食うに困った艦娘が頑張って生きようとする話 作:名無し
やっほー…北上様だよ…
うん?…うん、わかる、わかるよ、那珂に乗っ取られてる
なんてことしてくれてんのって言いたいね…
ちなみに今、あたしらは最前線でペンライト振らされてるよ…
那珂「ふー、今日はちゃんとライブできた!」
春雨(あれで…?)
北上「めっちゃ物投げつけられてたのに」
那珂「2人がいるからか少ない方だったよ〜!」
北上「いつもどうしてんのさ」
那珂「振り付けのついでにかわしてる!」
北上(そういやコイツ川内の妹だったわ…)
北上「で?いつもあんな感じなの?」
那珂「前までは無視が普通だったかなぁ、最近は酷いニュースばっかりで、固定の艦娘アンチがついちゃった…」
北上「ま、当然警察には期待できないか」
那珂「あはは…はいコレ」
2000円を差し出される
北上「何このお金」
那珂「食費、今日は朝バタついたし、ご飯食べる暇なかったから…代わりに買って来て欲しいんだ〜」
北上「…自分で行きなよ」
春雨「北上さん、首輪」
北上「ああ…」
そういや今朝はコンビニも入店拒否されたのか
北上(ただでさえ移動に遅れ出てるんだから、早いところ横須賀戻りたいのになぁ…)
那珂「今のうちに着替えてくるね」
北上「春雨、どれ食べたい?」
春雨「エビマヨおにぎりにします!」
北上「んじゃあたしたらこ〜」
…あたしらはこうして普通に買い物できてるのに、那珂はできなかったんだろう
首輪の有無という差で
そして、それに加えて孤独だった
横須賀に逃げてくるなんて簡単にできたハズなのに
北上(…バカだよ、ホントにね)
北上「おーい、ほれ」
おにぎりを二つ那珂に投げる
那珂「あ、ありがとうございます」
北上「…ホント、人変わるよね?」
那珂「ずっとアイドルだと、疲れちゃいますから…」
春雨「なのにやってるんですか?」
那珂「……今の私にできる、唯一の抵抗なので」
北上「抵抗?何、コレが人類への反抗だ!的なやつ?」
那珂「そんな感じです…」
北上「え?まじ?」
那珂「…私は私の歌で笑ってくれる人が好きで、そんな人を1人でも増やしたい…
それで、笑ってる人たちが…きっと、何かを変えてくれる…って思ってるんです
勿論、復讐心は消えませんけど」
北上「…なるほどね」
春雨「すっごく良い夢だと思います!」
那珂「夢じゃない…目標、私は、絶対やり遂げるから…!」
北上(…すごいな、あたしには到底無理だけど…ん?)
春雨が那珂の手を取る
春雨「感動しました!私にも、手伝えることはないでしょうか?」
北上「えっ」
那珂「えぇぇぇっ!?」
春雨「そうだ!SNSはやってますか?」
那珂「えっ…すNSは…やってないかなあ…」
春雨「勿体無いですよ!ツイッターにインスタグラム、フェイスブック!
動画投稿サイトでも宣伝しましょう!はい!」
那珂「え、ええ…?」
北上「春雨ネット強かったんだ…?」
春雨「全然ですけど…それでも!やらなきゃ那珂さんの目標に届かないと思って…!」
北上「…そもそもスマホあるの?」
那珂「えと…はい」
那珂がスマホを差し出す
北上(携帯あるなら迎え呼べたじゃん…)
春雨「お借りします!」
那珂「…うわ…凄い手つき…」
ものの数分で…
春雨「とりあえず、さっきの三つのSNSアカウントを開設しました!あとは次のライブで動画を撮ってあげましょう!」
北上「いや、めっちゃネット強いじゃん」
那珂「…ホントに、アップするの…?」
春雨「…怖いですか?」
那珂「……そりゃ、怖いよ…目の前にいる人ですら、酷いことを言うのに、目の前にいない誰かが、目の前に居ないからこそ、言える事を言うんだよ…?」
北上「匿名の暴力…ってやつか」
春雨「確かに、匿名だから言えることはあります」
春雨がスマホの画面を操作して見せる
…ネットの掲示板にはすでに、誹謗中傷の言葉が並べられたスレッドまであるらしい
那珂「……やっぱり、そうだよね…みんな、“艦娘”は嫌いだよね」
春雨「けど…」
那珂「だけど!」
春雨の声を遮って、那珂が大きな声を出す
那珂「…戦いじゃ、世界は変えられないから
私は私だけの方法で世界を変えたいから…!
私は、アイドルやるよ、ネット進出もする…!」
春雨「……はい!全力でお手伝いします!」
北上(…ずっと1人でやってたんだ、嫌な妄想に呑まれるのも慣れてるか…)
春雨「それと、さっきお見せしようとしたんですけど、これ」
春雨がスマホの画面を見せる
那珂「…これって」
…100、200、数えきれない批判的な声の中に生まれた、1つ2つ程度の、支援の声…
春雨「那珂さんの歌が好きな人は、ちゃんといますから…!」
那珂「……うん…!」