疲れめクズ野郎のラプチャースローライフ、俺は指揮官辞めて自由に生きる!!!追放(死亡)された後に後悔してももう遅い   作:雨野坂

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クズ6

家の周りに煉瓦を乱雑に積み上げた俺たちは、その後、少しばかり探索に出ていた。

もちろん、強力なラプチャーや人間に見つからないよう、物陰に隠れながらひっそりと行動している。

この一帯はラプチャーの侵攻によって、住人たちが早々に放棄した場所らしい。瓦礫の下には、当時の暮らしを思わせる物が大量に残されていた。

もっとも、長い年月が経っているせいで、今も残っているのは腐食しにくい素材でできた物ばかりだが。

ちなみに、ここは先ほどまで煉瓦などを集めていた場所から、約一キロほど離れた住宅地である。

さて、こっちには何があるかな。

そんなことを考えながら、周囲を探索していく。

彼は俺の隣を、何も喋らずについてきてくれていた。

互いの意思を伝えるのが難しい俺たちにとって、何も言わずとも一緒に行動してくれるというのは、実にありがたいことだった。

……そういえば、人間だった頃の俺も、あまり人と会話が続く方ではなかったな。

自分の考えを周囲に伝えること自体は、それほど難しくない。

問題は、それを相手が理解してくれるかどうかだ。

そもそも、俺は人間であり、ラプチャーでもある。

一方、彼は人間だった記憶を失い、ラプチャーとなった存在だ。

生きる環境や、自分が属するものによって、人間の思考は少なからず影響を受ける。

たとえ微々たる変化であっても、それは毒のように少しずつ内側へ染み込んでいく。

現に俺も、ラプチャーの体の動かし方に慣れ、彼と一緒に行動することにも、いつの間にか疑問を抱かなくなっていた。

つまり、俺は今も変化の途中にいるということだ。

では、彼はどうなのだろうか。

彼も元は人間だった。しかし、ラプチャーになる際に記憶を失っている。

言ってしまえば、その時点で一度リセットされたようなものだ。

彼にとっての変化は、俺のように少しずつ進むものではなく、一瞬で起きたのかもしれない。

変わり続ける思考と、すでに定まった思考。

たとえ互いに影響を与え合っていたとしても、そこには価値観の違いがある。

そして、その違いが摩擦を生み、取り返しのつかない事態を招く可能性もある。

だからこそ、急激に何かを変えようとするのではなく、今の状態を維持しながら、少しずつ前へ進むのがいいのだと思う。

何事も、失敗から学ぶのが一番だ。

……とはいえ、失敗すれば命を落としかねないこの世界では、その考え方もあまりに危うい。

できることなら、失敗する前に学びたいものだ。

……別に、彼と喋らずに済むことへの言い訳じゃないぞ。

そんなことは思っていない。本当に。

……本当だからな。

そんなふうに自分の考えを巡らせていた、そのときだった。

何かの音が聞こえた。

俺と彼は、びくりと体を震わせた。

音の正体はわからない。俺たちは反射的に近くの物陰へと身を隠した。

息を潜めて耳を澄ませる。

……泣き声?

かすかに聞こえてくるのは、人間が泣いているような声だった。

なぜ、こんな場所に人間がいる?

俺は、目の前の状況をにわかには信じられなかった。

彼も音の正体に気づいたようだ。

だが、音のする方へ向かおうとはしない。むしろ、ここから離れた方がいいと俺に伝えようとしているように見えた。

確かに、その判断は正しい。

もし相手が人間ではなく、ニケだったら?

あるいは、ラプチャー側についたニケ――ヘレティックだったら?

俺たちなど、あっという間に地上の塵にされてしまうだろう。

それでも、音の正体を確かめずに帰るのは、どうにも落ち着かなかった。

何より、あの泣き声が聞こえた場所は、俺たちの家からそう遠くない。

正体のわからない何かが近くにいると知りながら、何もせずに暮らし続けるのは不気味だった。

俺は彼に向かって、音の正体を確かめに行く、と身振りで伝えた。

彼はしばらく俺を見つめていたが、やがて、仕方がないな、とでも言いたげな様子で応じてくれた。

……本当に、付き合わせて悪いな。

音は、ここから右手にある廃墟の辺りから聞こえてくる。

俺たちは警戒を怠らず、ゆっくりとその建物へ近づいた。

そして、意を決して中を覗き込む。

そこにいたのは――

手足を失ったニケが、一人、床に横たわっていた。

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