航宙軍士官、貴族になる   作:あんさん

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165.Dragon groom1

[艦長 危険ですディー・テンで支援します]

 

(駄目だ ここで引いたら色々支障が出る、それにむやみに傷つけたり殺したりするわけにはいかない)

 

 その間にもファイアーグレネードが飛んでくる。

 直撃しそうなものだけ相殺し残りは回避する。

 

(全く攻撃が途切れない、一体ドラゴンはどれくらい魔力持っているのだろうな)

 

 絶賛ドラゴンに襲われている最中である。

 

[グローリアと試した時には三時間は余裕でファイアーグレネード撃ってきましたから、持久力勝負は不利です]

 

 なんと! 流石ドラゴン底なしだな。

 

(とにかく、ディー・テンの支援は最後の手段だ グローリアの婿候補だぞ、傷つけるのは駄目だ)

 

[…了解です]

 

 ファイアーグレネードを避けて態勢を整えていると、グローリアからも通信が入った。

 

(族長 大丈夫ですか?)

 

(ああ、この程度ではやられないから大丈夫だよ

 それよりグローリア的に彼はどうだ? 伴侶として問題ないか?)

 

(ちょっと人の話を聞かないところはありますが、容姿は嫌いじゃないです)

 

(そうか、じゃあ頑張ってみるよ)

 

[艦長 やはり危険です、せめて退避してください]

 

(駄目だ グローリア的にはOKだそうだからこのまま続けるぞ!)

 

[…判りました]

 

 イーリスは渋々引き下がった。

 それにしてもどうしてこうなった!? 

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 

 話は一カ月ほど遡る。

 

[艦長 グローリアのメンタルヘルスについて報告です]

 

(待て待て、イーリス とても嫌な予感がするぞ)

 

[待ちません グローリアは性成熟期を迎えるのでそろそろ伴侶が欲しいそうです]

 

 …やっぱりそう来たか。

 最近明らかに体表とかの特徴が変わってきたのに気が付いていた。

 赤い基本色の上にメタリックブルーやグリーンなど派手な色が乗って来はじめたのだった。

 ドラゴンだからなのか、いわゆる婚姻色というやつのようだ。

 

(そうか、最近明らかに容姿が変わって来ていたから、薄々は気づいていたのだが)

 

[婿になるには族長に認められる必要があるそうです]

 

(そもそもドラゴン的に人間が族長でいいのか? それに生態とか家族形態はどうなっているのだ?)

 

[普通は人間が族長になることは無いので、細かいことは気にしなくていいようです]

 

 割といい加減だな…

 

(なるほど…わかった…対象となりそうなドラゴンは探せるか)

 

[すでに幾つかの個体をピックアップしています 捕捉している場所を出します]

 

 視界に惑星アレスのセリーヌ大陸が表示され、作戦マップと重なる。

 対象のドラゴンが幾つかのポイントでブリンクしている。

 見慣れたマップなので判り易いのだけど、作戦感がもの凄い。

 伴侶を見つけるのがこんな感じでいいのだろうか…?

 何か間違っている気がする…

 

[ドラゴンはこの大陸ではもう数百頭程度しか居ないようです]

 

(そんなに少ないのか?)

 

[帝国基準では絶滅危惧種で厳重に個体管理されているところです]

 

(そりゃそうだろうな)

 

[そのうちグローリアの伴侶として対象になりそうな個体は多くはありません]

 

(上手く相性のいい相手が見つかるかだなぁ)

 

[外見からある程度個体年齢を推測するのは可能ですので、候補は絞れています]

 

(それは良い知らせだ

 しかしほとんどは人間の暮らす場所から離れているのか

 それじゃ目撃情報が少ないわけだ)

 

[ドラゴンからすれば人間がそれほど脅威となるわけではありません

 ドラゴンが自ら距離を取って暮らしていると見るべきでしょう]

 

(食料の問題か、それとも掟でもあるのか?

 まあ分かった、イーリスはもう少しグローリアにドラゴンの生態を聞き出しておいてくれ)

 

[了解です]

 

(数日のうちに一度グローリアも交えて面談しよう)

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 

 セリーナ、シャロンも交えてAR会議を行っている最中に、議題が再びグローリアのお婿さん探しになった。

 

(イーリス そもそもどうやってオスのドラゴンと出会っているのだ?)

 

[縄張りを持ったオスのドラゴンが巡回し、一族に婚姻出来そうな者が居れば族長に許しを請うシステムのようです]

 

(最高齢の個体が族長と言っていたから、ある程力関係で決まるのでは無いだろうな?)

 

[血縁関係や乱暴者などの相手でなければ断る事は無さそうです

 勿論本人たちの意向が一番優先されるようですが、何分観察例が少なすぎてはっきりはしません

 グローリアは成熟しきる前に母親に死なれたので、その辺りは良く判っていないようです]

 

(念のためにグローリア本人にも聞いてみよう 会議に呼んでくれるか?)

 

 暫くするとグローリアの姿が表示される。

 

(グローリア お婿さんの件だがちょっといいかい?)

 

(はい、族長 嬉しいです!)

 

(ドラゴンの結婚の風習について差支えない範囲で教えてくれないか?」

 

(はい それなのですがすみません、話を聞く前に母は死んだのでほとんど判りません)

 

(そうなのか)

 

(母は『伴侶になるのは私の認めたドラゴンになるわ』と、言っていましたが)

 

(なるほど、イーリス 何か分かることはあるか?)

 

[数少ない観測結果からすると、ドラゴンは基本的に母系家族で一番高齢のメス…女性が一族を率いて生活をするようです」

 

 …おいおいメスは駄目何ではなかったのか? って、既にオスって言ってしまっていたな、しまった。

 

(…ふむ)

 

[成長した男性ドラゴンは群れを離れ単独行動しています

 発情期に入った女性ドラゴンのフェロモンを嗅いだら求愛をしてくるようです

 

 その際に一族の族長に気に居られないと追い返され、受け入れられると二人で子作りを行うハネムーンに出かけます

 自分の群れの出身か、余程の代わりものか、乱暴者でない限りは単に好みだと推測されます]

 

(群れの出身者か、グローリア 兄弟が居たとかは聞いていないのか?)

 

(いえ、特に聞いていないですよ)

 

(そうか、ならグローリアは孤児と言う事だから前者は無視して良さそうだな)

 

[族長と本人が相手を受け入れれば、一週間から一カ月ほどの間ハネムーンのように出かけます

 その間に子作りを行うようですが、何分観測事例は一例しかしかありません

 それが終わると女性ドラゴンは群れに戻り、出産後に家族で子育てを行います

 男性ドラゴンはまた縄張り戻るようです]

 

(という事はグローリアが最後の一人なので単独で子育てすることになるのか?)

 

[はい、本来であれば長老とその子供や孫たち一族で育てます

 グローリアの場合は私達も含めて子育てすることになりますね]

 

 オスは単独かまたはオス同士の一時的な群れを作り、繁殖期のみ番いを作り子育てには余り関与しないという。

 人類が居る惑星の大型の動物としては比較的常識的な範疇の生態だった。

 

[あとまだはっきりしませんが、ドラゴンは恐らく卵胎生で一度に一〜二頭の子供を生む形になります]

 

(なるほどなあ)

 

[それと、婚姻期間以外に出会うと、以前グローリアが争ったようにルールにのっとって決闘が始まるようです]

 

 ドラゴン奥が深いな。

 

(それにしてもどうやって相手と引き合わせるか?だよなぁ)

 

(出会いも考えないといけないわね)

 

[現在の生息分布ですと樹海まで飛来してきそうな個体は居ません]

 

(そうなると此方から出掛けてドラゴンにコンタクトして『こんにちは うちの一族に居る娘のお婿さんになってください!』とか言わないといけないか…?)

 

(アラン それはちょっとアレよね…)

 

 セリーナがちょっと引いた感じで言う。

 

(だよなあ、第一グローリアだから会話できているが、普通のドランとは会話など出来ないぞ

 だからと言って強制的にナノムを与えるのも問題だし)

 

 グローリアを介して会話してもいいが、人間が族長という事を説明するのも一仕事だ。

 考えれば考えるほど頭が痛い。

 と、さんざん悩んでいた時にふと思いついた。

 

(イーリス そういえばドローンにはスピーカー装備されてなかったか?)

 

[はい、それ程の出力ではありませんが地上への警告などに使うために装備されています]

 

(ドラゴンの声を合成してスピーカーから出せないか?

 相手の声はマイクで拾って同時通訳すれば、何とか意思疎通ができる気がするがどうだろう?)

 

[…アイデアとしてはありだと思います]

 

(ドラゴンの声は合成できそうか?)

 

[音声で合成するにはさらに言語解析を行う必要がありますが、可能です]

 

(よし、今度グローリアに手伝ってもらって実用可能か検証しよう)

 

[承知しました ディー・テン伍長を通じてスピーカーとマイクで会話可能か試しておきます]

 

(イーリスの言語解析に全てが掛かっているからな)

 

「責任重大ですね、優先してリソースを割り当てます」

 

(よろしく頼む)

 

 こうして『グローリアのお婿さん』作戦が開始されたのだった。

 

 





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