イサク司祭の宣言により結婚式が始まる。
教会に鐘の音が響き、祝福の聖歌が流れ始めた。
「これよりアラン・コリント卿ならびにカリナ嬢の結婚式を執り行います」
その場に立っていたカリナはとても戸惑っていた。
軽いパニック状態と言ってもいいくらいだ。
何故私はアラン様と二人でここに立っているのでしょう???
その意識だけが頭の中をぐるぐる回っている。
アリスタ様から『ちょっと用があるからこの日は半日空けといてね』と言われただけなのに…
待ち合わせ場所が教会だったのをちょっと疑問に思っていたけれども。
着くなり控室に引っ張り込まれ、そしてあれよあれよと言う間に着替えと化粧を施され送り出されたのである。
「お二方、前へどうぞ」
促され聖堂の通路を二人でゆっくりと進んでいく。
正妻となったアリスタ様と同じ刺繍も美しい白いドレスに、頭には同じく白いヴェールを被っている。
両脇に並んでるメンバーは領地やギルドの関係者だ。
勿論アリスタ様や他の女性たちも並んで祝福を送ってくれている。
イサク司祭の祝辞が始まった時ですら、これは夢を見ているのかと思う自分が居たのだった。
◇◇◇◇◇
「アラン様が承諾してくれて本当に良かった…」
先ほどまでの張りつめていた気持ちが緩むとともに、改めて結婚が決まった事が実感を増してくる。
そして複雑な思いが頭をよぎる。
アラン様が承諾してくれた嬉しい気持ちと、この先歩むだろう道のりを妻として支えられるかという不安。
だけどもこの先アラン様を愛していくことには自信はあり、そこに不安はない。
そしてガンツ伯から逃れられたほっとした気持ちに、そして自分の都合で押しのけたカリナの思いに対する申し訳なさなどが交錯する。
自分だけではなく、カリナまでも受け入れてくれたのには感謝しかない。
側室だとしてもアラン様の立場であれば難しい話だったろうに、受け入れてくれた三人の女性たちにもだ。
◇◇◇◇◇
「私たちは盛大に結婚式を行ったけど、カリナさんにも何かしないと」
シャロンが突然言いだした。
結婚するにあたって取り決めた、正妻四人で集まる昼食会と言う情報交換を行う場での発言だった。
愛想の良いシャロンならそう言うでしょうね、とセリーナは思いながら話を続ける。
「そうね、それはちょっと気になっていたわ 何か計画しましょう」
カリナに特別な思い入れはないが、自分たちは盛大に結婚式をしておいて側室扱いで差をつけるのは嫌だったから丁度いい。
「私は言い出し難かったので、そうして頂けると嬉しいです
皆さん、ありがとうございます」
アリスタは申し訳なさそうに言うが、彼女はカリナの雇用主でもあるのでその立場であれば言えない。
「それなら身内だけの結婚式でどうかな?」とクレリア。
「それは良いわね、折角ならサプライズ仕掛けない?」
ニヤリと悪だくみをするシャロンの顔を見ながら、この娘やっぱり実は怖いのでは?と心の中で思い直したのだった。
そうしてカリナの知らないところでこっそりと計画が開始された。
最も本人はそんなことを望まないであろうが、こういう話は動き出したら止まらない。
そもそもカリナは昼間は商業ギルドで仕事をしているので内緒で計画し放題だった。
ロベルトを通じてイサク司祭に話をつけ、教会の日程を抑える。
アランはカリナに嘘をつけなさそうだという評価なので、こちらもギリギリまで隠しておく
そして、当日は見事にサプライズ結婚式を成功させたのであった。
◇◇◇◇◇
「「「「カリナ おめでとう」」」」
式が終わり皆に声を掛けられて、限界だった涙腺が崩壊した。
前が霞んで見えない。
「ほら、お化粧が流れてしまうわよ」
「あ゛り゛す゛た゛様゛、無゛理゛で゛す゛よ゛ぅ」
人生でこれほど泣いたことは子供の時以来であろう。
そして嬉しさも人生で一番の日となった。
ここで予定して話数のだいたい半分が終わりました。
連休少し書き溜めたいと思ってますが、書きやすい話もあり全然進まない話もありどうなりますか。(苦笑
設定小ネタ
妻が四人も居るために幾つか取り決めたルール
昼食(忙しいので大抵バラバラ)
・正妻のみ
・週一回は正妻+側室
夕食
・週のうち五日間はセリーナ、シャロン、クレリア、アリスタ、カリナの順に二人だけ
・六日目は全員揃って
・七日目は会合とかその他のために空けておく
誰を同伴するか?
・イベントや商談などのパーティは関係が深い順
・貴族のパーティなど誰でもならローテーションで回す
四人平等って書いたけど、無理じゃないかなぁ。