個性メルトリリス   作:ミホホロモチ

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足音が、聞こえる。

 

 

湿った薄暗い地下室。

一面に蠢く無数の淫蟲に犯されながら少女は目を開ける。

 

「良い子にしておったか桜」

 

しわがれた声の老人が愉しそうに問う。

コレは何時のも確認(日課)だ。

 

 

「はい、お爺様」

 

 

 

「お前はなんじゃ?」

 

 

 

「私は、人形です。私は、■■の子を産むための胎盤です」

 

 

壊れた(壊された)精神で答える。

逆らってはいけない。私は人形なのだから

余計な事を考えてはいけない。私は道具なのだから。

道具なのだからどんな扱いを受けても辛く、ない。

 

老人が満足そうに頷くと、身体を這い回っていた蟲達が引いてゆく。

 

「良く理解しておるの、今日の授業はここまでにしておこう」

 

放り出された身体が痙攣する。何時の間にか老人は居なくなっていた。

地下室の隅に投げ捨てられた服を拾い疲労と■■で震える身体に鞭打って階段を上る。地下室とは別の地獄(日常)が始まるのだ。

 

 

 

 

 

いつも通りの日常(幸せ)を過ごしていた筈だった。

4歳の誕生日、■■■くんと■■■くんにおめでとうって言って貰って、一緒にケーキを食べて。

夜にお母さんとお父さんと楽しく話をしていた。なのに気づくと私は全てを無くしていた。

目を覚ました時、既にこの屋敷に居た。引きづられ、服を剥かれ蟲蔵に投げ入れられた。

 

両親は、幼馴染みは私のせいで死んだ。両親と幼馴染みを殺した私に帰る場所は無く、罪を償う為此処で罰を受けているのだと、理由も分からないまま蟲達に犯され泣き叫ぶ私にお爺様は言った。

 

 

信じなかった(母さん)抵抗した(父さん)逃げようとした(■■■くん)泣き叫んだ(■■■くん)

助けを、求めた(助けて、ヒーロー)

 

 

━━━━━誰も助けてはくれなかったけれど(ヒーローは、来なかった)けれど。

 

 

 

 

蟲達に精神と身体を壊されながら、希望に縋り付く私をお爺様は見下ろしながら、優しく、利かん坊に諭すように。罪を償う方法を言う(教える)

 

『良いか、桜。お前は人形だ。強い個性を持つ子を作る為の間桐の胎盤だ。この役目を果たし終えた時、お前は赦される』

 

 

 

お爺様の言う事は絶対です。抵抗してはいけません。

蟲達の動きが激しくなるから。

息を吸うことさえ許されないから。

逃げてはいけません。余計な事を考えてはいけません。

蟲蔵に居る時間が長くなってしまいます。

 

 

希望を持ってはいけない。

だって助けは来ないから。

 

 

泣くことは、無くなった。何も考えなくなった。

私は人形。人形だから、道具だから辛くない。辛く、ないんです。

 

 

『はい、お爺様』

 

 

 

 

 

部屋に戻ると腕を掴まれ、埃臭いベッドに押し倒された。

お爺様の息子と親戚だった。

 

 

これが(人形)日常(地獄)だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

満足した男達が部屋から出ていく。

 

 

起き上がる気力もなく絞められたせいで痛む喉に手を当てる。

 

ふと、鳥の鳴き声が聞こえた。3羽の鳥が仲良さげに寄り添い合っていた。

 

何時もなら気にならなかった。

何故か目が、離せなかった。

 

『桜は弱っちいからな、守ってやるよ!』

 

『ぼ、僕も守るよ!オールマイトみたいに!』

 

鳥達が自由に飛び立つ姿を見て私は━━━━━

 

 

 

 

屋敷を飛び出していた。

 

 

 

 

 

足が痛い(何故?)何も履いていない足に石や木の枝がささる(どうして私は走っているの?)

息が乱れる(何故?)久しぶりの運動に心肺機能が悲鳴をあげる(どうしてお爺様に逆らっているの)

 

何故、逃げているの(私は人形、なのに)

 

それ以上に屋敷から離れれば離れるほど、胸の痛みが酷くなる。

まるで心臓を握られているかのような痛みだった。

 

余りの痛みに気を取られ木の根に足を取られ斜面を滑り落ちる。

 

 

 

気づくと朝になっていた。

心臓を掴まれるような痛みは消えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「凄いね、流石公安が推薦する子だ。強力すぎる、いや危険すぎる個性だね」

 

 

大画面のモニターに映る光景は異様だった。

 

先程まで暴れていた超大型仮想ヴィラン、それが少女の一蹴りで一瞬で溶けて消えた。結果だけで見れば街に損害を出さない素晴らしいものだ。

 

 

「……個性複数持ちか」

 

アングラ系ヒーローイレイザーヘッドは公安から送られてきた書類に目を通す。

 

「個性流体、身体強化、溶解、吸収。なるほど、これらの個性を応用して一瞬で溶かして吸収したのね。それにしてもコレは……」

 

「かなり個性使い慣れてんなぁ!流石公安の肝いりってとこか?」

 

「いやしかし、コレは危険すぎます。戦闘訓練中もしも他生徒に何かあれば……!」

 

「……少なくとも少女は最低限の被害で街を救った!見た限りあれほどの強力な個性でありながら制御は素晴らしいものです!」

 

「オールマイトの言うとうりさ!それに個性に関しては心配入らないよ。公安から彼女が雄英で人に対して溶解の個性を使う事は無いとお達しがあった。ならば断る理由は無いのさ!」

 

 

公安からの要請により特別に用意された、少女の為だけの入試試験。1人だけの会場で舞うように仮想ヴィランを義足(爪先)で撫で斬り溶かす。冷静な判断力、瞬きの間にもビルを駆け上がる瞬発力。圧巻の戦果を見せた。その姿はまるでステージで独り孤独に踊る美しいプリマドンナを見ているかのような心地にさせるものだった。

 

 

「……確かに不安な面もある。しかし彼女の目を見て私は確信しました。あれは、守りたい物のある目だ。彼女はきっとヒーローになれる」

 

 

オールマイトの力強い言葉が、響いた。






主人公ちゃんの1部プロフィール

名前 溶海 メルト
個性 流体
液体の性質を持ち、自身の身体を自由自在に変えられる。又水を操る事が可能
身体強化
身体能力が高くなっている。特に瞬発力が凄まじい様だ。
溶解
有機物、無機物問わず形あるものであれば溶かすことが
可能。溶かした物はゼリー状になる。
吸収
溶かした物を自身の力として吸収する。容量の制限は無
い様子。


公安に引き取られ育てられた。個性の影響で触覚障害を患っている。異形型の個性であり、イレイザーヘッドの抹消は効かない。

容姿はFateのメルトリリスそのものです。


こっからどうすっかなぁ……最期と関係性は決まってるんだけどなぁ……
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