食うに困った艦娘が頑張って生きようとする話   作:名無し

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亡霊

ふー、やっほー、北上様だよ

現在捕まえた深海棲艦を拷問中、ちょっと良い子には見せられないショッキングな事もしちゃったけど…

そこまでグロッキーにはしてないから安心してね

 

北上「よっ…!と…」

 

腹に思いっきり前蹴りを決める

 

チ級「ムググ!!…グ…グム…!」

 

北上「ほらほら、喋る気になった?…ま、なってないよねぇ!」

 

顔面、腹を徹底的に殴る蹴る

四肢はそれぞれの所ですでに欠損してるので、爪や指は責められないけど

 

北上「…よっと」

 

顔面を掴んで、地面に寝かせて、何度でも蹴り続ける

 

チ級「グムッ!グムム!!」

 

北上「んー、まだ喋りたくないかー」

 

チ級「ムー!ムー!!」

 

北上「なら、まだやるしかないよね」

 

…コイツには口枷をして、喋れないようにしてある

そして、徹底してる事が2つ、決して目を見ない、そして、意識を失わせない

 

とにかく無関心に痛めつけ続ける

 

…朝日が遠くに見えた頃に、初めて目を見て、ニッコリと笑い、(たず)ねる

 

北上「喋る気になった?」

 

口枷を外し、じっと顔を見つめる

 

チ級「ナ、ナッタ!喋ル!喋ラセテ!!」

 

北上「よーし、ようやくお話ができるね」

 

深海棲艦は嫌いだ艦娘が憎むべき存在だから

そして、仲間をたくさん殺したから

そして、あたし達の、前の人生を奪ったから

そして、今の生活を脅かすから

 

嫌いだ、大嫌いだ

 

北上「さて、聞かれた事以外を喋ったら、また口に布切れ詰め込むからね、えーと…

まず、あの畑襲撃したのあんたら?」

 

チ級「チ、違ウ!」

 

北上「犯人知ってる?」

 

チ級「知ラナイ!」

 

北上(…まあ、ここの審議はどうでも良いや)

 

北上「なら、何であんなとこにいたの」

 

チ級「…ヤ、雇ワレテ…」

 

北上「誰に」

 

チ級「…アソコデ、会ッタ人間ニ…」

 

腹をサッカーボールのように蹴る

 

チ級「ウゴッ!?ゴホッ!ウ、嘘ジャ…!」

 

北上「嘘かどうかとか興味ない、気に入らなかったら、蹴る…もし嘘つけば、布切れ」

 

チ級「ソ、ソンナ…」

 

北上「まあ、あたしに捕まったんだ、諦めてここで全部喋りなよ

そんで?何で雇われたのさ」

 

チ級「……首輪付キガ、戻ッテキタラ…殺セト…ヒッ!?」

 

北上「はぁ…あの村の奴に、ねぇ」

 

チ級の首を軽く踏む

 

北上「もう喋らないの?ならその首潰して良い?」

 

チ級「ギッ!?ギギ…アッ…違ッ…言ッ…!言ウ!!カ、艦娘ガ、凶暴デ、悪イガラ、喰ッテ良イッテ言ワレテ!」

 

北上「は?」

 

山雲達が、悪い?春雨が?

何を言ってるんだろうこいつは

 

北上「……」

 

チ級「ツ!潰レ…!潰レル!助ケ…!」

 

北上「…もう、いい…!」

 

チ級「ゴポッ…バッ…」

 

べキャッ…バキバキッ

 

北上「……みんなが何したって言うんだよ…」

 

……人が相手になると、途端に無力、か

 

北上(…帰るのも、難しいしなぁ…)

 

北上「…約束破っちゃったけど、正当防衛だし、まあ良いや…あと、は……また山籠り?それも大変だなぁ…何とか帰らないと」

 

これ以上ここに居ても仕方がない

あたしだってわきまえてる、人間を艦娘が殺すことのリスクくらいよく知ってる

だから、手は出さない

 

北上(…あたしが、みんなの居場所を奪うわけにはいかないからね…でも…)

 

北上「待って、やっぱ、気になる…!

コイツ、戻ってきたらって言ったよね…?ホントに、みんな死んでるの?

…あーもう!やるんじゃなかった!!」

 

 

 

 

 

 

山雲「…はくちゅっ!」

 

天龍「この納屋、寒いよなぁ、まだ春先だし」

 

山雲「…私、少し、少しずつ、思い出してきて」

 

天龍「何を思い出したんだ?」

 

山雲「大湊のみんなを、思い出せました…でも、思い出が少し古くて…」

 

天龍(…まるで、機械が記録を読んでるみたいな事言うな…)

 

山雲「すっごく、いろんな人が居て、みんな優しくしてくれたんです〜…

北上さんにー、大淀さん…他にもいろんな人が居て〜……あ、多摩さんも〜」

 

天龍「たくさん居るんだな、大湊も…」

 

山雲「佐世保は、どうだったんですか?」

 

天龍「ヤバいやつばっかだったよ

特に夕張と明石、由良のトリオは関わったら実験台にされるってもっぱら噂で…ああ、いや、冗談だけど」

 

山雲「…夕、張…?」

 

天龍「メチャクチャな奴らだったけど、その分強かった…今どうしてんのかなぁ…」

 

 

 

 

 

明石「…春雨ちゃん、気分はどう?」

 

春雨「すごく、苦しいです…痛みで、眠れませんでした…」

 

明石「そっか、少し我慢してね」

 

明石(修復材で傷口は塞がってるのに、幻肢痛が始まったか…)

 

…ここに来てすぐの時と比べて、どんどん憔悴している

普通なら娯楽になる食事が味覚の喪失でただの栄養補給に成り下がっているのも悪い

 

明石「…聴取できる事も、ほとんどないし…どうしたら」

 

このまま、得られる情報もなく、いたずらに時間が過ぎていけば…

最悪、義足の完成より先に上の機嫌を損ねかねない

 

明石「春雨ちゃん、思い出せる限りのこと、教えて?本当に何もない?」

 

春雨「……ぁ…オバケ…」

 

明石「オバケ?…居ないわよ、大丈夫…精神疾患まで?それは流石に…」

 

春雨「…違うんです、その…あの日、死んだ人を見て…」

 

明石「まあ、あんな惨状だし、遺体なんて…」

 

春雨「だ、だから、ええと…多摩さんを……ええと…!な、何年か前に亡くなってて…!」

 

明石「…何年か前に?…どう言うこと?」

 

春雨「その…戦争中に亡くなってる人で…」

 

明石「何かの間違いじゃなくて?」

 

春雨「みんな、覚えてます…もう居ないのは、みんな…知ってるんです…見間違いだと思ったんですけど…

……どうしても、頭から、離れないんです…はい」

 

明石(…どう言うこと、どう言う意味?

…多摩って人の記録を読めば、わかるのかしら…)

 

明石「…そう、余程ショックだったのね、その…

今日は、ずっと一緒にいるから、安心して…もう何も聞かないから、落ち着いて、ゆっくり…休んで」

 

…今、一つだけ、悪い考えが頭に浮かんだ

 

深海棲艦化、深海棲艦とは、そもそもが死んだ存在と言われている

艤装を作る方面の科学者だから、専門ではないけど…深海棲艦は、死者の魂を縛って作るものだと言う説もある

意思疎通ができる個体もいるのは、魂の結びつきが強いからとも…

 

明石(…そして、アレに“味覚”が存在しないと言う説もある…味覚障害じゃなくて、存在しない

必要がないから…)

 

…深海棲艦についてはわからないことばかりだ

人間を食べないと死ぬと言うのはハッキリしてる

一説では感情を喰らう為に人を襲うととも…アレらは、基本的に感情が欠落しているから、それを満たす為に襲うのだと

 

明石(……呉の交戦記録だと、上位種みたいなのも確か認められてたはず…ああ、こうなると深海棲艦の事も調べなきゃいけなくなるのかなぁ…)

 

…その多摩って人が、本当に故人で、なのに現れた

そうすると、可能性としてある…深海棲艦化…

 

明石(調べないわけにはいかないか…)

 

春雨「……多摩さんが、もし…もしも、生き返ってたなら…教えなきゃ…」

 

明石「…誰に?」

 

春雨「大淀さんに…言わなきゃ…北上さんに、伝わる前に…」

 

明石「…北上…?」

 

明石(あの北上?この子、北上や大淀さんと繋がりがあるの?

…だとしたら、帰る場所は、あるんだ…)

 

春雨「…明石さん…?」

 

明石「……ちゃんと帰してあげるから、安心してね」

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