疲れめクズ野郎のラプチャースローライフ、俺は指揮官辞めて自由に生きる!!!追放(死亡)された後に後悔してももう遅い 作:雨野坂
とりあえず、ニケの修復が終わったところで、俺たちは移動することにした。
この辺りに大型のラプチャーが出没するのなら、拠点についても考え直さなければならない。
別に、今の場所に強いこだわりがあるわけではない。
ただ、あちこちと居場所を変えていては、どうにも心が落ち着かないのだ。
それに、ここを離れて別の場所へ移ったところで、そこに強力なラプチャーがいない保証もない。
一か八かの賭けに出るよりも、危機が迫ったときにどうやってやり過ごすかを考えた方が、生き残れる可能性は高い気がする。
ニケには、俺たちがアークへ戻るつもりはないと伝えておいた。
彼女は何か言いたそうな表情を浮かべていたが、結局、何も口にすることはなかった。
……さて、帰るにあたって、一つ問題がある。
ニケのセンサーを修復していないため、彼女は思うように歩くことができないのだ。
四肢を取り付けた際に、各部位のバランサーなど、姿勢制御に関わる機能は確保してある。しかし、それらはあくまで補助的なものにすぎず、荒れ地のような悪路では十分に機能しない。
そこで、近くにあった廃材を利用して、簡易的なリアカーを作ることにした。
木の板にバイクのタイヤとサスペンションを取り付けただけの簡素な代物だ。
どうせ今回しか使わないだろうし、これで十分だろう。
ガタゴト、ガタゴト。
リアカーが音を立てながら、荒れ果てた道路を進んでいく。
操縦兼動力は俺だ。
……まさか、ラプチャーになってリアカーを引くことになるとは思わなかったな。
その荷台の中央では、ニケが気まずそうに三角座りをしていた。
最初は遠慮しているのか、乗るのを嫌がっていたのだが、「ラプチャーが来るぞ」と告げると、渋々ながら乗ってくれた。
さて、帰り道には、廃墟の中を通る道路を利用している。
理想を言えば、ある程度の道幅があり、大通りには面していない裏路地のような道がいい。
しかし、そういった道はたいてい瓦礫に埋もれている。通れる道を探しているうちに、かえって危険な場所へ迷い込む可能性もあった。
多少危険ではあるが、結局、大通りを使うことにした。
道中にはラプチャーの姿もちらほら見える。
だが、今のところ、俺たちに興味を示す様子はなかった。
……やはり、このニケには何か特殊な力があるのかもしれない。
それがいつまで続くか分からない以上、過信は禁物だ。
とはいえ、利用できるものは利用しておこう。
俺にも、こんな力があればよかったのにな。
そうすれば、こんなラプチャーの姿にならずに済んだかもしれないのに。
……そんなことを羨ましく思っていた、そのときだった。
隣を歩いていた彼が、ふと反応を見せた。
どうやら、右手の方から中型のラプチャーが接近しているらしい。
しかも、何かを追いかけている。
俺たちは足を止め、物陰から様子をうかがった。
追われているのは、小型のラプチャーだった。
……異常個体でもないラプチャーが、別のラプチャーを襲うのか?
疑問に思いながら見守っていると、ついに小型のラプチャーが追いつかれてしまった。
中型のラプチャーは、鋭利な刃を小型の体に引っかけると、あっという間にその体を解体してしまった。
そして、バラバラになった肉片を前にすると、口にあたる部分をガポッと開く。
次の瞬間、掃除機のように、肉片を次々と吸い込んでいった。
……。
その一連の光景を目の当たりにした俺は、言葉を失った。
ラプチャーにも、同族を食らう習性があるのか。
金属の体を持ち、機械のような構造をしているくせに、やっていることは捕食そのものだ。
自分だって、いつかあんなふうに解体され、食われるかもしれない。
そう考えると、背筋が冷たくなった。
やがて、中型のラプチャーは食事を終えたのか、満足そうにノシノシと歩き去っていった。
その姿が見えなくなってから、俺はようやく胸をなで下ろした。
……自分があんな目に遭わずに済んで、本当によかった。
そして、あのとき彼と出会い、意思を通わせることができた幸運に、改めて感謝するのだった。