レ級に転生したんだけどどうすりゃいいですか?   作:ウィルキンソンタンサン

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タ立発見報告として多くの誤字報告が送られてくる中、マジの誤字報告がありました。誤字報告ありがとうございます。
今回の勝負は皆さんの勝ちです。定期的にやります。

なんか今回長くなった……読みにくいかも。
投稿が遅れたのはコミックシティと例大祭に行ってたからです。あと五月病のせいです。あとDOLCE&GABBANAの香水のせi(((((


今回の内容についてですが、提督とかあんまりいると主に私が逝くので史実通り4つの鎮守府の提督だけにしました。
基地とかが沢山あってその地方ごとの総括?代表?みたいな…要は中間管理職みたいなイメージです。
鎮守府は名前だけお借りしているだけなので、所属艦とかそういうことは考えてません。


九撃目 決戦

「酔った…っぽい…」

 

「オイオイ、水上の方が酔いやすいだろ普通。なんで車で酔うんダ。」

 

「ごめんレ級ちゃん、しっぽさんの口開けて欲しいっぽい…」

 

『ギャウ!?』

 

「口の中に出すつもりカお前!!」

 

今日はいよいよ決戦の定例会の日。

提督、俺、夕立、ビスマルクを乗せた車は新宿へと向かっていた。

 

「座席のポケットに酔い止め薬があるわよ。たしか酔ってからも効いたハズ。レ級、取ってあげなさい。」

 

助手席に座るビス子が言う。

 

「ハイヨ。」

 

「うぅ…ありがとうっぽい…」

 

舐めるタイプの酔い止めを座席ポケットを取り出し、夕立に手渡す。

 

「ところで…何ダ?この音楽。」

 

と、車内にかかる音楽について問いかける。

モニターには惑星、宇宙船、宇宙空間が表示され、曲調は少し古めといった感じだ。

 

「なにって……ガンダムでしょ?」

 

「違うぞアイマスだぞ。俺は詳しいんだ。」

 

「いや、エヴァだと思うけどナァ……」

 

そして、モニターにアニメのタイトルらしき文字が表示された瞬間、3人とも口を揃えて言う。

 

「「「コブラじゃねーか!」」」

 

『街をつつむ (ワッカメウドーン) …Midnight fog…(メンターイコ)……』

 

「…フフ」

 

「「「アッハッハッハッハッ!」」」

 

「……????」

 

謎の一体感により爆笑する3人+何も分かっていない1人を乗せ、車は新宿へと進んで行った。

 

 

「それでは、定例会を始めます。本日進行担当であった、大本営元帥が不在となりますので、秘書艦の加賀が進行を務めさせていただきます。ではまずは近況報告から……」

 

『市ヶ谷大本營』と腕章を着けた加賀が言い、定例会が始まった。

元帥さんいないのか。車でめっちゃ凄い人って聞いたから期待してたんだが。

 

本部…つまり東京都新宿区に位置する、陸海軍最高統帥機関である大本営に着き、会議室へと案内された後。椅子に座った提督の後ろで俺、ビス子、夕立が立つ。

 

室内は長机が置かれ、囲うように椅子が配置されており、そこに各鎮守府の提督が座っている。

BLEACHの十刃のアレと言えば分かるだろうか。

 

各提督の後ろには秘書艦が1人立っており、3人なのは俺達だけである。

 

(オレは本題だからだろ?ビス子は秘書艦で……夕立はナンデで来たんダ?)

 

と囁く。

 

(夕立は必要なのよ。あとビス子は止めなさい。)

 

と、何やらそれなりの量の資料らしき紙を持ったビス子が言う。

 

必要、ね…。まぁビス子がそう言うのならそうなんだろう。普段はアレだが仕事はバチバチにできる女なのだ。多分。

 

「──呉鎮守府、異常無しです。」

 

「はい、近況報告は以上となります。では本題に入ります。」

 

と、加賀が言った瞬間、部屋の雰囲気が明らかに変わった。

案外朗らであった空気が一瞬で張りつめたモノに変わり、肌がピリつく感覚を覚える。

まるで大量の刃物を突きつけられてるように、背中から冷や汗が吹き出る。

 

軍人の本気モードといったところだろうか。普通に怖い(小並感)

殺気の1つ先を行った、本場のプレッシャー。なにより恐ろしいのは、ソレがおそらく俺に向かって発せられていることである。

 

「若狭湾北部にて、舞鶴鎮守府所属の第六駆逐隊が遠征中に戦艦レ級を発見、その後増援により鹵獲されました。そのレ級に関してですが……舞鶴鎮守府提督、説明を。」

 

「はい。ビス、資料を。」

 

「了解。」

 

ビス子が資料を提督達に配る。

やはりビス子が持っていたのは資料のようだ。

 

「さて、今回鹵獲されたレ級…私の後ろにいるこの子ですね。」

 

「ドーモ、レ級デース。」

 

震えを極力抑えて、恐怖の感情を感じ取らせないように軽く挨拶をすると、提督達がざわつき始める。

加賀は澄まし顔。もうちょい驚けお前。深海棲艦が喋ってんだぞ?慌てふためけもっと。

 

「はい、ご覧の通り喋ることが出来るため、意思疎通が可能です。」

 

我が提督は俺の事を他の提督達に資料を使い、説明を始める。

主には、俺に敵性が無いこと、それにより深海棲艦の翻訳が出来ること、エトセトラエトセトラ…

 

「という事を踏まえ、戦艦レ級を捕虜では無く人員の1人として迎え入れる事を所望します。」

 

そう言った瞬間、提督達のざわめきは1層大きくなる。

 

「僕は賛成ですね。確かに深海棲艦ですけど、逆に言えばそれだけですし。そもそもレ級一体如きなんとでもなりますし。ねー、ネルソン?」

 

と、『横須賀鎮守府』の腕章を着けた小柄な男性はそう軽く言う。

後ろに控えた金髪碧眼の艦娘、nelsonは彼の言葉に対して自信たっぷりに、まるで「当然だな。」とでも言うように。しかし無言で大きく頷いた。

さすがビックセブンっす。マジパネェっす。

 

「いいんじゃないですか?1週間置いて何事も無かったのなら安全性はとりあえず証明出来ている訳ですし。それに、舞鶴提督さんが安全だって言うなら本当なのでしょうから。」

 

と、『呉鎮守府』と腕章を着けた女性の提督。

ウチの提督へのその絶大な信頼はなんだ。何をしたんだ。

 

「…いや、儂は認められんな。大体1週間何もしなかったからと言って安全だと認定するのが甘すぎる。深海棲艦なんぞ信頼できん。」

 

そう言うのは『佐世保鎮守府』の腕章を着けた白髪の爺さん。

 

「それも一理あるけど…他の深海棲艦の通訳よ?サラッと言ったけどとんでもないわよこれ?」

 

「ふん、深海の鉄クズ共がまともな発言ができるとはとても思えんな。」

 

「それに関しては資料にネ級との通訳事例があるじゃない。」

 

「それが本当だと証明出来るのか?あいつのでまかせじゃないのか?」

 

「うーん…舞鶴提督さん、本当だと証明出来る物ある?」

 

「そうですね…ネ級とは翻訳能力の確認後も積極的に喋っていましたね。」

 

ここの写真にあります。と資料を指さす。

 

「これは…間宮んとこか?野放しにしてたのか?」

 

「まさか、監視は付けていますよ。」

 

「監視、ね…レ級とネ級…しかも改じゃないか。その程度で止められるのか?」

 

「問題ありません。」

 

「ストップ2人とも。本題からズレてるわ。」

 

口悪いけど、別に間違ったこと言ってる訳では無いんだよなぁ。あのジジイ。

うーん、しかしなんというか……

飽きたな。ずっと喋ってる光景を眺めているだけとか、退屈の極みだろ。

いや分かってるよ?この会議に俺の命運がかかってるのは。

けどねぇ?集中力がね……

 

「そもそも『有益な情報』とか書いてるが、本当に役に立ってるのか?」

 

「…例えば、少し前に『対空母ヲ級編成と装備例』が出たじゃないですか。」

 

「あぁ、あれね。凄く助かってるわ。」

 

「僕の所もです。ヲ級と抱き合わせの深海棲艦の対策も凄く役に立ってます。」

 

「──待て、まさか…」

 

「そのまさかです。あれはそのレ級の考案です。」

 

「「!?」」

 

「はは、凄いですねー。」

 

「凄いどころじゃ無いわよ!他の情報は!?」

 

「それは…着任が認められてからですかね。」

 

「待て、儂は知らぬ間に深海の力を借りたというのか…?」

 

ワナワナと震える佐世保提督。

 

「私の頭ではもう有用性と言う文字がカーニバルしてるわ。」

 

「その子がいたら作戦が凄くスムーズになりそうですねぇ。」

 

ここで掴んで…上げて空N!外に出して、地面でちょっと溜めて…ここで膝!!

決まったァ!ッフゥゥーー!夜は焼肉ッショォォォ!!!

 

※レ級は飽きた為脳内でスマブラしてます。スマブラしてる人はみんな脳内でスマブラ出来るという特殊能力があります。

 

「…もう認めるしか無いんじゃない?佐世保提督?」

 

「…ならん、ならん!我々誇り高き軍人があんな深海のクソの手を借りるなど、あってはならん!!ましてや、そんな得体の知れない"人間ごっこ"をしているやつのはな!」

 

「ちょっと!別に深海棲艦の事を擁護するつもりはないけれど、この子にそんな言い草は無いじゃない!ねぇレ級?」

 

「えっあァ…そっスネ…」

 

やべえ何の話だ。何も聞いてなかった。

 

「ふん、そんな事しったものか。なんならもっと言ってやろうか!」

 

「……このままじゃキリが無いね…レ級ちゃん?ごめんだけどちょっと席を外して貰って良いかい?」

 

横須賀の提督が言う。

確かに俺がいたら話しにくいよな。主題もズレてく可能性もあるし、一旦外に出よう。

 

「わかっタ。廊下にいるヨ。」

 

そうして俺はドアを開け、会議室の外に出た。

 

 

バタン、とドアが閉まる。

 

「不安になる歩き方をするねぇ。着任したら技術開発部に義足でも造らせようか。」

 

「良いわねそれ。じゃあ私は制服でもデザインしてあげようかしら?」

 

「呉提督はセーラーしかやらないじゃん。」

 

「何が悪いのよ。あの子きっとセーラー似合うわ。」

 

「季節の着替えはどうしようか──」

 

と、レ級に着せる服の話に花を咲かせていると、突如として大きな音が部屋に鳴り響く。

 

「…何故あの深海棲艦を受け入れようとしているのだ?奴らに受けた屈辱を忘れたか?」

 

「台パンやめてくれます?」

 

「軍に入り、提督として着任した時にした誓いはどうした?『深海棲艦を殲滅し、海の平穏を取り戻す』という誓いを!」

 

「そんな誓いした覚えは無いわねぇ…」

 

「深海棲艦に沈められた艦娘達の想いを踏みにじるのか!!」

 

「あの子はその深海棲艦じゃ無いよ。それにもし彼女達が海の平穏を望んでいるのだとしたら、あのレ級はその重要な足掛かりになるしね。」

 

「軍人として、提督としての誇りはどうした!?」

 

「作戦を迅速かつ、最小限の被害で遂行出来る情報を得る事より重い誇りは持ち合わせてないかな。」

 

「同感ね。私達の艦娘達が無事に任務を遂行できるのなら誇りなんか捨てるわよ。」

 

「貴様らッ!!──加賀、お前はどうなんだ!」

 

「私は発言出来るような立場ではありませんので。」

 

「儂が許可する!早く言え!」

 

「そうですか。では言わせて頂きますと、軍が有利になるのであれば推し進めるべきかと。」

 

「……この…」

 

 

「──白熱してんナァ。」

 

壁越しに声が響く。まぁ防音性能はまあまああるようなので内容までは分からないが。

あのじーさんの言わんとすることは分かるけどね。

しかしあの横須賀の提督の言った「レ級一体如きなんとでもなる」って……虚勢じゃない本物の余裕からくる発言だった。さては相当強いな、あの人の艦隊。

 

「それにしてもアッツいナ…」

 

俺の今の服装としては、いつもの黒いフードジャケットなのだが…常にチャックを1番上まで上げているため地味に暑い。

 

「かと言ってチャックを下げると痴女みたいな格好になるシナ…」

 

とりあえずフードを脱いで、首に装着しているアフガンストール的な布を取る。

 

「…で、いつまでオレを見てるンダ?こっち来いヨ。」

 

と、虚空に向かって言う。

違う、厨二病じゃない。なんか見られてるんだ、深海棲艦だから視線とか敏感なだけなんだ。違う、厨二病じゃねえって。

 

「あちゃー…古鷹、気付かれたわ。終わったぁー。」

 

「えぇ!?ちょ、ちょっと!そんな軽率に……」

 

と言いながら物陰から出てきたのは、加古と古鷹の水族館コンビ。

腕には『市ヶ谷大本營』の腕章。

 

「ドーモ、お勤めご苦労サン。深海棲艦、戦艦レ級ダ。よろしク。」

 

「古鷹型重巡洋艦の2番艦、加古だよぉ。よろしくぅ!」

 

「お、同じく1番艦の古鷹です。私はどうなっても良いから加古だけは…」

 

古鷹の態度がおかしい。命乞いみたいなこと言ってる。

 

「エット……何もしないヨ〜?ボクは悪いレ級じャないヨ〜。そもそも装備もなんも無いから〜…」

 

「…本当ですか?覗いてた事については?怒ってないんですか…?」

 

「そんなの慣れてるシ。どうせ命令ダロ?お互い苦労するネェ。泣けてくるヨ。」

 

「…アッハッハッハッハッ!!古鷹、心配いらねーって!このレ級、マジで何ともねーって顔してるから!」

 

「…え?」

 

爆笑する加古。

俯いていた頭を上げる古鷹。

 

「いやぁ、話にゃ聞いてたけどホントーに面白いな!普通に喋ってるし!まったく、ウチのも心配性だねぇ。」

 

「大本営が警戒しないのもそれはそれでヤバイけどナ。」

 

「違いない!」

 

「な、馴染んでる…」

 

再び爆笑する加古とレ級。

まったくついていけていない古鷹。

 

「いやしかし…今オレ、今際の際って感じなんダけど助けちャくんネーカ…ナ…」

 

気楽な口調が段々と重くなるレ級。

加古と古鷹は最初は不思議そうにしていたが、すぐに理解したかのように直立不動となる。

 

「ハハ…本当にイヤだね…こういうのにいち早く気付いちまウ…」

 

こめかみ辺りを指で抑え、顔を顰める。

肌がピリ付き、全身の毛が逆立つ。人間としての、深海棲艦としての。どちらの本能も「逃げろ」と警告してくる。

 

そんな大きなプレッシャーを放つ大男がカツン、カツンと革靴を鳴らして歩いてきている。

左目は眼帯に覆われ、いくつもの傷を抱えており、胸に引っ下げられた勲章の数が彼がなんたるかを物語っている。

そしてなにより目が行くのはその大きな肩に冠された星の数。

 

「五ツ星…ってことハ…」

 

元帥。

軍隊における最上級の称号を象徴した数の星が鎮座している。

そんな男は、その重苦しい口を開き、言った。

 

「君が例の……なるほど。」

 

「アッ…ドウモ……」

 

「……ふむ。」

 

「…?」

 

レ級の全身をじっくりと観察する元帥。その真意は果たしてどのようなものなのだろうか。

 

「……いい。」

 

「ハイ?」

 

「か〜わ〜いいじゃな〜い!!!」

 

「ハ?」

 

「「はぁ……」」

 

厳粛な顔を破顔させ、高いトーンでレ級を賞賛する元帥。先程までの雰囲気から一変、辺りはお花畑である。

あっけに取られるレ級。ため息を吐きながら軽く頭を抑える水族館組。

 

「オネエッ…アッ(天地明察)」

 

レ級の脳内で今起きたことを整理し理解するまでおよそ0.25秒。

脳内CPUが弾き出した結論は、『オネエさん』!!!

 

「どうモ!舞鶴鎮守府で絶賛鹵獲中!戦艦レ級でス!」

 

そうと決まれば話は別だ。筋肉モリモリマッチョマンのオネエに悪いヤツなどいないのがこの世の真理。オネエ以上に信頼出来る人間なぞそうそういない!(当社調べ)

 

「会議室の外にいるってことは〜…んもう、佐世保のせいね?いけず。こんな可愛い子を追い出すなんて!行くわよレ級ちゃん、ついてらっしゃい!」

 

「いえすまむ!」

 

ガチャリ、と扉を開ける元帥。その瞬間、室内で行われていたであろう口論が一瞬で止み、全員が立つ音が聞こえた。

 

「あら…あらあらあらぁ……」

 

と謎の声を出す元帥。不思議に思いひょっこりと元帥の懐から顔を出し、室内を観察すると……

 

「……ッ!?」

 

「あれ、レ級?どうしたー?」

 

「…フリーズ?」

 

固まった。

 

「…ッ!?!?ッッッ!!!??」

 

「お、今度は赤くなった。解凍か?」

 

「後ろからでも分かるくらい赤い……」

 

何故レ級が赤くなったか?それは会議室のスクリーンを見れば分かるだろう。

正確には、プロジェクターでスクリーンに投影された写真を。

何が映っていたか?それは……

 

「…なん…で…?」

 

レ級が満面の笑みでアイスを食べている写真である。

 




提督「定例会は新宿の大本営で行われます。」
レ級「おう、ここは京都だよナ?新幹線カ?」
提督「車です。」
レ級「エ?」
提督「車。」
レ級「車。」
提督「車で行きます。」
レ級「()」
提督「静岡で1泊します。」
レ級「バカなノ?ねェバカなノ?正気?いつそんなにSAN削られタ?狂気ロールファンブルしたノ?」
夕立「諦めるっぽいレ級ちゃん……」
ビス「大人の事情ってやつね…世知辛いわ。」
レ級「そんなに長時間座ったら……尻ガガガ…」

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