童貞社畜が社畜エロ羊となるまで   作:タイツ信者真君

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元社畜甘雨が仲間入りするまで

サヨウナラ...ゴシュジンサマ...

 

「あー!!シールドやっと割れたのに!!!ごめんねノエルちゃぁーん!」

「お前、元素反応まだ良く分かってないだろ。物理で殴ってばっかりじゃん。何だって良いから元素付着させてみ?」

「う、うん…わかった」

 

コイツハドウダ

 

「これで敵に元素がついたわけ。まずこれを周囲に拡散しようか」

 

カゼノオモムクママニ...

 

「この状態でもう一つ元素付与すると…」

 

サイナラー

 

「はっ?こんな簡単に10万ダメとか出るの?元素反応ってすげぇ!」

「そうだろ?これを使えるようになると、原神はもっとおもしろくなる」

 

 

 

懐かしい記憶を思い出した。確かゲーム始めたての頃、何が何だか分からずに大剣で殴っては飯食べて回復の繰り返しをしていた。

『元素反応』の仕組みを理解してからは簡単に火力が出せるようになって、ずっと倒せなかったボスも撃破出来るようになった覚えがある。そのときの達成感は凄まじかった。

 

今世でも早く元素力を扱えるようになれば、あのとき学んだ知識を生かすことが出来るのかも知れない。神の目も、『契約』によって元素が使えるようになったわけでもない僕にとっては、まだ無縁の話だけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

野営では、メンバーの内二人が起きて見張りをすることになった。流石に徹夜で二日間も戦うことは難しいからだ。

どんな武人にとっても睡眠は大切な薬であり、欠けてはならないもの。僕も寝ている間は索敵と周囲への警戒は止めて、おとなしく休息をとっていた。

 

だが、明け方のあるとき、寝ていても分かる不吉な気配と留雲真君がくれた防犯用ベルがけたたましく鳴り響いて目が覚める。

僕は持ち物の中から弓を取り出し、寝ている風丸を起こしてテントから這い出た。

 

テントの外ではヴォルさんと胡元ちゃんが何事かという表情をしながらこちらを見ている。だが、今は説明する間も惜しい。

 

「今すぐ武器を持って!戦闘が始まります、早く!」

 

その言葉に3人は一切の疑問を持たず、速やかに戦闘準備に入る。さすが軍人さんだ、十秒もかからない内に準備を済ませてきた。

 

その間に僕は、一通り斥候としての役割ぐらいは果たしておこう。麒麟の力をフル活用して、辺りの自然から情報を受け取る。周囲に罠…なし。害意のある生命体…一体確認。距離およそ400m西方。

 

特別大きな反応がある。これは昨日の魔物なんて比じゃないぐらいの大きさだ。最悪全員ここで死にかねないぐらいの強さ。

身バレを恐れて出し惜しみなんてやってる場合ではない。今のうちに出来ることは全部やる。

 

「『麒麟』の血が、貴方たちを守ります。…これで、数秒間隔ごとに体力が回復します。万が一攻撃を受けても、安心して戦って下さい」

 

三人の視線が僕に集まる。あー、もう嘘ついてたのがバレちゃったかな……これが終わったらお別れかも。今のって、明らかに草元素の力じゃないし。せっかく仲良くなったのになぁ。

 

しかし、僕に投げかけられた言葉は、嘘つきを弾糾したり問いただしたりするものではなかった。

 

「ありがとう、甘雨殿。これは、暖かい気持ちになるでござるな……」

「そーねー。これだけお膳立てしてもらってるんだし、絶対やっつけないと!」

「そうだな。甘雨様、できる限りの援護をお願いします。僕らも、全力で戦わせてもらいますよ」

 

みんなぁ…

 

 

 

 

 

「目持ちがこぉーんなに沢山!それに雑魚そうだ、全部喰らってやる!!」

 

ようやく姿を現した、全長20mはあろうかという巨大な蛇が僕たちを視認するなり声を響かせた。体がいくつもの節でできており、ポケ●ンのイワ●クとか●ガネールに似ている。

目はホオズキのように真っ赤で、凶暴そうな目つき、それになんでも飲み込んでしまいそうなほど大きな口。加えて、体の表面には帝君のほど玉璋防壁には及ばぬもののかなりの高濃度岩元素の鱗を身にまとっている。

 

そして、何より僕が許せなかったのは、奴のお腹からはいくつもの血の匂いがしたことだ。

 

外側は、まるで元々赤かったかのように血で真っ赤にただれている。鳥や狐、イノシシや人間などを、移動中に踏み潰したのだろう。細切れになった肉塊も表面に付着している。

内側は……考えたくもない。ともかく、僕はこの岩蛇が、こんな穏やかな自然を踏みつける恥知らずな生き物に思えて、極めて憎く感じた。

 

だが、激情だけで倒せるような相手とも思えない。

奴は図体がバカデカい割に移動中の速度は素早かった。それゆえかなりの俊敏性を持つことが予想される。撤退を考えるならば、最低でも一人のおとりが必要となるだろう。

 

さらに一番の問題はあの外壁だ。全てを削りきるか、それ以外の突破方法を考えつかなければ討伐は不可能。さて、どう動くか…

 

 

 

 

「拙者が先陣をきるでござる!くらえ、『紫電・二連撃』ッ!」

 

気づけば突風のような速さで風丸が飛び出していた。疾風をまとった剣先でその巨体に襲いかかる。

だが、風の元素攻撃では、岩のシールドは剥がせない。これまでは無類の強さを誇ったその一太刀も、無慈悲にも受け止められてしまう。

 

「なにっ!?ぐわぁぁぁぁぁーーッ!!」

 

そのまま岩の尻尾に体をたたきつけられ、苦痛の表情を浮かべながら吹き飛ばされていく。相当な衝撃だろう、先ほど僕の仙術で持続回復はしているはずだが骨は折れているかも知れない。

僕は風に仙力を乗せ、特に強く打っていそうな場所を回復させるように風丸の体に仙力を流す。あっ、立ち上がった。体は動くみたいだ、良かった。

 

「やってくれたねぇ!!『鳳蝶の鼓翼』!」

「凍れ、『極寒強襲』」

 

胡元ちゃんとヴォルさんは中距離を保ちながら続けて元素攻撃をする。これも、それぞれ下級の妖魔程度なら容易に葬れた技だ。それに、氷元素と炎元素が合わさって『溶解』反応が起きている。大多数の魔物が喰らったらひとたまりも無い、超高火力の技となっている。

 

だが、魔神の一歩手前までにも迫る妖魔は、そう簡単に倒せるものではない。

 

氷が昇華した水蒸気の白煙があたりに立ちこめるが、霧の中から再び姿を現した岩蛇には傷一つついていなかった。やはり今の僕たちでは、あの岩元素の外皮と突破する術がないのか。

僕も後方から矢を放ち、目や口などの数少ない露出部分を狙い撃とうとしているが、自分の弱点を理解しているのか器用に防いでくる。頭もよく回るらしい。

 

「俺にはこの岩の鎧があるから無駄だ!全員ここで死ぬんだよ!!この『ジャイワ』様の腹の中でなぁ!!」

 

勝ち誇った岩蛇が大きめの石礫を飛ばしてくる。こちらは皆回避をして無傷だったが、このままではジリ貧だ。

 

「まずいよ、攻撃が効かない!」

「防戦一方でござるな……」

 

相手の攻撃を避けきることが出来ても、こちらの攻撃が通らなければ意味が無い。

加えて、実力的にはあちらの方が数段上だろう。時間が経てば、疲労でこちら側が不利になることは明らか。絶体絶命だ。

 

 

クソッ、どうすればいい?思い出せ、岩元素を剥がすにはどうすれば良い?何か、何かあったはずなんだ…!

 

 

 

 

 

「岩元素のシールドを剥がすには岩元素をぶつけるか両手剣での攻撃が最善だな。爆発属性の攻撃でもいいけど、巻き込まれないように注意しろよ」

 

 

 

 

 

そうだ、そうだった…!ゲームでは確か、『ヒルチャール岩兜の王』が倒せずにいたところに友人がアドバイスしてくれたんだ。

 

 

奴は尻尾で大岩を打ち出し、こちらに飛ばしてくる。でも焦るな、思考を巡らせろ。

 

この中で確実に不可能なのは『両手剣攻撃』だ。ゲームではよくやっていたが、誰も両手剣を使っていないしその辺りに都合良く落ちているとも思えない。

 

次は『爆発属性攻撃』だ。ゲームでは樽爆弾がこれに該当した。だが、それに限らず爆発するものならこのテイワットにいくつか存在する。

火薬などもその一つだ。ここは廃鉱なので一見あり得そうに思えるが、昨日廃鉱内を探索したときには見当たらなかったし火薬独特の匂いもしなかった。これから探すのも不可能に近い。

 

水蒸気爆発を引き起こすことも一瞬考えたが、僕は無学故仕組みをよく知らないし、あの大蛇全体についている岩元素の鱗を剥がすほどの爆発を即興で起こせるかと言われたら不可能だからこれもボツ。

 

 

前線で風丸が再び尻尾になぎ倒される。軽く脳震盪を起こしたのだろう。すぐには動けず地面に這いつくばってしまう。

岩蛇はその上空に岩元素で巨岩を作り出し、勢いよく落とす。あのままだと押しつぶされてしまうだろう。

 

「危ないッ!!」

 

仙力を足の筋肉に流し込んで、風よりも早く跳躍する。なんとか押しつぶされる直前で間に合い、抱きかかえて窮地を脱した。

今度は仙術で頭を重点的に回復させる。脳をやられたら確実に終わりだ、なるべく揺らさないようにして意識を戻させる。

 

「か、かたじけない…甘雨殿」

「危なかったです!もう少しで押しつぶされるところでしたよ!」

 

よかった、なんとか無事だった。間に合わなかったら、岩に押しつぶされて目の前でR-18G不可避な惨状が広がっていたかも知れない。

 

 

岩に押しつぶされる…まてよ。

 

 

僕は岩蛇の攻撃に注意を払いながら辺りを観察する。今の戦闘場所は野営場所から少し離れた、高く高く聳える天衡山の麓。鉱石が沢山採掘される山岳地帯だ。ここからも、石珀や水晶などが表面に露出しているのが確認出来る。

 

……『岩元素』の攻撃を当てる、これならイケるかも知れない。ただ、それには皆の協力が不可欠だ。それに運も。

 

 

「五分だけ、いや、三分だけ時間を稼いでくれませんか!!」

 

 

混戦の中、僕は後方で声を荒げる。敵から視線をそらせないため、皆は振り返らない。

だが…

 

「三分なんて余裕です。そうだよな、風丸!」

「いかにも、もう遅れはとらぬでござるよ!」

「絶対持ちこたえて見せるから!」

 

緊急の作戦にも関わらず、三人は疑うことすらせず、そのまま戦闘を続ける。

彼らが、こんな僕を信頼してくれている。そう思うだけで、目頭が熱くなった。

 

 

 

 

 

 

岩元素のシールドは、岩元素をぶつけることでも破壊することが出来る。しかし、僕たちの中に岩元素を扱える人はいないため、これも一見不可能のように思われた。

だが、ここ元鉱山。宝石や鉱物は濃厚な岩元素を含むため、元素溢れる場所を好む生物のたまり場となっている。実際に、昨日は廃鉱の中に数多くの岩スライムを見かけた。

 

僕の作戦はこうだ。僕が天衡山を駆け登って岩スライムを探し、位置エネルギーを使って麓の岩蛇を上から押しつぶすことで岩元素シールドを剥がす。

名付けて「落石注意」作戦!この作戦には『高度』と『岩スライム』の二つのピースが必要である。

 

だから、今僕は天衡山の斜面を全力で駆け上りつつ、スライムの気配を探している最中だ。

そしてようやく、ある程度の高度があり、周囲に岩スライムの気配が点在している場所を発見した。

 

「スライムさーん、出てきて下さーい!!美少女から湧き出る濃厚な元素力を吸って良いですよぉ!!!!」

 

……反応はない。何故だ、僕だったらすぐ飛びつくぞ。いつもすぐ来るくせに。

 

もう一度気配を確認すると、先ほど察知したスライムの気配が動いてないことが分かった。

なるほど、僕の元素力よりただの鉱石に含まれる元素力の方が魅力的ってか。

 

だが、いちいち一匹ずつ集めて回る訳にもいかない。そんな手間を掛けてたら時間がかかりすぎてしまう。

 

解決策としては、まあ簡単なことだ。僕の元素力がこの辺りの鉱石のそれよりも上質で魅力的であれば、このスライムたちは飛びついてくる。

 

やるしかない。全ての仙人は元々元素エネルギーを操る力を持っており、『契約』することで神の目と同等レベルで元素力を扱えるようになる。

つまり、三つ目の眼を開眼できる(三眼五顕仙人になれる)と留雲真君が仰っていた。

 

僕はもう『契約』だって済ませた。僕にだってその素質は十分にあるはずなんだ。何も完璧に扱おうとは思っていない、元素力の放出が出来れば良いだけだ。

あんなに難しかった仙力の捕捉だって出来たんだ。元素力だって簡単に操れるはずだ!!

 

僕はこれまでに元素と触れた経験を思い出す。意味深な風の精霊、超凄い帝君バリア、そして、3人の神の目から溢れ出る強い願い。どれも似たような感覚だった。これが僕の中にもあるはず…

 

 

「……掴めた!これを僕の内側から引っ張り出していけば!!」

 

 

 

 

 

 

 

「はっ、さっきのガキ、戻ってこないじゃねぇか!こりゃ、お前ら見捨てて逃げたな!」

 

3人はもう限界だった。掛けられた仙術は既に途切れ、呼吸も整わない。

致命的な一撃は避け続けたものの、細かな石礫が体を引き裂き続けている。

 

「まぁあのガキは上玉だ、お前らを丸呑みした後、追いかけて喰らってやるわ!」

 

目の前の岩蛇がごちゃごちゃうるさいが、圧倒的に劣勢なのは事実である。

故に、口答えする体力すらも惜しい。それでも、信じ続けて戦っていた。

 

そして…

 

ドドドドドドドドドド

 

「…?なんだ、地震か?それとも噴火か?」

 

経験したことがないほどの地鳴りを不信に思い辺りを見渡そうとする。

だが、3人は甘雨が作戦を伝えてこなかった為に分かっていた。おそらく、知恵の魔神でも仰天するような奇襲を行うのだと。

 

タネがバレては奇襲は成功しない。故に、彼らは最後の力を振り絞って妨害をする。

 

「お主の相手は拙者たちでござるよ!秘技『風の刃』ッ!」

「よそ見してたらお前のお目々は真っ暗だ、『氷礫』!」

 

彼らの攻撃は、唯一露出している目と口に向かっていった。

流石の岩蛇も鱗に覆われていない部分をやられたらおしまいだ。音の出所を確認する前に、尻尾で器用に頭への攻撃を守る。

 

だが、その一瞬の油断が、彼の生死を分けることとなった。

 

 

 

 

「お待たせしました!皆さんどいて下さい!!」

「何ィ!!ぐえぇぇえええ!!!!!」

 

目にもとまらぬ速さで斜面を転がり落ちてきたおよそ50匹の岩スライムたちが、岩蛇の上にのしかかる。

 

その刹那、あれほど牢固たる外皮が、琥珀色の光を上げながら砕け散った。

 

長らく経験していなかった痛みを覚えた岩蛇は、その疼痛にのたうち回っている。

痛みで機動力も失われている今がチャンスだ。畳み掛けるならここしかない!

 

「今です!ヴォルさん、胸か顔に氷元素の付着を!!」

「了解、甘雨様!凍れ、『極寒強襲』ッ!」

 

ヴォルさんは神の目を光らせ、岩スライムの重みでつぶれかけた頭にに氷元素を貼り付ける。

 

妖魔に常識が通用するのか分からないが、こいつは蛇、つまり変温動物だ。体温を下げて俊敏性を更に下げることで、万が一にも逃げられたり抵抗されたりする可能性を減らそうと考えた。

その読み通り、顔周辺を凍らされた岩蛇は目に見えて動きが鈍っている。今ならどんな大技だって当たるはず。

 

こんなとき、簡単に高火力を出すためには…

 

僕は、懐かしい(ゲームの)記憶を思い起こすように指示を出す。

 

「次は風丸さん、氷を『拡散』させて!大蛇の体全体へと行き渡らせるように!!」

「承知した、『紫電・二連撃』!」

 

風を纏った、まるで閃光のような剣戟が大蛇の頭を切り裂く。柔らかな皮が破けて、鮮血が辺りを濡らした。

さらに同時に生じた氷風が大蛇を包み込み、全身を氷付けにする。

 

「最後、胡元ちゃん、決めて下さい!!」

 

僕の指示に併せて、潜んでいた胡元ちゃんが勢いよく飛び出した。辺りの炎元素が凝集し、神の目に蓄積されている。膨大な熱気が集まっているのが離れていても感じ取れるほどだ。

そして、とどめと言わんばかりに、貯まりきった元素を爆発させた。神の目から放出される炎が、今度は禍々しい槍に凝縮されていく。

 

「おっけー、待ってたよ。はぁぁぁ!『極楽往生』ッ!逝ってらっしゃぁぁーい!!」

 

 

炎の蝶を纏う槍が、大蛇の腹を貫いた。

 

 

 

 

 

 

 

「うーむ、まさか帰終様直々に労われるとは思いも寄らなかったでござる」

「まあまあ、それだけのことをしたってまでだよ!」

 

死闘の末なんとか岩蛇を撃破した僕たちは、帰離原に帰還後、帰終様に呼び出されてその功績を讃えられた。

なんでも、魔神に昇華する寸前の妖魔だったために、あそこで殺しきってなければかなりの驚異となってしまっていたという。

 

そう告げながら僕の方を見てウインクする帰終様は、まるで「ねっ、行っていいことあったんじゃない?」と言わんばかりの表情だ。

出会ってまだ間もないが、あの人は僕のことをなんでもお見通しなのではと思うことがある。正直ちょっと怖い。

 

でも、確かに楽しかったというか、良い出会いだったと言うか…遠征に参加したのもあながち悪くなかったかも。

これまで仙人とは数多く関わってきたが、人とこれほど深く接したのは初めてだ。その……そこそこ仲の良い友達になれた気がする。

 

 

遠征を振り返りながらニヤニヤして歩いていると、目の前で胡元ちゃんが立ち止まってこちらを振り返った。

夕景のオレンジに照らされた、その顔が美しすぎてついつい見入ってしまう。

 

「ねぇ、甘雨ちゃん。あの…無理にとは言わないけど、もしよかったら、私たちとチームを組んで戦ってくれないかな?」

「えっ?」

 

開かれた口から飛び出した衝撃の一言。…あまりに衝撃的すぎて、咀嚼するのに時間がかかった。

 

「…でっ、でも、私は皆にも正体を隠して!」

 

命のやりとりをする千岩軍旅団や法師にとって、仲間との連携をとるのは不可欠。

その点僕は神の目を持ってるなんて嘘をついて参加した、なんて不誠実なやつだ。

 

それに仙人の力だって、ピンチになるまでは使わずに黙っておくつもりだった。使っていれば楽になる局面もあったはずなのに。

 

「大丈夫、作戦、即興なのに上手くいったでしょ?これって、すっごく息ぴったりってコトだよ!それに、本当の甘雨ちゃんなんて、これから知っていけば良いんだし。ねっ?」

 

僕の両手を握って、しっかり目を見て問いかけてくれる。彼女の元素のおかげか、握られた腕がぽかぽかと暖かい。

 

 

…本当に、暖かい。

 

「……じゃあ、これからよろしくお願いします!胡元ちゃん、風丸さん、ヴォルさん!」

「んーん、せっかく同じチームなんだし、ちゃんなんてつけなくてもいいよ!胡元って呼んで?」

 

胡元ちゃんは顔をさらに近づけながら、微笑んでそう言う。ガチでかわいい、惚れた。

 

「は、はい!ふ、胡元……ちょ、ちょっと恥ずかしいですね」

「そんなことないよ甘雨。…あっははは、ごめん。改めると確かに気恥ずかしいね…」

 

やっぱり恥ずかしくなったのか、年頃の少女らしく足をもじもじさせながら顔を赤らめる。

そして僕らは再び顔を見合わせ、はじけたように笑い合った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






「拙者もよろしくお願いでござる。甘雨」
「はい、よろしくお願いします。風丸」

「僕も、僕もよろしくお願いします!甘雨()!」
「えー、…ヴォルさん」
「どうしてですかぁ゛ぁ゛!!甘雨様ァ!」




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