航宙軍士官、貴族になる   作:あんさん

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143.久々の再会

 そのころ領地は昼食時で、早速この話が伝えられていた。

 

「アリスタ 朗報よ! アランが帰ってくるって連絡があったわ」

 

「本当ですか!!」

 

「ええ、でもちょっと戻るだけで二泊する程度らしいわ」

 

「私達三人はまだ通話できるからいいけど、アリスタは会話できないのでずいぶん気にしていたわよ」

 

「そうなのですね、それでも嬉しいです

 でも王都の方の諸々が決着つかないとゆっくり帰って来られないのは残念ですね」

 

「あれだけのスキャンダルがあればそりゃあね」

 

「そうそう、ガンツ伯は廃嫡で領地没収、息子が名ばかりの伯爵を継ぐそうよ」

 

「それまでガンツ伯に仕えてきた者たちは、アランがまとめて召し抱えることになるのだとか」

 

「宰相の方も同じ様に本人は隠居で領地に幽閉と聞いているわ

 さすがに領地は没収されなかったけど当面税が上乗せされるそうよ」

 

「それはまぁ自業自得と言う感じね」

 

「他にも子飼いの貴族や一緒に悪巧みをしていた者達が大量に処分されそうだって」

 

「廃嫡だけでも恐らく十を下らないみたいよ」

 

「流石に取り潰しだけは無いみたいだけど」

 

 普段も賑やかな昼食がさらに賑やかな日となった。

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 

 翌日の昼頃に突風が吹いたかと思うと、アランが裏庭に現れた。

 

「ただいま」

 

「「「「アラン おかえりなさい!」」」」

 

 四人に順にハグして挨拶をする。

 

「みんな元気そうで何よりだ、それにしても二カ月で随分と大きなお腹になったな」

 

「ええ、凄いでしょ、結構大変なのよ」

 

「慣れるより先に大きくなっていくわよね」

 

「もう時々動くのが判るのよ、アランも触ってみる?」

 

「本当に!? なんで俺はこの大事な時期に王都に居るのだろうな…」

 

「それでもアランは帰って来られるだけいいわよ、普通は無理だから」

 

「確かにそうだな、リアの言う通りだ」

 

「それで突然帰ってくるなんて、こっちに何か用があったの?」

 

「いや、皆の顔を見に帰ってきただけだよ、気になって仕方なかったのだよ」

 

ちょっと照れながら返事をする。

 

「本当に!? 嬉しいわ」

 

「アランらしからぬ気づかいね」

 

「いや、さすがに俺だって身重の妻たちを残して数カ月離れていると気になるよ」

 

「ふふふ、アランも変わったわね」

 

「君たちのおかげだよ 」

 

 移動を促して館に入る。

 

「それでそっちはどうなの? カリナや皆は元気にしている?」

 

「ああ、変わりないよと、と言いたいけどカリナはだいぶ疲れているな」

 

「アラン、まさかカリナを可愛がり過ぎていたりしないでしょうね?」

 

「まさか! 毎晩のパーティーがもう二カ月続いているのだぞ? そりゃ疲れもするさ」

 

「毎晩ですか?」

 

「ああ、届いた招待状はもう三桁に届きそうだよ

 昼は捜査で夜はパーティーだから俺でも本当に疲れ切っているからな」

 

「確かにカリナは貴族教育を最低限しか受けてないし、慣れない貴族のパーティーは確かに大変でしょうね」

 

「ああ、リアやアリスタがいてくれたらと思うことは何度もあったよ」

 

「そんなに」

 

「貴族のマナーなどろくに覚えてないから、毎回ひやひやだよ」

 

「アランなら貴族になりたてだし大目に見てくれるでしょう? いくら何でもそこまで厳しくはないと思うわよ」

 

 笑いながらクレリアがフォローを入れる。

 

「ああ、でもカリナは昼間にマナー訓練入れているくらいだから大変だよ 俺は捜査が忙しくて無理だけど」

 

「そうなのね それにしても本来貴族との関係構築は大事なのに、アランにとっては小事で煩わしい事なのね」

 

 呆れた様にクレリアが言う。

 

「そうねぇ、アランはそのずっと先を見ているから仕方ないわね」とはセリーナだ。

 

「ともかく出産までには必ず帰ると陛下にも宣言したからな」

 

「えぇぇ!? 陛下にまで言われたのですか?」

 

 アリスタが目を丸くして驚いている。常識外の出来事だという事か。

 

「流石アランだな、怖いもの知らずだわ」

 

 クレリアは呆れ切っている。

 帝国の常識では割と普通なのでセリーナとシャロンは驚きもしない。

 

「ともあれ最初の出産予定はクレリアだろ? あと三カ月くらいだから王都を二カ月で出て帰って来ないといけないのか」

 

「結構厳しくない?」

 

「そうだなぁ、しかしまぁガンツ伯の件さえ決着つけば俺は帰れるからな」

 

「ガンツの領地と資産を受け継ぐのでしょう?」

 

「ああ、陛下はそのつもりだ」

 

 辺境伯になったことでそれなりの地位になり、陛下に謁見することも増えていたので思惑は聞いている。

 何せ魔の大樹海を開拓できた話は他国にも自慢できる大偉業だったのだ。

 陛下の受けもいいのは当然だろう。会うときは常に上機嫌だったので色々話も聞いている。

 

「最初に下賜すると言ったのはその場の思い付きで、財産をどうするかまでは考えてなかったようだけどな」

 

「そうなのね」

 

「王都の財産は没収して国庫へ、ガンツの資産は没収も面倒なのと褒美のつもりだろうな

 まさか使用人までついてくるとは思わなかったが、彼らが路頭に迷わなくて済むならそれでもいいさ」

 

「あっ! ちょっと動いたわ」

 

 急にクレリアが言い出す。

 

「え? 本当に?」

 

「ほら、アラン! でも触って判るかしら?」

 

「うーん、流石に判らないかなぁ?」

 

「まだ少し早いかなあ? でもすぐに大きくなると思うわ」

 

「そうだな、それに元気ならそれに越したことは無いさ、その機会を楽しみにしておくよ」

 

 こうして久々に穏やかな時間を領地で過ごす事が出来た。

 二日後に帰った王都は相変わらず目が回る忙しさであったが、帰るために頑張ってこなしていく。

 結局王都を出発までにきっちり二カ月必要だったが、何とか出産までに帰れそうで安堵することになる。

 

 





という事で領地で皆に会うだけの話でした。

評価、誤字脱字報告、御指摘、感想、何時もありがとうございます。
次回日曜に更新予定です。
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