食うに困った艦娘が頑張って生きようとする話   作:名無し

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後始末

やっほ〜、寝てたら爆発音で目が覚めた北上様だよ

またえらく暴れてるよね、どこの誰か知らないけど、近所迷惑も考えて欲しいもんだよ

 

北上「……わー…なぁにこれ」

 

なんか、建物一つぶっ壊れてるけど…しかも燃えてるし

 

北上「……暖かいなぁ、夜はまだ冷えるし、あったまってくかぁ…」

 

火に手を翳し、暖を取る

 

北上(もう痕跡残さず消えてるあたり、速いなぁ…)

 

瓦礫が少し、動く

 

北上「ん?……意外と早いな」

 

瓦礫の中から、何かが起き上がる

 

港湾水鬼「ウ…グア…!」

 

北上(おお、匂いでなんとなく居るのは分かってたけど、こいつはヤバそうかもね)

 

港湾水鬼「グ、ウ…?」

 

北上「お、こっち向いた……おーい、そこのでくの坊、なんでそんなとこで焼かれてんの?焼き魚にでもなりたいの?」

 

港湾水鬼「カ…艦娘…!!ウアァァァッ!!」

 

北上「げっ、コイツ…!」

 

艤装を展開したと思ったら、大量の艦載機…

 

北上(空母タイプじゃん…マズイな、素手で相手していいタイプじゃない…!)

 

艦載機の攻撃をスレスレで避けながら、退がる

決して距離を離しすぎず、近づきすぎない

 

港湾水鬼「待テ!!」

 

北上(燃えながら追っかけてくる…怖っ)

 

北上「おわっ!?…とと」

 

いつの間にか、堤防の方まで逃げていたらしい、(つまず)いてしまい、海に降りる

 

港湾水鬼「…海…!キー……ィ…ッ……キァ……!」

 

北上(…何?何か、言ってる…?いや、囲まれたか)

 

…気付くのが、遅れた

深海棲艦が周りに浮上してくる…

 

北上「……それ逆効果だって気づいてる?」

 

艦載機の攻撃を避けながら、手近な深海棲艦に突っ込む

 

港湾水鬼「…!」

 

北上「…味方撃っちゃったねぇ?…何こいつ、軽巡か、魚雷無し…と」

 

主砲部だけをバリバリと剥がし取り、向ける

 

北上「昔のさー、バカでかい船ならまだしも、こっちは人な訳ですよ

たった1人の人間相手に正確に狙いもつけられない腕で艦載機使ってもさぁ…無駄じゃない?」

 

港湾水鬼「キッ…サマァァァァ!!!」

 

北上「1人だけ堤防に座ってないで、降りてきなよ…殺してあげるからさ…残飯処理は得意だし?」

 

近くの深海棲艦に主砲を撃つ

 

北上「あと、そろそろ夜も明けちゃうしさ…

さっさと終わらせようよ」

 

港湾水鬼「ギィィィッ!!殺セッ!!」

 

 

 

 

荒潮「…っ……う…?」

 

夕張「あ、よかった…目が覚めたのね」

 

荒潮「……だ、れ…?」

 

…怯えた目を、向けられる

何があったかは、推測でしかない

だけど、もし推測通りなら、この子は何度も、何度も死ぬ思いをしてきた

 

夕張「私は夕張、あー…自衛隊の戦闘服なんか着てるけど、艦娘よ」

 

荒潮「かん…?…だ、ダメ…逃げ、て…」

 

こちらへと伸ばされた手のひらを、両手で包む

 

荒潮「…ぁ…」

 

夕張「……怖かったわね…大丈夫、あそこには、もう戻らなくていい」

 

荒潮「…あ……ぁ…あぁ…!」

 

夕張「…好きなだけ泣いていいのよ、そばにいるから」

 

 

 

荒潮「…あの」

 

夕張「落ち着いた?」

 

荒潮「はい……助けてくれて、ありがとうございます」

 

夕張「…今すぐじゃなくてもいい、あそこで会った事、話せる?」

 

荒潮「…っ……あ、の」

 

夕張「なに?」

 

荒潮「…私の、他に…誰か……」

 

夕張「……ごめん、私たちは見つけられてない」

 

荒潮「…そう、です…か…

いいんです…そうよね…もう仕方ないのよ…」

 

夕張「……」

 

荒潮「…ごめんなさい…ごめんなさい、ごめんなさい…!」

 

…静かに抱きしめるしか、今の私にはできなかった

 

 

 

 

北上「…ふぃー……多いな」

 

…雑魚は何匹か始末したけど、今度は戦艦とか、大物ばっか湧いてきて…

 

北上「…絶滅するまでやる?いいよ、あたしは大歓迎」

 

奪った対空砲でこちらへと接近した艦爆を落とす

 

北上(でも、そろそろ…集中力が切れてきた

……疲れたな…)

 

流血で視界も悪い

…思ったより被弾してるし、このままはマズイ

動きに影響あるところに受けてないのだけが救いだ

 

港湾水鬼「殺セッ!殺セェェェッ!!」

 

北上「…本物の感情か、川内以来だ…

ホントにノッてる相手を倒すには…利用するしかないよね」

 

と言っても、直接対決じゃなきゃ意味ないし

 

北上(艦載機は無限に出てくるけど、空を埋め尽くすってわけじゃない

10くらいがポツポツ出てきて、倒せば補充…

時間をかけて()り潰すつもりなら…)

 

北上「よっ…と……はあ…そろそろ…戦艦相手にするのも疲れてきた…

ってか、近づいたら逃げられるし、機動力が足りてないんだよね……」

 

倒した戦艦級の主砲を一つ、掴み上げる

 

北上「っ……無理、これちゃんと扱うのはキツイ…」

 

港湾棲姫(ナンダ、ナニヲシテイル…?)

 

北上(直撃コースはまだ来ない、まだ…まだだ……当たらない、安心して…狙いをつける…)

 

戦艦級の主砲を放つ

放たれた砲弾が、別の重巡級の肩を吹き飛ばす

 

北上(カスッただけでこの威力か…!

来世は戦艦になりたいね…でも、まあ…反動えげつないな…!)

 

北上「っ?」

 

視界の端に雷跡(らいせき)

 

北上「魚雷来たか…!」

 

魚雷の隙間を通り、駆け抜ける

戦艦級の主砲を引きずりながら、どんどんと深海棲艦に近づく

 

北上(こっちがインファイトばっかだと思って、悠長にしっかり狙いつけて…

じゃあ、こんな動きしたら…どうするんだろ)

 

深海棲艦が砲弾を放つ瞬間、戦艦級の主砲を真横に向け、飛び上がって放つ

反動で吹き飛ばされながら、砲撃をかわした…

 

リ級「ッ!?」

 

北上「だよねだよね、動揺しちゃうよねぇ!!」

 

ドン

驚いて動きを止めたなら、簡単に始末できる

 

戦艦級の艤装を捨て、重巡級を手に取る

 

港湾棲姫「ッ…!…キィィッ!!殺セッ!来イッ!」

 

北上(あれ使ったあとだと、軽く感じるなぁ…)

 

北上「ん?」

 

また、新手が浮上して…

 

レ級「……クソッ!…港湾メ…!…勝手ニ動カシヤガッテ!!

シカモアイツハ……イヤ、マトモナ艤装モ無イノカ…!?ナラ、ココデアノ時ノ恨ミヲ…!」

 

北上(あー!昼のなんか逃げたやつ?…缶詰全部ダメにしてくれた恨み、晴らしたほうがいいか…

にしてもこいつ、小さいけど駆逐かな)

 

重巡用の主砲を向けて放つ

 

レ級「コ、ノッ…!」

 

艤装のついた尻尾が現れ、砲弾を全て弾き落とした…

 

北上(おお…いいな、あの尻尾…羨ましいくらい便利だ)

 

レ級「港湾!勝手二身体ヲ動カスナ!!後デ殺シテヤルッ!!」

 

尻尾の先端についた艤装が大口を開く、そしてその中から主砲が…

 

北上(あ、こいつ戦艦級なんだ…当たったらヤバいな)

 

レ級「消エロ!!」

 

軽く跳ねながら左右に砲撃して、その反動でかわす

かわす、またかわす、今度もかわす

 

レ級(ナ、ナンダコイツ!?)

 

港湾棲姫「当タラナイ…!当タラナイ当タラナイ!!」

 

北上「…うーん、これじゃ残弾がいくらあっても足んないな…あと戦艦もそうだけど重巡級身体に合わないや…腕と肩が痛い」

 

前後左右に上下を加えた3次元的な動きも、そろそろ慣れられてもおかしくない

手近な深海棲艦を砲撃で潰し、数を削ってもまた湧いてくる

 

北上(ホントに、擦り潰されるなこれは…)

 

…いや、待て…アレだ

 

北上「…お……いいもん見つけた、チャ〜ンス…!」

 

狙いを定め、別の深海棲艦の方へと走る

逃げられるのはわかってるから、今度は後方に主砲を向けて

 

北上(あんま期待できないけど…!)

 

加速、そのまま確実に仕留められる至近距離まで接近して主砲を向ける

 

カチッ

 

北上「あ、嘘、弾切れ?おっ」

 

何かで殴られ、思わず倒れた…

脳にジーンと響く痛み、揺れる感触

 

北上「いっ…たぁ……うわ、ヤバ」

 

こちらに主砲を向けた深海棲艦の足を蹴っ飛ばし、ソイツをそのまま盾にして、飛んできた砲弾を受け止める

 

レ級「クソッ!…近スギル!」

 

撃たれた深海棲艦の血煙で姿が隠れてる一瞬の間に、全ての艤装を取り替える

…やっぱりコレだ

 

北上「…さて、そろそろ本気でやるよ」

 

レ級「ア…?」

 

港湾棲姫「ナニヲ言ッテイル…」

 

北上「ついてないねぇ、そこのちっさいの…アンタが撃ったの、雷巡(チ級)だったよ」

 

両腕と大腿(だいたい)部に取り付けた三門の魚雷発射管から魚雷を一斉に発射する

 

北上「全発行くよ!」

 

レ級「コンナモンデ!!」

 

北上(かわせるよね、そりゃ、かわしてもらうためのものだから…)

 

レ級が魚雷をかわし、こちらに主砲を向けた瞬間、砲弾が直撃する

 

レ級「グ…!?砲撃モ…!?」

 

北上「それは目隠し、本命は…」

 

レ級「アッ!?」

 

レ級に刺さった魚雷が大きく爆発する

 

レ級「何故ダ!?魚雷ハ全テカワシタノニ!!」

 

北上(魚雷と主砲があれば、水上艦は余裕…!)

 

主砲と魚雷なら、当然魚雷の方が威力が高い

ただ、速度は劣る

 

なら、大半の魚雷は誘導に使い、かわせなくなったところを確実に砲撃する

 

北上「ほらほら!こっちはほとんど動いてないんだよ、なんで当たらないのさ!」

 

レ級「コノッ!ウグ…!?」

 

バカだ、そうやって攻撃に転じた瞬間が1番狙いやすいんだ

 

北上「……でも、これでも全部は仕留め切れないか…なら、やっぱ…」

 

魚雷発射管から一本魚雷を抜き取り、手に取る

そして、レ級へと放り投げる

 

レ級(ッ!…動ケ!!)

 

北上「行くよ」

 

魚雷発射管を撃ち抜き、目隠しを作る

そしてその目隠しの中を駆け抜けて…いや

 

レ級「来ルト思ッタ!…前ト同ジダ!!」

 

北上「前?」

 

煙の中で、衝突した

お互いが腕を掴み、拮抗(きっこう)状態…

違う、この場合有利なのは…

 

レ級「ズット待ッテタ!オ前ヲ殺ス時ヲ!

噛ミ砕イテ!殺シテヤル!!」

 

尻尾の艤装が大口を開いて、肩に噛み付く

 

北上「っ!…ぐ…あ…!」

 

バキバキと骨が砕ける音が体の内側から聞こえてくる

 

レ級「ハハッ…!ハハハハハ!!死ネッ!死ネェッ!!」

 

北上「く…そ…!…死ぬのは…そっち!!」

 

尻尾を殴りつける

 

レ級「効クカ!ソンナモン!!」

 

北上「ならこれは?」

 

腕につけた魚雷発射管から6本の魚雷が尻尾に刺さる

 

レ級「ッ!コレハ…!」

 

北上「オマケに…!」

 

膝蹴りと共に、脚部の方からも6本、今度は本体に…!

 

レ級「馬鹿ナ!コノ距離ダゾ!?」

 

北上「うん、だからよろしく」

 

レ級を引き寄せ、反転させて背を向けさせる

そして尻尾もちゃんとレ級を間に挟む

 

レ級「ヤ、ヤメッ…!バカ…」

 

レ級が爆散する

怯えた表情のレ級の生首が、水面に落ちる

 

北上(…なんだろう、前にもこんなの見た記憶が…って)

 

慌てて身を屈め、砲撃と艦爆の特攻をかわす

 

北上「物思いに(ふけ)ってたら死ぬか…

でも、これは手に入れた!」

 

レ級の尻尾の艤装を港湾水鬼に向け、放つ

 

北上「っぐ!?」

 

反動が、さっきの戦艦級と桁違い…!

でも…

 

港湾水鬼「アアァァァッ!?ナン…デ…」

 

被弾した港湾水鬼が堤防から崩れ落ちる

 

北上(やった……けど、周りの雑魚が…あれ…?)

 

…周りの深海棲艦が我先にとばかりに潜水していく…

 

北上「……助かったか…あ?!」

 

尻尾の艤装が手元から離れ、港湾水鬼の頭に勝手に喰らいつく

 

北上「え、なんで……まさか…!」

 

レ級「……」

 

動いてない、いや、動くパーツもない

死体は爆散して、原型留めてるのは生首くらいなのに…?

 

北上「……次は、生首も残してやらない」

 

沈んでいく生首と、喰われている港湾水鬼を横目に、なんとか堤防を登る

 

北上(……にしても、マズイな…動ける気がしない…)

 

ゴロンと堤防の上に横になる

 

北上「…あの群れ、今までで1番動きが悪かったけど、その分数が多すぎる……あれ」

 

誰か来る…

 

北上「…誰?」

 

明石「明石です、以前はお世話になりました」

 

北上「……ああ、夕張さんの…ごめん、寝転がったままで…死にそうでさ」

 

明石「わかってます、運ぶので、寝ててください」

 

北上「…一応聞くけど、どこに?」

 

明石「私のラボです」

 

北上(…これ、助かったの?死んだの?どっち?)

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