食うに困った艦娘が頑張って生きようとする話   作:名無し

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四十一食目

川内「……作戦記録にこんな厳重な管理、変だと思った…でも、大湊ってそういう…」

 

夕張「何してるのかしら?」

 

川内が振り返りざまに構えをとる

 

夕張「……構えを取るってことは、咎められることをしてる自覚があるのよね?

悪いと思うなら…それはもう忘れて」

 

川内「……これ、事実?事実だとしたらなんでここに、こんなのが…」

 

夕張「大淀の私物みたいな物よ」

 

川内「……北上には」

 

夕張「言っちゃダメ、読んだならわかるでしょ?」

 

川内「でも、北上は知りたがってる」

 

夕張「…北上がそれを知って取り乱したら、ここのメンバーは空中分解よ…ここに本人がいなくてよかった」

 

川内「……北上は、忘れたままなのを嫌がってる」

 

夕張「それが本人のためなの」

 

川内(それを、アタシたちが決めるのは間違ってる…辛さも、苦しみも、何もかもが、北上自身のものなんだよ…)

 

 

 

夕張「川内のわからず屋にも困ったものよね…北上が帰ってくるまでに納得させないと…

少なくとも、受け入れられる状態まで整えないと…?」

 

…なに、この音、ブチブチって何かが千切れるような…

この司令部は基本的に使ってないのに…

 

夕張(医務室…荒潮ちゃん…?)

 

扉をそっと開き、様子を伺う

 

荒潮「う…あ、あぁ…!」

 

夕張「え、な、なにしてるの!」

 

頭を引っ掻いて、髪を引き抜いて…

甘かった…自傷行為に走るとは思ってなかった

 

荒潮「はなして!やめて!はなして!!」

 

夕張「落ち着いて!あーもう…!誰か!ちょっと来て!」

 

頭皮だけじゃない、肉まで抉ってる…

まともな精神状態でいられるとは思ってなかったけど、ここまで苦しんでるなんて

 

夕張「お願い、落ち着いて…!

こんな事しても、お姉さんは喜ばないわよ…?!」

 

荒潮「姉さ…姉さん…!ダメ、お願い…行かないで…!消えちゃう、姉さん達が消えちゃう!」

 

夕張(幻覚を見てる?…こんなのって…)

 

川内「なに、どうしたのそれ…」

 

夕張「川内!左の棚の1番上!右から2番目の瓶!

それからその棚の真ん中くらいの引き出し!注射器取って!」

 

川内「え、あ…わかった」

 

荒潮「はなして!姉さん!私はここ!ここにいるのよ!」

 

夕張「垂直に刺して!2って書いてるあたりまで入れて持ってきて!」

 

川内「えぇ!?…あーもう!」

 

夕張「早く!」

 

川内(わかってるっての!!)

 

川内が注射器を差し出してくる

 

夕張「私が刺す余裕なんてないに決まってるでしょ!?二の腕押さえてるから!ほら!ここの血管!刺して!」

 

川内(…マジ…?)

 

川内が注射器を刺そうと…

 

夕張「違う!逆!そっちからじゃなくて逆から刺して!」

 

川内「注文多いなぁ!!」

 

 

 

 

川内「ごめん、怒鳴って…うん、余裕ないよね、そりゃ…」

 

夕張「こっちこそ…でも、荒潮ちゃんを止めるために、どうしても急ぎたくて…」

 

荒潮「…すぅ……すぅ…」

 

川内「何打たせたの?」

 

夕張「とりあえず寝かせたのよ、薬を請求しなきゃね…精神病の治療なんて、しばらくやってないけど…」

 

川内「やった事はあるんだ?」

 

夕張「…カウンセリングもできるわ」

 

川内(それがあんな取り乱すの…?)

 

 

 

 

 

北上「…はぁ……サッパリした」

 

明石「あの…血を落としたいのはわかりますけど、その怪我でシャワーを浴びるのは本当にやめてください」

 

北上「いいじゃん、痛いけどさ」

 

明石「……ええと、とりあえず、手当てをするので、脱いでもらえますか?」

 

北上「ん、よろしく」

 

明石さんが患部の様子を見る

 

明石「…うわっ……これ…内臓大丈夫かなぁ…とりあえずで打った修復材もあんまり効いてないみたいだし」

 

北上「…それより、いつから見てたの?」

 

明石「戦闘が始まって少しした頃でしょうか

国の命令で、上位種のサンプルを取りにいきたかったので」

 

北上「あの深海棲艦?」

 

明石「ええ、あなたが殺した深海棲艦です

と言っても、すでに死んでるはずだったのですが」

 

…どうやら、あの深海棲艦はあの瓦礫の中で死んでる算段だったらしい

 

北上「ピンピンしてたけど?」

 

明石「…不思議ですよね、なんででしょう」

 

北上「こっちが聞きたいよ」

 

明石「でも、それよりも…北上さんは噂以上の実力者ですね」

 

北上「そーお?」

 

明石「最初のレ級に直撃させた魚雷

全魚雷発射管から一斉射に見せかけて、1発だけ残し、砲撃と共に放つ事で確実に意識外の不意打ちになる

…あれをあの一瞬でやってのけるのは流石ですよ」

 

北上「それ見てたくらい暇なら助けてくれても良かったんじゃない?」

 

明石「丸腰だったので」

 

北上(あたしも丸腰からスタートしたんだけどな)

 

北上「…で、あたしはどうなんの?」

 

明石「……なんとも、私の一存では」

 

北上「そっか、決まったら教えて」

 

明石「…とりあえず、手当はしますが、修復材の使用許可が降りないので、自然治癒になると思います」

 

北上「たっはー……何それ…キッツイなぁ…」

 

明石「ごめんなさい」

 

北上「……ところでさ、そこにいるの、誰?」

 

…物陰に1人いる

誰か、誰かがいる

 

明石「気づいてるんですか?…凄いなぁ…」

 

北上「…出てきてよ」

 

小さく金属の音が響く…

でも、一定のリズムで、まるで足音の様な…

 

北上「…義足?」

 

明石「はい、私の手作りです」

 

北上「……っ…春…雨…?」

 

春雨「はい、私です…北上さん」

 

北上「生きてた…生きてたんだ!?良かったぁ…!

あんな事になってたから、てっきり…」

 

春雨「やっぱり…探しにきてくれてたんですね…

ありがとうございます、でも、元気です、はい」

 

北上「脚はやられたんだね…大丈夫なの?」

 

春雨「はい、義足にも充分なれたので…ほら、見ただけじゃ全然わからないですよ!」

 

明石「そうだ、春雨ちゃん、食事を…」

 

春雨「はい、これしかないんですけど…」

 

北上「……ちゅーちゅーするタイプのゼリーじゃん…」

 

キャップを外して、ゼリーを吸い出す

 

明石「…ちゃんとした食事を出したかったんですけど、内臓にもダメージがある様なので、今日はこれで経過を見ます」

 

北上「ふぁーい………ぷはっ…甘くて美味しいねこれ、もっとないの?」

 

春雨「ありますけど…」

 

明石「ダメですよ」

 

北上「ちぇっ」

 

 

 

 

 

 

レ級「…フゥッ…今回ハ、復活ガ早イ……港湾ヲ喰ッタ甲斐ガアル」

 

戦艦棲姫「マチナサイ、ソコノ」

 

レ級「アァ?…原種サマカヨ」

 

戦艦棲姫「港湾ヲドウシタ、デスッテ?」

 

レ級「喰ッタ!…勝手ニ操リヤガッテ!

オ前ラ原種ガイツマデモ上ダト思ウナヨ?」

 

戦艦棲姫「……支配トコントロール、ソレハ私達ノ能力、貴方達雑兵(ゾウヒョウ)ヲ役立テテアゲテルノヨ?

感謝シテホシイモノネ」

 

レ級「ソンナ能力トヤラデ無理矢理アイツト戦ッタコッチノ気持チヲ考エロヨ…

アノ艦娘イカレテルンダゾ」

 

戦艦棲姫「知ラナイワ、ソンナ事、ソレヨリ、港湾ハ」

 

レ級「…見タ時ニハ覚醒状態ダッタ、無理矢理コッチマデコントロールシテタセイデ、グチャグチャデ折角ノ好機(チャンス)モオジャンダ」

 

戦艦棲姫「…水鬼ニ覚醒シテ、死ンダノネ…

2度ト、戻リハシナイ…カ……艦娘メ…!」

 

レ級「アノ艦娘、三度目ハ会イタクナイナァ…

次ハセメテ、自由ニヤラナイト、死ヌカナァ…」

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