食うに困った艦娘が頑張って生きようとする話 作:名無し
現在山奥で遭難中の北上様だよ〜
来た道戻ったら警察だらけだったから山に逃げたんだけど…ここはどこ?状態な訳
笑っちゃうよね〜、でもまあ、拷問した深海棲艦がタバコとライター持ってたから、暖を取るにも何かを焼くにも困らないよね
北上「っていうか、深海棲艦がタバコって、すぐ
…あれかな、人間への憧れなのかな?どうでもいいけど」
ちなみにタバコは捨ててないよ、肥料にもならないだろうしね
深海棲艦は…どうなんだろ?
北上「おっ、あれは…タヌキか」
横須賀に帰るまで、かなりの距離がある
でも、残金は4000円ほど
となると、かなり近づいてから電車に乗る他ないだろうし、今はお金を温存して移動する必要がある
北上「…よし、今日はあれを食べよう」
実は昨日から何も食べてない
手頃な石を2つ掴み、身を屈めてゆっくり距離を縮める
静かに、息を殺して、ゆっくりゆっくりと
北上(…タヌキは臆病だから、こっちにもすぐ気づく…なら…)
一つを左手に握り、タヌキの前に目掛けて優しく放り投げる
石の接近に気づいたタヌキが一瞬止まる所を…
北上「それっ」
本命の石を投げつける
…が、尻尾のあたりに当たって、逃げられる
北上「…だめかぁ…でも、やっぱり咄嗟に後ろに飛び跳ねたりとかはあんまりしないんだ、なら次は頭だね」
脚についた土を払い落として、ゆっくりと進む
北上「2ヶ月くらいかかるのかなぁ…本気で進めばもっと早いだろうけど、食べ物がなぁ…
餓死は嫌だなぁ…せっかく食べるのに困らなくなったのに」
…でも、みんなは安心してご飯を食べられる環境にある
それだけで、安心できる
北上(…目的を果たすのは、後からでも良い
とりあえず一旦撤退を優先しなきゃね…山雲たちを襲ったやつは…あたしが探し出す)
…殺さなくても、何かしら償いをさせる手段があるはずだ
みんなに迷惑をかけないためにも、可能な限り合法的な手段で
北上「うわーお、川だ…でっかいな…」
水を掬い上げて飲む
北上「はぁ……冷たくて美味しい…喉がカラッカラだったし…うーん…最高…」
流れが激しくて、そこそこ深そうだけど、まあ、渡れなくもないか…
北上「おっ!」
今、川を魚が…
北上「よし、今日は魚を………獲れれば良いなぁ…」
魚は気難しいからなぁ…なかなか捕まってくれないし
簡単に捕まえるには…
北上「おっ」
あの細長い草…たくさん生えてるなぁ…
北上「うん、かなり丈夫そう…いいね、コレ使おうかな」
適当に草をかき集めて、編む
北上「昔こういう感じでやったんだよねぇ…シロツメクサとかで花冠とか……
おっ…良い感じじゃない?…もっとかな」
完成した草網を広げる
北上「うーん…さすが天然素材、この川、流れ強いし簡単に破れそう…まあいいや、もっと大きくしないと……」
日が落ち始めた頃、幅3メートルほどの網が完成した
北上「よし、これを仕掛けて…」
下流に草の網を囲うように石で固定、そして上流から追い立て…網で逃げ場を無くした魚を…
北上「捕まえた!!」
小さい川魚…
でも、コレなら捕まえられる
北上「よーしよし、3匹か…充分だね」
生木を折って火を付ける
北上(獣は多分来ないはず…あとは…)
魚に木の枝を刺して、焚き火にあてて焼けるのを待つ
北上「…そろそろ武器が欲しいなぁ…
拳銃あった頃は鳥も撃てたのにさぁ……まあ、仕方ないかなぁ…」
…あたし、今、どこにいるんだろ
北上「ふぁ…あ……ねむ…」
暁「山雲たちが、襲われた…!?」
霞「その上1人で現地って…なんで1人で行かせるのよ!!」
川内「事態を悪化させないため」
暁「…北上さんじゃなくても、みんな飛び出して行く話でしょ…!なんで、私達に教えなかったの」
夕張「ショッキングすぎる、と思ったのよ」
暁「ショッキング?…もう助からない段階でこんな事があったなんて言われる方が、よっぽどショッキングよ…
その時に行けば、助けられたかもしれないのに」
川内「……」
暁「もう、戦争は終わったんじゃないの?
…なら、なんでまだ、仲間を失わなきゃいけないの…?」
早霜「何も終わってない、そういう事ね」
夕張(やっぱり、こうなるかぁ)
夕張「…でも、実際動けないのよ、ここにいる以上ね」
川内「大淀とか、加賀からも止められてる」
暁「…大淀さんは、なんで止めたの」
夕張「ここに残れるようにする為、だと思うわ」
暁「……」
川内「問題起こしたら、簡単に消される立場だからね」
暁「なら、なんで1人で行かせたの」
川内「それはアタシの独断、時間が経って、落ち着いた頃なら…何か持って帰ってくるくらいはできると思って」
みんな静まり返る
夕張(大淀の名前が出たあたりから、一気に静まり返った…
それだけ、信頼してるのね)
川内「北上が帰ってきたら、詳しいことを聞けば良いと思う」
暁「連絡はつくの?」
夕張「…無理ね」
川内「まあ、死体は増やすなってよく言ってあるからさ」
暁(…大丈夫かしら、それ)
夕張「お金も持たせてるし、必要なら連絡してくるはずよ」
暁「なら…戻って来るまでに、少しでも整えておかないとね」
川内「何を」
暁「…武装をよ、もう誰も、奪わせない為に」
夕張「それは、任せて」
北上「…くぅ……すぅ……ふごっ?」
…焚き火に当たってたら、寝てた…?
あったかいし、仕方な…い…や
北上(なんかいる、狙われてる感じがする…)
野生の獣?
…だとしたら、ちょっとまずい…
北上(…いや、この匂い)
焼けた魚のついた枝を掴み、背の肉を咥える
北上(…来る!!)
飛び退いた地点に砲撃…
北上「
場所の選ばなさはまるでゲームに出てくるゾンビみたいだね」
砲撃してきた地点を見ながら焼き魚を一口食べる
北上(…出てこないか、そりゃそうだ、こっちは丸腰…近づいて仕留めるしかない訳だし)
足元の砂利に一瞬視線を落とす
北上(距離さえ詰められれば…いや、ここは逃げるか、そもそも数が…)
北上「っ!来る!!」
走って狙いをブラす
何発か打ち込んで来るけど…
北上「つぅ…!」
爆風で飛んでくる砂利が、ダメージになる
この地形は不味い…!
前方に飛び、草陰に転がり込む
そして、足元の石を拾う
北上(…当たれば、コレでも充分だ…お互いに位置がわからなくなれば、接近戦に持ち込める…!)
ゆっくりと、音を立てずに…
北上「なっ…」
目の前の木が砲撃で折られる
位置がわかっているとでも言うのか?
北上「…上!」
気づくのが、遅れた…!
深海棲艦が場所を選ばないのなら、そりゃ、飛ばせるか…!
北上(艦載機まで…!どんだけガチなワケ!?1人に対して…)
艦載機が動きを変え、急にコチラの方に…
北上(急降下爆撃!?マズ…)
すぐそばに落とされた爆弾が、隠れる茂みを焼き尽くす
勿論、酸素も奪われ、皮膚も焼かれる
…詰んでる
北上(…負けた)
最初っから、負けてた
動けないこの状況で、尚も出鱈目に撃ち込まれてる
いつ致命傷をもらうか
ただ死ぬのを待つばかりか
そうは、いかない
燃える草木を踏み締めて、体に火がつくのも、敵の眼前に姿を晒すのも躊躇わず、一心不乱に走る
北上(イチか、バチか…!)
川に飛び込む
流れに乗って、そのまま下流へ…!
北上「…ごほっ…うぐっ……死ぬかと、思った…いつ…いつつ…あー…」
なんとか川を這い出し、寝そべる
どれほど流されたのか、すでに日が暮れて、月が昇っている
北上(…帰りは、もっと遅くなりそうだ…)
北上「…ってか…ははは…こりゃあ…」
…ここ、河川敷?
近くに住宅街もあるみたいだし…
北上(ほんと、どんだけ流されたの?)