朝、雄英に向かっていた継矢は雄英高校の門の前に集まっている人達に足を止めていた
「……マスゴミか」
その人達はそれぞれマイクやカメラ等を構えて登校する雄英高校生を捕まえて質問している。ただそれだけなら良いが登校の邪魔なになる様な場所にいるのはもちろん断ろうとする生徒にも強引に引き止め詰め寄っている。
やはりマスゴミである。
マスコミの事は別に否定は継矢はしない、だがやはりというかこういう他人の事は知ったことか。と言わんばかりのマスコミの態度は好かなかった。
「おはよう」
校門のから少し離れた場所で止まっていた継矢に声を掛けたのは耳郎だった。
「おはよう」
「……凄いね、あれ」
「ほんと面倒臭いよ」
そう言う継矢はスマホを取り出して電話をかけ始めた。その相手は
『もしもし。何の用だ、星杖』
「とりあえずおはようございます。相澤先生」
相澤先生だった。
『用があるなら早くしろ。マスコミに対応しなきゃならん』
「そのマスコミの事なんですけど。個性使って突破して良いですか?」
『……特別に許可する。他にも生徒いるなら個性使って良いって言っとけ』
「わかりました」
『それじゃあ遅れる事だけは無いように』
そう言って相澤先生は通話を切った。
継矢はスマホをしまい込み、耳郎に話し掛ける
「今の聞こえてた?」
「バッチリ。とりあえずクラスのラインにも伝えといた」
「ありがと。さて、相澤先生に怒られないようにさっさと行くか」
継矢はトリガーを展開しブースターを出す。そして耳郎を抱える
「なっ、ちょっと!おんぶとかで良いでしょ!」
「いや、飛ぶからスカートだと見られるかもよ?」
「…………なら良い」
そう言って耳郎は少しそっぽを向いた。その横顔は少し赤くなっていた。
継矢は耳郎をしっかりと抱えると飛び立ち、マスコミ達の上を飛んで行く。その様子にマスコミは騒ぎ、映そうとするがその前に継矢はスピードを上げて校門を超えて雄英の敷地に降り立つ。
「結構楽しいね。飛ぶのって」
「気に入って貰えたなら何より」
継矢は耳郎を下ろして一緒にクラスに向かう。
****************
生徒達は何とかマスコミを突破しクラスに辿り着いていた。そして先生も教室に入って来た
「おはよう諸君。全員遅れが無いようで何よりだ。先日のVを見させてもらった。爆豪、もうガキみたいなことはすんなよ」
「ッチ!」
爆豪は先生に言われた事を理解しているのか反論はしなかった。
「そして緑谷、個性の制御……いつまでも出来ないから仕方ない、じゃ通させねぇぞ。
それさえクリアすればやれることは多い。焦れよ緑谷」
「は、はい!」
爆豪と緑谷以外は特に言う事も無いのか相澤先生はそこで一旦言葉を区切る。
「さてホームルームの本題だ……、急で悪いが今日は君らに……」
「「「(何だ……⁉また臨時テスト⁉)」」」
相澤先生は入学しからの短い期間で時々突発的に予想外の事をする為に生徒達は警戒する。
「学級委員長を決めてもらう」
「「「学校っぽいの来た──ー!!!」」」
学級委員長という本来なら皆が嫌がりそうな事だが、このヒーロー科ではクラスメイトの上に立つという事。皆がそれぞれを声と手を上げる。その中で飯田が大きな声を上げた
「皆静粛に!!!"多"を導く大変な仕事、それをただやりたいからと、簡単に決めて良い筈がない。だからこそ信頼得るリーダーを決める為、投票を行うべきだ!!」
と飯田が立派で正論とも言える事を唱える、確かに正しい事だ。事なのだが……
『そう言いながらそびえ立ってるじゃねぇか!!』
正論を口にする傍らで真っ直ぐと直線と思える程に素晴らしい腕の伸ばし方をしている飯田。本人も委員長はやりたいらしい、だが時間内に決めろと言った相澤は時間かかるなら多数決でいいから決めろと急かすので飯田の案が採用されるのであった。そしてその結果―――一番票を集めたのは緑谷の3票、次点で八百万の2票であった。
「(俺以外なら誰でも良いしな)」
継矢は学級委員長等は面倒くさくて嫌だというスタンスなので飯田に入れた。この中では一番委員長に向いてそうではある。ちなみに峰田や爆豪は論外である。
****************
時間は過ぎて昼休み。この時間はそれぞれが食事や会話を楽しんでいる。もちろん継矢もその一人である。
継矢は食堂に向かい、クックヒーローランチラッシュから今日の昼飯である唐揚げ定食(特盛)を受け取る。
そして席についてご飯をたべていると。
突然サイレンが鳴り響く。継矢は驚きながら周囲を見回すと多くの生徒が席から立ち上がり食堂の出口目掛けて走っていく。
「……動かない方がいいか」
このサイレンの音の意味、雄英に侵入者が来たという事を思い出した継矢はギュウギュウづめになっている生徒の列を見ながらそう言う。
全員慌てすぎて押して押されての状況で怪我人が出かねない人の波に突っ込むのは愚策以外のなにものでもない。
仮にここでゆっくりしてヴィランなんかが来ても即座にケリードーンのブースター使って窓をぶち破ってでも逃げれば良いと考えていた。
「ちょっ……苦しく……」
そんな中人波に呑まれている耳郎を見つけ手を伸ばす。幸いな事に近くにいたのですんなりと掴む事が出来た。
「えっ、なに!?」
そのまま勢い良く引っ張り隣に座らせる。
「大丈夫か?」
「え?あ、うん。ありがとう。てっ、なに呑気に座ってるの!?」
人波から引っ張り出された事に感謝しつつも避難する素振り見せていない継矢に耳郎は驚いた。
「この状況で動いても怪我するだけだ」
「……確かにそうだけど」
「まぁ、状況が落ち着いてからでも遅くは無いさ」
何処か腑に落ちない顔をしながらもまたあの人波に入るのははばかられた耳郎はそのまま継矢の隣で大人しくするのだった。
それから少しして飯田が非常口の上に張り付いて侵入者がマスコミだと言うことを知らせるた状況は落ち着いた。