丸山彩「えっ...エッチしないと出られない!?」 作:我来也
推理やミステリータグをつけましたが対したネタではないです。
「ってて.....首痛てぇ。」
いつもより目覚めの悪い日を迎えた。今まで寝違いのような痛みを迎えたのは大体首や肩の負担の掛かる寝方や長時間筋肉の緊張状態が続いてる時。寝心地の悪い安易な作りのソファで横になってたり頭が横に傾いた状態で座って寝てた時くらいだ。
こういう経験をしてる為俺は寝る時はベッドで自分に合う高さの枕をして寝てる。
昨日の寝方はどういう寝方をしてたのか、何か他に思い当たることを考えていくと段々眠気が飛んでいき意識も視界も覚醒し広がっていく。すると
「────ハッ?エェ!?」
そこには辺り一面の真っ白な空間が広がっていた。
ここはどこだ...?天井、床、壁も、何もかも真っ白だ。
ここまで真っ白な空間が広がってると眼がチカチカしてくる。
は?何故?どういう事?何故起きたら家じゃ無いところにいるのか。ここはどこなのか。意味が分からない。
幸いなのかどうかは分からないが無機質な空間の天井には棒状の照明が照らしてくれている。今確認したなかでの唯一の文明らしさを感じた。
何もかも真っ白な世界にいるせいか思考も真っ白になりそうだ。真っ白になりかけている思考の中で冷静でいろと頭の中で叫び続けている。
まずは何を確認するべきか。そうだこの場所に来る前俺は何をしていたのかそれを思い出そうとした。真っ白な頭の中で少しずつ記憶を、世界の色を思い出していく。
最短の記憶で思い出すのはチームのファクトリーに行ってシミュレーターを使って色々とデータを取り合っていたのを思い出す。俺は高校2年生のレーシングドライバーだ。今はFIA F4というF1に行くための最初の登竜門に位置するカテゴリーだ。
話を戻すが、チームの皆と色々した後ファクトリーから出て家に帰って食事や風呂に入ってるはず...朝・昼・夜の3回の食事のうち俺は2回分食事を抜くと必ずお腹が空くし、風呂に関しては1日でも入らなかったら必ず頭が痒くなるからだ。俺の身体のセンサーが異常を知らせてない以上ここまでは問題ないはず...。それから......それから.....?
それから先の記憶がどう言う訳か思い出せない。家で寝たと思うと寝たと思うが、何かしたのかと思うと、そうかもしれないとも思う。記憶が曖昧すぎてそれ以降の記憶は当てにならない。
目が覚めてどのくらいの時が経ったのだろうか、この空間には時を現すものが無い。───あっスマホ!
スマホがあれば外部との連絡が出来るじゃないか!そう思い俺は自分のズボンのポケットに手を入れようとするとある違和感がある。
───ない。スマホがない。いつもズボンの左ポケットにあるはずのスマホだが、そう言う違和感じゃない。そうこれは俺の地肌。思わず2回ポケットに入れる動作をした後反射的に視線を下に向けると、やはりない。ズボンがない。急いで自分の体を確認する。上半身は裸にジャケットを1着羽織ってるのと下はパンツ1着。しかし不幸中の幸いというべきか、上も下も水着みたいだ。ただなんで水着なのかとても疑問だ。季節はまだ春で夏はまだ少し先だ。しかもこの水着よく見ると俺の水着だ。益々分からない。俺のじゃなく俺の水着という事は俺が水着を着たのか誰かが俺の水着を持って行きわざわざ着せたのか?
よく分からない。ただ現状分かったのは水着しか私物が無い為外部との連絡手段が無いということだ。
何もかも分からない状況に思わず叫びたくなる。ただ訳がわからず自分で自分を傷つけて夢から醒めてしまいたい。
「....うぅん。あれ....ここは....?」
誰かの声が聞こえる。どこか聞き覚えのある女性の声だが反射的に声が聞こえる真後ろへ向けるが直ぐに視線を少し本能的に逸らしてしまう。それもそうだろう。何故なら俺自身がそうだったように彼女自身も同じ服装が水着姿だったからだ。彼女も上はガーディガンを羽織ってる状態だが、同年代の女性のしかも仲の良い女友達でもない関係の水着姿を見続ける度胸はない。まだ彼女は目覚めたばかりでまだ脳も意識も覚醒しきれてない。いきなり目の前の光景をまじまじと見たら情報量の多さに頭が真っ白になりそうだから出来る限り視線を彼女の鼻辺りに向けパニックにならないように体を彼女と同じ位置で屈み落ち着いた口調で話しかけてみることにした。
「目が覚めたかい?身体は大丈夫?」
何故視線を目ではなく鼻辺りにしたのかは俺が元々人の目で話すのが苦手ということが大きい。どういう訳だが、人と話す時頭が真っ白になって自分が何を話してるのか何を話したいのかが分からなくなることがたまにある。そのため話の脈絡が意味不明になることも。そういう事情を誰だったか話したとき、視線をはなや眉間に向けると相手からは視線を向けてる人とあまり変わらないという話を聞いた。それと人と話すとき、話の間を開ける事は決して悪い事じゃない。むしろ間を開けることが相手への意識や注目を浴びることにもなると。話の上手な人は間を使うのが上手いらしい。かのナチス・ドイツで有名なヒトラーは間を使うのが上手な人だと聞いた事がある。
それからある程度は他人と話をしても問題はない。といっても気分としては接客モードのような気分だが。
「はい.....大丈夫です.....。あの、ここは....?」
「いや....俺も良く分からない。目が覚めたらここにいた。」
まだ少し目覚めきれてない彼女に手を出し一緒に立ち上がるよにした。立ち上がったことにより彼女の意識が目覚めてきたのだろう。徐々に目の前の真っ白な異世界に頭が追いついてないようだ「えぇ!?ここどこぉ......」と一周回って泣きそうな感じだ。
「大丈夫じゃないだろうと思うけど、一応大丈夫かい?」
「...っ.....っ....はい...大丈夫です....ありがとうございます....。」
こんな状況だ。落ち着いていられる方がおかしい。そんな人は普段からこういう経験を何度もしてるコ◯ン君達くらいだ。俺だってさっきまで自傷行為までいきそうだったくらいだ。今こうして目の前の彼女がいることや彼女がパニックになってる事で冷静でいられる自分がいる。
───っ///
冷静でいられるようになった為か周りを見れる余裕が出来た影響か無意識に彼女の身体全体を見てしまった。白色をベースにしてベージュ色の水玉模様の入った水着。しかもフリル付きと来た。最初は思わず反射的に見ないようにしてきたが全体を見れる余裕が出来ると思わずその可愛さに魅入ってしまう。見続けてはいけないのに見続けてしまう。そんな欲丸出しの行為に多少の情けなさを感じる。こんな状況の中自分は一体何を考えているのだろうか。
と、俺の視線の動きに疑問に思ったのだろう彼女が自分の体をチラチラと見るとその理由が分かったらしい。「キャッ!」とさっきまで握っていた片手を放し両手で自身の胸と股を隠してしまい背を向けて急いでパーカーのようなラッシュガードで身体を覆いかくした。
言い訳をしても良いのだがこういう時理屈的に言い訳をしてもあまり良い印象がないのが多い。皆もそう思わない?
それより感情的な理由を伝えた方がまだ良さそうだ。だがそれでも多少の理屈は伝えさせてくれ!
「あぁ、いや...すまない。君もだが俺もどういう訳だが水着姿なんだ。誰かが着替えさせたのか記憶がないだけで俺ら自身が着替えてる可能性もある。一応俺が君を水着姿に着替えさせた訳じゃないが見続けてしまった言い訳はしない。ごめん。」
「.....なんで私を見続けたの?」
「.....そりゃあ女の子の水着姿が目の前にいたら誰だって見るでしょ...?」
「.........太ってる人でも?」
「俺にだって選ぶ権利はある。」
言ってしまった後に簡単な誘導尋問のような質問に引っかかってしまったのに気付いてしまった。───あっ。と思ったがやはり遅かった。彼女は「ふぅ〜ん....。」といった後小さく「....エッチ///」と答えて終わった。
ある程度彼女と会話ができたことで自分自身に余裕と冷静さが十分に出来た。彼女にここで目覚める前までの記憶を尋ねてみたが
「私は家でご飯とお風呂に入った後
となんとも言えない情報だった。
しかし彼女は俺の話を聞いて答えてる訳ではない。その上でのこの俺とほぼ同じ行動をしている。まぁ時間帯的に夜だしお互い同じ歳頃だろうしにた生活リズムをするのは当たり前かと思い気にしすぎないことにした。
これで彼女の事件前の行動が多少分かった。その上で何か大事な情報が得られなかったことで手詰まりの状況で頭を悩ませていると「あ....あの....」と彼女が尋ねてきた。
「ん?」と俺が彼女へ視線を向けると「私のこと....覚えていませんか...?」とやや斜め前の質問をしてきた。どういうこと?と思って改めて彼女へ視線を凝視する。彼女が目覚めてから思ってからいるのだが声はどこか聞いたことはあるんだ。だがなかなか名前が思い出せない。
そのことを彼女に話すと少し残念そうな表情をしていたがすぐに切り替えて「まん丸お山に、彩りを!Pastel*Palettes、ふわふわピンク担当の丸山彩で〜すっ!」とひと世代前のおっさんがするようなだっさいゲッツのポーズで紹介をしてきた。
───あれこの感じ、このなんともいえない、いや少しダサいポーズにこの自己紹介...どこかで....。
「あ、君は確か以前テレビ番組で一緒に共演した....。」
以前とあるテレビ局の放送で日本を中心に世界でも活躍する・しそうな高校生をゲストとして呼びトークをはじめ、様々なことをする番組だ。そこで俺は今後世界でも活躍しそうなレーシングドライバーとして、丸山彩はアイドルバンドとして活躍してることで一緒に共演をしたのだ。
「あ、やっと思い出してくれましたね?◯◯さん」
と丸山は少しイタズラっ子のようなニンマリとした表情でこちらを見てそう言ってきた。
「丸山さんはよく覚えてるね、あの時くらいしかまともに関わってなかったと思うけど」
「はい、だってあの番組での脱出ゲームで一緒にやったじゃないですか!◯◯さんのおかげであのゲームは勝ったんですから!」
一緒に共演した例の番組で様々なことをするうちの1つでペアを組んで脱出ゲームをしたのだ。他には雑学クイズやなぞなぞ問題などあるがそれらには俺は出演はしていない。その脱出ゲームで俺と丸山はペアになり一緒に脱出ゲームをクリアしたのだ。と言っても自分で言うのもなんだが問題は基本的に俺が全部解いたのだ。かと言って彼女が何もしてない訳ではない。彼女の何気ないひと言や彼女の問題に対する単純な考え方やボヤキがきっかけで解くことが大きかった。俺からも言わせて頂くと彼女がいたからあのゲームはクリアしたようなものだ。
「じゃ、またあの時以来だけど一緒にこの部屋を脱出しようか。」
「はい!」
本当は色々と話をしたいところだがそうも言ってられない。目の前の問題をどうにかしないといけない。
まずはこの部屋の情報を得る為に一緒に周りを確認することにした。真っ白という統一した色彩の影響か空間の奥行きが若干分かりにくい。がそれでも僅かな影があることで多少は把握することが出来る。見た目では広く奥行きがあるように見えていたが、歩いて確認すると広さは大体学校のひとクラス分くらいの広さだと分かった。そして壁伝いに歩いて行くとほんの僅かな違和感を感じた。今更だがこの真っ白い空間均等にタイルのようなもので作ったのかどうかは分からないが均等に境目が存在するのだ。大体1ドアくらいの大きさだ。それ故に出入り口ドアを探すのが非常に厄介。もう本当にどれでもドアに見えるのだ。もしこの空間がピンク色で統一してたら本当に全部“どこでもドア”にしか見えない。早く家に帰りたいな。
話しを戻すがさっきの違和感は壁の頑丈さが弱い感じがするのだ。周りを確認する。俺の行動に丸山も何か気付いたのだろう。「どうしたの?」と聞いてきた。
「いやここだけ壁が薄いというか違和感を感じないか?」
「───え?」
と丸山も壁を確認する。「確かに薄いね。」と丸山も違和感に気付く。「けど───」と丸山が続けて答える。
「ドアだったらドアノブがあると思うんだけどそれらしいものなんてないよ?」と
確かにそうだ。ドアノブがないと部屋の出入りが出来ない。相手が意図的にドアノブを取ったという可能性もある....。少し悩んでいると丸山が何か怖いものでも見たのだろうか、かなり怯えた口調で「ね、ねぇ....あれ見て。」と真反対の方へ指を指してきたので俺も内心不安を抱きながら指された方向へ見ると、学校とかで使われる白く塗られたモニターディスプレイがあった。なんで今まで気付かなかったんだろうと思ったがそれ以上にそこに表示されてる内容のことで頭がいっぱいになった。それは
『エッチをしないと出られない』
と。今回の出来事だけでも頭が滅茶苦茶な上にさらにこのよく分からないお題で限界だ。俺と丸山はディスプレイの前まで歩き表示されてる文を何度も確認する。終いには例の文を読み上げて何かの間違いじゃないのかと確認する。
「エッチをしないと.....出られない....。」
「えっ....エッチをしないと出られない!?」