食うに困った艦娘が頑張って生きようとする話   作:名無し

95 / 157
挑戦

北上「はあ!?…横須賀には、行かないって…どういう意味それ…!」

 

春雨「私は、那珂さんと行きます!

それに…今横須賀に行けば、迷惑をかけるかもしれません…だから…私は行けません」

 

那珂「夜、2人で話して決めたんです」

 

北上「…いや、いやいやいや、2人の考えを無視するつもりは無いんだけどさ、あたし1人で戻れっての…?」

 

春雨「…まあ…」

 

北上「……那珂、ケータイ」

 

那珂「え、あ、はい」

 

ケータイを操作して、電話をかける

 

那珂「え、あの、だれに?」

 

北上「すぐ終わるから」 

 

夕張『はいもしもし〜?どちら様?』

 

北上「北上様だよ」

 

夕張『え?…あぁ!?北上!!やっぱ生きてた?』

 

北上「そりゃ生きてるよ、死にかけはしたけど」

 

夕張『北上らしいわね、で?何?どんな連絡?』

 

北上「春雨が生きててさ、合流できたんだ、今東京、あと那珂も一緒」

 

夕張『それは超グッドニュースね!』

 

北上「で、近くまで戻ってなんだけど、帰るのやめた」

 

春雨「へっ!?」

 

那珂「え?」

 

夕張『はぁ!?』

 

北上「2人がさ、まだ外で活動するっていうし…保護者が必要じゃん?」

 

夕張『…本気?戻ってくればこっちは安定した生活できてるのよ?』

 

北上「安心した、みんな大丈夫そうなら安心して2人についてられるよ」

 

夕張『…大丈夫なの?』

 

北上「わかんない、那珂は首輪付きだし、狙われることもあるんじゃないかな

だからあたしが守るよ」

 

夕張『…この番号、いつでも連絡つくの?』

 

北上「多分」

 

夕張『何かあったらすぐ戻って来てね』

 

北上「意外と口うるさく言わないんだ?」

 

夕張『そりゃあ、もう諦めたから

北上は何いっても聞かないし?』

 

北上「あはは…ありがとう、みんなにもよろしく伝えといて」

 

電話を切り、返す

 

北上「そういう事だから」

 

那珂「え…あの…」

 

春雨「…私たち的には、嬉しいんですけど…良いんですか?」

 

北上「2人だけほっぽり出して帰ったら、それこそみんなに袋叩きにされるよ」

 

春雨「…相変わらず、優しいですね」

 

北上「……そうなのかな、よくわかんないよ」

 

…実際、首根っこ掴んで連れ帰るのも優しさだとは思う

何が正しいのかはわからないけど、2人は少なくともあたしじゃできない事をしようとしてる

 

あたしがどんだけ戦っても、手に入るのは自分の周りの生活だけだ

 

この2人なら、あるいは…

そう感じた、だから、せめて2人を守る

 

那珂「よーし!とりあえず、いろんなところに行ってライブしよう!」

 

春雨「東京にとどまらない方がいいかもしれません、いろんな地域で宣伝しましょう!はい!」

 

那珂「まずは西を目指してみよう!」

 

北上(…こりゃあ、長引きそうかな)

 

北上「あ、そういやあの廃棄艤装のこと、言えば良かったかな…まあいいや」

 

 

 

 

 

朝霜「…誰も、いないか…」

 

…路地裏、人気のない朝早い時間

タイミングとしては、ベスト…

 

朝霜「……あ…!あった!…へへ…」

 

萎びたニンジンに、賞味期限切れの数切れの食パン

ゴミの中から手に入れる食材としては上々だ

 

公園の水道で喉を潤し、手に入れた食料を必死に食べる

 

朝霜「んぐ…ごほっ!おえっ…うげ……はっ…うぷっ……クソ、臭くない臭くない…吐くな…!」

 

なんとか胃に押し込んでも、吐き気が辛い

必死に口を押さえ、吐き出すのを防ぎながら横たわる

 

朝霜「…う…クソ…」

 

ああ…ダメだ、わかってる

こんなのダメだ、こんな生活してたら、おかしくなる…

 

朝霜「……今、どのあたりなんだろう」

 

…コレからどこに行けば良いのだろう

 

朝霜(…とにかく、遠くへ…とにかく…どこか…)

 

朝霜「…そうだ、アタイ…生きるんだ、なら…生きられる場所…」

 

…どこに行けば、アタイ1人で生きていけるんだ…?

1人で生きれる場所って、なんなんだ?

 

朝霜「……疲れたぁ…」

 

…帰りたいなぁ

 

 

 

 

 

 

空母棲姫「クク…コノ葡萄(ブドウ)酒ハ美味イ、食事モ実ニ甘美ナ物バカリダ

相変ワラズ、機嫌ヲ取ルノガ上手イナ?」

 

大淀「ありがとうございます」

 

空母棲姫「他ノ面子ハドウシタ?」

 

大淀「大臣達は道路の混雑によりやや遅れるとのことです、それまで僭越ながら私がお相手いたします」

 

空母棲姫「貴様モ飲メ」

 

大淀「…ありがとうございます」

 

グラスに()がれた酒を一息に飲み干す

 

空母棲姫「良イ飲ミップリジャナイカ」

 

大淀「…不愉快な想いはさせられませんから」

 

空母棲姫「殊勝(シュショウ)ナ心掛ケダナ」

 

大淀「数少ない、“意思疎通の可能”な深海棲艦の中でも特に貴重な“協力的”なお方ですから」

 

空母棲姫「フン…深海棲艦カ、人間共ノ付ケタ呼ビ名ダ、気ニクワン…ソモソモ、“アレラ”ト“我々”ヲ同類トシテ見ルノモ許セン」

 

大淀「というと?」

 

空母棲姫「人間ノミヲ生命ノ(カテ)ニスル非効率的ナ(タイ)構造、ソノ上、感情ニシカ味覚ガ反応シナイ

アンナヤツラト一括リニサレルノハ不服ダ」

 

大淀「そうですか」

 

空母棲姫「…貴様ラ人間ニハ気ニモナランカ」

 

大淀「いいえ、お気持ちはよくわかりますよ…

それはもう、痛いほどに…」

 

 

 

大淀「うぷ…う…」

 

兵士A「大丈夫ですか、袋用意して」

 

兵士B「はい、どうぞ」

 

大淀「要りません…それよりも、戻りの車を出してください…まだ、仕事があります…」

 

兵士B「そんな、そこまで無理をしなくても…」

 

大淀「…早く…」

 

兵士A「…わかりました」

 

兵士B「ええ?!本気…?」

 

大淀「…それと、瑞鶴さんからの、定期連絡は…」

 

兵士B「あ、ええと…今日もゴミを漁って食料を確保したみたいです…ただ、やはり体調は悪化してるみたいで…」

 

大淀(ダメだ、やっぱり、休む暇なんてない)

 

大淀「…車、早く回してください」

 

兵士A「すみません、すぐに」

 

大淀「……私が、なんとかしなくちゃ」

 

兵士B「…あの」

 

大淀「なんですか」

 

兵士B「体調が悪いところに、嫌な報告をしてしまいますが…青葉さんの方も様子がおかしいらしく、監視をつけるべきではないかと」

 

大淀「それで」

 

兵士B「…私に行かせてくれませんか!?」

 

大淀「……考えておきましょう、しかし、衣笠の件は聞いています、旧知の中だからといって、優遇はしませんよ」

 

兵士B「はい!」

 

 

 

 

 

北上「や、え、あの…」

 

春雨「どうしました?」

 

北上「何コレ」

 

那珂「実は、お姉ちゃん達の分の衣装もあったりして…」

 

北上「あるのはわかった、でもなぜ持ち歩いてるの」

 

那珂「いつか一緒にやりたくて」

 

北上「で、なんであたしに差し出してくんの」

 

那珂「一緒に踊って欲しくて…ダメ?」

 

北上「え?いや…ダメっていうか、そもそもなんで?」

 

那珂「…インパクト欲しいなって!」

 

春雨「2人になることでファン倍増です!」

 

北上「母数限りなく少ないのに倍にしても意味なくない?っていうか、春雨やりなよ」

 

春雨「…私じゃ踊りながらかわしたりできないので…」

 

北上(あー、そういう人選か)

 

春雨「それに、そもそもこの義足ですから…」

 

那珂「えっ?」

 

北上「…そうだった、春雨両足義足なんだよ…」

 

春雨「生体ユニット製なので、見た目じゃわかりにくいかもですけど…ほら、ここの継ぎ目とか」

 

那珂「うわ…ほんとだ、やっぱ北上さんじゃなきゃダメじゃん」

 

北上「…えー…でも、あたし振り付けとか知らない…」

 

那珂「北上さんなら踊れます!」

 

北上「え、なにその謎の信頼」

 

春雨「北上さんならなんでもできますよ!はい!」

 

北上(うええぇぇ…?)

 

北上「ど、どうなっても知らないからね?」

 

 

 

 

 

那珂「〜♪〜♪」

 

北上(やばい、歌詞飛んだ…)

 

 

 

那珂「〜!〜☆!」

 

北上(あ、振り付け間違えた…)

 

 

 

那珂「ありがとうございましたー!」

 

北上「ましたー」

 

北上(ボッロボロだったなぁ…)

 

春雨「お疲れ様でした!」

 

那珂「すっごい良かった!初めてであんなに自信満々にできるなんて!」

 

北上「え、そう?」

 

那珂「うん!普通は緊張しちゃうもん!」

 

春雨「自信あって、すごく良かったです!」

 

北上(開き直ってただけなんだけどな…)

 

春雨「とりあえず、この動画をネットにアップロードして…次回の宣伝をして…」

 

北上「えっ、あれを上げるの?」

 

那珂「全国デビューおめでとうございます!」

 

北上(やば、急に恥ずかしくなってきた…やるんじゃなかったぁ……)

 

春雨「次回も期待してます!はい!」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。