食うに困った艦娘が頑張って生きようとする話 作:名無し
川内「初めまして、私は川内、名前くらいは覚えておいてよ…あー…無視?
そういうのは良くないなぁ…せっかくこうして会いに来てるんだからさ、もう少し興味を…」
摩耶「誰が持つか」
川内「ようやくしゃべってくれた、会話スタートでいい?仲良くしてくれる?」
摩耶「……なんなんだお前」
川内「現在の横須賀艦隊所属、川内、北上とか大淀について聞きたくてさ」
摩耶「…北上、大淀……」
川内「興味あるでしょ?お互いに…」
摩耶「……アイツら、どうなってやがるんだ、特に大淀…別人みたいになりやがって」
川内「へぇ、別人?そんなに?」
摩耶「確か、最後に会ったのが13になってすぐ、で…3年は経ってるから…16か?今」
川内「……16?なにが?」
摩耶「歳だよ、歳の話以外になんかあるのか?」
川内「…あの貫禄で16ぅ!?」
摩耶「昔から賢いやつだった、時間が経てば貫禄も出るだろ」
川内「そんなレベルじゃないけどね、あれ…」
摩耶「…北上の野郎、姉妹がいないとか言ってたよな、本当にか?」
川内「だとしたら?」
摩耶「…多摩って聞いたことあるか?」
川内「猫のタマと多摩川の多摩どっち?」
摩耶「どっちでもあるし、どっちも違う」
川内「謎かけ?」
摩耶「艦娘だよ、球磨型2番艦のな」
川内「くま型?」
摩耶「艦娘のくせに知らないのか?お前も川内型だろ」
川内「他所のは知らないよ、そこまで無駄なことに頭使ってないの、何型か気にしたところで給料も生存率も変わんないし」
摩耶「…とにかく、北上はその3番艦、つまり妹だ」
川内「へえ?それを北上は忘れたとね」
摩耶「忘れた?ふざけろ、もう一度あったらぶっ殺してやる」
川内「それがさぁ…多摩だっけ…その人、死んでるみたいだよ」
摩耶「…なんだと?…いや、ありえねぇ…多摩さんに限って…おい、何を知ってる!」
川内「アタシも捜査中、詳しいこと知りたくてさぁ…でもその様子じゃ、出てく時は生きてたんだ?」
摩耶「2年も前の話だ…クソッ!だとしてもなんで、居ないなんて…!」
川内「忘れたんだよ」
摩耶「忘れただぁ!?ふざけんな!そんなこと許されるわけがねぇ!」
川内「本人も意図してのモノじゃない、生体ユニットのせいだよ
感情に負荷がかかりすぎた時、自己防衛機能として、忘れる選択をする…北上の意思じゃない」
摩耶「……クソッ!」
川内「昔の2人について、教えてよ」
摩耶「…姉妹艦とか、そういうのを越えて、姉妹みたいだったよ」
川内「へぇ?」
摩耶「…ある時を境にな、北上に戦い方を教えて欲しいって言い出した
北上は…何を言い出すかと思いきや、最初は水上機を扱って、戦況の観測と戦場のコントロールを学べって言い出して…
大淀はそれをやってのけた、完璧にだ、ペーペーの素人の癖に、指揮系統はアイツに丸投げになった」
川内「んなバカな…」
摩耶「そりゃこっちのセリフだ、アイツ、普通空母でも最初は数十機ダメにする発着艦を初回でマスターしたんだ」
川内(ウソでしょ…水上機はあたしも使ったことあるけど…アレは…そんな簡単に扱える代物じゃない
それに、指揮系統丸投げ?素人に?…イカれてるよ大湊は…)
摩耶「で、次に大淀は正面からの撃ち合いを学ぼうとしてたな…
アタシが覚えてる最後の方の記憶だと、大淀がゲロ吐くまで訓練し続けて、北上自身もやめさせようとしてたけど、大淀は無理矢理やってたな」
川内「…何がそんなに大淀を動かしてたの?」
摩耶「知るか、なんでアタシが大淀の心境まで把握してんだよ」
川内「…そっか、じゃあ、また聞きたいことができたら来るよ」
摩耶「二度と来んな、もう誰にも会いたくねえ…未練が残る」
川内「未練?」
摩耶「国家転覆罪だとよ」
川内「…初適用じゃない?」
摩耶「表向きにしないから、回数にはカウントされない、だから初適用はまだ先だ」
川内「……そっか」
摩耶「誰にも言わないでくれ、アタシはもう、1人で死ぬ」
川内「なんでさ」
摩耶「アタシにとっては、あの島は最後の場所だった…あそこを失った今、もう、何も残ってない、もうこれ以上なく惨めだ、アタシはもう終わったんだ
だから、誰にも知られず死にたい」
川内「悪役の自覚あるんだ」
摩耶「役じゃなくて、悪人だ、極悪のな」
川内「そんな悪人のこだわりの死に様、か…あたし的にはなんでもいいや」
摩耶「…そろそろ時間だろ」
川内「また来るよ、次はもっと詳しく調べてね
…いつまで生きてるの?」
摩耶「さあな、明日くらいまでかも」
川内「そりゃ急がないと」
川内(…他人だから、あたしにとっては軽かったけど…北上達にとってはたまったもんじゃないかな
…なかなか面倒なことに首突っ込んだなぁ…軽巡多摩、データ転がってないかな?)
川内「那珂にでも会って帰るかぁ…」