせたと思ったのに、全然倒れてない…

力入らなかったか…

 

北上「太り過ぎじゃない?」

 

瑞鶴「誰が!!」

 

掴みかかってきた手を捌き、顎に一発

 

瑞鶴「っ…!」

 

そして、間髪入れずに目の横に一発

 

瑞鶴「あ…!?倒れ…」

 

倒れたところで首を踏みつけ、少しだけ体重をかける

 

北上「余計なことしたら痛い目見るってわかった?

…あたしにはやることがあるんだよ、邪魔しな…っ」

 

太ももに何か…赤い羽根のついたのが刺さって…

 

北上(これっ…動物用麻酔…?!)

 

瑞鶴「あ…!?」

 

北上「……っ」

 

瞼が落ち、力が抜け、倒れ込む

 

 

 

 

 

 

瑞鶴「…ったた…あれ…?こ、ここどこ!?なんで拘束されて…」

 

北上「うるさいなぁ…黙ってなよ」

 

瑞鶴「アンタ!…って、アンタも動けないの…?」

 

両手の親指と手首、それと足首、…関節を結束バンドで拘束されてるせいで動けない…か

 

北上(さて、まだかな?)

 

瑞鶴「…なんで逃げたのよ…せっかく保護しようとしてたのに…!おかげでこんなところで捕まって!」

 

北上「保護?ごめんだね、あたしは犬猫じゃないんだよ

そもそも、撃ってきたのもアンタらの仲間だと思ってたけどさ」

 

瑞鶴「違う!……艦娘を好きな様に扱う奴らよ…誰も何も言わないからって、幅を効かせてる奴らが…」

 

北上「みたいだね」

 

瑞鶴「みたいだねって…!あーもう!!携帯も無くなってるし…帰れるのかなぁ…」

 

 

 

 

 

 

夕張「攫われた!?脱走の次は人攫いって…!もう、どうなってんのよ!」

 

大淀「瑞鶴さんに持たせていた携帯は見つかりましたが、音声記録からして車で連れ去られた様です、車で一時間、捜索する範囲はかなり広がりましたが」

 

加賀「瑞鶴…」

 

夕張「…北上…」

 

大淀「焦ることはありません、夕張さんなら探す手段はいくらでもあるでしょう?」

 

夕張「…そうだ…!ちょっと設備借りれる!?

具体的にはパソコンとメス、それからアンテナに…」

 

大淀「生体ユニットの取り付け用の手術室を用意します」

 

夕張「……お願い」

 

 

 

 

 

北上「…お、来た来た」

 

男が2人、入ってくる

 

男A「おい、目を覚ましてるぞ」

 

男B「流石に、艦娘はバケモンだな、だがそいつは切れないだろ」

 

まあ、こっちの身体能力がアスリート並みとは言っても…これは力を伝えにくく縛られてるわけだし…

 

瑞鶴「ぎぎ…ぐぬぬ…!」

 

北上「無理みたいだね…そもそも、まだ麻酔も抜けきってないでしょ」

 

男A「こうなっちまえばバケモノも怖くねえな!」

 

北上「どうしてこういうことする奴らって声デカいんだろ」

 

男A「あぁん!?」

 

瑞鶴「ちょ、ちょっと!私達に手を出してどうなるかわかってんの!?政府直属の艦娘攫ってタダで済むと…!」

 

男B「そんな嘘をよくもまあベラベラと」

 

男A「黙って諦めてろ」

 

瑞鶴「嘘なんかじゃ…」

 

北上「無駄だよ、たとえ真実だろうが関係ないって…」

 

…でも、ホントに慣れてるんだろうね

こうなったら抵抗の余地がないことを知ってるんだ

つまり、常習犯

 

北上「でも、アンタらもバカだよねぇ…」

 

瑞鶴「ちょっ!?」

 

男A「なんだと?」

 

北上「人間狙えば良かったのに…バケモノを捕まえるなんて」

 

男B「縄に掛けられたやつが何言っても怖かねぇな!」

 

北上「頭が高いっての……お金稼がせてもらう相手に頭も下げられないワケ?」

 

瑞鶴「や、やめなさいよ…」

 

男A「減らず口を!」

 

1人、イラつきを我慢できなかった方が近寄ってくる

そして、拳を振り上げる

 

北上「あぐっ…」

 

頬に一発、拳が飛んでくる

 

男A「逆らうな!カスが!」

 

北上「…そのカスに稼がせてもらわなきゃ、明日のご飯も食べられないんでしょ?

その単純な頭じゃ生きてけないから」

 

瑞鶴「やめなさいって!」

 

男A「…このっ!まだ喋るか!」

 

再び拳を振り上げる

 

北上「ホント、バカだよね」

 

2発目に噛みつく

歯がミシミシと揺れる感触がするが…

 

男A「うっ…うっ!?うわっ!うわぁぁぁ!」

 

男B「どうした!おい!」

 

北上「ぷっ」

 

噛みちぎった肉を吐き捨て、歯を見せて笑う

 

北上「バケモノを捕まえるなんて、身の丈に合わないってわかった?」

 

男A「こ、このっ!このォッ!!」

 

今度は顔面目掛けて踏みつける様な蹴り…

両腕を口元で盾にしながら、両手の結束バンドを噛み千切る

 

そして、空いた手で蹴りを捕まえ…

 

北上「ばぁ!見積もりが甘いよねぇ…

よくそれで今まで無事だったと思うよ」

 

男A「ひっ…」

 

あとは、殴って、引っ掻いて、引き裂いて…

 

瑞鶴「ぁ…っ…なに、これ…」

 

北上「…ちゃんと食べてないから力入んないや…」

 

血を垂れ流して失神してる男を捨てる

 

男B「う、動くな!」

 

…ナイフを向けられる…ナイフ?

ナイフか…

 

北上「…だけら、目算甘いんだって」

 

走って近寄り、手のひらでナイフを受け止め、首を掴む

 

男B「がっ…ぁ…!」

 

北上「ねぇ、答えてくれるなら殺さないよ、アンタがさっき連れてた子、どこ?」

 

男B「と…ぉ…となっ…!」

 

北上「隣?…ならもういいや」

 

強く締め上げて失神させる

 

北上「早くそれ噛みちぎらないと、置いてくよ?」

 

瑞鶴「置いてくって……それより、怪我…!」

 

北上「……」

 

手のひらに突き刺さったナイフを抜く

 

北上「問題ないでしょ、このくらい」

 

瑞鶴(…イカれてる…!)

 

ナイフを構えて扉を開ける

 

北上「……なんだ、もういないんだ」

 

瑞鶴「むぎぎぃ…よし!取れた!…って、あれ」

 

…2人…か…

 

北上「…ねえ、その子達の目隠しと手枷外してよ」

 

瑞鶴「わ、わかった…」

 

捕まっていた2人の拘束が解かれる

 

朧「ひっ…」

 

響「…ぁ…」

 

北上「…違う……まあいいや、大丈夫?…怪我は無さそうだね」

 

瑞鶴「……ねえ、ここに他にあの男達の仲間いる?」

 

朧「あの、男…?うっ…」

 

北上「血まみれだけど死んでないと思うよ」

 

瑞鶴(手から頭からってアンタの方が血まみれなのよ…!)

 

朧「…その…クライアントを連れてくるって……」

 

北上「ふーん…じゃ、手当する時間はありそうだね……実は超痛いんだ、コレ」

 

手のひらに穴空いてるし、歯も折れ掛け出し、額も割れてるし

 

瑞鶴「なんでそんなに落ち着いてられるのよ…!」

 

北上「…だって敵地だし、今ここ」

 

理性が本能的な恐怖を抑え込めなくなったら、死ぬ

 

北上「…まだ誰かいる?」

 

さらに次の部屋の扉を開く

 

北上「……なるほど、ここってそういう場所か」

 

(おぞ)ましいな

ここで解体したり、するワケだ

 

北上(こいつらのクライアントって何?)

 

北上「…お」

 

神通「……」

 

…まだ生きてる、さっき見かけた…

首元の傷を見るに、首輪を無理矢理外した…?

 

北上「生きてるよね?…あたし敵じゃないつもりなんだけど、話す元気ある?」

 

神通「……」

 

小さく首を横に振る

 

北上「…あー…そうか、“喉”が…っ?」

 

…ヤバいのが、来る

…匂いが、鼻にくる感じがビリビリ…!

 

北上「ねえ!そっちの2人庇って!」

 

瑞鶴「えっ?」

 

3人の真上の壁が砕け、何かが入ってくる

 

川内「……っ!」

 

北上「せんだ…っ!」

 

北上(ヤバ…!この位置は…)

 

(はや)い…!一瞬で、距離が…

 

北上(やっぱりこうなる…!)

 

川内がどこからか短刀を抜き、こちらの首元目掛けて振るう

何度かそれをかわし、間合いを取るも…殺意は微塵も揺らぐ様子はない

 

北上「…こりゃ、一発かますしかないか」

 

あの短刀、受けたらヤバい

こっちの拾い物のナイフでは比にならないくらいの鋭さ

つまり受け止めるのは無理

 

となれば、こっちがあの刃物を受け止められる手段は…

 

北上(この奪ったナイフのみ!)

 

踏み込み、川内の首元へと手を伸ばす

 

北上(来た!)

 

予想通り、手を狙い、短刀を振ってくる

それをナイフで受け止めて…

 

北上「…えっ」

 

脚を垂直に振り上げる様な蹴りで、ナイフを持った手を蹴り上げられる

そして、伸ばした手を捌かれ、突き飛ばされ

 

北上「っ!」

 

肩を貫かれ、壁に押しやられる

 

北上(…ヤバい…!)

 

川内がいつの間にか掠め取ったナイフを首元に押しつける

 

川内「答えて、何しようとしてた?」

 

北上「……誤解だって」

 

川内「何が?」

 

北上「話す気があるならよかった、あたしもここに攫われて来た、承認はそっち、誘拐犯は隣の部屋」

 

川内「…動いたら容赦しないから」

 

北上「あたしの警戒より先に、そっち」

 

川内「神通………っ……喉を…いや、完全にはやられてないけど…なんでこんな事…」

 

北上「病院、さっさと連れて行けば?後はやっとくから」

 

短刀を抜き取り、川内の足元に投げる

 

川内「ホントに誤解だったみたいだね、ごめん…じゃあ」

 

川内が神通を連れて出ていく

 

北上(…“天然物”はやっぱりヤバいなぁ…)

 

 

 

 

 

加賀「ここね」

 

夕張「私から入る…っ…なんの匂い…?」

 

…焼いた肉の匂い…?

 

加賀「…呑気な…」

 

夕張「その方が助かるわ、行くわよ…3…2…1…」

 

扉を蹴り開け、中に踏み込む…が

 

夕張「…なっ…」

 

加賀「……何、コレは…」

 

瑞鶴「あ、あー……ドーモ…」

 

北上「遅かったね、もう終わってるよ」

 

…呑気に焼いたウインナーを頬張ってる北上達…

 

夕張「って!血だらけじゃない!」

 

北上「うるさいなぁ…致命傷は無いからいいじゃん」

 

瑞鶴(早く手当てしないと失血死すると思うんだけど…)

 

夕張「…後、その子達…」

 

女の子2人…この子達も攫われてここに…?

 

北上「そっちの子は目が見えないみたいだから、よろしく」

 

加賀「…その、転がってる人達は」

 

瑞鶴「誘拐犯…その…この人が1人でやりました…」

 

北上「いぇい」

 

北上が自慢げにピースサインをする

…6人…それに銃まで転がってる…

 

夕張「…もう、何も言えないわ…」

 

北上「あ、食べる?…肉しか置いてなかったから大したものないけど」

 

夕張「病院に搬送するわ、とりあえず全員来て」

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