レ級に転生したんだけどどうすりゃいいですか? 作:ウィルキンソンタンサン
コヨミちゃんイメージ絵
【挿絵表示】
【挿絵表示】
なんか先輩も描いてくれました。艦これ1ミリも知らないのに。
ありがとう……それしか言う言葉が見つからない……
【挿絵表示】
【挿絵表示】
「よし、それじャあ今日も張り切って行きましョー!」
『『『おー!』』』
しばらく領海を巡回していると、再び接敵。
扇陣形で旋回し、挨拶に先制雷撃を入れて敵艦隊に接近。現在はT字戦、有利な状況だ。
「まァとりあえずネ?初弾観測2弾撃ち方用意、
照準を敵艦隊へ向け、妖精達に合図を送って両端に取り付けられた艤装で射撃。
『弾着!近近近遠、挟射です!』
赤城さんがそう告げる。
「おっけーでス!ふーん、じゃあ射角は……こんくらイ?第六駆逐隊、射角共有したからこの通りにナー!総員撃ち方用意──全門斉射!」
『やりますか。』
『電の本気を見るのです!』
等と各々、掛け声と共に斉射。
沈む沈むイ級ホ級へ級!君らそんな火力高かったっけ!?
「赤城サン!艦攻で雷撃を!」
『分かりました、みなさん、用意はいい?』
そう言いながら、矢筒から矢を2本取り出し弓に掛けて放つ。
鋭く空気を切る様な音を響かせて上空を飛び、弾けるように煙を噴出させ、その煙は艦載機となる。
艦載機──艦上攻撃機は海面スレスレを飛行し、魚雷を落としていく。
その様子はまさに芸術とも呼べる御業。搭乗している妖精さん立ちに向かって親指を立てる。ビューティフォー。
「じゃあオレも行くかァ?艤装クン頼んだよォ〜?」
尻尾を動かし、主砲の狙いを定める。
「ほら行ケ、斉射!」
放たれた砲撃は、残っていた最後の深海棲艦に着弾し沈める。
演習の成果が出たなぁ……ひたすら八方に配置された的に向かって砲撃するやつ。気が狂うと思った。
『敵艦隊沈黙!』
「あいよ、そんじゃ続きと行こうカ。」
まぁそんな訳で。
実はこの遠征任務は7日目だ。どうやら日をまたぐ長丁場なものであったらしく、今日で最終日。
はい、これに俺は言いたい!
話が違う!初心者に任せるものじゃないだろクソバカ!!
抗議したものの提督さんからは「1回出撃しちゃったならもう……ね?」と。こーのファッキング提督がよ。
はてさてこんな偵察任務が7日間ある理由は一重に、不審な敵影をとある基地の艦隊が観測したかららしい。
そこで俺達は偵察部隊として徐々に範囲を広げつつその敵影の正体を観測し、発見次第鎮守府に報告。編成された討伐部隊と入れ替わる形で帰投……という任務だ。
話が違う。ブリーフィングでそんな事全く言って無かった。言ったら出ないから?その通りだよ重荷すぎるよ虚偽で訴えるぞボケ。
「はい移動しまース。」
『コヨミ、なんだか顔色が優れないように見えるが。』
「アー分かっちャう?てか逆に君らも7連勤してるのによー元気だネ。オレはもうクタクタだヨ。」
『そりゃあ、私達だって一端の軍人だもの。慣れてるのよ。』
「慣れちゃダメだと思うけどナァ……。」
海面を滑走しながら大きく伸び。背中からバキボキと音が鳴る。
「さて、今日で任務も仕舞いダ。なんにも起きないと良いんだがナ。」
『それ知ってるのです。フラグ──』
「違うよ電サン!?割と切に願ってる事ダヨ!?」
危ねー、今の発言がフラグになる所だった。ホントにシャレにならないからねそれ。
帰りてぇ。
◇
その後も何事も無く、実につつがなく任務は終わり、報告書に"異常無し"と書いてこの業務は終わり!
「……には、させてくれないカ。」
前述は、俺が思い描いていた理想の展開。だが、俺の深海棲艦としての部分の感覚が異変を感じ取っている。
『……なにかありましたか?』
「各員に通達。陣形を維持し後退。」
『えっ?えっ?』
『……
「戦闘準備。来るヨ、3秒くらいでネ!」
『……ッ!攻撃隊、発艦始め!』
水面下に、大きな黒い影が浮かび上がる。それは無数の泡と共に徐々に浮上し、水から盛り上がるようにその姿を顕にした。
飛び散る水飛沫。光を反射してキラキラと輝く水滴の向こうには、おぞましい赤と黄の瘴気を纏った深海棲艦が複数立っていた。
「───
咄嗟に出たその掛け声に反応し、尻尾、第六駆逐隊、赤城が全戦力を以て攻撃を仕掛ける。
再び水飛沫が上がり、煙も晴れる──が、その深海棲艦達は、健在。
「……硬いナ。戦艦棲姫、空母棲姫、ヲ級だネ。」
戦艦棲姫と空母棲姫がelite、ヲ級がflagshipだ。
クソゲー深海棲艦トップスリーが目白押しじゃないですかヤダー。他にもお供としていくつかの駆逐艦や軽巡がいる。
『!? この海域にいるなんて情報は……!まさか!』
「そうだね赤城サン、多分こいつらが情報にあったイレギュラーだヨ。」
ガッチャンと砲弾の再装填をしながら言い、1歩前へ出る。
「任務通りならこのまま帰投するんだケド……快く帰らせてくれる雰囲気じャないネ。」
『じゃあどうするの!?このままじゃ下手すれば全員……!』
我々の陣営は航空戦艦たる俺、空母赤城、そして第六駆逐隊。
うーん、ちょっと厳しいか?大損害は免れないな。下手すりゃ沈む。
ならば最適手は戦術的撤退。だが、言った通り簡単には帰らせては貰えない。いつの時代も、どこの戦場も、撤退する時には必ず必要なモノがある。
殿だ。
支援も無い、補給も無い、限られた戦力を以て主要な戦力や重要な人物を逃がす為の足止めの軍。生存率は低く、最も危険な兵法とも言えるだろう。
撤退の確実性の為、殿には確かな実力を持った者が選出される事が殆どだ。
それを踏まえて。この撤退の為の殿に最も相応しい者。火力と耐久力に優れ、尚且つ万が一
面白い事に、ピッタリと当てはまる奴がいるじゃないか。
「──オレが殿をすル。皆は通信が繋がり次第提督に報告、討伐部隊を編成してくレ。一時的に艦隊指揮権を赤城サンに委任しよウ。」
『……再考を。コヨミさん、あなたは戦艦であり重要な戦力である事を念頭に置いて下さい。』
「そうだね、オレは戦艦ダ。……でも、艦娘じャなイ。肉壁、弾除けは駆逐艦の役目?バカ言え、それはバケモノの仕事ダ。──そう、オレみたいな。」
腰を落として構え、敵艦隊の一挙手一投足を見逃さぬよう睨み付けながら、通信を続ける。
「早く行ケ。いつまでも待ってくれる程敵サンはお利口じャない。それとも他に最善手があるト?オレ達は遠征部隊だ、鎮守府への連絡は……ここまで離れても通信出来る機器を積んでない。」
『…………』
『ねぇ、私よく分かんないんだけど……もしかしてコヨミ、囮になろうとしてる?』
そう聞いてきた雷に、肯定の返事をする。
「そうダ。安全圏に撤退するくらいの時間は稼いでやる。」
『……は?どうしてそんなこと……』
「どうしたもこうしたもあるカ。これが一番合理的なだけだ、オレだって死にたい訳じャ無イ。」
『コヨミ!いい加減に───』
無線の音声を遮る様に、戦艦棲姫が主砲を放つ。素早く尻尾を振り弾丸を弾くと、海面に着弾した弾丸が大きく水飛沫を上げた。
もしかしたら前世含めて初めてかもしれない程、腹に力を込めて大声で叫ぶ。
「──ゴチャゴチャうるせェんだヨいいから行けヤ!!時間を無駄にするんじャ無ェ!!!」
『…………赤城、了解。これより舞鶴鎮守府遠征偵察部隊の指揮に入ります。総員、通信圏内まで撤退!』
『待って、コヨミも連れて行かないと!』
『暁、ダメだ。それはコヨミの覚悟を踏み躙る事になる。』
『行きましょう、皆さん。』
『──コヨミ!沈んだら許さないから!』
『
『出来る限り早く応援を呼びますから、それまでどうか……!』
通信より、撤退を始めた事を確認。それに気を取られたのか隙を見せたイ級を軍刀で両断する。
「……さて、艤装ちャんヨ。覚悟は出来たカイ?
当然だ、と言わんばかりにコツンと頭をぶつける艤装。
「上等!」
照準を構え、空母棲姫へ主砲を斉射。
『█████!!』
うーん、効いてはいるが如何せん防御が厚過ぎる。てかなんで空母が2枚なんだよおかしいだろ。
「もしもーシ!日本語が分かってたらとっても助かるんだけどナー!」
……応答無し。分かってましたとも。
大きく旋回し、某ハイスピードロボットアクションゲームさながらの8字移動をしながら弾幕を張る。
『█████……!』
ヲ級と空母棲姫が艦載機を発艦させる。いつ見てもキッショいデザインだな。
「いいゼェ!?ドッグファイトと洒落込もウカ!!!」
コチラも負けじと艤装の口から無数の艦載機を発艦させる。対空砲を向け、相手の艦載機を丁寧に撃ち落とし妖精の援護。
ごめんな、妖精さん達や。俺のわがままに付き合わせてしまった。
たが、止まる訳にはいかない。
横から他の駆逐艦や軽巡が壁になるように入ってくる。
そのまま突っ込み、ツ級の首を飛ばす。尻尾も背後の死角を補うように砲撃。
横須賀鎮守府謹製の義足でヘ級を蹴り飛ばし、イ級に軍刀を突き刺す。
殿と言えど、逃げる訳じゃない。俺は生き延びる必要が無いからだ。
敵も旗艦を狙われれば、そいつを討つ事に気を取られる。しぶとければ尚更だ。
1歩1歩着実に、
そうでなくては、一人残った意味が無い。深海棲艦で、敵であるはずの俺に意味を与えてくれた人々に顔向け出来ない。
身体の至る所に砲撃を受けるが、問題は無い。流石はレ級。装甲110は伊達じゃない!
「まだ行ク!まだ行ケル!」
深海棲艦の青い血液にまみれ、それでも進む。
だが、なんだろうか。
……敵、多くないか?
ふと、周りを見渡してみるとビックリ。最初見た時の10倍以上の数に囲まれている。なんならまだ増えてる。戦艦だって、軽空母だっている。
いつの間にか敵艦隊ド真ん中に来たようだが……これは艦隊どころの話では無い。連合軍だ、総力戦レベルだ!!
いや、いい。そんな事はどうでもいい。考えるな、前に進め!
「ドケ!道ヲ開ケロ!!!」
軍刀を振るう。砲を撃つ。艦載機を飛ばす。魚雷を放つ。
"戦艦レ級"たる俺が、"コヨミ"である俺が扱える武器及び手段の全てを活用し、目の前の敵を沈めていく。
いつの間にか身体が纏っていた、溢れ出る赤黒い瘴気を振り払う様にして、軍刀を、尾を振るう。
「オラ!ドケ!!ドケヨ!!!」
考えるのであれば、自分がここで倒れた場合の事を考えろ。殿が倒れれば次に倒れるのは逃げる本軍だ。赤城さん、暁、雷、響、電だ。
それだけは避けなくてはならない。
「邪魔ダ……!」
今しがた切り落としたホ級の外殻を剥ぎ取り、盾代わりに転用。
ガクンと体勢が崩れる。軽く足元を見れば、どうやら右の義足が折れたらしい。
「──ゴメン、横須賀ノ……!」
身体中が痛む。ゲームならば脅威の110を誇るレ級の装甲といえども、ここまで四方八方からの滅多打ちに晒されれば限界が来る。
思い切りト級に蹴りを入れれば、轟沈と共に左足の義足も壊れた。
これで、素足。
キチンと足を海面につけた事で、さらに滑走性能が上がった……気がする。
『ガガガ……ギギ』
「弾薬切レカ?ハハ、想定内!!」
弾薬が切れたと報告。艦載機も落とされ、殆ど武器は残っていない。これだけの混戦だ、魚雷が面白いくらいに効果的なのが不幸中の幸いか。
だが、いくら使っても無くならない手段はある!
「オラヨッ!」
艤装の口を開き、思い切り噛み付き──そのまま食いちぎる。
「ドウダ、不味イカ?ダロウナッ!!」
軍刀を振り、蹴りを入れる。
敵からの魚雷なんてジャンプして避ける。爆撃なんて根性で防ぐか耐える。砲撃は避ける。
超近距離戦を想定した深海棲艦なんていない。困惑した様子で何も出来ずに沈んでいく。
◇
そうして……どれだけ経っただろうか。否、どれだけ沈めたか。数百はいくか。いや嘘だ、それは盛り過ぎだな。
ともかく俺は、あの3隻の前へとたどり着いた。
「最後尾カ█余裕綽々トハナ……ブ█殺スゾ。」
全身から青い血がボタボタと垂れる。もはや自分の血なのか返り血なのか判別は出来ない。
『……
「……ア?」
『
『
……なんだ?言語としては理解出来ないのに、意味は分かる……。気持ちが悪い。
違う、今まで俺は深海棲艦の言葉なんて分からなかったはずだ。日本語を解す深海棲艦以外の対話は不可能で、絶妙に不便な思いをしていた。
何故今更?分からない。──分からないならいい、どうせこのままいけば死ぬだけだ。
勿論、全力で足掻かせて貰うが。
「
もうどうでもいい。今更深海棲艦の言葉が分かるようになったのも、突然その言語を喋れる様になったのも。
今気にすることじゃ無い。
軍刀へ目を見遣れば、血で青く染まった刃は全体がボロボロになっており、もはや切断性能は失われている。
もう一度振るえば折れてしまうかに思える程、滅茶苦茶な状態だった。
「
『……?』
「
『
『
……お喋りはここらでおしまいか。もはやろくに身体も動かない。最初、この世界に転生した時はこんな単騎で捨て奸をする事になるとは思いもしなかった。
のそり、と1歩を踏み出す。それを見て3隻の深海棲艦は身構えるが──そのまま俺は支えを失ったように倒れ込んだ。
『……
「──
身体が言うことを聞かない。ただ微かに指先が動く程度だ。
「
言い訳がましいが、事実そうなのだから許して欲しい。
そう言うと、何やら目の前の戦艦棲姫はワナワナと震えだした。
『……
「
『
「
『
『
いやお前かよ。どの口が言うんやマジで。
あーあーもう俺そっちのけで言い合い始まってるよ。
さて、このままいけば俺は殺される訳だが、どうしたものか。後ろにも追いついた敵艦隊が困惑したようにこちらを見ているし、逃げ場は無い。
皆はどれくらい離れられただろうか。応援はどれくらいかかるだろうか。
どうしたものか。
『
『
ヲ級のその言葉を聞いた瞬間、戦艦棲姫はあからさまに肩を落として落ち込んだ仕草を見せる。
『……
『
と、空母棲姫。
戦艦棲姫は悲しげに被りを振り、銃口を倒れ込んだ俺の頭へ向ける。
『
「……
そこで俺は、ニヤリと顔を歪ませる。
「
そう言った瞬間、俺の身体は内側から発光を始める。身体中から赤黒い瘴気が噴出し、眼からも赤い炎が溢れ出る。
俺は思ったんだ。深海棲艦って、撃沈したら爆発するよなって。
じゃあさ?
うん、そうだ。
自爆だ。
ゴホ、と咳き込めば真っ青な血液が流れ出る。
──俺はやはり、人間では無いバケモノだ。赤い血が通っていない、冷血無比の深海棲艦だ。
この命には、さして価値などは無い。どうせ道が違えばサーモン海域で戦艦と物量にすり潰されるような存在だ。
バキバキと顔にヒビが入る。ごめんな艤装チャン、妖精は……うん。脱出間に合ったみたいだな。
「
みんな、ごめん。
「───
『
『
『
そうだな、強いて言うなれば──俺を置いてグダグダくっちゃべってた事が、お前らの敗因だな。
そしてそのまま、俺は3隻の深海棲艦を巻き込み、赤黒い炎と煙を起こして盛大に────
自爆した。
そこで俺の意識は、
私は、雰囲気で艦これをプレイし、雰囲気で書いている……!
誰かしら轟沈させると言ったな、あれは本当だ(有言実行)
後半「██」とルビばっかりで気が狂うと思いました。読みづらかったら申し訳ないです。
それと、この場を借りて先輩に謝罪を。せっかく描いてくれたのに自爆させました。すみません。