疲れめクズ野郎のラプチャースローライフ、俺は指揮官辞めて自由に生きる!!!追放(死亡)された後に後悔してももう遅い   作:雨野坂

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クズ14

私は量産型。過去の記憶は、ほとんどない。

それなのに、かつての故郷への郷愁だけは忘れられず、私の脳裏に強烈な印象を残し続けている。

あの家に刻まれた傷。家族で囲んだ食卓。大好きだったペットのチロ。家の裏を通り抜けた先に広がる田畑で遊んだ記憶。

どれも、忘れられない思い出だ。

しかし、私はアークが造られてから生まれた存在のはず。

ならば、この過去への思いは一体誰のものなのだろうか。

私ではない私が、頭の中にいる。

それなのに、案外心地よい。

そんな不思議な気分を抱えながらも、過去の自分がどんな存在だったのかにかかわらず、今の私は生き抜くために、そして人類のために頑張ろうと、これまで任務に励んできた。

それなのに、どうだ。

私は生きたデコイとして、ラプチャーに捧げられたのだ。

何もかもが虚しくなった。

復讐に生きるほどの気概もない。今まで本当に仲良くしてきた仲間たちに裏切られ、自分という存在そのものを消してしまいたくなった。

もう、何もかもが嫌になった。

そんなとき、彼が現れた。

そう、指揮官様だ。

素性も分からない、怪しい人物。そもそも人間ですらないのかもしれない。地上で長い間彷徨い続けるなんて、私の経験則からすれば馬鹿げた話だ。

もう、自分が死んでも構わないと思っていた。

それでも、なけなしの生への執着だけは、まだ私の中に残っていたらしい。

情けないことに、私は彼に命乞いをした。

その結果、彼は私を助けた。

仲が良かったはずなのに、私を生贄として差し出した仲間たち。

赤の他人であるにもかかわらず、私を助けてくれた指揮官様。

どちらが正しくて、どちらが間違っているのか。そんなことを考える気力すら、今の私には残っていなかった。

もう、生きる理由なんて特にない。

それでも、私を助けてくれた指揮官様への恩だけは返してから死のうと思う。

そうでもしなければ、あまりにも自分が惨めだから。

「指揮官様、なぜ私を助けたのですか?」

そう尋ねたところで、きっと指揮官様は「役に立つと思ったから拾った」とでも仰るのだろう。

私は役に立てない。

少なくとも、指揮官様が思い描いているような働きは、とてもできそうにない。

だから、聞かないことにした。

尋ねたところで、意味のないことだから。

私の目は壊れていて、何も見えない。

けれど、昔からの特技のおかげで、目が見えなくとも、目を閉じたままでさえ、ある程度なら物の輪郭を感じ取ることができる。

その感覚で捉えた指揮官様の姿は、人間のようでいて、人間ではない。

そして、その隣にいる人物は、そもそも人の形をしていなかった。どことなく、ラプチャーに似ている気もする。

仮に指揮官様たちが人類に仇なす存在だったとしても、今の私にはどうでもよかった。

人類を救おうとする心には、すでにひびが入り、もう使い物にならなくなってしまったのだから。

だからこそ、これからは彼に付き従い、彼の力になれるよう尽力しよう。

そうすることでしか、私は自分の存在意義を保てない。

そうしなければ、自分が何のために存在しているのか分からなくなり、立っていることすらできなくなってしまいそうだった。

私は、そうやって生きていく。

今までの自分を軽蔑し、過去の自分に別れを告げ、私は生まれ変わる。

明日になっても、指揮官様が私を見捨てていないことを信じながら。

今日もまた、眠りにつく。

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