食うに困った艦娘が頑張って生きようとする話   作:名無し

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特殊部隊

夕張「…深海棲艦と繋がってる会社のリスト?」

 

加賀「そうよ、海洋関係は軒並みアウト、大手製薬メーカーやら銀行まで絡んでる、何でかわかる?」

 

川内「徳だから」

 

加賀「その通り」

 

夕張「…海の会社はわかるよ、あれが暴れてたら仕事にならないしね

製薬会社も、そういう資源があるんだろうさ、納得はしても良い

でも銀行?」

 

加賀「そうよ、銀行」

 

夕張「…理解に苦しむけど、どうして?」

 

加賀「私も資料を見るまでは意外だったわ

深海棲艦にも頭が回る奴がいるみたいでね、深海棲艦の動き次第で、融資先やら、銀行に関係する会社にも手を出せるのよ」

 

川内「本丸を叩く前に、外堀を埋めた…か」

 

加賀「深海棲艦の持ち込む資源は、海産物だけじゃない

知ってる?大和の埋蔵金って」

 

夕張「あー、たしか、10億近いやつ……まさか…?」

 

加賀「可能性の話よ、紙のお札なんて劣化して使い物にならないでしょうしね

でも、深海棲艦はいろんな手段で様々な人間と繋がりを持つようになっている、裏も表もね」

 

川内「…裏、か」

 

夕張「それで?何しろって?」

 

加賀「裏側のつながりを潰して

どのみち、日本の法令に反してる組織よ、深海棲艦ごと潰すの」

 

夕張「そんなの警察にやらせれば…」

 

加賀「…部外秘だけどね、一度そうやって挑んだ結果、痛手を負ってるのよ

特殊部隊まで投入したのに、かなりの犠牲を出してるの」

 

川内「…へえ…そんなとこに、少数で行け…って?」

 

加賀「あなた達をわざわざ雇ってる理由の全部」

 

夕張「まるで私たちが特殊部隊ね」

 

加賀「それに、呉出身はお得意でしょう?」

 

川内「…まあね」

 

夕張(…どういう意味?)

 

川内「夕張さん、神通のはできてるんだよね?」

 

夕張「ああ、太刀?もう少し前に渡してるけど」

 

川内「なら、あとは加賀が適当に武器を見繕ってよ

艤装はまだいいからさ、それで解決できる

 

夕張(…呉のエースが言うなら、間違い無いんだろうけどね)

 

 

 

 

 

川内「さて、集まってくれてありがとう

今回指揮を取るのは、アタシだよ、副官は夕張さんね」

 

夕張「で?この少人数でやるの?」

 

神通ちゃんに、阿武隈ちゃん、それから曙ちゃんの総勢5名…

 

アイオワ「Sorry… meが行けたら良かったのに…」

 

夕張「アイオワにはアイオワの役割がある、気にしないで」

 

川内(艤装の開発で全面的に関わってる戦艦なんて初めて聞いたけどね)

 

夕張「…本当は、試作品持っていきたかったんだけど…」

 

阿武隈「今回は“艦娘として”は戦えませんからね…」

 

曙「…ねえ?」

 

川内「ん?」

 

曙「なんでこのメンツにアタシなの?」

 

川内「……頭数合わせが一番の理由かな、北上の分の穴を埋めてもらわないといけないし」

 

曙「北上さん( アレ )と同じレベル求められても無理よ?」

 

川内「わーかってるって、大体はあたしと神通でやるから、ね?」

 

神通(…こう言う作戦をやるのは久しぶりですね)

 

川内「……さて、作戦の概要を説明するね」

 

 

 

 

夕張「…よし、と…こちら夕張、配置についたわ」

 

目的の建物からやや離れた位置、私の役割はここからの後方支援

無線機越しに川内に呼びかける

 

川内『曙と阿武隈は?』

 

阿武隈『できてます!』

 

曙『ねえ…本当にこの配電盤壊すだけでいいの?』

 

川内『うん、もう少し待ってね』

 

夕張(…夜襲、か……っ?)

 

…神通ちゃん1人で近づいてる

あんな大きな刀を背負ってるのは、悪目立ちしそうだけど

 

改めて目的の建物を見る

コンクリート造りの4階建てのビル、大きくは無い

 

夕張(…深海棲艦の話を聞いた後だと、海の近くなのが気になるわね)

 

夕張「って…」

 

神通ちゃんが建物の正面入り口から少しズレた壁に刀を立て掛ける

ズレないようにしっかり固定し、それを足場に2階の右側の窓に手をかける

 

夕張(忍者か何か??…わざわざ長物を使うのはそういう…)

 

川内『神通が配置についた、夕張さん、狙いは2階の左の窓ね』

 

夕張「…陽動?なら一階でいいんじゃ…」

 

川内「いいから」

 

信号弾入りの銃を向け、狙いをつける

 

夕張(風なし、距離150、狙いやや上…よし!)

 

引き金を引き、放たれた弾が窓ガラスを破る音が響く

それと同時に窓にぶら下がっていた神通ちゃんが窓を破り、突入…刀も紐に引っ張られるように屋内へ…

 

そして、正面玄関から川内が突入する

 

 

 

川内「ふっ…!」

 

背後から3人仕留めた

2階への階段を昇ろうとしていてたお陰で、まだアタシは気づかれてない

 

川内「…そこ!」

 

壁越しに誰かを殴りつける

…拳銃が転がる音、敵だ

 

川内(神通が自由に動けるのは後10秒くらい、なら…!)

 

階段を駆け上がり、神通と交戦している敵の背後を…

 

川内(あのデカいのでラスト?…神通にはわ悪いけど、もらった!…っ)

 

金属音が部屋に響く

 

背後から首を斬ったはずなのに…

巨体がゆっくりとこちらに振り向く

 

港湾棲姫「……」

 

川内「深海棲艦…!しかも、“原種”じゃん…!」

 

港湾棲姫「…ナンデ、艦娘ガ居ルノ?」

 

神通(…勢いを殺さず、制圧し切る作戦のハズが、完全に止められた…コレは、マズイですね)

 

川内「……プラン変更だ、神通!……ここ、任せていいよね?」

 

神通(こくり)

 

港湾棲姫「……」

 

鉤爪のような手がコチラへと伸びるも…

 

神通「……」

 

割って入った神通が太刀でそれを受け止める

 

川内「任せた!」

 

神通が爪を斬り払い、構えを取り直す

 

神通(…原種相手に1対1、呉にいた頃のようです)

 

部屋を飛び出し、階段を登る

人の気配はほとんどない、何人ここにいるのかはわからないけど…

 

川内「配電盤!やっぱ壊さないでよ!…深海棲艦は暗くても見えるからさ…!」

 

曙『じゃあ、アタシ達の役割は!?』

 

阿武隈『あ、曙ちゃん!こっち!』

 

…下で銃声…取り逃がしてたか…!

 

川内「そっち大丈夫!?」

 

曙『問題ないから黙ってて!!』

 

川内(…なんだ、思ったより、使えるじゃん)

 

川内「夕張さん!次の狙いは4階の窓!全部ね!!」

 

夕張『りょーかいっ!……3…2…1!』

 

撃ち込みに合わせて、3階の窓を蹴破り、そこから4階の窓へ逆上がりのように入りこむ

 

川内「っ…?」

 

思わず、異質な雰囲気に言葉を失う

部屋だ、さっきまでここはビルだったのに

その中に急に、部屋が出てきた

 

カーペットの敷かれた部屋、開かれたドアの向こうはフローリングの廊下

 

川内「……何ここ…?…モデルルーム?

いや、生活感がありすぎるか……うめき声?」

 

声のした方をゆっくり覗き込む

 

川内「っ……そういう…場所、か…」

 

 

 

 

神通「っ…!」

 

港湾棲姫「コイツ…強イ…!」

 

大きく水平に、刃先で()ぐ様に斬る

それも、爪に止められる

 

神通(…やはり、夕張さんは刀を作り慣れてない

これでは斬れない)

 

一度距離を取り、背中の鞘に刀を納める

 

港湾棲姫「……?」

 

神通(艤装を展開しないところをみると、おそらく航空系の深海棲艦と見るのが無難、ならば…!)

 

腰から苦無(クナイ)を抜き、放つ

 

深海棲艦の傍を通り、窓を超えて外へ

 

港湾棲姫((ハズ)シタ?)

 

2発目は爪で弾かれる

 

神通「っ!」

 

3発目も、弾かせる

 

港湾棲姫「ッ!?コノ、臭イハ…!」

 

弾いたモノから油が飛び散り、港湾棲姫にまとわりつく

 

4投目は港湾棲姫の頭上、今度は粉が撒き散らされる

 

港湾棲姫「マ、ズイ…!」

 

神通(相手がなんのタイプか分からなくていい

艤装を使わせる前に…!)

 

そしてもう一投

たっぷり油を染み込ませた糸がついた苦無が、港湾棲姫の背後の壁に刺さる

 

糸を噛み、歯に仕込んだ火打石で…

 

神通(着火!)

 

歯を噛み合わせてずらす

その動作で放たれた火花が糸を辿り、粉塵に着火し…爆発する

小規模なものだが、確実に

 

港湾棲姫「アアァァァァッ!?」

 

火だるまにする

 

神通(この程度では死なないでしょう?)

 

この夜に、火だるまはよく目立つ

 

窓の外から放たれた砲弾が、港湾棲姫に直撃する

 

港湾棲姫「グッ!?…ァ…!アァッ!?

ヤメ、テ…!」

 

刀を背中の鞘から抜き放ち、ゆっくりと近づく

 

港湾棲姫「クル…ナ…!」

 

神通(……)

 

港湾棲姫「ク、ルナ…ト…」

 

首を刎ねる

 

 

 

 

川内「…全員無事?」

 

夕張「まあね」

 

曙「…アタシ達は無事じゃないわよ」

 

阿武隈「銃弾って…こんなに痛いんですね…」

 

川内「かすり傷じゃん、とりあえず、この子見て」

 

毛布に包まれた女の子を見せる

…誰も、何も、言えない

 

夕張「……何があったの?」

 

川内「再生資源…って言うのが適切か分からないけど、そんな扱いだったんだろうね、大量の修復材があったよ」

 

阿武隈「っ…!…おえっ…」

 

曙「嘘でしょ…?つまり…」

 

夕張「解体しては、再生を…繰り返してた?」

 

川内「多分ね、内臓は、売り捌いて…手足やらは、深海棲艦のエサ…顧客リストもあったけど、多分もう焼け落ちてる」

 

ちょうど建物が炎の中に崩れ落ちる

 

夕張「……どうするの」

 

川内「保護するよ、まだ生きてるし…

修復剤も投与されてるから、多分再生する…でも、何度も繰り返してるなら、頭がダメになってるかも」

 

夕張「……そう」

 

曙「…最低よ、こんなの」

 

川内「…かもね…でも、あそこで見たんだ、コレが平和的解決の道って」

 

夕張「……平和的、解決…」

 

夕張(ここは、あの島と同じ…って、事…?)

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