丸山彩「えっ...エッチしないと出られない!?」 作:我来也
これでこの物語は一応終わりです。
元々はたいした謎解き要素なんて空っぽでありただの読解力だけでどこまで考察していけるのか、だけでした。
その曲はなんというか彼女らしい皆を応援する『アイドル』らしい曲でもあり彼女が俺に対しての想いも何となくだが伝わった。
──嬉しかった。
俺は自然と目から一粒の涙が流れるのを感じながら彼女の想いを聴き続けた。
「ありがとうございました!皆!そして私の大切な人!───私も大好きです!」
あの時のお返しとばかりに彼女は自分のステージで想いを伝える。意味深な一言だと感じる人は多いだろう。色々考えると怖いがその時は丸山と一緒に考えよう。個人的には丸山のリスクの少ない選択肢を選んでも構わないが本音としては堂々と宣言して堂々と付き合いたい。
まぁ何にせよ嬉しいんだ。今はその気持ちで一杯だ。せっかくだ。このまま乗ってこの後久々丸山に会って少しお話しでもしたいな。そう思い丸山にL◯NEで「お疲れ様。終わった後丸山が良ければ◯◯で待ってるから久々会おう。」と送った。
連絡に気付かない可能性もあるけど、彼女に限ってそれは無いかな。エゴサーらしいし。ライブが終わった今、自分のライブがどうだったかSNSで感想を探してることだろう。
俺は先に集合場所で待つために歩いて向かおうとした時通知が鳴った。画面を開き確認すると丸山からだった。内容を確認すると
「ありがとう!◯◯君良かったらこっちに来てくれない?場所は□□にある控え室!入っても大丈夫にしとくから!」
と、どうやらこれは行かないといけないみたいですね。とりあえず「了解」と送信し丸山が向かった場所に向かう。
これから当初の目的地に行く予定だったため対して遠くに行ってない。これなら歩いて十数分で着きそうだ。
少し歩き控え室前に着いた。普段通らない廊下を歩いてきた為苦手なマップを覚え、何度もこの道で合ってるか?と思いながら目的地に着いた。丸山だけいれば特に問題なく普通にノックして開けるが、おそらく丸山だけじゃない。下手すればパスパレ以外のバンドがいるかもしれない。そう考えると色々緊張する。まぁ考えるだけ無駄だな、いいや。ノックして普通に入ろうと思い2回ノックして確認する。
「丸山ー?俺だ。◯◯だ。」
「はーい!今開けるね。」
”ガチャ“と開く音が鳴りドアが開くとまだ衣装姿の丸山がいた。てっきりもう着替えていたと思っていただけに思わず面を食らう。
「お、お前。着替えてなかったのか...?」
「うん。まだ終わって間もないからね。それに...」
「....?」
「──どう...?この衣装?可愛い?」
ばっか。今ここで言う訳ないでしょ?周りの人に....ってあれ?
俺は中の控え室を見渡すが誰もいない。どうやらずっと彼女1人だけだったみたいだ。
俺が周りを見渡してたのに丸山は気付いたのか「ンフフっ」と笑って再度問い直すかのように首を傾げて答えを求めてくる。
誰もいないのなら素直になって伝えよう。
「───うん。とっても可愛い。凄く素敵で似合うよ。」
俺はありのままの感想を精一杯伝えた。丸山は温かい笑みを浮かべ抱きついてきた。
ここしばらく連絡はしてもなかなか会う事は出来なかった。
同じ「好き」という言葉でも伝え方によっては情報量の違いがある。例えば文字だけの場合と電話での「好き」の伝わり方は違うだろう。更に直接伝えたり、手を重ねて伝えた場合でも想いの伝わり方が違う。
つまり丸山は俺の言葉の想いが十分伝わったのだ。こうして直接会って彼女と話たり、こうして抱きしめられるのをどんなに待ったか。俺も抱きしめ返して行動で想いを伝える。
「そういえば、他の皆はどうしたの?もう帰ったの?」
「ううん、この後は『CiRCLE』でちょっとした打ち上げパーティーをするみたいだから皆そっちに行ったよ。」
「え?丸山は行かないの?」
「用事あるからちょっと遅れるって伝えたよ!だから安心安心!」
「.....じゃあ少しだけ一緒にいていい?」
「うん....///」
今度は俺から丸山に少しぎゅっと抱きしめる。んっ、と少し丸山の声が漏れるが、決して痛くてというよりどこか甘い感じの漏れた声だった。
僅かな時間、肌を重ね合った後今日のライブの感想を伝えた。もちろん彼女の歌声やこの曲が良かった等、後は他のバンドの感想も伝えた。
今日の感想を伝えるのもとても重要だが、ふとあの密室での会話で気になる事を思い出し今なら彼女は教えてくれそうだと思ったのである事を聞いてみた。
「ねぇ丸山」
「ん?何?」
「前閉じ込められた時にさ好きな人の話で、ある言葉を言われたのがきっかけで気になり始めたって言ってたの覚えてる?」
「◯◯君よく覚えてるね。それで?何て言ってたのか気になったの?」
「うん。因みにだけどそれ言ったの俺?」
「そうだよ。◯◯君だよ。」
俺は1番最初に彼女と会った日何か特別な事を言ったのだろうか。あの収録の出来事を可能な限り想起させても出てこない。俺が記憶を掘り起こしてるのを察したのだろう。丸山が、えっとねと言って話始めた。
丸山は自分自身の事を才能のないただの平凡で努力をすることしか出来ないと思っているそうで、その事でたまに悩むことが一時期あったらしい。
「どんな人でも、努力すれば夢は叶うという事を伝えたい。」彼女がアイドルになった理由の一つだがパスパレをはじめ、周りの色々な才能のある人たちと関わる事で少しずつ自分の在り方に自信がつかなくなってきた。
そういう心情を抱えてきてた時に例の収録に俺と一緒に出演し番組のネタである脱出ゲームや謎解きをした。周りの同世代の出演者もあらゆる分野での第一線で活躍、期待され番組の企画でも彼女と違い活躍していた。
彼女の精神が更に落ち込み、収録が終わり番組で一緒にペアを組んだ俺に挨拶に行った。落ち込みや悩みも重なり、ふと丸山は俺にボヤいたらしい。
「◯◯さんは凄いですね。クルマのレースだけじゃなくこういったちょっと頭を使うやつも出来るなんて、ちょっと羨ましいです。───私は今日の謎解きも全然出来なかった...頑張って努力するくらいしか出来ないのに...」
その頑張って努力しても結果が中々出てこなかった。そんな中、彼女にしては珍しく才能のある人、出来る人に対し嫉妬してその力に切望して言葉や態度として顕著に現れた。
そんな彼女の言葉に対し俺はこう言ったらしい。
「頑張っても結果が出せなきゃ意味がないって言う人がいる。まぁそれも正しいけど────でも、それでも頑張る貴女の姿を見て救われた人はいる。だからそれはきっと価値のある事なんじゃないかな?」
彼女はその言葉を聞いて誰もいないところで涙を流し泣いたらしい。自分の道程は間違ってなかった。自分はこれで良いのだと心が救われたとのこと。
それから彼女は決して結果も大事だがそれに向かって諦めず努力をすることを何よりも大事だと決めたらしい。
「あの時私の気持ちを言えて良かった。あの時貴方の言葉を聞けて良かった。そして何より───貴方に出会えて良かった。」
────??years later ────
今日は久しぶりにとあるテレビ番組に出演することになった。以前出演した同じ番組ではないが、司会者が同じ人とのことで懐かしく感じる。
番組の内容としてはゲストを呼びそこから様々なトークをする番組らしい。俺はその番組のゲストの1人として呼ばれスタジオに向かっている。
俺はあれからキャリアを積み重ねていき国内のトップカテゴリーまでは行けたが世界最高峰のレース『F1』には行く事が出来なかった。まだ可能性がゼロではないがここ近年のF1事情を考えると難しい。
ドライバーとしてF1に行く事は皆の目標でありそこに向けて目指していかないといけないのだが俺は今の国内トップカテゴリーでも十分かなと思ってしまってる。何故なら海外のカテゴリーで参戦してしまうと彼女に会いに行くのが難しくなるからだ。
さて色々している間に収録が始まった。俺たちは裏でご案内されるまで待つ。
そして司会者たちがオープニングのご挨拶をし始め、間もなきゲストのご案内をした。
俺たちはステージへと歩き司会者をはじめスタジオに観に来てるお客さんたちの沢山の拍手を受ける。久々のテレビ出演。今までとは違う緊張を感じるが、悪い緊張ではない。良い意味での緊張感がある。それは前回と違い彼女と一緒だということだ。
『さて本日のゲストは現役レーシングドライバーの◯◯ ◇◇さんとアイドルバンド Pastel*palletesのボーカル丸山彩さんです。よろしくお願いします!』
「「よろしくお願いします。」」
『以前別の番組で一緒に出ましたけどそれ以来ですね。───◯◯はそれ以来のテレビ出演ですけど緊張しますか?』
「そうですね、以前程ではないですけど緊張はします。でも以前共演した丸山さんがいるので安心はしてます。」
『え?なんですか?もう惚気ちゃうんですか!?笑────確か数ヶ月前にお二人は交際してます。っていうのをSNSにあげてましたよね。』
「惚気てないですよ。笑ね、丸山さん。」
「はい....!惚気てません!笑 でも、はい、一緒にSNSにあげました。」
あれからしばらく年月が経ったが、ここ最近になってSNS等を通じて交際を告げた。早く交際してます。というのを告げても良かったが、お互いの
でもそれでもお互い、レースやライブがある時はこっそり観に行っていたり、近くのお店で買い物等していた。2人で遊ぶこともあるが暴露る可能性を少しでも下げる為丸山のバンドの知り合いと一緒に行く事が多かった。
因みにだがSNSをあげての皆の反応だが好意的、応援の反応が多くて安心と嬉しさがあった。一昔前ならアイドルが恋愛してると批判的な反応が多かったと思うが時代の流れでそういう反応は見られなくなった。
『お2人の最初の出会いが私が司会した番組でしたよね、そこがきっかけだったんですか?』
「私は....はい...///あの番組がきっかけで◯◯君のことが気になりました。でも◯◯君は違うよね?」
『え?そうなんですか?』
「はい、私はその時はあまり彼女のことは気になってはいませんでした。」
『そうなんですか。では、何がきっかけで気になって好きになったんですか?』
え?それは....
「「───秘密です。」」
何故ならそれは奇妙な経験で短くも長い数時間。でも何よりも大切な時間だったと思う。
そんな“エッチをしないと出られない”空間でした。
────???────
「彩ちゃん彩ちゃん、今日打ち上げに遅れたのって、あの人に会ってたから...?」
「か、花音ちゃん!?しーっ!まだ皆には内緒にしてるから言っちゃダメだよ。」
「ご、ゴメンナサイ...!そ、それで久々会ってどうだった...?何だか気になっちゃって...」
「一杯充電したし、してもらった///」
「良かったね!彩ちゃん!」
「あ、彩ちゃーん!そういえば◯◯君とはどうなの?お付き合いしてるの?」
「「え?彩(先輩)彼氏出来たの(んですか)!?」」
「え?彩さんに彼氏...!?」
「ちょっ、リサちゃんに香澄ちゃん!?しーっだよ!蘭ちゃんも驚かないで〜!」
結局どんどん声が広がり皆に知られてしまった彩ちゃんでした。