食うに困った艦娘が頑張って生きようとする話 作:名無し
牢屋の中から北上さまだよ〜
ちなみにあれからお弁当まで出たよ、まあ、1日経ってるし何か食べさせなきゃいけないんだろうけど…
これは、外で食べてた野生的な食事が辛くなる味だね…
留置所のご飯も美味しいのかなぁ…阿武隈に聞いとけばよかった
北上「夕張さん何してるのかなぁ…そろそろ退屈に耐えかねてきた」
出たいです
…で、出られるような場所じゃないけどさ
北上(あたし巻き込まれただけなのになぁ…)
言ってしまえば貰い事故のような物
夕張さんの暴走が原因なのに…
北上「お…」
隊員A「出てください」
北上「はーい」
夕張「いやー、ごめんごめん」
北上「ホント気をつけてよね、マジで」
大淀「貴方もです」
夕張「それで…その…」
大淀「艤装を運用していないせいで持て余していた、例の火薬や燃料は民間企業を通して買い取る形になりました
そしてそれを支給します」
夕張「やった!」
大淀「…ただし、次問題を起こしたら…わかってますね?」
夕張「はい…」
北上「そん時は何より先にあんたらを潰すだけだよ、生きるためにね」
大淀「あまり大袈裟なことを言うと私以外に目をつけられますよ」
北上「……」
大淀「それと、海賊の件ですが、どうやら伊豆諸島に拠点があるようです、近いので今週中に出撃命令を出します」
夕張「こんっ……早くない…?」
北上「武器は」
大淀「夕張さん次第でしょうか」
北上「大湊から持ってくるのは」
大淀「長期間展示した物ですから、整備も必要ですし、何より性能も期待しない方がいいかと」
北上「ゴミ処理でもさせる気?」
大淀「二種類ほど処理できそうですね」
北上「……」
なんて嫌味な
大淀「…しかし、自分たちの行いを恥じてくださいよ?
川内さんなんて理想的な動きをしてくれましたからね、即座に私に連絡し、他の子が混乱するのを防ぎ…」
北上「はいはい、悪かったですよ」
夕張「その…私が悪いんだから、2人が喧嘩するのは…」
大淀「ではもう少し気を付けてくださいね、最年長者さん」
北上「夕張さんのせいであたしまで巻き込まれたんだしさぁ…もう少し…ねぇ?」
夕張「ぅぐ…ごめんなさい…」
夕張(なんでこう言う時だけ息合ってるの…)
大淀「…良いですか、本当に、これ以上は気をつけてくださいね、少なくとも初仕事が終わるまでは」
北上「……」
北上「最初の仕事か」
夕張「…どうしたの?」
北上「あたしらもとうとう横須賀艦隊かぁ…って、ほら、横須賀は一応エリートの集まりって言われてたし」
…実際はどうでも良いけど
なんだか、ずっと嫌な予感がするんだ
それに、大淀の言ってる意味もわかりはする
夕張「横須賀艦隊…良いわね、佐世保の艦隊も何度か演習したけど、一度も勝ったことないのよね」
北上「そんなに強いんだ?」
夕張「いや?実は毎回演習に選出されるのは中堅からそれ以下の子達なの、横須賀に華を持たせるためにね
そうしておかないと上層部が
北上「大湊はそういう話すらなかったけど、そんな扱いなんだ」
夕張「万が一勝っちゃったら左遷されるなんて言われてたのよ」
北上「へえ…左遷先どこだろ、大湊だったりして」
夕張「住んでた側なのにそれ言うの?」
北上「お…ねえ、向こう見てよ」
夕張「何あれ、対人戦?」
隊員同士の近接格闘訓練か…
北上(第一線でやってるだけあってレベル高い…って言うか、あれ…?)
北上「…ねえ、夕張さん、あれ」
夕張「…見間違いだと思ったんだけど、自衛隊の作業服着てるし…」
北上「だよねぇ…」
でも、どうみても…
川内「やあっ!」
北上「川内だアレ」
夕張「…大男をあっさり
北上「しかも連戦してる…」
ボクシングみたいな動きで細かく打撃をいれながら…要所で鋭い突きや大きい蹴り…
北上(…しかも、フェイントまで組み込んで…ありゃ勝てないわ)
夕張「また勝っちゃった…」
北上「あれ訓練だよね?やりすぎてないと良いけど…あっ」
夕張「…首に蹴りがクリティカル…」
川内「ふーっ……ん?」
北上「よっ、喧嘩番長」
川内「あれ、2人とも出れたんだ、おかえり!」
夕張「あー、うん…その、強いのね?」
川内「当たり前じゃん、白兵戦最強の呉鎮から来たんだからさ」
北上「そんな異名聞いたことないけど」
夕張「右に同じく」
川内「まあ、私が言ってるだけだから…で、そんな事よりも…はいこれ」
川内がケータイを差し出してくる
北上「…何その画面」
夕張「……出撃、命令…?嘘?だって…」
大淀は今週中…なのにこれはもう出てる
この食い違いは…
北上「大淀より上からの命令って訳だ」
大淀を通してではなく、直接の命令
こっちの準備とか一切お構いなしか
北上「……明日の
夕張「武器だってまだろくに届いてないのに…!?
あの燃料や火薬だって、まだ買い取れた訳じゃないから使えない…!」
北上「夜襲ならなんとかなるよ、それに白兵最強もいるんでしょ」
川内「まあね、任せてよ」
夕張「冗談じゃないわ!2人は強いから良いかもしれない、でも5人でしょう…?
私も行くとしてもあと2人…誰を連れて行くつもりなの?」
北上「いや、考えてないけど…」
夕張「だと思った…夜襲なんて、経験がある子は恐らくいない、それに…海賊ってことは相手は艦娘、人間かもしれない
武器もなしに戦えるかもそうだけど…人を攻撃することを躊躇う子も居るはず…」
北上「……」
確かに、感情を考慮すれば…無理か
…生きて帰るためには、作戦を成功させるためには
どうすれば…?
川内「…神通を出すよ、神通は強いんだから」
夕張「それも良くないと思うけど……選択肢はない…か」
あと1人…?
でも、誰なら…?誰を…
殺し合いに連れて行くのは、誰を…
北上「…だめだ、わかんない…頭が痛くなってきた」
夕張「考えても無理な物は無理、道理で通れる道じゃないの、常識の外側の細い糸を渡らなきゃいけない
全員生存して帰ってくるのは、それくらい難しいのよ」
北上「…いや、でも…そんなはず…あれ…」
…なんで、こんなに気持ち悪く…
川内「……ごめん、なんか気分悪くなってきたかも」
夕張「…え?」
川内「ちょっと休んでくる」
夕張(…これ、は……まさか…?)
北上「…ちょっと、落ち着いて考えさせて…」
夕張「構わないけど…」
…生き残るために、生きて帰るために…?
どうやって…た…っけ…
夕張「…っ…北上!」
夕張「…どう?」
早霜「急に倒れたんですよね」
夕張「そう、話してたらいきなり」
早霜「外傷はありませんし、食事も普段よりしっかりしたものを牢屋で摂っている、そのうえやることがないためずっと寝てたなら睡眠も不足しないはず…
となると、理由はわかりませんね…でも、そこまで弱っているようには見えません」
夕張(……やっぱ、生体ユニットの線…?)
早霜「…出撃命令は、断りましょう…無理です」
夕張「え?」
早霜「…北上さんがこんな状態なのに、とても出撃なんて…」
夕張「確かにそうかもね…でも、実はそうもいかなさそうなの…」
早霜「…というと」
夕張「私のやらかしの所為で、ね…
大淀の話を聞くに、どうやら私たちは必要ないと切り捨てられるギリギリなところにある…
ここで存在価値を示さなければ…終わりよ」
早霜「……なら、こんな所にいては…」
夕張「逃げる先なんてない、日本中全て、今度は本気で捜索かけられて…次こそ終わり…
だから、やるしかない…私がやる」
早霜「できるんですか」
夕張「生体ユニットの修理はあと少しだから…それさえ終われば全力でやれる
…艤装持ちだろうが深海棲艦だろうが、全員まとめて捻ってやる」
早霜(…夕張さんも、追い詰められてるのね…かなり、良くないわ)
北上「…あれ、また寝てた?」
夕張「北上、起きてすぐで悪いけどコレ、食べて」
液体の入った椀を押し付けられる
…夕張さん、なんか…表情険しい上に、多分…
北上「……待って、あたしどれだけ寝てたの?」
夕張「1日半、あと1時間で出発よ」
北上「嘘…」
まだ、何も考えてないのに…
北上「編成は!?」
夕張「私、川内、神通、それと起きたから…北上、あとは…」
夕張さんの視線を追う
加賀「夕張さんに泣きつかれてね」
夕張「……ある程度の実力者じゃないと…無理だと思ったの」
北上「そりゃそうだけど」
加賀「北上が起きると思ってなかったから、瑞鶴も先に待機させてたけど、必要なさそうね」
北上「……そうかな」
椀に口をつける
北上(ん…具が……って、これ米?)
北上「
夕張「川内がいろんな人ボコボコにして、その戦利品」
加賀「カツアゲ?だとしたら見過ごせないのだけれど」
夕張「いや、なんか…ほら、大会の景品的な感じで」
加賀「ならいいけど」
北上(いいんだ…)
といっても、粥の中の米もわずか、ほとんどが雑草みたいだし
北上「……戦時中のご飯って感じだね」
夕張「精米されたお米が食べられるだけ贅沢でしょ?」
北上「全くだね……ふぅ、ご馳走様…さて、やろうか」