丸山彩「えっ...エッチしないと出られない!?」   作:我来也

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丸山彩「エッ.....エッチ....するの...?」

 色々と疑問に思う事が増えて頭がそこまで回ってなかったが、何故犯人は俺と丸山を密室空間に閉じ込めたんだ?共通点はあの一度きり。つまり犯人はあの番組で共演したのを知っているという事だ。番組の関係者なのか、過激なファンによる犯行か?そう思いはするがそこから先が詰んでしまう。

 だったらなぜ『エッチをしないと出られない』にしたのか。例えば犯人がさっき挙げた過激なファンによるものなら『今後関わるな』がメインの犯行文にする可能性が高い。番組関係者が犯人とは思いたくないが、スクープ記事のネタにする為の犯行に及んだ。とかが自然かな。しかしそれなら監視カメラを設置しないと意味がない。

 ならこれはファンでも番組関係者でもない者。それでいて俺と彼女の両方を知る者による犯行か?しかし今それが誰だが判らない。

 謎に思う事を見つけそれを考えてるとまた新たな謎が見つかるというイタチごっこを繰り返す始末。ここは幾つかある謎を一つずつ解いてそれを結び付けた方が良さそうだ。あの壁の謎も解かないといけないが、まずはこの文章を解こう。

 

ではまず①の“この文章は脅迫状でも予告状でもない文章”を紐解いていこう。

 こういった謎解きをあの番組でした時丸山の影響は大きかった。だから彼女の純粋なひと言を貰おうと彼女に質問をしてみた。

 

「ねぇ丸山さん。」

「ん?どうしたの?」

「この文章さ、脅迫状でも予告状でもないならこの文章ってなんだろうね。」

「んー確かにー。脅迫状でも予告状でもないなら.....ただの文?な訳ないよね.....。ごめんなさい。ちゃんと考えます....。」

 

 

 ただの文....。まぁ確かに脅迫でも予告でもないなら大雑把な括りではそれはただの文だ。つまり犯人はただ意味もなく書いたってのか...?いや流石に意味はあるか....。丸山の答えを元に考えていくと.....

 

 

 犯人は、既に目的を達成した?今までの脅迫状や予告状はどれも目的の為の手段とするのが基本だが、もしあの文が手段ではなく目的だとしたらあの文の書き方でも納得出来る。それを元に考えると犯人の目的は俺と彼女をエッチをさせることになる........。

 

 

いやいやいやいや、違うわ。え?判らんぞ....。

 

 落ち着こう。あの文は目的の為の手段ではなくあれ自体が目的。しかし本当にそれが目的だとしたらそれなりの何かがあってもおかしくない。何故ならこの空間にあるのは水着を着た俺らと学校などの教室にある大きなディスプレイしかないからだ。

 

 そう。ベッド等の最低限あっても良いようなものがないのだ。つまり犯人の目的は()()()()()()()()()()()()()()()こと。ならあの文は目的ではなく目標?ということになる。まだ確証はないが自然な感じになってきた。

 そうなってくると疑問②の監視カメラがない理由も大体だが判ってくる。おそらく俺と彼女がここでエッチではないにしろ、何かしたとしてもそれを邪魔したくない。ということだろうか。よくこんな手の込んだ事をしておいて“後はご自由にして下さい。”だ。

 まるで複数人の男女の友達と遊んで途中から好きな人以外誰もいない状況と一緒じゃないか。

 ん?ということはこれは俺か丸山さんのどちらかの友達に近いくらいの親交のある人の犯行ということか?

 

 ひとまず犯人に関しては保留にしよう。そして疑問③の制限時間の記載がない理由だが.....。

 

 と、その謎を解こうとした時に「ねぇ」と近くにまでいた丸山が俺に肩に寄り添って言ってきた。え?アイドルの肩当たってますよ?内心きょどりつつもなるべく普通でいるように「どうした?」と返事をした。

 

「もし....もしもね.....色々考えて行動してもここから出られなかったら....どうする......?そ....その.....///エッ.....エッチ....するの...?」

 

 は?この子は一体何を言ってるんだろうかと思い彼女の方へ顔を向けるとなんとなくだが理由が分かった。おそらく怖いのだろう。顔は下へ俯いてるので表情は分からない。今までずっと脱出することで頭が一杯だったがこういう時不安で怖くなるのは当たり前のことだ。俺だって最初目覚めた時がまさしくそうだった。彼女がいる事で多少の落ち着きがあるが何でもっと身近な彼女のメンタルをケアすることに気付かなったのだろうか。

 俺は彼女に安心感と多少の甘えてきても良いように彼女の頭に手を当て優しく撫でて一言伝えた。

 

「大丈夫、安心して。まだ完全ではないけどある程度の謎は解けつつあるんだ。」

「え!?そうなの?」俯いていた丸山が顔を上げた。この直近な位置で彼女を見ると上目遣いをしてる形になる為ドキッとしてしまう。

「と言ってもまだ全体の3、4割くらいだと思うけどね。というより丸山さん、君は高校生を代表するアイドルなんだろ?そういうエッチするの?とか言ったらダメだと思うが。」

「だ、だって〜.....本当に出られなかったらって考えたら、もうそうするしかないのかなって.....。で、でも誰でも良いわけじゃないからね!?わ、私だってちゃんと相手を選んでね、いや選ぶとかじゃなくてry」

 

 と俺がエッチという言葉はあまり使わない方が良いのでは?という指摘に対して何故かエッチをするならこういう人です。というよく分からない答えが返ってきた。因みに好きな人とじゃないといやらしい。だったらなんで俺にエッチする?と聞いてきたんだと言ってやりたい。

 

「まぁそれに俺たちは夢を追う挑戦者でしょ?丸山さんはアイドル、俺はトップドライバーに。何があっても諦めない。でしょ?」

「うん。」

「この謎解きも同じさ。ただそれが自分の夢に対してなのかどうかって違いだけ。まだ何もしてないのに自分を捨てない。だから丸山さんまだ諦めの言葉は言うのはまだ早いよ。」

「そうだよね、うん。何があっても諦めない....!ありがとう◯◯さん」

「そうだ。折角だから此処を脱出出来た後の楽しい事でも考えてみないか?」

「良いね、それ!何をしようかな〜!」

「そうだな....。またこうして丸山さんと会ったからライブでも観に行こうかな。」

「え?本当!?嬉しいなー!今新曲の練習をしてるから観に来てよ!あっそうだ!折角だから特等席用意しておくからそこで観ててよ!」

「え?いや普通に皆と一緒の席でいいわ。なんかマネージャーかVIPみたいで恥ずかしいわ。」

「え〜!」

 

 丸山と話をして少しずつメンタルが良くなってきたのだろう。だんだん声色が良くなってきた。此処まできたら多分大丈夫だろう。俺も変に気にせず彼女を少しからかってみることにした。

 

「あっそうだ。なら今度俺のレース観に来いよ。折角だからVIPパス用意して特等席から観なよ。あ、パスパレの人数分は用意出来ないかもしれないから丸山さん1人分だけかもだけどどうする?」

 

 さっきの意趣返しと言わんばかりの感じで言ってみた。これで彼女も恥ずかしがるだろうと思っていたが、

 

「え?いいの!なら今度観に行くよ!パスパレの皆と観に行けるなら行きたいけど皆それぞれのスケジュールがあって忙しいからね....。それに私....実はもう何度か観にいってるんだよ?」

「え?」

 

 まさかの意趣返しが効かないばかりか俺が思わず驚くことを言ってきた丸山。

 

「あの番組の後◯◯さんが出てるレースが気になってね、自分なりに調べて行ってみたの!そしたらとても凄かったし面白かった。気付いたら私もレースの、◯◯さんのファンになってた。私◯◯さんのところに行ってサイン貰いに行ったんだよ?気付くかな?って思ってたんだけど、◯◯さん全然気付かなくてちょっとショックだったんだよ?」

 

 知らなかった。F4というカテゴリーで戦うマシンにしろ最大出力160馬力の最高速度230km/hという速さで走るがスタンドやコース外で観てる観客の姿は確認出来る。まぁレース中皆が観客のことを意識して観てる訳ではないので仕方がないと言えば仕方がないのだが、問題はサインしたのにそれに気付かなかったということだ。最近は女性もレースを観にきてくれる事が増えてきたがそれでも貴重な存在だ。ましては彼女の特徴的な桃色の髪色やアイドルの名に恥じない可愛さがある。普通なら気付いてもおかしくないはずだが....きっとレースに集中していて他の事なんか気にしてなかったのだろう。何だか申し訳ない。

 

「いや....すまん.....。レースの事で頭が一杯で気付かなかった。今度来る時はちゃんと見つけるよ。」

 

 俺がそう言うと彼女は「うん...!ちゃんと見つけてね?」とそう見つめて返してきた。その時の表情はなんだか嬉しそうで何かに期待してるようなそんな紅く染まったもので、いつの間にか俺の左腕を彼女が優しくそれでいて強く組んでいた事に不思議と疑問に感じなかった。むしろ、どこか嬉しさがあった。

 

「あ、そうだ!」

 

丸山が何か良いことでも思いついたのだろうか。どうした?と尋ねると

 

「脱出した後のことで1つ楽しみなこと考え付いたの!」

「お〜、それは何?」

「えっとね、連絡先交換しよ?そしたらお互い応援しに行く時此処にいるってわかるでしょ?」

「ん、分かった。色々と楽しみが増えてきたから尚の事ここから脱出しないとね。」

 

 そう言うと丸山は、うん!ととても元気そうに答えた。

 

 さてこの文に制限時間が記載されていない理由を考えよう。これまでの考察から考えていくとそもそもこれは脅迫でも予告でもないからだ。で済めば良いがそうはいかない。俺の考えだとこの文は目標に関することだ。だが目標というのは目的に対して一つの目安となる指標のことだ。例えば『脚が速く走りたい。』という目的で陸上を始めたとする。その中で『100m走を12秒で走る。」という数字を使って具体的な目安を立てるのが目標だ。つまりこの『エッチをしないと出られない』場合だと『3時間以内にエッチをしないと出られない』になるのが普通だ。

 何故記載してないのか。記載してないということは時間の制限がないということ....?つまりエッチをしないとずっと此処から出られないのだろうか。いや流石にそれは安直過ぎるか。

 もうどのくらい時間が経っただろうか。数時間は経っただろうか。ずっと考え続けるとお腹が空いてきた。何か食べ物はないだろうか、いや一度周りを見た時になかったのだからある訳ないかと思い早く何とかしないとなと思った時、ハッと何かに気付いた。もしかして犯人が制限時間を記載してない理由はそう言う事なのかと。もしそうなら、いやそうとしか思えない。だったらもう既に残された時間はないに等しい。

犯人はそもそも、

 

 

制限時間を“記載してない“のではなく”記載する必要がそもそもない“のだ。

 

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