食うに困った艦娘が頑張って生きようとする話   作:名無し

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二枚目

青葉「お疲れ様でしたー!」

 

…今日の現場は楽だった…

まだ3時なのにもう終わっちゃったし

 

青葉(それでもお金は変わらない…助かる…)

 

6230円

自転車代1000円を除いた、全財産

 

青葉「…1日にかかる食費が345×4で1380円…とうとう、収入を超えちゃった…」

 

…今の仕事だけじゃ無理がある、か

あと380円は手に入れないと、緩やかに破綻していく

 

青葉(どうしよう…遅くても2300(フタサンマルマル)ごろには終わるけど、そのあと0900(マルキューマルマル)までの時間は?)

 

その時間までに何かをやるとしたら、深夜か早朝の短時間のバイト…

しかも、できるだけ早いやつを

 

青葉(うーん…うーん…)

 

スーパーにたどり着き、いつもの様に弁当を手に取り、レジの方へと進む時に気がつく

 

青葉(…あれ、朝霜ちゃん…朝ごはん食べてないんじゃ?)

 

私だけたこ焼きを食べてるけど…朝霜ちゃんは?

私みたいに自動的に用意されるわけじゃないし…

 

青葉(……朝ごはんって何食べるんだろう?)

 

悩みの末、食パン6切れ87円(税込)を購入…

 

青葉(あぁ…お、お金が…お金が吸われていく…)

 

 

 

朝霜「いただきます!」

 

青葉(よく食べるなぁ…)

 

…でも、朝霜ちゃんくらいの歳の子には、足りないんじゃないだろうか?

正直私も物足りないと思うし

もっとお腹いっぱい食べさせてあげたいけど…

 

青葉(お金が足りないなぁ…)

 

日当が2000円、コレを30日だとして…

 

青葉「一月(ひとつき)6万円…か」

 

朝霜「?」

 

艦娘が幸せになるには、どうすれば良いんだろう?

この世界で、艦娘が幸せになるには…

 

この子を幸せにするには、どうすれば良いんだろう?

 

青葉「朝霜ちゃん、これからどうしたい?」

 

朝霜「えっ」

 

朝霜(アタイからしたら、青葉サンをどうにかしなきゃいけないんだけど…)

 

青葉「って急に言われても困るか…

ゆっくり考えて、悪い事じゃなければ、手伝うから」

 

朝霜「うん……」

 

朝霜(…あーもう、どうすりゃ良いんだ…?)

 

 

 

 

 

青葉(色々調べたけど…)

 

2人暮らしからの食費の節約の手段として

自炊、コレが1番節約になるみたい

 

青葉(料理なんてした事ないけど、頑張ればできるはず…)

 

なんの根拠もない自信に後押しされて、食材売り場へと足を運ぶものの…

 

青葉(何を使って何を作れば良いんだろう…???)

 

幸い、今日は早くに終わったので時間はある

じっくりと考えて…

 

大井「あら?」

 

青葉「あ、どうも……えっ!?」

 

大井「何よそのお化けでも見たかの様な反応」

 

青葉「だ、だだだっ…だって、ホームレスの大井さんが…まさか…万引き…」

 

大井「しないわよ、失礼ね…

前に言わなかった?全くの無収入ってわけじゃないの」

 

青葉「…ほんとに?」

 

大井「ホントよ、ほら」

 

…財布には、カード類にお札が…

 

青葉(いち、に、さん…いや、多すぎて数えきれない…?)

 

青葉「…え?なんでこんなに持ってるのに野宿して…」

 

大井「今日手に入れたのよ、見てよこの幸運の帯!

100万円以降の換金じゃないとないのよ?」

 

青葉「…なんですか?それ…JR…」

 

大井「競馬よ、競馬」

 

青葉「競馬…?」

 

大井「絶対当たるって信じてたわ!なんたって私、大井よ?

競馬場と同じ名前だし、コレは運命だと…」

 

青葉「あ、あの、声大きいです…」

 

大井「こほん、まあ、コレを元手にもう一山稼いで、一生分の財産を築くのよ…!」

 

青葉(…本当にうまくいくのかなぁ…)

 

大井「で?青葉はなんで?」

 

青葉「…自炊しようと…」

 

大井「自炊?へえ、偉いじゃない」

 

青葉「あ、あはは…でも、何を作ればいいのか…」

 

大井「ふぅん…?……お米はあるの?」

 

青葉「何もないです…」

 

大井「炊飯器は?レンジは?」

 

青葉「無いです…ガスコンロとフライパンとお鍋くらいしか…」

 

大井「なら充分よ、予算は?」

 

青葉「…5000円…」

 

大井「少ないわね、まあ…うーん…よし、必要な物を買い揃えるわよ」

 

 

 

 

 

青葉「お米10キロに、おつとめ品の野菜類とお魚…」

 

大井「あとは調味料、これで…会計は…」

 

5625円…お米が高い…

 

青葉「…コレ、何が作れるんですか?」

 

大井「焼き魚にお浸しかな、あとはお味噌汁…こっちの大根の葉をお漬物にしても良いか」

 

青葉(凄いなぁ…)

 

大井「家どこ?携帯に登録してる?」

 

青葉「ええと…ここです」

 

画面を見せる

 

大井「ふーん…あとで行くわ、頑張って」

 

青葉「え?」

 

大井「やることがあるの、それじゃ」

 

青葉(ええぇ…と言うか、なんのために家を…?)

 

 

 

 

青葉「ただいまぁ…」

 

朝霜「おかえり、青葉さん」

 

青葉「朝霜ちゃん、ご飯遅くなっても大丈夫?」

 

朝霜「え?いいけど…」

 

青葉(頑張って作るぞ…!)

 

朝霜(…そういや、なんか色々買って…もしかして、作るのか…?)

 

青葉(な、なんか視線が…?)

 

まあ、いきなり今までやらない事を始めたら気になるか…

 

青葉(まずはお米を計量カップにとって、2人分ってどのくらい…?…2カップ?)

 

そしてお米をお鍋に入れて、水を入れて、研ぐ様に洗う…

 

青葉(ええと、どのくらいまで?)

 

…そして、一度水を切り…

 

青葉(…お水、どのくらい入れれば…?)

 

青葉「ええと…このくらい?…で、火にかけて…」

 

魚の切り身をフライパンにおいて、火にかけて…

 

青葉(…あれ?ガスコンロ、二つしかないから…お味噌汁とかはどうやって一緒に作れば?)

 

朝霜(楽しみだなぁ…)

 

 

 

 

 

 

大井「すみませーん、ごめんくださーい」

 

青葉「あ、朝霜ちゃん、お願いして良い!?

知ってる人だから通して!」

 

朝霜「わかったー……青葉サン、大丈夫かな」

 

朝霜ちゃんが扉を開く音がする

 

大井「あれ?…あー、間違えました」

 

青葉「あってます!大井さん!こっちです!」

 

朝霜「入っていいって」

 

大井(…青葉って子持ちだったの?)

 

大井「あれ…あらら…難儀してるみたいね?」

 

青葉「た、助けてください…!」

 

大井「とりあえず、やりきってからね」

 

青葉「そんなぁ…!」

 

 

 

 

 

青葉「…で、できました…」

 

朝霜(…こりゃァ…)

 

大井「…料理は初めてみたいね」

 

青葉「はい…」

 

大井さんがお米を口に運ぶ

 

大井(硬っ!?…あー、こういうパターンか…漬物は…なにこれ、味ない…

お味噌汁も…うっすい………焼き魚…焦げすぎて苦い…)

 

大井「てんでダメ、ね」

 

青葉「はい…」

 

大井「まず、お米、これお水はどのくらい入れたの?」

 

青葉「浸るくらい…?」

 

大井「浸水時間は?」

 

青葉「へ…?」

 

大井「……初めてやる時は調べる癖をつけるといいわ、第一、誰かに食べさせるならちゃんとしたものを…」

 

朝霜ちゃんがスプーンを手に取り、ご飯を食べる

 

青葉「あ、朝霜ちゃん、無理に食べなくても…」

 

朝霜「無理にじゃないって、全然ヘーキ」

 

バリバリと音を立てながら味のない漬物や丸焦げの魚まで食べ始める

 

大井「…そんなもの食べるのはしんどいでしょ」

 

朝霜ちゃんがドンと音を立てて、スプーンを置く

 

朝霜「アンタ、誰だよ」

 

大井「…どういう意味?名乗れって事?」

 

朝霜「アタイはアンタと話してねえ、このメシはアタイに作ってくれたメシだ、勝手にしんどいとか決めるな」

 

青葉「い、いや、朝霜ちゃん…大井さんは…」

 

大井「……ま、多感な時期の子の前で言うセリフじゃなかったかもしれないわね、でも、青葉も無理に食べて欲しいわけじゃない筈よ」

 

朝霜「だから、アタイは無理になんか食ってねーって!

第一、自分のために用意してくれたメシ程嬉しいもんなんて無えよ、わかるか?わかんねえだろうけどさ」

 

大井「…青葉、この子、どういう子なの?」

 

青葉「…っと…複雑な事情が…」

 

大井(いうのは憚られる事情…か…

自分のために用意してくれた食事…この子、まるで戦争孤児みたいな事…まあ、知るのは後からでもできる)

 

大井「青葉、とりあえずあなたの実力はわかった、私は簡単な料理しか教えられないけど、いい?」

 

青葉「…いいんですか?その…」

 

大井「そっちの子は知らないわ、青葉がどうするか決めて」

 

青葉「…はい、お願いします!」

 

大井「そういう事だから、たまに遊びに来るわ、よろしくね、お嬢ちゃん」

 

朝霜「…お、おう」

 

大井(周りに噛みついてばかりの生き方をしてきたみたいだし、落ち着くまではこっちが落ち着いた対応をしなきゃね)

 

青葉(…あぅ…自分で食べても不味い…)

 

大井「昼は働いてるんでしょ?お昼ご飯、私が作り置きしておいてあげる、お鍋に薄くお湯を張って、ゆっくり温めて食べなさい」

 

青葉「ありがとうございます…」

 

朝霜「……」

 

パシャリ

 

青葉「へ?あ、朝霜ちゃん!?」

 

朝霜「にひひっ!良い写真撮れた!」

 

大井「…ぷっ…確かに、さっきの青葉の顔ったら、笑うしかないわね」

 

朝霜(アンタのドヤ顔もなかなかだけどな!)

 

青葉「お願い!消して!」

 

朝霜「へっへー!お断りだって!」

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