丸山彩「えっ...エッチしないと出られない!?」 作:我来也
最近何か見づらいなと思ってたら段落の存在忘れてました。
段落を覚えました。
”記載する必要がそもそもない”
どういうことか、と言われればそのままの意味だと応える。ざっくりと言うと記載してなくても既にタイムリミットが迫っているということだ。
この空間は密室。天井には照明があり周りは真っ白に染まった空間とディスプレイと俺と丸山だけ。そうそれ以外は何もないのだ。それに窓や空気の入れ替えをする換気扇のようなものもない。かろうじて違和感のある壁はあるが仮にそれがドアだと仮定したとしても隙間はあまりないだろう。つまりこのままエッチをしなかった場合食べ物や飲み物を補給出来ずに餓死で死ぬか、密閉空間による酸素がなくなって死ぬと言う事になる。密閉空間に閉じ込められた場合どのくらいの時間が経つと酸素が無くなってしまうのかが分からないが飲食をしなかった場合は3日で、水分を摂取し続けても7日間が限界だったと思う。流石に数日間俺や丸山が家に帰らなかったら家族や知り合いが警察に届け出が行くと思うが、警察がこの場所に特定出来るとは限らない。
あまり時間を掛けれない。謎④に関してはさっき疑問に思った俺と丸山を閉じ込めた理由である程度推測は出来るので省略するとして、今までの考えを丸山に伝えて情報を共有しよう。
「丸山さん、ちょっと色々と考察してみて俺なりの考えたことを伝えてもいい?」
「何か分かったの?聞かせて!」
俺はこれまでの考察を出来る限り分かりやすく説明した。因みにだが男性は先に結果を伝えてそこからそれまでに至った過程を伝えた方が話を聞き易いのに対し女性の場合は過程から伝えた方が話が分かり易いらしい。
丸山は、「うん、うん。」と相槌をして話を聞いている。けど閉じ込められた理由を伝えたら丸山は頬を紅らめて、「えっ!?」と驚いていた。俺もこの考えは恥ずかしくて伝えるのに結構勇気を出して伝えたんだからね?そりゃそうでしょ?なんか自意識過剰みたいで嫌だし。
因みにさっきまで丸山は俺の腕に丸山の腕を絡ませて組んでいたが俺がさっきの事を伝えた途端恥ずかしくなったのか咄嗟に組むのを辞めたみたい。寂しい気持ちもあるがホッとした自分もいる。何故なら俺たち水着姿ですよ?俺と彼女のほぼ地肌が密着してる状態だったんだ。しかも腕を絡ませていたので男にはない柔らかい大きなモノが肌で感じていたんだ。
限られた時間で脱出をしないといけない中で邪な思考や気持ちがあるとそれが出来ない。一度集中し直して踵を返して丸山と一緒に壁の方へ向かった。
さて久しぶりの壁との対面だ。この壁の区画だけ壁特有の何をしてもびくともしない頑丈さがない。押すと少しだけ動いているし壁の周りをよく見ると僅かな隙間があるのが分かった。しかし僅かな隙間から見える光景を必死に見ようと目をこじらせてもよく見えない。
さて最初見た時に丸山がドアノブがないと言っていた。故にドアを開け閉めする時『ラッチ』と呼ばれるドアをガチャガチャ開け閉めする時一緒に動く物がずっとラッチ受けで止めてしまっている状態だろう。これだと押しても開かないしましては引くことはできない。
俺は右手を顎に当てて、んー。と考える。ドアノブさえ判かればどうにかなるかもしれないだけに歯痒い気持ちだ。
ドアノブ....ドアノブ.....いや待て?
もしかしてドアノブ自体ないのでは....?部屋の内側だけドアノブがないタイプなのではないかと思った。決してあり得ない訳ではない。何故ならこの部屋は普通の部屋ではないからだ。
そう例えるなら実験の収容所や牢獄みたいなものだ。そう考えると脱出はほぼ不可能だ。ならどう考えようがどうすることもできない。警察などの外部が助けてくれることに賭けるか、彼女とエッチをするしかないのか...?
さっき何だかんだで腕を組んでいた時緊張もしたがそれ以上に何処か嬉しさもあった自分に気付いた。きっと俺は少なからず彼女に、丸山に好意を抱いてると思う。だがエッチをするにしても今の環境下でするのは、こういう非常時だからという環境を言い訳してるようで嫌だ。彼女とそう言う事をするなら自分の意思で彼女の意思でシたい。
いや意思の問題でどうこうなるのなら周りの環境は関係ないのか?だったら普通に彼女と自然に良い雰囲気を作りそこからエッチをする流れになれば此処から出られる...?
いやさっき俺は丸山に“諦めない”と言ったばかりではないか。何を考えているんだ、俺は。今絶対にここでエッチをしてしまったらその後の彼女との関係が綻ぶことになるぞ。それより此処から出た後の約束を思い出してこれからの彼女との関係を作って行った方が良いに決まっている。しかし此処から出られなかったら元も子もないないのでは...?
やっぱり此処で丸山とエッチを....セックスをする...?
ん?エッチ...?セックス...?
意味合いは同じだが定義の範囲が違う気がする。例えば裸の男女が抱き合ってキスをするのはエッチか?エッチだな。しかしそれがセックスか?と問われるとセックスではない。という人もいるはず。あの文を思い出すとあの『エッチをしないと出られない』には主語がない。◯◯と丸山がエッチをしないと出られない。とは記載してない。と言う事は1人エッチ....で済ませても問題はないということか?もしこれでダメならちゃんと細かく書いとけって文句を言いたくなる。
しかし流石に彼女がいる中でここで1人で済ませたくはない。何が悲しくて悔しくて情けなくてしないといけないんだ。でも丸山の1人エッチは興味がある。いやダメだ。彼女はアイドルなのだ。彼女に恥をかかせるくらいなら俺が恥をかいた方がいい。
とにかく1人エッチと彼女とのセックスは仮に最終手段として今最も早く確実に此処から出られる方法は彼女とセックスとまではいかない範囲でのエッチな事だ。キスでも十分当てはまるだろう。
キスか.....
丸山にこの推察を伝えてキスをしても良いのだがこういうので彼女の唇を奪うのは嫌だな。前言ってたそう言う事をするなら好きな人が良いと言っていた。もう既に好きな人とキスをしたのだろうか。それなら少しは気が楽なんだがもしまだ俺と同じくキスしたことがないのなら...心が痛む。
そういえば丸山は今好きな人はいるんだろうか...?アイドルだから恋愛禁止なのだろうか。それとも芸能人でもあるのだから色々な人と出会って関わっていくからそういう人を見つけたのだろうか。俺は気になったので聞いてみることにした。
「なあ丸山さん、丸山さんって好きな人っているの?」
「え、えぇ!?ど、そうしたの...!?」
「あ、いや、気になってね。此処から出る内容の事もあるし....それと少し丸山さんについて色々と......いや何でもない。それでどうなの?」
「え?ちょっと待ってよ!さっきの凄く気になるんだけど!なんて言おうとしてたの!教えてよ〜!」
「だから何でもないって、良いから教えてよ。」
「言う訳ないじゃん!そっちがなんて言おうとしたのか教えたらいいよ?」
と段々ヒートアップしていくうちにいつのまにかまた俺と丸山との距離が縮まって言い合う度に肩や肘で押し合う感じになる。
「嫌だわ。というか本当に何でもないから。で丸山さんは好きな人いないの?答えないとこちょこちょするよ?」
「え?それズルい!なら私もさっきの何言おうとしたのか教えないとこちょこちょするよ?」
此処までくるとただのバカップルみたいな感じだ。なにこれ?これ以上話を平行していくのも悪くないがそういうのは次の機会があった時にでもしよう。
「分かった分かった。丸山さんが答えたら俺も答えるから。一応先に質問したのは俺だから悪いけど答えてね?」
「ん〜!...はぁ、分かったよ。でもちゃんと教えてよ?」
了解と言って丸山の答えを待つ。
「好きな人は....いるよ?」
と頬を紅く染めてこちらに顔を向ける。
「いるのか....その人はどんな人なの?」
どんなところが好きになったの?と聞くよりどんな人なのかを聞いた方が良い。それはそもそも”どこが“ていう明確にココが好きになった訳ではないと思うし恋愛て素敵なところもそうじゃないところも含めて好きになっていくものだと思うからだ。それよりその人の人となりを聞いた方が相手は色々と話してくれる。
「その人はね....最初会った時私は緊張したの。」
「緊張?その人は怖かったの?」
「ううん。ただ私もその人も初めてで、慣れない事だったから緊張してたんだと思う。だけどしばらく一緒にいるとお互い慣れてきたのか分からないけど少しずつ話せるようになって少しずつ彼の事が分かってきたの。少しぼーっとしてたり偶に変な答えが返ってきたりで面白いなって思う事があったり、でも物凄く何かに集中して凄いことをしたりで、だから私思ったの。なんか不思議な人だなって。」
「そこから気になって好きになったの?」
「そうなのかも。でもその人にあることを言われたのがキッカケかも。」
「あること...?それって?」
「教えないっ!」
そう言うと丸山は、はい終わり。と言い次は貴方の番だよと促された。
本当に対した事ではないと再度伝え先程考えついたこと、そして最終手段としてキスをすることになるかもしれない事を伝えた。その事で丸山はどう思うのか、もし好きな人がいるのなら、と。
「◯◯さん、色々考えてくれてありがとう。私も色々力になれたら良いんだけど、余り力になれなくてごめんね...?だから、もしもの時は仕方ないよ。その時は....キスしよ....?」
その言葉は彼女の最大限の優しさだったが、俺にとっては最大の屈辱だ。それは俺がこの密室トリックが解けなかった敗北を意味する。俺はレーシングドライバーであり探偵ではないから仕方ないのかもしれない。しかし自分が多少自信のあるものだ。負けたくない。彼女の優しさに負けたくない。
俺は彼女の言葉を聞いて自身を奮い立たせる。
「いや今の言葉を聞いて俄然やる気になれた。何が何でも此処から出てやる。」
思わずいつもの声ではなくどこか低くそして重い声色が出てしまった。それは怒り...?いやきっと悔しいのだ。
俺は改めてドアを凝視しそして周りをよく触る。視覚、触覚、そして聴覚を使い、叩いて音の聴こえ方の違いを意識する。
先程以上に本気になって調べてたからだろうか周りの壁を比較していくと僅かな違和感と音の違いに気付く。周りと比べてこのドアだけ出っ張っているのだ。薄いのに出っ張っている。これはどういうことだ?
普通出っ張っているのなら薄いというより分厚いはず。此処だけ壁の設置位置がずれているのだろうか。それも有り得るがそれ以外の可能性はないだろうか。俺はもう一度周りを見て確認する。出っ張りから見える僅かな壁を横から凝視する。
すると本の少しだけ、少しだけ壁の横の色が違うのに気付いた。そこから判ること....。それは何かが壁の上に重ねてるという事。ならこれを外せば....!と思い僅かな隙間から指で掴み外せるか試みる。どうやらプリントのような物で上に重ねてたようで思いの外簡単にクリアできた。
さてこれで此処から出れる可能性が高まってきたというところで、ふと丸山を見ると何だか様子が変だ。
「丸山さん、どうかしたか?大丈夫?」
「う、うん....大丈夫だよ....?」
と大丈夫じゃない人特有の返しがきた。なんで明らかに大丈夫じゃない人はこぞって最初は大丈夫って言うのだろうか。
「本当に大丈夫なら深くは聞かないけど、明らかに大丈夫じゃなさそうな人が大丈夫って言って気にしない人ほど俺はそこまで薄情じゃない。どうした?」
と丸山に近付いてそっと丸山の上腕に手を添える。なるべく彼女が安心して頂けるようにした。すると丸山は俯いて恥ずかしいのと申し訳なさがあったのだろう。両方混ざった声色でただ一言。
「あ...あのね....ト...トイレに...行きたい.....」