航宙軍士官、貴族になる   作:あんさん

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157.アレス建国2

 厳重に警備された王城の広場には大勢の人が集まっている。

 ルージ王が降伏してから一カ月が過ぎていた。

 これから建国式典が始まるのだ。

 

 式典の参列者が整列する。

 その姿を見た者達からどよめきが上がる。

 

「おい、見ろよ、ヴェルモント大公家やイヴァーウィン公爵家まで並んでいるぞ」

 

「まさか… 国の重鎮じゃないか」

 

「そこまで新しい王に降っているのか」

 

「他にも名だたる上級貴族が大勢並んでいる」

 

「たった一カ月の間にどうやってこれだけの貴族を従属させたのだ…」

 

 実に旧セシリオの三分の一は既に忠誠を誓っていた。

 

 

「これよりアラン・コリント王による建国の宣言を行う!

 皆の物傾聴せよ!」

 

「先日セシリオ王国のルージ王が退位となりセシリオ王国は幕を下ろした

 代わって本日、このアラン・コリントが王となりアレス国の建国を宣言する!」

 

「「うおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!」」

 

「新しい王国の領土は、旧セシリオとベルタ国コリント辺境伯領からなる」

 

「「コリント王!!万歳!!!」」

 

 地鳴りのような歓声が上がる。

 アランは『これサクラ多すぎないか?』と思いながら少し収まった頃に話を続ける。

 

「私はこの土地に住まう人々平等で正義のある社会を築くことを目指す

 今すぐは国の仕組みを大きくは変えない

 ただし一つだけ今までと異なり学校という物を作る

 そして国民に十分な教育を施すことを約束する

 この地に住む者達は、相互に尊重し、信頼しあい、助け合ってほしい」

 

「これからは、新たなる歴史の始まりである

 私たちは、この土地に住む者の生活を守り、より良い未来を築くために、努力することを誓う」

 

「そして我が妻たちを紹介しよう

 クレリア・スターヴァイン 前へ」

 

 その名前を聞いて「え? まさか?」と言う雰囲気で広場は騒然とする。

 しかしクレリアが登壇するその姿はまさに王女の雰囲気そのままだった。

 堂々とした立ち振る舞いを見て、皆納得する。

 

「クレリア・コリント・スターヴァインである

 縁がありアラン王の妻としてこの国の王妃となった

 スターヴァインの名で気付いた者はいるだろう

 私クレリアは紛れもなくスターヴェーク王国の王女である

 元スターヴェークの国民よ

 もしこの場にいるのであれば安心して欲しい

 私は幽霊ではなくこの通り無事なのだ」

 

「クレリア姫様なのか!! まさか!」

 

「生きていてくれたのか!」

 

「そんな馬鹿な、行方知れずだと聞いていたが…」

 

「そして知人達にも伝えて欲しい

 可能な者たちはこの国に集まってくれと

 それが難しい者たちは今しばらく耐えてくれと」

 

「「「うわあぁぁぁ!!!!!」」」

 

 結構な数のスターヴェーク関係者が居たのだろう、涙ぐんでいる者が多い。

 これで救われるみたいな声も聞こえてくる。

 

「続いてセリーナ・コンラート、シャロン・コンラート 前へ」

 

「セリーナ・コンラート・コリントだ

 アラン王の良き部下として、そして妻としてこの国の支えていく覚悟だ」

 

「シャロン・コンラート・コリントです

 同じくアラン王の部下、そして妻としてこの国を支えていきます」

 

「最後はアリスタ 前へ」

 

「アリスタ・コリントです

 アラン王の妻としてこの国を盛り立てます」

 

 全員、貴族として王妃としての挨拶は満点のしぐさであった。

 

「続いて国の中枢を司る者たちを紹介する

 宰相ヴェルナー・ライスター侯爵 前へ」

 

「ヴェルナー・ライスターである

 老醜をさらして居るが、私はアラン王に助けられクレリア王妃に忠誠を誓った

 恩に報いるため残りの人生をクレリア王妃とアラン王に捧げる

 このアレス国の礎を築く一石となれて光栄に思う」

 

 隣国とは言えさすがに宰相であれば名を知っている者は居た様だ。

 まさかあのベルタ王国前宰相の名前がここで出てくるとは思わなかったのだろう。

 クレリアの時と同様にどよめきが起こる。

 

 そしてそれはこの若い王がただの冒険者上がりの地方貴族でないことを強く意識させるのであった。

 

「最後に全軍の指揮官を紹介しよう

 ダルシム総指揮官だ、補佐をヴァルターにやって貰う」

 

 二人は揃って手を振る。

 

「武官はセリーナに執って貰い、文官はシャロンが責任者だ

 クレリアとアリスタは外交と財務を担ってもらう

 妻だから任せたのではなく、彼女たちの能力が見合うからだ

 私は女性だろうが能力次第で徴用する!

 活躍したい人材はぜひ手を上げて欲しい」

 

 

「最後にもう一度言おう

 セシリオ王国の時代が終わり、これからは新しい世界だ

 君たちと共に時代は築いていく事を楽しみにしている」

 

 その後スターヴェークの民に呼びかける公布を行う。

 最後にクレリアが再度の演説を実施する。

 

「スターヴェークの民よ

 私の身分が安定するまで無事であることを公表できなかった件については申し訳なく思う

 先程言ったように私はこうして無事である

 可能な者はこの国に来るように伝えてくれ

 アラン王は私の立場を理解してくださり、既に多くの民を受け入れてくれている

 そして動けない者は今しばらく待って欲しい

 我々アラン・コリントとクレリア・スターヴァインの名において必ず我が国を取り戻す!」

 

 おいおい、それじゃアロイスに対する宣戦布告じゃないか。

 と思ったが間違いではない。

 『取り戻す』はまだ黙って置いて欲しかったなぁ。

 クレリアの話を聞きながらやれやれ仕方がないなと思いつつ、やっと一つのステップを超えたことに安堵した。

 

(イーリス 建国宣言は終わったぞ)

 

[艦長 お疲れさまです]

 

(これで一つ進んだ、次のフェーズに移ろう)

 

「了解です」

 

 





ようやくセシリオ編完結です。そして建国編もこれで終わります。
評価、誤字脱字報告、御指摘、感想、何時もありがとうございます。
当面、週一日曜日更新予定です。
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