食うに困った艦娘が頑張って生きようとする話 作:名無し
完全復活した北上様…いや、もはや超ハイパー北上様だよ〜
……え?
本当だよ?
暁「甘〜い!」
早霜「こんなに甘いものを食べられるなんて、久しぶりね」
霞「…脳が痺れてくるくらいに甘いわ…」
カロリーメイトでこんなに喜べるって、ある意味幸せだよねぇ
北上「みんな、喜ぶにはまだ早いよ…これを見て」
阿武隈「け、拳銃…!?」
北上「そ、しかも弾がまだ15発ある」
曙「それをどうするつもりよ、まさか強盗とか…」
北上「違う違う、コレさえあれば、猪や熊は無理でも鳥くらいは…ね?」
阿武隈「え!?あ!」
睦月「またお肉、食べられるの…?」
如月「そうね、食べられるよ、睦月ちゃん」
北上「まあ、獲物見つけるには時間かかるだろうけど…あたしなら1発だね」
早霜「流石の自信ね、北上さん」
…本当はたくさん考えないといけないんだけど、今は幸せな気分に浸りたい
北上「まっかせといて!」
さて、やあやあみんな、あたしは今、基地の裏手の原生林…もとい山の中に入っています
北上「…ねえ、阿武隈?」
阿武隈「はい…」
北上「…雀って、撃つほどの価値…あるかな」
阿武隈「無いと思います、全く無いと思います、というか撃ったら可食部分が…」
北上「……なんでこんなに獲物が居ないの…」
阿武隈「…時期が悪いんじゃないですかね…」
北上「もうこの際ハクビシンだろうがネズミだろうが選ぶつもりなんてないのに!!」
阿武隈「…あ…あの木の実、食べられるかな……あ、ダメだ…この前お腹壊したやつだ…アハハ…」
北上「阿武隈!しっかりして阿武隈!」
阿武隈「うぅ…北上さん……甘いもの…食べたいです……」
…カロリーメイトの甘味に阿武隈がやられてしまった…
もうこうなったらダメだ、甘さを求めて永遠に彷徨い続けるだろう…
北上「さらば阿武隈、あたしはお肉を求めて…」
阿武隈「なんでモノローグでゾンビみたいにされてるんですか」
北上「似たようなもんじゃん」
阿武隈「……まあ、私たち…身なりも綺麗とは言えませんものね」
北上「真水を使って洗濯するのもめちゃくちゃ大変だからね、水浴びなんてほとんどできないし」
阿武隈「電気とガスと水、復活するならどれ選びます?」
北上「電気か水…水かなぁ…」
阿武隈「ですよねぇ…」
北上「正直スマホとかもう苔生えてると思うよ」
阿武隈「苔!?…あははは!なんですかその冗談!」
北上「いやマジで、もう一年は使ってないし」
阿武隈「ええ…?うわぁ…」
北上「それよりさ、阿武隈?」
阿武隈「はい」
北上「正面方向に何が見える?」
阿武隈「……クマですね、しかも、大きな」
北上「…走って逃げちゃダメだからね、絶対にだからね」
阿武隈「ところでですけど、北上さん?」
北上「…なに」
阿武隈「…腰、抜けちゃいました」
北上「……さらば阿武隈、フォーエバー」
阿武隈「見捨てる方向に行かないで!?」
北上「だ、だってあたしもクマの対処とかわかんないんだもん!」
阿武隈「し、死んだふり!死んだふりしましょう!」
北上「それ逆効果ってネットに書いてたけど!?」
阿武隈「一年以上ネットに接続してない人がそれ言います!?」
北上「じゃあどうすんのさ!?…あ!木に登る!」
阿武隈「熊は木登り得意なんですよ!!」
北上「それ知っててなんで死んだふり通じると思ってたのさ…!」
阿武隈「…あ、き、北上さん、熊が…」
北上「…居ない……良かった、逃げてくれた…」
阿武隈「お、大声で追い払う作戦成功ですね…あはは」
北上(腰抜かして立てない奴がよく言うよ…)
阿武隈「…あの、帰りません?やっぱり素人に猟は危ないんじゃないかなー……なんて…」
北上「…そうだね、獲物なんてそうそう見つかるもんじゃないわけだし……」
…でも、何かしらは持って帰りたい…
阿武隈「あ!あのキノコ!椎茸じゃないですか!?」
北上「キノコは絶対ダメ、もう散々痛い目見たから手は出さないよ」
阿武隈「じゃ、じゃあ今飛び上がった鳥は!?」
北上「あんなの当たる訳無い……ん!?」
阿武隈「…どうしました?」
北上「あ、あれ!あれ!の、野ウサギ…!」
阿武隈「き、北上さん…!」
昂る気持ちを抑え、声を殺し、気配を消して…
北上「わかってるって…!……よし、よく狙って…」
ウサギはこっちに気付いてない、今……!
ガチッ
北上「あ、セーフティかけたまんまだ」
阿武隈「何やってるんですか!?」
北上「声大きいって!…あ、あー……逃げちゃった…」
阿武隈「ご馳走が…」
北上「…うぅ……ごめんよ…実は銃の取り扱いなんて慣れてないんだ…」
阿武隈「……もういいですから、帰りましょう…また探しにくればいいじゃないですか…」
北上「ぐぬぬ………ん…?」
…水の音…
阿武隈「こんなところに川なんてあったんですね…」
北上「あ、あああ阿武隈!」
阿武隈「へ?」
北上「ご馳走!鯉!鯉居るよ!」
阿武隈「え、鯉って食べられるんですか?骨と皮しかなくて美味しく無いって聞いたような…」
北上「そんな事ないって…へへへ…よーし…」
セーフティを外し、狙いをつけて…
鯉の頭を撃つ
北上「やった!…やったよ…ご飯だ…」
阿武隈「あ!向こうにまだ居ますよ!」
北上「よーし!…もう2匹くらい捕まえれば十分だしさっさと捕まえて持って帰ろっか…クマも怖いしね」
阿武隈「はーい」
北上「そんな訳でコイです」
霞「鳥は?」
阿武隈「大きいのが居なくて…」
曙「ふーん……ま、良いんじゃない?」
北上「さて、どう食べようか?…サメみたいに煮込んでみる?」
霞「泥臭くて食べられたもんじゃないわね」
早霜「なら、塩で臭みをできるだけ落として素焼き…はどう?」
北上「いや……っ」
嫌な香水の匂い
大淀「それでもまだ臭いでしょうね、なので一度熱湯に潜らせる事をオススメします」
霞「大淀さん…?久しぶりじゃない!どうしたのよいきなり…」
早霜「外での生活はどうですか?…お変わりはないように見えますが」
北上「……」
まあ、みんなはそう反応するだろうさ
大淀の判断を責めても仕方ない、ならむしろ外で暮らす仲間の幸せを祈るもの
北上「明日じゃなかったっけ?来るの」
大淀「そのつもりでしたが、明日はあの仕事の後始末が入りまして、急ですみません」
阿武隈「…あの、この人は…?」
曙「大淀さん、ウチの元事務担当…みたいな?」
北上「それで、なんの用?」
大淀「…仕事の報酬をと思いまして、いろいろ考えたんですが、求められてるものがわからないもので、とりあえずこれを」
…スマホと、ソーラー充電パネルのついた外付けバッテリー…
こんなモノ、明らかに仕込まれてる
北上「要らない」
大淀「報酬の内容は皆さんが好きに決めてください、対応できるものはなんでも用意します、そのための連絡先も入ってます。
それと今後お仕事をお願いする際、この端末で連絡しますので」
早霜「北上さんの雇い主は…大淀さんでしたか」
霞「ね、ねえ!…好きな物って、ホントにいいの?大淀さんも苦しいんじゃ…」
大淀「大丈夫です、それに“先輩”にタダで仕事をさせるような真似、できませんから」
阿武隈「へー…北上さんの方が長いんだ…」
北上「ウザ…」
阿武隈「え?」
北上「…霞、欲しいもんはあんたに任せるよ、大淀、ちょっとツラ貸してよ」
大淀「喜んで」
北上「何?アンタ…なんのつもりで…」
大淀が紙袋を押し付けてくる
大淀「食べませんか?」
北上「……ハンバーガー?…何、これがあたしの分って訳?」
大淀「はい、私が選ぶにはそれが限度でした」
北上「…こんなの、要らな…」
大淀「食べてください」
北上「……」
…何、今の…怖いんだけど
やむを得ず、紙袋からハンバーガーの包みを取り出す
大淀「懐かしくないですか?よく、食べてましたよね」
北上「…かもね…」
一口、口に含む
…同じ味だ、こうなる前まではよく行った
ハンバーガーをたくさんテイクアウトしてきて、みんなで食べたりもした
バンズにパテとピクルス、玉ねぎ、ケチャップ
相変わらずシンプル…というか
北上(……なんか、玉ねぎもケチャップも減ったような…と言うかそもそも小さくなってるような…?)
北上「これ、同じ店の奴?」
大淀「不景気なんですよ」
北上「……へえ」
…まあ、大体同じならいいか
そう思い、さっさと食べ尽くす
大淀「………か…」
北上「…何?なんか言った?」
大淀「いいえ」
北上「……なら、質問していい?」
…なんであのコンテナに深海棲艦がまとわりついてたか…とか
加賀たちはどうなったかとか…聞きたいことは山ほどある
補給のおかげで周り出した頭も、どんどん疑問を放出する
大淀「答えるつもりはありませんよ」
北上「…じゃあ、質問じゃなくて命令するわ、あたしの仲間に手を出すな
次手を出したら……もう容赦しない」
大淀「…そうですか、私もあんな小さな子を交渉材料にするのは不本意なので、今後は脅されないうちに言う事を聞いてください」
北上「チッ…!」
…無理だ、大淀は今はやれない
手を出したらあたしが守りたい物全部不幸になる
…だから、ただ今は従うしかない
でも
北上(覚えときなよ…大淀、あたしを敵に回したら…怖いよ)