原神:幼なじみ物語   作:Mrミステル

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大変長らくお待たせいたしましたぁ!(土下座)

いやね。諸々あって大変だったんですよ。主に論文。

という訳でリクエストにあったロサリアで1つ書きました。
いやぁ、二次創作って楽しいね!


ロサリア

 

風吹く町モンド。自由が芽吹くこの町であるが、その自由は騎士団によるものであるという認識をしている人が多い。

 

間違いでは無い。実際、町に問題が起これば解決するのは騎士団の人間である。たとえ騎士団ではお門違いの悩みや負傷、疾病であっても教会のシスター達が対策にあたる。

 

さて、今回のお話はモンドの裏を暗躍する1人の盗賊のお話。義賊と呼ばれるその男の名はヨハン。かつてモンドを脅かした巨大な宝盗団を1人で壊滅させ、今もどこかでこのモンドを護る影の騎士のお話......

 

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「旅人。ちょっといいかしら」

 

「あれ? ロサリアじゃないか!」

 

「本当だ。こんにちは、ロサリア」

 

蛍はモンドに帰ってきていた。理由は単純。ここ最近はフォンテーヌに入り浸っていたが、モンドの食が恋しくなって戻ってきていたのだ。次に向かうナタは少々面倒な事情があるらしく、その前の蓄えと言ってもいいだろう。

モンド風ハッシュドポテトをつまみながら歩いているとロサリアとバッタリした訳だ。最も、ロサリアは狙って待っていたかのように見える。

 

「旅人、貴女戦うの好きよね?」

 

「好きだね」

「こいつの戦闘好きはファデュイの奴にも言われたぞ...」

 

どこぞの財布のことである。

 

「そう。私の知り合いで腕がたつのがいるの。で、今回私は騎士団からそいつを捕らえてこいって依頼を受けた。手伝ってもらえるかしら」

 

「分かった。報酬は?」

 

「私が考えた料理でも振る舞うわ」

 

「「のった」!!」

 

蛍よりもパイモンの方が元気いっぱいの返事をした。お気楽なものだと蛍はジト目でパイモンを見ていた。

 

「じゃあ決まりね。行きましょう。夜ご飯までには戻れるかもしれない」

 

こうして、蛍は強者との戦いにウッキウキで向かうのであった。

 

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しばらく歩いて、やってきたのは風唸りの丘。鷹飛びの浜が一望できる絶景スポット。

 

「ここら辺にいるわ。大体木の上で休んでることが多いし」

 

「なぁロサリア。腕がたつ奴ってのは人間か? ここらにはスライムとかトリックフラワーしかいないぞ!」

 

「まぁ...人間ね」

 

「アビス関係だったりする?」

 

「アビスには関係な......居たわ。あそこ」

 

ロサリアが指さす先を見ると、確かに木の上で男が1人で腕を組んで眠っている。

...とても腕がたつようには見えない。

 

「...なぁ。確かに木の上で休んでるけどさ。本当にアイツなのか? なんか腹の上に鳥いるし...寝顔がマヌケだぞ!」

 

「...ったく。身体を冷やすなとあれほど...」

 

「ロサリア?」

 

「旅人、アイツが寝てる枝。切り落としていいわよ。そうしたら多分戦闘になると思うわ」

 

「了解」

 

パイモンが「えぇ!?!? 待て待て危ないぞ!」とかなんとか騒いでいるが気にしない。元よりアビスとの決戦はやってくる。その時に備えて()自身も実力をつけないと。実力をつけるには強い人たちと戦うのが手っ取り早い。仲間に加わってくれたなら万々歳だ。

 

「ふっ!」

 

蛍は飛び上がって右手に持つ剣を一閃。枝は綺麗な断面を見せ、彼は落ちていく。

パイモンは顔を真っ青にして、なんとか受け止められないかと彼の落下地点でウロウロしている。

 

「......っ!?」

 

その刹那、蛍は落ちていく男と、視線がかち合った。彼の青い双眸は確実にこちらを捉え、眠気などは一切感じさせない。

そこにあるのは、そう。単純で純粋な殺意そのものである。

 

彼の方が地面に着くのは早い。間違いなく受け身をとる。それどころか反撃を受けてもおかしくない。それほどのオーラを感じる。飛び上がって枝を斬ったのは迂闊だった。

 

蛍がそんな後悔をして剣を構えなおすと、既にそこに男の姿はなかった。

 

「...どこっ...。...っぁ゛!?」

 

蛍は男の姿を捉える前に背中にとてつもない衝撃を受けた。完全にノーマークの背中への攻撃に対応できず、蛍はそのまま地面に叩きつけられた。

 

「うわぁ!? だ、大丈夫かよぉ!」

 

「...ぅ...あ...」

 

呼吸がままならない。まともに受身を取れずに頭にも衝撃が行ってしまった。気持ち悪い。脳震盪だ。まずい。立たなきゃ。すぐに追撃が...。

 

蛍は本能のままに身体を半身ズラした。すると先程まで身体があった場所に蹴りが飛んできていた。まともに喰らえば内臓が2~3個イカれてもおかしくないだろう。蛍はその衝撃に任せて体勢を立て直すことに成功した。そして初めて男と真正面から対峙した。

 

「ほう。避けるか。楽しませてくれる」

 

「はぁ...はぁ...。...ふぅ...」

 

男は1歩、また1歩と蛍に近づいてくる。蛍は脳震盪によって立っているのがやっとだ。今攻撃されてもまともに防御━━━

 

「がはっ!?」

 

「ふむ。限界か?」

 

ま...ずい...。意識...とぶ...。

 

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「白いの、こっちだ。ここに寝かせとけ」

 

「お、おう...? まるで雰囲気が違うぞ...」

 

パイモンが蛍を引っ張るのを手伝いながら、一瞥もせずに、まるでそこに居るのが分かっているかのように、ヨハンは問うた。

 

「ロサリア。お前の差し金か?」

 

パイモンが気絶した蛍の周りでわたわたしている間にロサリアはいつの間にか近くによっていた。

 

「えぇ。その子、私よりよっぽど強い子なんだけど」

 

「...回りくどい事なんざしなくてもな、俺の答えは変わらないぞ」

 

腰に手を付き、ため息混じりにヨハンはロサリアに答えた。

 

「それになぁ、この子なんなの。気持ちよく昼寝してたのに、無茶苦茶するじゃん」

 

「モンドを救った栄誉騎士よ」

 

「へぇ...この子が」

 

 

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「.......っ!」

 

「旅人ぉ! 目が覚めたか!」

 

目が覚めたらもう日が傾き始めていた。ロサリアに依頼を受けたのは昼より前だから、ざっと4時間...。そんなに長い間気絶していたのか...。

 

「あら、目が覚めたのね」

「飯できたぞ。食えるか?」

 

ロサリアとあの男は既に焚き火を囲んでおり、美味しそうな匂いが鼻腔をくすぐる。あの男も一緒に鍋をつついている。

...悪い人じゃなさそう。...いや悪いのは完全に私の方か。

 

「その...ごめんさない。急に斬りかかったりして」

 

「あ? あー...気にすんなよ。それより腹減ってねぇのか? 食えよ」

 

「ごめんなさいね。彼、人を励ましたりするの苦手なのよ」

 

「おい待て、なんでお前がそっちの味方なんだ」

 

見ると既にパイモンは男が作った料理にかぶりついてるし、ロサリアも私の分を用意して待ってくれている。

 

「聞いたぞ。兄貴を探してるんだって? 特徴教えろ。もののついでだが俺も一応探しておく」

 

「...どうしていきなり斬りかかった人にそんな優しくできるの?」

 

「......なんでだろうなぁ。こういう性格だからとしか言いようがねぇよ」

 

温かいスープと鶏肉をゆっくり咀嚼してから飲み込み、目の前の男を見た。

銀髪はボサボサ。少し痩せ気味。疲れているのか目元には薄いクマがあって、神の目はなし。...まさか。

 

「徒手空拳相手に負けた...?」

 

「...お前よっぽど自分の実力に自信があるんだな?」

 

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「昼寝ができてねぇから」とあの後ヨハンはすぐに眠ってしまった。起きているのは蛍とロサリアのみ。パイモンはヨハンの抱き枕にされている。ヨハンは割と体温が高めらしく、パイモンも満更でもなさそうにすよすよと眠っている。

 

「...底抜けに優しいのよ、彼」

 

「ヨハンってどこに住んでるの? 眠いんだったら帰ってベッドで寝たらいいのに」

 

「彼に住んでいる所はないわ。住所不定、無職、寝床すら日によって違う。ただの不審者よ。なのにあの戦闘力、騎士団が捕まえたいと思うのも無理はないでしょう?」

 

「ロサリアは何か知ってるの?」

 

「...旅人は私が盗賊だった事、知っているかしら?」

 

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私は生まれ故郷を盗賊団に襲われた。父も母も殺されて、私だけが生き残った。そしてその盗賊団に拾われて、雑用として使われてたの。

...今の戦闘の技術も、この時に叩き込まれたものよ。

 

そんな私と同じような境遇にいたのがコイツよ。コイツも私と同じように故郷を襲われて、何もかもを失った矢先に盗賊団に拾われたの。

私よりも早く、盗賊団に入ってた。コイツの家を襲った奴は3人死んだわ。両親が狩人だったのよ。それで父親の山刀で2人、母親の弓で1人。

 

その時コイツはどうやら罠の様子を見に行ってたらしいの。そこで盗賊団は正義の味方ヅラをしたって訳、それで彼は復讐のために私たちと行動を共にした...

 

「待って。宝盗団が正義の味方ヅラ?」

 

「...殺したのは別のやつで、我々はここを守ろうとしたって子供だましの嘘をついたのよ。ま、コイツはまんまと騙された訳だけど」

 

「...んぐ...zzz」

 

...その後に私が盗賊団に捕まったのよ。同じ雑用として色々なことを教えてもらったわ...。もちろん忘れた方がいい技術の方が多いけどね。

 

 

『ロサリア、こっち捌いといて。俺はあっちの死体の処理やるから』

 

『...ぉえっ』

 

『おっと...。大丈夫か? わかった俺がやっとくから。井戸から水汲んできてくれよ』

 

 

 

『...ふぅ...はぁーー...』

 

『ロサリア。ひとりじゃ寒いだろ。こっち来いよ』

 

『...やだ。アイツらのとこに行きたくない』

 

『仕方ねぇなぁ。ほら、毛布持ってきたから、被っとけ』

 

 

 

彼、元々黒髪だったのよ? 信じられないでしょ。盗賊団で過ごす内にどんどん色が抜け落ちていったのよ。

 

「これが!?」

 

そう。それが。...話を続けるわね。

 

ある寒い冬だった。寒くて寒くて、食糧も足りなくて、辛くて苦しかったの。

...だから私は脱走を決意した。

 

『はっ、はっ、はっ!』

 

『...どこへ行くんだい? ロサリア』

 

『...っ!』

 

そうしたら、1番の古株に見つかったのよ。

......だから私はソイツを殺したの。私の神の目はその時授かったものだし、忌々しいのだけど。

 

その直後にファルカが来たのよ。それで盗賊団は壊滅。その時に私は更生の余地ありと判断されて今に至るわ。

 

...その時ヨハンだけが逃げ果せたらしいの。私は騎士団に必死に話したんだけど、見つからなかった。

 

それがまさか、私の仕事のターゲットになるなんて...世間は狭いわ。

 

『...(目撃情報はこの辺り)...』

 

『...ん? お、ロサリアじゃねぇの?』

 

『ヨハン!?』

 

『なんだそのカッコ。あぁ、シスターやってんのか。でまぁ、そうだよな。神の目持ちを遊ばせとくほどモンドも暇じゃねぇか』

 

『...今まで...どこに...』

 

『いやまぁしかし、大きくなったなぁ。あん時のイメージのママだからよ。大人になったなぁロサリア。...おいおいどこ行くんだよ?』

 

『帰るわ。あなたを殺せって命令だけど、あなた何かした?』

 

『何かってなんだよ。誓って殺しはやってねぇぞ』

 

『そ、じゃ殺す必要もなさそうだし帰るわね』

 

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「なんで帰っちゃったの!?」

 

「...その.........れ...」

 

ロサリアは珍しく歯切れが悪い様子でゴニョゴニョと口の中で言葉を転がしていた。

その様子を見て蛍は察した。

 

「ははぁーん? さてはホの字だな?」

 

蛍はテイワットを歩き、たくさんのコネクションがある。

そして、旅先でできた女友達はみんな既に身を固めるなり、強引に男を捕まえていた。そんな友達を見てきたからわかる。ロサリアは完全にヨハンに惚れており、大方「一目惚れ」とでも言うつもりだったのだろう。

 

「ひ、一目惚れしたのよ...」

 

ほら見たことか。どいつもこいつも雌の顔しやがって...。ロサリアに至っては話してる最中ずっと膝枕して頭撫でてるし...。ヨハンはなんも疑問持たずにロサリアの膝に頭乗っけてるし...。

はぁ、早くお兄ちゃん捕まえなきゃ...。

 

「一目惚れして顔合わせるのが恥ずかしかったから帰っちゃったの?」

 

「...」コクコク

 

は? なんだこのシスター。可愛いな?

 

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起きたら知らない空だった。

いや、空じゃねぇな。天井だ。俺室内で寝るの嫌いなんだけど。空見えないから。

 

「...お前か」

 

「そう噛みつかないでくれ。すまんな。これも団長のお達しなんだ。...ふむ、先に挨拶をしておこうかな。俺はギルヴァ。今は臨時の副団長をやってる」

 

「あぁ。知ってる。堅勇騎士だろ? それで? 俺に何の用だ?」

 

強いな。隙がない。顔はニコニコしてやがるが抵抗しようとすれば一瞬でカタがつきそうだ。

あぁ、いやそもそもだ。

 

「なんで俺氷漬けなの?」

 

「それは...まぁ。ロサリア殿に聞いてくれ」

 

「という訳で説明するわ」

 

ちょっと待ってくれ。色々情報が渋滞してる。

俺氷漬け。拉致られてる。目の前には副団長とロサリア。いやどういうことだ...?

 

「待て待て待て」

 

「何」

 

「何もクソも、なんで俺ここにいるの?」

 

「...過去にケリをつける時が来たのよ」

 

「.....................あ、なるほど」

 

やばい全然なんの事だか分からなかった。シンキングタイムと言わんがばかりにロサリアは黙ってたけども。どんどん顔真っ赤になってったな。詩的な言い回しって相手に通じないと恥ずかしいよね。

 

「作戦は?」

 

「なんでもいいわ。奇襲、闇討ち、殺しもokだから躊躇う必要はないわね」

 

「じゃあ飯でも食いながらにしようぜ」

 

「そういうと思って準備してあるよ。2人の個室だから自由に使ってね」

 

さすが副団長。敵に回したくねぇ性格してんな。

 

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「...じゃあ決行日は明日の夜でいいかしら?」

 

「あぁ。キャラバンのルートがここだから、おそらく奴らはここを通るはずだ」

 

さすがに長くいた事もあって予測も対策を立てるのも早いわね。ただフォークを振り回すのはやめて欲しいのだけど。

 

「...正直、しょーじき。ロサリア、俺はお前に殺しから足を洗ってほしいんだが」

 

...今更...。

 

「なぁ? せっかく盗賊団にいた時に手を汚さずに済みそうだったのに。更生のためにモンドにいるんだろ? なんでこんな仕事やってんだよ。やらされてんだよ」

 

「...私だって好きでやってるわけじゃないわ」

 

これは私の本心。ただ仕方がない。これ以外にモンドへの恩返しの仕方を知らない。

 

「じゃあ最後にしよう。これっきりだ。人を殺すのはこれで最後。過去に区切りつけて、真っ当に生きよう。俺もそうしたい」

 

「...それは...」

 

モンドへの恩返しの方法を失うことになる。

 

 

ただ、

 

私は、

 

拾われて...

 

「ロサリア」

 

彼に呼ばれて見ると、目の前に彼の顔があって、思わず1歩退いてしまった。

 

「モンドのために殺すことが恩返しなのか? 更生ってなんだ? 果たしてそれは正義なのか? ...お前の自由ってなんだよ...?」

 

「私の...」

 

「苦しそうだよ、お前。俺の所に来た時もさ。体調悪かったんだろ? 顔赤かったし」

 

それは違うけど(断言)。

でも...そうだ。ここは自由の国。私がモンドの為にできること。

 

「吹っ切れたな」

 

「ええ。まだ見つからないけど。ゆっくり探すわ」

 

決意を胸に。私は私のやり方でモンドに恩を返す。だってここは『自由』なのだから。

 

 

 

 

 

 

「ところでこれなんだ? 風船?」

 

「...? ......ごっ!?」

 

...あの副団長は1発殴らないとダメね。

 

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決行当夜。予想通りキャラバンを狙う盗賊団がそこにいた。ロサリアとヨハンはさらにその背後を取っている。

 

「あなた本当に徒手空拳で行くの?」

 

「おう。てか、これ以外の戦い方知らねぇんだよ」

 

2人は岩に身を隠し、盗賊団の隙を狙っている。具体的にはキャラバンを襲うその瞬間。

刻々とその時は迫ってきていた。

 

「行くぞ......今だっ!」

 

「...っ!」

 

2人は岩陰から一気に駆け出した。まずは1人1殺。射掛けたクロスボウが射出される前に首の骨を折る。ロサリアも心臓を穿いている。

 

悪くない。順調だ。

 

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「...っはぁ...はぁ...ぜぇ......」

 

身体が...重い...。どうして? コンディションも悪くない。やる事は変わらない。...なぜ?

 

「おぉ? こりゃ懐かしい顔じゃねぇのよ」

 

「...チッ」

 

私のことを知っている厄介なヤツだ。はっきり言って私はこいつの事を微塵も覚えていない。ただ気味が悪い。

 

「どうした? 今更戻って来たいのか? 歓迎するぜェ? ...テメェにはたぁっぷり借りがあるからなぁ!」

 

「...ッ!?」

 

そうだ。思い出した。コイツの父はあの古株だ。動きがそれとなく似ている。あの日、雪の降った日。

 

私が神の目を授かった日。

 

「はっはァ! とろいぜ!」

 

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「...ぉ...のれ...」

 

「やれやれ。一通り済んだかな」

 

手筈通りなら俺の担当する区域の敵は殲滅できた。キャラバンの人も気づいてないし、順調順調。

 

さぁてと。ロサリアがやばそうだし助けに行くか。

 

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「あぁ、なんだ。倅じゃん」

 

「あァ!? てっ!? テメェ! ヨハンだな!?」

 

...何してるのかしら、私。身体が動かない。

頭を打ったから意識も揺れる...。

 

「...ごめんなロサリア。俺の言葉が惑わせちゃったか」

 

...これが終わったら...私はどう生きていけばいいの?

 

「...教えてよ......」

 

「ロサリア...」

 

「何をごちゃごちゃ言ってやがる! 野郎ども! 殺っちまえ!」

 

...私は、中途半端で、言われるがままの存在。言われたままに殺して、消してきた。

それは盗賊団の時も、今も変わらない。

 

...ヨハンの生き方が羨ましかった。

何にも縛られることなく、自然を謳歌して、それでいて時折橋を渡ってきては、困っている人を颯爽と助けて、また木の上で眠る。

私とは違う形での恩返し。

 

...できることなら、私も。

 

ヨハンと同じ生き方で、生きてみたい。

 

何にも縛られず、人のためにできることを。

 

雁字搦めから抜け出して、一緒に生きられたなら。

 

それってどんなに幸せなのかしら。

 

 

 

 

 

 

「ヨハン!!」

 

「...『大禍(鏖魔が)時』だ。失せな」

 

 

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「立てるか?」

 

「ええ。だいじょうb...」

 

「おっとと」

 

ロサリアはふらふらと足元がおぼつかないようだ。戦闘での疲労と、悩みのふたつの問題を一気に解決した故、どっと疲れが襲ってきた。

 

...気づいた時にはヨハンに横抱きにされていた。あんまり恥ずかしいから暴れて抜け出そうかとしたが、心地良さと暖かさで次第にそんな気も失せていった。見上げればそこにヨハンの顔があって、まだこちらが起きた事に気がついていない。

 

目線だけ動かして周りを見ると、今はモンドへの橋を渡っている最中のようだった。

 

...この気を逃したら、もう二度とできない気がして、ロサリアは思い切って体をひねり、一瞬で顔と顔の高さを同じにした。

ヨハンは驚いてロサリアを危うく落としそうになるところであったが、すんでのところで耐え、少しばかりの非難をしようとロサリアの方を向いた。

 

「...ありがとう。私と一緒に来てくれて」

 

「あ? なにを...」

 

月光に照らされて、湖面に映る2つの影が交わった。

 

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「ヨハン、起きて。遅刻するわ」

 

「...んぅ......」

 

「全くもう...」

 

いい加減この規則正しい生活に慣れてほしいのだけど。まだ癖が抜け切ってないみたい。

 

「...。くぁ〜...。今何時?」

 

「もう9時になるわ」

 

「マジ!? やっばっ!」

 

慌ててドタバタと着替えて、最低限の身だしなみを整えて、つまめるものをつまんで。毎朝この調子だと隣人から苦情が来そうね...。

 

「準備できた?」

 

「んー。どう? 寝癖だいじょぶかな」

 

「...ええ。大丈夫そうよ」

 

「そっか。じゃあ行こう。ロサリア」

 

「ええ」

 

既に登った日が照らす。戸締りをして、待ち合わせ場所へと向かう。

栄誉騎士とパイモンが既に来ていた。彼はヘコヘコと謝っていた。なんだかそれがおかしくて、クスリと笑いが溢れた。

 

私は私の幸せを見つけた。

そして私なりの恩返しも見つけた。

人々のためになること。その最短距離。

大丈夫。これからもやって行ける。

 

「おいおい、笑わないでくれよ...」

 

「ごめんなさいね...ふふっ」

 

何気ない日々、それが「何気ない」と言えますように。

あなたが行く先に多幸あれ。

祈るのは好きじゃない。自分の道は自分で見つける。神頼みは最終手段だ。

 

さぁ、行こう。私が見つけた恩返し。ヨハンも一緒だ。

 

「む、来てくれたな。歓迎するよ。ようこそ、我らが西風騎士団へ」

 

「ウチは育休とかちゃんとしてるから安心してぶべらぁ!?」

 

...まず1つ。モンドの悪を屠った。

 

「ギルヴァー!?」

 

「えぇ...?」

 

「...彼が悪いのよ。...団長さん。気をつけた方がいいわよ。特に身体の事とか。ちゃんとゴムはしなさいよ」

 




はい。という訳でいかがでしたでしょうか。

みんなR18読みたいんか....。
自分書いたことないんですよね。官能小説。

まぁ、とりあえずは形だけ考えて、まずはこっちのリクエスト消化を頑張りたいと思いますんで今後ともよしなに
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