ちょっと触れておきたかっただけで、オチも何もなくすみません。
(セリーナ、シャロン ちょっといいかな?)
(何でしょう?)
(どうしました?)
(延ばし延ばしにしていたグローリアの引っ越しをやろうと思ってな
ほらお母さんの形見の宝石が残っていただろう?)
(あの凄いやつですか)
(沢山ありましたよね)
(ああ何時までも放っておく訳にもいかないから、流石に新しい住処に運んでおこうと思う
ドローンを使いたいしそうなると流石に他のメンバーを巻き込むわけにいかないので三人でやるしか無いんだ)
(確かにそうですね)
(元の住処は広いから何とかドローンで入っていけるだろけど、一体どれくらいあるかだなぁ)
(コンラート大尉 ドローンで運ぶとしてどれくらいになりそうですか?)
[正確にスキャンできてないので映像からの判断ですが、ドローンの積載量の十台分程度かと推定します]
(ああ、そんなにあるのか)
映像を見た時に多いなとは思ったが、流石に頭を抱える量だった。
一先ず宝石を入れる袋や箱を用意するところから始めないとダメだな。
どうせなら他に運ぶ物が無いか、確認するか。
(イーリス グローリアもこの会議に呼んでくれ)
暫くするとグローリアが仮想表示された。
(族長 呼びましたか?)
(ああ、そろそろグローリアの元の住処からお母さんの宝石の引っ越しを終わらせてしまおうと思ってな
宝石以外に何か荷物とかは無いのか?)
(人間みたいに道具は使わないので、他にはありません)
(そうか、じゃあお母さんの形見の宝石だけ運び出そうか 他に何か希望はあるかい?)
(いえ、今の住処はとっても快適ですし問題ありません)
イーリスと打ち合わせして石切り場を上手く住処に仕上げたようで、グルーリアは大変気に入っているそうだ。
沢の水を引いて専用の風呂場まで作ったそうだから気合が入っている。
(分かった、じゃあ日程が決まったらまた連絡するよ)
(はい待ってます)
さて、袋と箱の準備を始めますか。
◇◇◇◇◇
「セリーナ、シャロン用意は良いか?」
「はい、袋と箱は準備しました」
「ドローンも待機終わっています」
早朝グローリアとドローンとで共に元の住処まで移動した。
結構距離はあるが、空を飛べばそれ程でもない。
グローリアは久々のディー・テンたちとの飛行競争に張り切っている。
「最近体が少し大きくなったのですよ、速度も上がったはずなので頑張ります」
「そうか、まだ育ちざかりなんだな」
「私たちドラゴンは死ぬまで成長しますから」
「なんと! だとすると体が大きいほど長生きしてるんだな」
「そうです、お母さんはすっごく大きかったんですよ」
「グローリアも大きくならないとな」
三台のドローンにそれぞれ乗り込んで出発する。
「よし、じゃあ行こう! 競争だ!」
領地から一時間かからない小旅行だったが、みんなで移動でき、しかもドローンとの競争で引き分けたのでグローリアは大変うれしそうだった。
映像で見たイメージよりももう一回りは大きく感じる鍾乳洞で、ドローンも楽に奥の広場まで侵入する。
流石にドラゴンが入るだけの事は最奥の部屋までドローンで入れないことは無いが、プロペラによる風で全部飛んで行ってしまいかねないので、人力+ドラゴン力で運ぶことになった。
最奥の部屋まで歩いて行くと以前見た光景と同様にキラキラしたもので溢れていた。
パッと見た感じでは自然物は水晶やアズライトなどのクリスタル風の物、黄銅鉱など鉱石の類、オパールやメノウなど宝石の原石みたいなものなど多岐に渡る。
人工物のうち剣や宝飾品などは恐らく魔物に襲われて倒れた人達の遺品だろう。
用途の分からない箱や道具のようなものは、光り具合からするとおそらくアーティファクトか何かだと思われる。
スキャンしてイーリスに分析してもらいながらどんどん袋とか箱に詰めていくが、何時まで経っても減っていかない。
「お母さん良くこれだけ集めたな」
まったくと感心するしかない。
「いつも出掛けては何かしら拾ってきていましたから、私が知ってる間でもどんどん貯まりました」
「これは一財産あるな」
「族長 それなのですがやはり私は要らないので受け取ってもらえないですか?
引っ越してからも全然気になりませんでしたし、母も一族のために使うのであれば満足だと思います」
「うーん、セリーナ、シャロンどう思う?」
「確かにグローリアは必要なさそうですけど」
「どれか一つだけでも形見として記念に残して置けばいいのじゃないかしら?」
「なるほど、グローリアが一番好きなのとかお母さんが気にってのを残すのでどうだ?」
「じゃぁ一つだけ残して、後は族長に差し上げますので使ってください」
「ありがとう どれか残したいのがあれば教えて欲しい」
「うーん、お母さんは持って帰ってきたら満足してましたし、どれか一つお気に入りとか無かった様に思います」
確かに集めたものは雑多に積み上げただけで飾っているようには見えないから、特に大事にしている物があるようには思えない。
「分かった、片付けながら気に入ったのがあった教えてくれないか」
「はい、分かりました!」
一回目の運び出しの時にセリーナとシャロンは新しい住処に行き、向こうで荷物を下ろす手はずにしている。
二手に分かれ暫く運び出しと搬入を続け、半分ほどになったと思われる頃だった。
「族長、決めました これにします」
グローリアが選んだのは、人の頭ほどの大きさで紅いクリスタルが固まって生えている物だった。
「おお、それならグローリアの体の色に似ていて、良い物だな」
「あ、そうですね、ほんとだ」
嬉しそうに笑っているけど、色の事は考えてなかったのか。
「よし、じゃぁそれは大事に箱にしまっておこう」
「はい」
こうして丸一日かけて新しい住処にいったん運び入れ、アーティファクトと思しき物については分析するように汎用ボットに指示する。
形見に残した紅いクリスタルはグローリアの寝床の壁に穴を開けそこに飾っておいた。
後日形見に残したクリスタルと同様の物をグローリアの記章の横に取り付けると、グローリアはとても喜んでいた。
次回更新は近日の予定です。