疲れめクズ野郎のラプチャースローライフ、俺は指揮官辞めて自由に生きる!!!追放(死亡)された後に後悔してももう遅い 作:雨野坂
ミュータント芋を発見してから、数日が経った。
ニケにあの芋を与えてみたところ、案外おいしかったらしく、すっかり気に入ってしまったようだ。
出所不明の怪しいモンスター芋だ。俺としては危険性を疑っていたのだが、少なくとも味に問題はないらしい。彼女は俺にも食べるよう勧めてくる。
俺自身もすでに食べている。特別おいしいとも思わなかったが、普通の芋と大差ない味だったはずだ。
彼女は今も視界を奪われている。だから、俺にとっては些細な味の違いでも、彼女にとっては劇的な変化に感じられるのかもしれない。
……うん、そういうことにしておこう。
「食べてみてください! これ、すごくおいしいです!!!」
「ああ、分かってるよ。さっき食べたからな」
「以前食べた芋は、こんなにもおいしく感じられませんでした! これほどの味になるなんて、やっぱり土地がいいのでしょうか?」
「さあな。まあ、ここは地上だから、それが関係しているのかもしれないな」
「なるほど……!」
いや、実際のところは知らないけどな。
「残りは全部食べてもいいぞ」
「ありがとうございます! ちょうどお腹が空いていたんですよね」
そう言うと、彼女は再び芋をパクパクと食べ始めた。
……それにしても、かなりの大食いだな。
これでもう五個くらい食べているぞ。
小動物のように見えてきたので、俺は彼女の頭をそっと撫でてみた。
髪は長い間手入れされていなかったせいか、すっかりボサボサになっている。とても女性らしい髪とは言い難い状態だった。
しかし、彼女は俺が頭を撫でていることなど気にも留めず、ひたすら芋を食べ続けていた。
……いったい、どれほど腹が減っていたんだ。
それから三十分ほど経って、ようやく彼女は食事を終えた。
「指揮官様。先ほど、私の頭を撫でていらっしゃいましたが……何か気になることでもありましたか?」
「いや……風呂にも入れてやれず、申し訳ないと思ってな」
「お風呂ですか? 大丈夫ですよ。こうして生きていられることが何よりの幸せなのですから。これ以上を望むなんて、贅沢すぎます」
「しかしな。お前は俺たちの都合で視界まで奪われているんだ。風呂くらいは用意させてくれ」
「それはありがたいですが、私は本当に大丈夫ですよ。あなたには、あなたのなすべきことがあるでしょう? 私のことは二の次で構いません」
そう言うと、彼女は再び眠りについた。
……風呂を作るか。
少しばかり手間はかかるが、作れないこともない。
そもそも、こいつは人間との橋渡し役として拾ったニケだ。そこまでしてやる必要があるのだろうか?
……いや、待て。
こんなボサボサの髪で、身なりも整っていない状態では、人間に信用してもらう以前の問題かもしれない。
そうだ。これは今後の交渉を円滑に進めるための投資だ。
決して、こいつを気遣っているわけではない。
……まあ、仕方ない。作るとしよう。
ふと横を見ると、ラプチャーの彼が右手を掲げ、サムズアップしていた。
……お前には、いつも助けられるな。
私が目を覚ますと、指揮官様からお風呂に入るようにと言われました。
どうやら、私が眠っている間に、お風呂を用意してくださったようです。
そのことを知った瞬間、言葉では言い表せないほどの感謝が、頭の中いっぱいに広がりました。
……どうして、指揮官様は私にここまでしてくださるのでしょうか?
私は、ただ生きていられるだけで十分なのに。
ちゃぷん、と小さな音を立てて、湯船に身を沈めました。
久しぶりのお風呂です。
温かいお湯に包まれると、これまでに溜まっていたストレスや疲れが、少しずつ洗い流されていくような気がしました。