食うに困った艦娘が頑張って生きようとする話 作:名無し
北上様だよ、好きな曲のジャンルは…ジャンル?なんだろ、ポップロックってやつ?
immortalsとか好きだよ、ほら、ベイマックスで有名なやつ
那珂の曲はキラキラした曲だからちょっと好みと外れてるけど、結構リズミカルで楽しいよ
北上「ねー、おじーちゃん、お金払うから野菜分けてくれない?」
老人A「おお、ええぞ、何が欲しいんじゃ」
北上「保存効きそうなのがいいな、あ、玉ねぎと…あ、おばあちゃん、根菜ってある?」
老人B「あるよぉ、かぼちゃとお芋さん、甘くて美味しいよ」
北上「良いねいいね、もうどれも美味しそうだし、2人に選ぶの任せちゃっていい?
5千円くらいでさ、
老人A「おー、わがった、待っとれ」
北上「……よし、いいってさ」
春雨「流石です!」
那珂「すごい…お野菜食べられるんだ…!」
北上「那珂もちゃんとお腹いっぱい食べなよね」
那珂「…えへへ…はーい」
春雨「北上さん、なんだかお姉さんみたいですね」
那珂「うん…?えっと…昔から面倒見良かったんじゃないの…?」
春雨「…あー…まあ…その、いろいろあって…」
那珂「……なんか、ごめん…?」
春雨「いえ…」
北上「2人とも何してんの?ほら見てよ、こんなにもらえたよ」
両手の袋いっぱいの野菜を見せる
春雨(…笑ってる…のかな…?
横須賀に行って以来、北上さんの表情がよく読み取れません)
那珂「うわぁ…すごい…」
原付の座席の下に詰め込めるだけ詰め込む
あとは那珂のトランクに入れたり、手持ちにしたり
北上「しばらく歩いたらご飯にしようか」
春雨「はい!」
北上「いやー、良い考えだよね、直接農家さんに相談して買い取れば、お店に入って身バレの心配もなし」
春雨「ネットニュースに興味のない方でしたね」
那珂「…わー…」
さっきから那珂はずっと貰った袋見てる…
よっぽどお腹減ってたんだろうけど
北上「飲み物どうする?自販機ないし、生水は怖いから沸かすしかないけど」
春雨「また火を起こしますか?」
那珂「…次の駅まで行けば、きっと何か買えますよ!」
北上(食糧は貰ったから無理に何かを買う必要はないんだけど、でも冷たい水とか、そう言うのは魅力的だしなぁ…)
春雨「明日には岐阜に着けそうですね」
北上「んー、かもね、意外と早いじゃん」
那珂(…すごいなぁ…私1人じゃ、きっとこうはならなかった…)
那珂「ところで春雨ちゃん…」
春雨「はい?」
那珂「さっき撮ってた虫取りの映像、アップしないでね?」
春雨「ごめんなさい、もうしちゃいました!」
那珂「ガッデム…」
山雲「天龍さん」
天龍「ん?」
山雲「納屋の周りに、苗を植えて良いですか?」
天龍「…お前が出て行った後は誰が世話するんだよ」
山雲「天龍さんがします」
天龍「……なんでだ」
山雲「私は天龍さんに助けられる前、深海棲艦に襲われてました…
だから〜…私が帰るということは再び戦争の中に戻るってことですし…その…覚えておいて欲しいかな〜って…」
天龍「…そういやお前、記憶が
山雲「…でも、私は襲われました」
天龍「信じられねえのはそうだろうけど、終戦して、人を襲うのは低知能の個体だけだ」
山雲「……そんなの、都合よく言ってるだけじゃ…」
天龍「だろうな、だから、いつ誰がどこで襲われて死んでもおかしくない…だから、お前が不安なのはわかる…何かを
だから受け入れてやる、でも…死ぬな、死ぬなら70年生きて、幸せに老衰死しろ」
山雲「……ふふっ…優しいですね〜」
天龍「現役の時は下の面倒みてたからな
…だから、お前も何か困ったら遠慮なく頼れ」
山雲「はい♪」
天龍「とりあえず、植物の育て方を調べねえとな」
山雲「ならわかります〜
私、退役したら畑をやりたくて…」
天龍「じゃあタネを一緒に買いに行くか」
山雲「はい〜!」
加賀「明石、明石どこに居るの」
明石「は…あー…い……」
加賀「……酷い有様ね?」
北上に逃げられた事、それからバイクまで盗まれてるせいで逃走等
だけなら良かったけど
加賀「北上にやられたの?えらく包帯だらけだけど」
明石「アピールですよ、アピール…上がうるさくて、ほんとにボコボコにされてる風にしました!」
加賀「そう、それで?義眼の調整は?」
明石「終わってます、持って行ってください」
加賀「…これですぐに北上を見つけ出して、連れ戻すわ」
明石「やー…どうするんです?」
加賀「……第二段階を早急に試したいというのが、上の考えらしいわ」
明石「…あれは、やっぱり危ないんじゃ…?」
加賀「もう何人も殺しておいてそういうの?」
明石「殺させておいてそう言いますか」
加賀「命令したのは国よ、私に言わないで」
明石「同じその国の機関にに所属してる人間でしょう」
加賀「……」
明石「しかし、横須賀にいる荒潮って子のデータは取れないんですか?…せめてそれがあれば、まだ…」
加賀「どうにも、大淀さんがね、手を回してるみたいで上には情報が殆ど入ってないの」
明石「何故?もう死んでるようなものじゃないですか」
加賀「……さあね、大淀さんの考えはわからないけど、立場は私より上だから、従うわ」
明石「納得してませんね?」
加賀「こんな時代が終わるなら、どんな手でも使うべきよ…艦娘は生きてるだけで差別を受ける、そしてそれはどんどん酷くなり続けてる
北上達がやってる行為は自分の首を絞めるようなもの、早く止めなきゃいけないの」
明石(…艦娘は兵器なのか、兵士なのか…
加賀さんは、前者としての役目を終えれば、人となれると思ってるのか…それとも)
加賀「…無駄話が過ぎたわね」
明石「骨が折れないことを祈ってます」
加賀「どっちのかしら」
明石「そりゃあ、加賀さんですよ」
加賀「嫌なコ」
朝霜「おー……ようやく、山抜けた…どこだろ、ここ…」
ようやく、民家とかが近くにある公道まで出られた
…腹減った…
どうしよう…何を食べればいいんだろう
ゴミを漁り、野草を
その間何も食べてない
朝霜(……アタイ、どうやって生きるのが、良いんだろうな…)
歩いてるだけで蔑まれる
身なりが汚いせいで、居るだけで悪目立ちする
朝霜「…お……?」
…なんで、道の真ん中にレジ袋が落ちて…?
朝霜(なんだ?これ……うわっ)
未開封のお弁当と、お茶だ…
辺りをキョロキョロと見回す
朝霜(誰かが落としちまった…のか…?
…取りに、戻ってくるよな…でも…)
つい、手に取ってしまう
朝霜「あれ…あったかい……温めてある…」
って事は、これは…ほんのついさっき落とされたもの…
朝霜(……)
…つい、じーっと見てしまう
なんでこんなに美味しそうなんだろう
いい匂いがして、お腹減って……
朝霜「…ダメだダメだ!青葉さんと約束した、もう悪い事はしない、これ食ったら、盗みと同じだ…」
弁当を目立つ、そして安全なところに置く
朝霜(…これで良いよな、ゴミ漁ってるような奴がこんな中にしてるのも…変だけど)
朝霜「……は、はは…」
…でも、なんだってこんなとこに弁当が…
瑞鶴(なんで置き直したの!?…拾って食べてよ…餓死されたら困るのに…)
朝霜「…これから、どうすっかなァ…」
瑞鶴(あれ、どうしよう……あ、そうだ…ちょっと酷い手段だけど…!)
朝霜「ン?」
瑞鶴「…何?その首輪、艦娘?」
朝霜(げ、タイミング悪りぃ…)
瑞鶴「あー!?」
朝霜「ひっ!?」
瑞鶴(え、な、なんでそんなに怯えるの!?
い、いや、それよりも…)
瑞鶴「…その袋、触った?」
朝霜「…さわ…り、ました…」
瑞鶴「……あー…か、艦娘が触ったものなんて汚くて食べられないわ!はー最悪!」
朝霜「へ…?…あ、ご、ごめんなさい…」
瑞鶴「ちょっ…謝らないでよ…!……ああもう!知らないから!」
朝霜「…行っちゃった…のか…?」
瑞鶴(ああもビクビクされると、こっちが悪いことしてるみたいな…いや、してるんだけど…)
朝霜(…あの人、弁当いらないって……もらって、良いのかな…)
瑞鶴(…早く食べてよ…もう…)
朝霜「……うん、食べよう…食べて、生きなきゃ」
お弁当を手に取り、適当な木陰に腰を下ろす
…蓋を開けると、良い匂いがして…
朝霜「…あぐっ…むしゃ…」
瑞鶴(…良かった、ちゃんと食べてる……野良猫に餌やってるみたいな気分ね…)
朝霜「…うまい…あむっ…はぐっ」
瑞鶴「…あ、れ…?気のせいじゃなかったら、手づかみで食べてない?…お箸入ってなかったっけ…しまったなぁ…」
朝霜「……は…ふぅ…
…あの人、変な人だったな」