レ級に転生したんだけどどうすりゃいいですか? 作:ウィルキンソンタンサン
関係ないですが、私の先祖は戦艦大和のエンジンの設計やってたらしいです。ウケる。
設計図らしきものもあったらしいですが、おばあちゃんが間違えて捨てたらしいです。超ウケる。
……流石に原本では無いです。多分。
それはそれとして、そろそろ艦これ二次創作らしく誰か沈めようと思っているので近々誰かしら沈みます(暗黒微笑)。
よろしくお願いします。
「ヘイそこの潜水棲姫サン!やってるゥ!?」
『帰レボケカス』
「泣きそう」
定例会から数日後。俺に課せられた仕事は、深海棲艦の尋問だった。
まぁ、そうだろう。元々そう言う約束だ。
そこに全く不満は無い。いや、むしろウェルカムと言ってもいいだろう。
だがしかし、深海棲艦から情報を引き出すのはやはりと言うかなんと言うか……かなり難しいものだった。
何故か。
理由は単純明快、艦娘サイドへの敵意が強烈だからだ。
それはそう。深海棲艦だし。あの
しかも、こんな薄暗い上に居心地悪い所にずっと拘束して放置してるから更に印象悪いよねって感じよ。あの
湿度ヤバいよここ?超ベタベタするからね?地面海水流れてるし。
え?深海棲艦にはこれが適切?うるせぇな先制雷撃ぶつけんぞ。
ちなみに拘束に関しては(主に俺のせいで)深海棲艦の認識が根本から考え直され、割と緩くなったみたいだ。今どきそういうの厳しいからねしょうがないね。──その代わり、技術部が頑張って妖精の力をフルでぶん回せる新しい拘束具を開発したらしい。首輪型なんだって。能力を無効化する首輪……?何それX-MENで見た事ある。
閑話休題。
えぇと、なんの話だったか……あ、そうそう。尋問の話。
例えば、目の前にいるこのお方。
「白」の擬人化とでも言わんばかりに、髪も服も肌もどこもかしこも真っ白なこのお方。にも関わらず、俺の艤装Lv100みたいな巨大な艤装を横に携えている。(勿論、例に漏れず妖精の力が籠った首輪の力でダウンしてるが)
えぇ、はい。潜水棲姫さんですね。
『エモノ風情ニ魂ヲウッタ…裏切リ者ニ……ハナスコトハナイ……!』
「敵意つっよ」
とまぁ、こんな風に。大抵の深海棲艦は艦娘側にいる俺に対して敵意マシマシだ。家系ラーメンかよって感じ。胃もたれしそうだわ。誰か新ビオフェルミンS持ってきて!
「まぁ落ち着けっテ、そんなピリピリすんなヨ。ほら、間宮さんのプリン食べル?」
『イ………ラン!!』
「ちょっと迷うナヨ。じゃあオレが食べヨ。」
『…………』
「そんな顔すんなっテ。質問に答えてくれたらあげるカラ」
『……フン。』
☆
「──って言う感じデ。」
結局、小一時間粘った結果こちら側根負けし、提督に報告をしに来た。
そういや昔親父が「六時間も粘れば相手は折れる。商談は体力と根気と精神力だ。お前も鍛えておけ」って言ってたな。それと同じなのだろうか。
ちくしょう、素直に鍛えておけばよかった。やはり焼酎と親の言うことは後から効いてくるな。
「一応、カマかけしてちょっと得られた情報はあるけド……ほぼ誤差ダネ。」
「なるほど……。いや、でもこの成果でも我々にはとても大きい。ありがとうね。」
「ハハ、気使わんでもイイヨ。しかしねェ、あそこまで敵意が高いのはこれまでの管理問題でもあるんだからちョっとくらい愚痴を言ってもいいヨネ?」
「それは本当にその通りだ。すまないね……」
そう言って軍帽を被り直す。
責めるつもりは無いんだけどね。
「ま、しょーがないけどネ。話は変わるけど、他の仕事は無いのカイ?流石に雇われてる身で成果ほぼゼロってのは申し訳が立たナイ。」
「ふむ、そうは言われてもな……。」
少し考えるような素振りをし、こう言った。
「それなら、艦隊指揮をしてみてくれないか?」
「……エ?」
「旗艦として艦隊のひとつを……」
「待っテ?前線に出ることは無いっテ…」
「ひとまず遠征から入ろうか。よし、早速組んでみようか。」
「いやいやいや、オレ無理ヨ?練度足りないし、最近まで艦載機の使い方も分かんなかったような奴ヨ?」
「他の基地との演習も随分やっただろう?言ってはなんだが、君はもう既にかなりの戦力になっているよ。」
「でもオレは深海棲艦ですしおすシ……」
「それでも我々は君を艦娘として見るよ。そろそろ"アレ"も届く頃合だし、遅かれ早かれ実戦投入しようとは思ってたから。」
軽く衝撃の事実を言う提督。なんでぇ…?
「君を艦娘として運用するのために元帥殿下、随分と上層で揉めたらしいんだ。5〜6時間言い争いしたみたいだ。」
何してんだあの人。上層ってことは将官クラスだろうか?良くもまぁそんな…
あ、でも元帥って最上級の高級将校か。忘れてたわ。
「どうしても決着が付かないから、最後は大将殿下と腕相撲で決着したんだと。」
「ちなみにこれがその時の写真ね。」
ピラリと見せられた写真は、画面いっぱいの筋肉。……失礼、つい本音が。
左に元帥さん、右に大将さんかな?どちらも上裸で汗まみれになりながら腕相撲してる。その2人を筋肉達が囲んでいる。
中央には少し離れて加賀さんが死んだ顔で旗持ってる。恐らく審判。
加賀さん苦労人だな……なむなむ。
しかしそれにしても…。
「──なんか仲良くナイ?」
めーーちゃいい笑顔。写ってる筋肉達みんなすっごい楽しそうなんだけど。加賀さん以外。
少なくとも揉めているような雰囲気は感じ取れない。
「うん…大本営の方々、みんな筋トレしてるから仲良いんだよね…。」
「あァ……。」
筋肉の仲間意識って凄いからな……。
話題を変えるためか、パンと手を叩いて言う。
「まぁそんな訳で、元帥殿下が勝ち取ってきた君の権利、使わない選択肢なんて無いだろう?」
「まぁ、うン……」
その言い方はズルいだろう。
「もちろん、タダでとは言わない。」
そう言って、コートの内ポケットから何やら長方形の紙を取り出す。
「それハ?」
「ふふ、これは"間宮食堂特別優待券"だ!!」
……なん、だって?
間宮食堂特別優待券……?
それはもしやこの前夕立が言っていたアレか、間宮スペシャルシリーズを使ったフルコースを食べられるというあの……!
「なるほどそう来たカ……」
「受けてくれるのなら、これをあげよう。」
たかが遠征の艦隊の旗艦をするだけで、古今東西様々な艦娘が求めて止まないそのチケットを手に入れられる。これは破格だ。非常に魅力的と言えるだろう。
しかし。
「だが断ル」
「!?」
別に俺は自分が圧倒的に優位な立場にいると思っているやつにNOと断ってやるのが好きな訳では無いが、これは流石にNOだ。
「な、何故だい?」
「あのねェ、オレはあくまで給料分の仕事ガ出来てないから他の仕事をくれッテ言ってるノヨ。そこに新たに報酬加えたら本末転倒でしョーガ。」
「……あー、あー…あーー。」
納得した様に、片手で両目を抑える仕草をする。
「じ、じゃあこうしよう。コレは追加報酬。君は給料相応だと思えるまで存分に遠征指揮をしてくれ。」
「むゥ……」
まいった。渋る理由が無くなった。
「分かっタ。でもあんまり期待はせんでくれヨ?」
そう言うと、提督は苦笑しながら手を差し出す。
自分も手を差し出し、その手を握ろうとしたその瞬間。
「お届け物でーす!!!!」
ガシャァァァン、と窓ガラスを突き破って大きめなダンボールが部屋の中へ飛び込んで来た。
そのままそのダンボールは机の表面を勢いよく滑り、縁の落ちるか落ちないかのすんでで止まる。
「「…………。」」
「島風ちゃん!?何をしてるんですか!?」
「島風運送だよ雪風ちゃんや!」
「なんで投げ入れるんですか──!?」
「「…………。」」
「えぇと。」
「はイ。」
切り替えよう。世の中切り替えが大事なのだ。
「言っていた荷物が届いたみたいだね。」
「……そっすネ」
嘘だ。切り替えられるか。一瞬にして執務室が潮の匂いで満ちやがった。なんなんだアイツ、窓を突き破ってくるとか恐怖新聞か?
ガチャガチャとガラスを払い、ビイィとダンボールの封を剥がして中身を取り出す。
中身は服とタートルネックと腕章と足。
……足?
「先ずコレ、制服1式だ。着てみてくれ。」
袋から服を取り出し、自分に差し出す。受け取って広げてみる。
ふむ。全体的には普段着用しているものと似た黒を基調としたデザインだ。裾等に赤いラインが引かれ、どことなくセーラー服のような雰囲気を醸し出していおり、左胸部には鎮守府の紋章が刺繍されている。そして、腕章。でかでかと『舞鶴鎮守府』と記載されている。これで俺は敵とは勘違いされなくなる訳だ。
次にタートルネック。普段使っているアフガンストール的首巻きは黒い生地に白い縦線が並んでいるというデザインだったが、このタートルネックは白に赤い縦線が並んでいる。上部には金色に輝く鎮守府のバッジが付けられている。
「うン、ぴったりダ。」
「そりゃ良かった。でも目の前で着替えるのはやめて欲しかったかな……いや、これは僕が悪いか。」
「あ、ごめン。」
普通に何も考えずに着替えてしまった。俺は常に黒ビキニの上から上着を着ているだけに過ぎない。それを脱ぐということは即ち、提督さんにビキニ姿を晒すという事である。
「ホントすまなイ。失念してタ。」
「い、いやいや。僕も配慮が欠けていたよ。」
……微妙な空気が流れる。
「つ、次だ!コチラ、横須賀鎮守府技術部謹製の義足だ!」
ほう、義足とな。確かに陸上生活においてこの足はかなり不便だ。これはかなりありがたい。
ソファに座り、義足を持つ。チャリチャリとガラスの破片を踏んでいる音がするが、気にしない。
えーと、装着方法は……。
同封されていた説明書を読みながら、義足を足の断面にあてがう。
ここと、ここのボタンを同時押しで……
『ピピ』
「い゙ぃ゙ッッッたくはなイ!!」
一瞬痛いような気がしたが、すぐにその感覚は無くなった。気を取り直し、もう片方の義足も装着する。
『ピピ』
「お゙ぉ゙っウ!?……なんなんこの感覚……」
この奇妙な感覚はさておき、ひとまず動作確認がてら立ち上がる。
「ふむ……ふむふム!」
いいな、これ。めっちゃ歩きやすい!安定自立した二足歩行ってこんなにも素晴らしい事だったんだな……。
「良さそうだね。それじゃあ、慣らしがてら遠征任務行こうか。」
「え、もウ?」
「善は急げと言うし、丁度空きがあったからね。」
「……分かっタ。」
思い立ったが吉日ならそれ以外は全て凶日──ってトリコも言ってたしな。
提督と共に執務室から出て、テクテクと歩いていく。
もうこれで床は傷付けなくて済むわけだし、足音による騒音も無くなる。やっぱちゃんとした二足歩行は……最高やな!
横須賀「舞鶴鎮守府まで行ってウチのと呉の荷物を届けろと言ったのは僕だ。」
島風「うん。」
横須賀「それに対して、任せろと言ったのは島風、君だ。」
島風「うん。」
横須賀「島風。なんかウチの鎮守府に請求書来てるんだけど。」
島風「うん。」
横須賀「うんじゃないが。窓ガラスの修繕費って何?」
島風「窓ガラスの修繕費だよ?」
横須賀「まさかのまさかだけどさ。もしかして荷物、投げ込んだ?」
島風「うん。」
横須賀「うんじゃないが。」