食うに困った艦娘が頑張って生きようとする話   作:名無し

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一枚目

大淀「朝早くにすみません、貴方に、コレを」

 

青葉「…デジタルカメラ?なんでですか?」

 

大淀「朝霜ちゃんをたまに撮って、経過を送ってください、もちろん、好きな写真を撮っても構いませんよ、それは貴方のものですから

なので、お願いしますよ」

 

青葉「は、はあ…」

 

…薄型のデジタルカメラ…

昔、広報をやってた時に持ち歩いてたのと同じ型だ…

 

青葉「…その、こんなことを言うのもおかしいんですけど、大淀さんが引き取るのは…」

 

大淀「未成年に未成年を預かれと?」

 

青葉「…???」

 

…何言ってるんだろ、この人…

 

大淀「青葉さんは20歳でしょう?」

 

青葉「はい」

 

大淀「私は16でして」

 

青葉「……えっと?」

 

え…?意味が…

 

大淀「まだ、伝わりませんか?私まだ年齢で言えば高校生くらいでー」

 

青葉「えええええぇぇぇぇぇっ!?!?!」

 

大淀「…そんなに驚かなくても」

 

青葉(い、いや、そんな…た、確かに顔立ちは少し幼いし、背も…で、でも!私より年下…!?…16!?!?

ふ、雰囲気というか、オーラというか、立ち振る舞い…いや、もう何もかも私より年上の風格が…)

 

大淀「そんなに老けてますかね」

 

青葉「いえ…その、雰囲気というか…」

 

大淀「若さは武器です、それは容姿という意味ではなく、成長性という意味で

私は、取り込めるものをとことん取り込みました、それが歳をとったという事なら、それもまた正解でしょうが」

 

青葉(だから、言い回しがいちいちくどいんですよ…)

 

大淀「…ところで、貴方に聞きたいことが一つ」

 

青葉「はい?」

 

大淀「“大井”という人を知っていますか?

…興味があって、会いたいんです」

 

青葉「…会ってどうするんですか?」

 

大淀「話をしてみたいんですよ」

 

青葉「まあ…それだけなら良いんですけど…でも、私も行っていいですか?」

 

大淀「ええ、構いませんよ」

 

 

 

 

 

大淀「初めまして、大井さんですね?」

 

大井「早朝から…何、貴方」

 

大淀「本当にバッタを食べてるんですね、こんなところで焚き火なんて怒られないんですか?

いや、それよりもなぜバッタを…」

 

青葉(バッタ?)

 

大井「いきなり失礼じゃない?貴方はなんなの?」

 

大淀「貴方に個人的に興味を持った人間です」

 

大井「興味?」

 

大淀「なぜ虫を食べるんですか?そんなに困窮してるんですか?」

 

大井「…別に、興味を持ったからよ」

 

青葉「興味?」

 

大井「…言ってなかったわね、単に知らない事を試すのが好きなのよ、食べ物でも、なんでもね」

 

大淀「それが、その虫を食べる事だと?」

 

大淀さんが焚き火の周りに刺さった串焼きを一つ取る

 

青葉「え?それ…」

 

大井「騙すつもりじゃなかったの、よく焼いたからわかりにくかったわよね、アレ、バッタなのよ」

 

青葉「えっ……あ、私…バッタ食べ…あ……え…」

 

もう、吐き出すこともできない…

こんなに時間が経ってはしっかり血肉になってる…

 

青葉「…ま、まあ!ね、熱消毒とか…えと…多分安全で、お、おいしかったので…?」

 

大井「声震えまくってるけど」

 

大淀「一ついただいても?」

 

大井「…バッタよ?」

 

大淀さんが躊躇いなく口に含む

 

大淀(……ふむ…こんな味なんですね、イナゴの佃煮も似た様なものでしょうか)

 

大井(…何か、確かめてるみたいな…)

 

大淀「参考になりました、それではどうも」

 

大淀さんが踵を返して消えていく

 

青葉「え、あ…え?…コレだけのために…?」

 

大井「なんなのあの人…」

 

 

 

青葉「ちょっと待ってください!」

 

大淀「はい?」

 

青葉「な、なんのために大井さんに…」

 

大淀「会ってみたかったのと、アレを食べてみようと思って」

 

青葉「そんな理由で!?というか会いたい様な相手なら…」

 

大淀「別に、もう彼女自身に興味はなくなりましたよ」

 

青葉「へ?」

 

大淀(大井さんは興味本位で食べていると言っていた、それは嘘偽りないでしょう

北上さんとは違った、それだけ)

 

大淀「そう言えば、青葉さん」

 

青葉「は、はい」

 

級に大淀さんがこちらをみて…

 

大淀「私も人を殺したことがありますよ、私たち、良い友達になれそうですね」

 

青葉「…え?」

 

大淀「それではまた」

 

青葉(…大淀さんが…人、殺し…?)

 

…なんで、誰を殺したんだろう…

 

 

 

 

龍驤「おう!青葉!」

 

青葉「あ、お疲れ様です!」

 

龍驤「なんや、今日は元気やな、昨日はえらい弱っとったけど、調子悪かったんか?」

 

青葉「ぁ…いえ、そういうわけじゃ…」

 

龍驤「ところでやな、青葉、最近ニュースは見たか?」

 

青葉「え?ぜんぜん見てません…」

 

龍驤「近くで艦娘の死体が上がったって奴や」

 

青葉(…龍田さんの)

 

龍驤「なんでも、衰弱死らしいな、死体もめっちゃ腐ってたって話やで」

 

青葉「…あ、あの、それが何か…」

 

龍驤「…なんか知っとるんか?」

 

青葉「へ?」

 

龍驤「なんか知っとるんやったら、言えや」

 

青葉(な、なんだか今日の龍驤さん怖い…)

 

龍驤「おう、なんか隠しとるんやないやろな?」

 

青葉(い、今から答えても怒られるかな…ど、どうしよう…)

 

顔を見れない、怖い、俯いて、どうすれば…

 

龍驤「どっちなんや!」

 

青葉「しし、知りません!」

 

龍驤「ならなんで答えんの遅かってん」

 

青葉「こ、怖くなって……ごめんなさい!」

 

龍驤「……」

 

チラリと龍驤さんを見る

表情が消えて、ゆっくりと笑顔になる

 

龍驤「…すーっ……そーか、まあええわ、ゴメンな青葉」

 

青葉「い、いえ…」

 

龍驤「まあ、青葉はウチに嘘つく理由なんやないもんなぁ…ゴメンな、ちょっとどうしても気になっとってん」

 

青葉(…もしかして、龍驤さんも龍田さんに…)

 

龍驤「だってな、その事件、死んだのは艦娘やのうて、男が2人、のはずやねん」

 

青葉「…へ?」

 

なんで、知って…?

 

龍驤「まあ、男2人死んだっていうだけど、実際死んだんか消えたんかはわからん、そこでおらんくなったって話や」

 

青葉「そ、そう…なんですか」

 

龍驤「せやで、警察が言う取ったから間違いないわ、ニュースも適当言いよるよなぁ…」

 

青葉「その…もしかして、お知り合いですか…?」

 

龍驤「ん?…んや、まあ…顔は知っとるくらいやけど…

まあええわ、なんかわかったら教えてや、また明日な」

 

青葉「は、はい」

 

青葉(…どう見ても、どう考えても、あの男の人たちは悪い人で…龍驤さんが……その、知り合い…?)

 

…不思議と、殺人による罪悪感とか、そんなモノよりも

ただ、その事実で頭がいっぱいになった

 

 

 

 

 

青葉「はぁ…疲れた…」

 

朝霜「おかえり、青葉さん…」

 

青葉「あ、朝霜ちゃん、はいご飯」

 

朝霜「…ありがとう」

 

朝霜ちゃんがお弁当の蓋を開けて、食べ始める

 

青葉(美味しそうに食べてる…凄い勢い…)

 

カメラの電源入れて、写真を撮る

…綺麗に撮れた

 

青葉(でも、冷たくてあんまり美味しくないんじゃ…あれ)

 

…そういえば、何も置いて行ってない

もしかして…

 

朝霜「はぐっ…あぐっ」

 

青葉(1日何も食べてないんだ…!?…私、なんて酷い事を…)

 

青葉「ご、ごめんね朝霜ちゃん!明日からちゃんとお昼も置いていくから!」

 

朝霜「え、あ、いや…気にしないでいいって…」

 

…でも、食費は倍増か…

 

青葉(現在の貯金が5230円、大淀さんに奢ってもらったおかげでまるまるあのお金が貯金できてるし、少しは持つけど…対策も考えないと)

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