疲れめクズ野郎のラプチャースローライフ、俺は指揮官辞めて自由に生きる!!!追放(死亡)された後に後悔してももう遅い   作:雨野坂

12 / 15
クズ12

今日は家の地下に養殖場を作ることにした。

地下室は二坪ほどの広さで、鉄筋造りの殺風景な空間だ。だが、空調設備やエアコン、さらには外気を取り込むための防塵フィルターまで設置してある。育成環境としては完璧と言っていいだろう。

ここでは主に、野菜に付いているような小動物? やら、野菜? やらを育ててみようと思う。

……いや、そもそも何を育てればいいんだ?

俺には生物に関する知識がほとんどない。何が食べられるのかも分からないし、体に害のあるものを仲間に食べさせるわけにもいかない。

仕方がないので、近辺の廃墟を巡って、農業や食用生物に関する書籍や資料を探すことにした。

ニケは家に置いてきた。

彼女は目が見えない。それでも「何とかお手伝いします!!」などと言ってついてきたが、正直なところ、資料があちこちに散乱する未来しか想像できなかった。

……まあ、彼女が悪いわけじゃない。全部俺が悪いんだけどな。

そんなことを考えながら廃墟を探し回っていると、ラプチャーの彼が何やら紙切れと、妙な石ころのようなものを持ってきた。

いや、石は流石に食べられないだろう。

ニケだって、さすがにこんなものを食べるとは思えない。

そう思いながら紙切れを読んでみる。

『長期保存芋! 遺伝子改造によって百年くらい保存できます!!! たぶん』

……すんごい胡散臭い。

百年くらいって何だ。最後の「たぶん」は何なんだ。

これ、本当に大丈夫なのか?

俺は紙切れと彼を交互に見た。

すると彼は、任せろと言わんばかりに堂々と胸を張っている。

……いや、そこまで自信満々にされると、逆に信じていいのか悩むんだが。

そのとき、彼の頭の中に何かの映像が浮かんだ。

麦わら帽子を被った、恰幅のいい男性。

男は満面の笑みを浮かべ、全力でサムズアップしている。

……さては、こいつが怪しい芋の開発者なのか!?

俺がそう疑った瞬間、謎のおっさんはうんうんと満足げに頷いた。

そして、キラキラと輝きながら消えていった。

……何なんだ、あのおっさんは。

まあ、いいや。

こうして俺たちは、彼の尽力によって、晴れて怪しげな芋を発見することができたのだった!

ちなみに俺の成果は、よく分からない草だけである。

不甲斐ないクズでごめんよ……ヨヨヨ。

家に戻った俺は、さっそく地下室の土に謎の芋を植えてみた。

すると――

みしみしみしっ!!

「なんじゃああああ!?」

芋は植えた途端、地面を押し広げるように急成長を始めた。

なんだこいつ、化け物じゃねぇか!

……あ、俺もだったわ。

などとセルフツッコミを入れている場合ではない。

芋はみるみるうちに巨大化し、地下室の空間を圧迫していく。

「うわぁ、かなりデカくなっちまったぞ! 大丈夫なのか、これ!?」

その直後だった。

巨大化した芋から、無数の蔦が超高速で伸びてきた。

「マジで!? ヤベェよ、こいつ!!」

とんでもない化け物に遭遇してしまった。

このままでは地下室がボロボロになってしまう!

せっかく四時間くらいかけて作ったのによぉぉぉ!!

「くそっ、もうどうにでもなれ! この野郎、こなくそぉぉぉ!!」

俺は全力で謎の芋の怪物にタックルをかました。

その勢いのまま、どっせい! と怪物を宙に放り投げる。

そして、全身の筋肉を総動員した渾身の正拳突きを、奴の土手っ腹に叩き込んだ。

ドゴォンッ!!

怪物は壁のコンクリートに激突した。

「さあ、まだまだこっちの攻勢は終わってないぜぇ!!」

俺は間髪入れず、次々と全力の拳を叩き込む。

右! 左! 右! 左!

拳を打ち込むたびに、地下室が揺れる。

……いや、待て。これ、地下室の方もヤバくないか?

そんな疑問が頭をよぎった頃、怪物は蔦を器用に横へ振り始めた。

フリフリ、フリフリ。

……これは、もしかして。

「白旗か?」

どうやら、降参の意思表示らしい。

つまり、俺は勝ったのだ!

この異種族間格闘技戦に!!

「ンンンン、ウィナーーーッ!!」

……暑苦しいノリは、ひとまずここまでにしておこう。

降参した怪物は、器用に蔦を操り、芋を五個ほど差し出してきた。

「マジか。これ、俺に献上するってことか?」

なるほど、そういうことか。

俺は差し出された芋を受け取った。

「いいじゃねぇか! ハハハハーッ!」

こうして俺は、食料にもなりそうなミュータントを手に入れたのだった。

……ペット権、食料権、その他もろもろ込みでな。

ただし、地下室の修繕費については、まだ考えないことにする。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。