side チュチュ
ついにこの日がやってきた。
「アスティカシア学園祭、開膜‼︎」
「開幕、な‼︎」
学園祭当日だ。あーしらは寮の屋上から沢山の来客が押し寄せてくるのを眺めていた。その中には普段アス校じゃ見られないようなお年寄りや大人まで。日頃の何倍もの喧騒が、祭りの到来を告げている。朝9:00なのに、凄まじい人数だ。
「にしてもお客さん、来るとよいな。」
「だな!せっかく準備頑張ったんだし‼︎」
ちなみに、他のみんなの様子も朝見てきた。
「エアリアル、とうとうこの日が来たね!一緒に頑張ろう!」
「そうだな、スレッタ。頑張るぞい!」
「ニカ、なんでエアリアルに声当ててんのよ………」
「楽しくなっちゃって、つい♪」
技術展示会組(スレッタ、ミオリネ、ニカ)はウキウキ。エアリアルを中心に株式会社GUND-ARMが目指す未来と、新技術の提案をポスターなどにまとめている。またエアリアルのパフォーマンスの時間があり、一緒に踊ったりスレッタのエアリアル捌きを見ることが出来たりする。
「ティル、人来るかな……?」
「不安だよ、アリヤ………」
「私も………」
占い館組(アリヤ、ティル)は不安そう。どちらも3年であり、一昨年の惨状を知っているからだ。ちなみに内装も本物の占い館みたく、紫重視のミステリアスな雰囲気にした。占い師がアリヤで、受付その他雑務がティルという担当。2人はなんかいい感じので、敢えて2人だけにしている。
「よし、皆で最終練習するぜ!いらっしゃいませぇ〜!」
「いらっしゃいませ!こちらメニューです!」
そして、産地直送レストラン組(オジェロ、ヌーノ、リリッケ、マルタン、エラン4号)は客が来た時の最終練習をしていた。ので、あーしらが客役をやった。ホール担当は陽気なオジェロと男からモテモテのリリッケ。どっちもレストランの店員っぽい衣装*1を着ている。
「よしっ、あーしはオムライスで!」
「我はトマトサラダを頼む。」
「かしこまりました〜‼︎」
「オムライス一丁!」
そしてメニューはミオリネが作ってるトマト他野菜類と、アリヤが育てている卵などの畜産系のものがメインだ。普通の洋食レストランに近いと思う。
「ヌーノはオムライス、氷仮面はトマトサラダをお願い。僕は調味料の準備をするよ。」
「ほ〜い。」
「鬱陶しいな……玉ねぎ……」
「目に染みるよね〜。」
ちなみにキッチン担当がヌーノ、マルタン、エランもとい氷仮面。接客が苦手なヌーノ&マルタンと、先日エラン・ケレスが復学し、今まで以上に表に出られなくなった氷仮面が奥で作っている。
というか、エランが復学って何だよ‼︎それじゃあ今仮面被ってる奴は誰⁉︎2人もエランが居ることになるんだけど⁉︎訳分からな過ぎるから聞いたが、学園祭で忙しいから後にして、って本人から言われてしまった。
それはさておき、あーしらはレストランの皆からのまかないを朝食にした後、エバグリ書店までやってきた。今日だけやる、グリグリとあーしの店だ。
「それじゃああーしらも最終練習すっか‼︎」
「了解した。それでは我が店員役な。」
「頼んだぜ!」
レストランの人たちを真似て、あーしらも最終練習をすることになった。
「いらっしゃいませ。どのような性癖をお持ちですか?」
「二言目がおかしい‼︎」
「何故だ?お客様の性癖を知らねば、本をおすすめ出来まい。」
「エロ本以外のが多くしただろうが⁉︎」
「チュチュ、この世の全ては性的対象になり得るのだぞ?」
「それは特殊な変態だけだ‼︎」
ちなみに書店は意外にもエロ本が少なめ。というよりあーしがエロ本以外をかなり増やしたのだ。理由は簡単、エロ本は一部の人にしか売れないから。それにそもそも規制対象なので、エロ本を売るには別の本のカバーをつけてカモフラージュする必要がある。そのためエロ本を増やせば増やすほどカバーも沢山必要になり、それをつける作業にも時間がかかってしまうのだ。一応学内の変態共にはエロ本の買い方を伝えてあるので、売れないことはないだろう。
「とりあえずエロは封印‼︎いいな、グリグリ⁉︎」
「あ、ああ…………」
あとはグリグリが暴走しないことを祈るのみ。頼んだぞ‼︎
そして待つこと10分………
「来たぞォ、変態女‼︎」
「グエル先輩の裏本を頂戴♪」
「なんで私まで………」
ラウダとペトラとフェルシーがやってきた。お得意様だ。ちなみにこんなこともあろうかと、コイツらから回収して復活させた本以外にも用意してある。あと裏本はエロ本の暗号だ。
「いらっしゃいませ。どのようなものをお好みで?」
「僕は兄さんのならなんでもいい。」
「だったら、こちらとこちらがおすすめだ。」
「なるほど、触手モノと男色か。よし、買おう。」
「購入、感謝する!」
すごい普通のやりとりっぽくエロ本をやりとりする2人。来賓でコイツの父親が来てるらしいのに呑気なことだ。早くエロ本バレて退寮しろ‼︎
「フェルシーはどうする?」
「私はふ・つ・う・の、野球の本がいい‼︎ふ・つ・う・の、な‼︎」
「だったら、この野球拳の本がだな………」
「普通のって言ったでしょ⁉︎」
「ん?野球だが………」
「野球と野球拳は別物だよ‼︎」
「なんだとっ⁉︎今初めて知ったぞ………」
「嘘だろ………」
「ほい、フェルシー。これが野球のやつ。」
「サンキュー!」
フェルシーは流石に普通………なんだが、グリグリが普通じゃなかった。野球と野球拳を一緒だと思ってたんかい‼︎文字は似てるけど全然別物だよ‼︎まあサッカーも知らなかったような奴だし、後で教えてやろう。きっと楽しく一緒に遊べそう。
「ペトラはどうする?」
そしてペトラ。さっきグエルのエロ本くれって言ってたような………
「チクビマシマシアクメマシテブラマシマシキンタマオオメで。」
「ラーメン屋みたいな注文すな‼︎」
エロ本の種類を聞いたんかよ………
「それだと………これだな。」
「あるんかよ⁉︎」
「注文通りね。ありがとう。」
「しかも合ってんの⁉︎」
「ご購入、感謝する‼︎」
「ええ…………」
というわけで、なんか知らんけどエロ本が売れた………。しかもすんげえ限定的なやつ。
ラウダたちが帰ってからしばらく待ってると、
「スレッタ・マーキュリーを一つ。」
「帰れ‼︎」
サボりの氷仮面がやってきた。
「今は昼飯時じゃないからレストラン暇。」
「分かるけどさ‼︎」
「どうする、エラ……氷仮面?これとかこれとか……」
「エアリアルの勉強のために役に立つな。ありがとう。」
「嘘つくな‼︎」
コイツ本当にマイペースだよな。しかも割と図々しいし。この間なんか身元バレるとマズいから、女子部屋、しかもスレッタの布団の中に入れろとか言ってきた。もちろん秒で断っておなら部屋にぶち込んだが。
そんなことを思ってると………
「今空いてるかな?」
「エラン・ケレス、だとっ⁉︎」
「そうだよ、エラン・ケレスだよ♪」
なんともう1人、エランがやってきた。しかもめちゃくちゃ人当たりの良さそうな笑顔で。昨日復学したらしく、天使のような微笑みってことで一部(リリッケ)が話題にしてた。嘘だろ、ここにきてエラン・ケレス同士が会合⁉︎やべえだろ‼︎
side 4号
マズいな…………。5号の方が来てしまった………。どうしよう………
side チュチュ
どうすんだよ、この状況⁉︎幸い笑顔の方はまだ気づいてないみたいだけど………
「君、その仮面カッコいいね。」
声かけられてるじゃん⁉︎
「………」ぴょん、ぴょん
「おお、なんか変わった子だね。」
なんかジャンプで喜んでふりしてる‼︎喋ると声同じなのバレるからって、そうすんのかよ⁉︎そしてニュー・エラン、お前はそれで済ますのか⁉︎変わった子どころじゃねえぞ⁉︎
「それはともかく店員ちゃん、」
「ん?どのような本が欲しいのか?」
そして目線をグリグリに戻すニュー・エラン。相変わらずその顔に似合わない笑顔を身にまとっている。それはまるで別人のよう。いや、本当に別人なんだけれど………
「陵辱系ってあるかな?」
いい笑顔で何言ってんの、コイツ⁉︎こんな笑顔の裏に陵辱系好きを隠してるんか⁉︎こっちのエランもヤバいな⁉︎
「あるぞ、これだ。」
「おお〜、すごいね〜。ありがと、これ買うよ!」
「購入、感謝する‼︎」
そしてグリグリ、よく普通に対応できるな!動揺してはいるけれど、なんとかそれを初対面の人には分からないようにしている。いつもより表情に迷いがあるし、声が少し緊張している。あーしは付き合い長いからわかるけど。
「仮面君とポメラニアンちゃんもまたね!」
「あーしはポメラニアンじゃねえ‼︎」
「………」ぴょん、ぴょん
「お前は飛ぶな、氷仮面‼︎」
あとニュー・エラン、地味にムカつく。お前自分のことイケメンだと思ってるだろ⁉︎このクソナルシめ‼︎
side 5号
あの子が噂の天王星の痴女ね。変態だが真面目で天然って感じかな〜。性癖の割に面白いネタは無さそう。近くにいた氷仮面のがよっぽど気になるし。あんなのがいる惑星を昔
まあ、それはいっか♪今はスレッタ・マーキュリーの方を調べろって言われてるからね〜。アレは押せばオチる。昨日確信したし、イケるっしょ!
side チュチュ
あ〜、ヒヤヒヤした〜‼︎
「お前ふざけんなよ⁉︎あーしとグリグリの心臓が死ぬかと思ったぞ‼︎」
「僕のが死にかけたよ。」
「もう二度と来んな‼︎キッチンに巣篭もりしてろ‼︎」
あーしらが匿ってる旧エランと、昨日復学した新エランがすぐ近くにいるってどういう状況だよ⁉︎マジで殺されるかと思ったぜ‼︎
「そしてグリグリ、お前よくやったな‼︎平常心貫くの、怖かっただろ?」
「…………チュチュにはバレてたか。」
「あーしが何も出来なくてごめん‼︎」
「いや、気にすることではない。」
「あとで氷仮面ぶん殴っとくから‼︎」
「何も殴らなくても……」
そしてグリグリ。さっきまでの緊張がほぐれ、どこか安心したような顔を見せる。そのわずかな変化が、どこか愛おしく感じるのだった。
「よしっ、では引き続きエロ本売るぞ‼︎」
「エロ本以外もな‼︎」
そして、一難去ってまた一難………なんとここから2時間半、誰1人として来店しなかったのだった。しかも地球寮全店舗。一体何が起きてるんだ⁉︎
エラン5号の性癖は勝手に決めました。アニメ観た時の雰囲気で。