原神:幼なじみ物語   作:Mrミステル

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復刻まだ?


エウルア

 

 

むかしむかし、モンドではわるーい貴族がモンドを支配していました。

貴族は自由であったモンドを縛り、人々を苦しめました。

そんな時に立ち上がったのが、ヴァネッサ。西風騎士団の初代団長です。

ヴァネッサのおかけでモンドは貴族から解放されました。

 

めでたしめでたし。

 

━━━━『モンドのおとぎ話』より

 

 

「くだらん。あぁ、実にくだらない」

 

ある昼下がりのモンドにて、年季の入った椅子に腰掛けた男は子供が読むようなおとぎ話にブツブツと文句を言っていた。

 

彼の名はラベル。ラベル・アルストカット。

モンドの『旧貴族』である。

 

一般的に、現代のモンドにおいて、旧貴族とは憎まれる存在だ。それは過去の圧政であったり、過去にローレンス家が起こした事件だったりと理由は様々だが。

とにかく、旧貴族である人間はモンドの人間からはいい顔をされない。それは周知の事実だ。

 

 

 

そして、このアルストカット家はその例に当てはまらない。

 

 

なぜならば、

 

「ラベルさん! 急患です!」

 

「...シスター・バーバラ。...容態は」

 

「酷い熱なの! 教会に運ばれてきたんですけど...。私たちじゃどうにもできなくて...。お願いします!」

 

アルストカット家は古くから医者の家系である。なまじ旧貴族という汚点があるにはあるが、腕は確かなのだ。

モンドでなにか怪我なり病気なりになれば、まずは大多数の人間は教会に駆け込む。大体はそこで解決するのだが、どうしても対処できないような酷い怪我や病気とあらば、このアルストカット家に運ばれてくる。

 

そして、1度このアルストカット家に掛かった人間はこの旧貴族を見直し、ある程度柔らかくなったりならなかったりする。

だから旧貴族の中でもアルストカット家の名前はよく知られているし、あまり悪いイメージも持たれていないのだ。

 

「......ハァ......ハァ.....」

 

「...ふむ...」

 

「...だ、大丈夫でしょうか...」

 

バーバラが心配そうに運ばれてきた少年、アーサーの顔を覗き込む。

 

「...顔は赤く、熱も高いな…。...ただの風邪、という訳ではないのだろう?」

 

「風邪だったら教会の皆でも対処できます...。...でも...」

 

「ここまで熱が高いと、か」

 

「...はぃ...」

 

尻すぼみになっていくバーバラ。

ラベルはアーサーと呼ばれた少年をまじまじと見、気づいた。

 

「...っ。なるほど。よし、シスター・バーバラ。高熱の原因が分かったぞ。これより治療に取り掛かる」

 

「ほんとですか!? 原因まで!?」

 

バーバラが食い気味にラベルに詰め寄ると、ラベルはアーサーの足元を指さした。

そこには、

 

「...あれ? なにこれ...火傷?」

 

「そうだ。ただの火傷ではない。これは炎スライムによるものだ。...神の目を持っていない人間が身体に元素を溜め込むと体調が崩れるんだ。大人ならばここまで酷くはならないが、子供だとけっこうしんどくなると記憶している」

 

「あっ。そういえば...」

 

前に炎スライムに襲われたことがあったって...。とバーバラがボソボソとつぶやくと、ラベルは自分の予想が的中していることを確信し、治療に取り掛かった。

 

「...ゲホッ...うぅ...」

 

「大丈夫だ少年。すぐに助ける」

 

 

果たしてラベルの治療は完璧に終了した。

アーサーはベッドの上で気持ちよさそうに寝息を立てている。元素が原因の体調不良はその原因を取り除いてしまえば、一瞬で快復するのだ。

 

「す、すごい...。氷元素を...あんな使い方...」

 

「や、シスター・バーバラ。貴女はそろそろお帰りになった方が良い。外も暗くなってきている。あとは私が面倒を見よう」

 

「あ、は、はい! ありがとうございました!」

 

そういうとバーバラは玄関の扉を開けた。

ラベルは読みかけの本がどこにあったか...。と本棚をゴソゴソと漁り始めると、またも玄関が開き、来客を告げる鈴の音が響いた。ラベルは本棚漁りを中断し、一応形だけの受付に向かった。

 

「やぁやぁ。アルストカット家にどのようなご要件...。...なんだ君か」

 

「...君か、って何よ。私が帰ってくるのが嫌だったわけ? この恨み、覚えておくわ」

 

「いや、まさか。久しぶりだね、エウルア」

 

今、目の前にいるのはアルストカット家とは違い、モンドの中で最も忌み嫌われていると行っても過言ではないローレンス家の血筋。

そして、西風騎士団では『波花騎士』で遊撃小隊隊長であるエウルア・ローレンス。その人だ。

 

先程も述べたが、ローレンスという名はモンドでは忌み嫌われ、街中に出れば十中八九嫌な顔をされる。

そんな中、

 

「...ただいま」

 

「うん、おかえり」

 

そんな中、彼女がただ唯一、「ただいま」を言えるのがこのラベルなのである。

 

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エウルアはラベルの診療所に上がると、そのまま2階に直行し、リビングのソファにバタンキューと倒れ込んだ。その様子にラベルは苦笑いしながら、

 

「だいぶ疲れたようだね」

 

「...魔物を倒すくらいなら苦にならないわ。疲れるのは帰ってきてからよ」

 

「...そうだね」

 

「...はぁ。ほんと、嫌になるわ。せっかくモンドに降りかかる危機を事前に振り払っているのに...」

 

「...はい。辛気臭い話はここまでにしようか。...ほら、君のために貯め込んでおいたんだ。呑むだろ?」

 

そういうとラベルは倉庫の扉を開け、エウルアに見せた。そこには数々のお酒が所狭しと並べられており、見る人が見れば狂喜乱舞するような様相であった。

エウルアはそれを一瞥すると、

 

「...あなたの好きなお酒がいいわ」

 

と、ソファに寝転がりながらラベルに告げた。

それを聞いたラベルは「ふむ...」と顎に手をやり倉庫を見渡し、自らが好んでよく飲むお酒を手に取った。

 

「これかな。璃月のお酒だけど。僕はこれが一番好きだよ」

 

「...じゃあそれを飲みましょう」

 

「...あー。今はまだ下に患者がいるから僕は飲めないや。まま、とりあえず飲んでみてよ」

 

するとエウルアはあからさまに不機嫌オーラを出し始め、出されたグラスに全く手をつけず、じぃっとラベルに無言で抗議していた。

 

しかし、ラベルはそれには気づかず、「美味しいよ〜。エウルアもきっと気に入るさ」なんて呑気なことを言いながら、1階にいるアーサーのもとへと降りていった。

 

ラベルが見えなくなるまでエウルアは目を離さずに「一緒に飲め」と伝えていたのだが、どうやらあの医者は気づかなかったらしい。エウルアはため息をつきながら、自分の前に用意されたグラスと、ラベルがいつも使っているグラスを交互に見やった。

 

 

「...! ふふふ...。いい復讐を思いついたわ」

 

 

 

しばらくしてアーサーを送り届けてきたラベルが部屋に戻ってくると、普段の服装を脱ぎ捨て、ある程度薄着になったエウルアがソファで足を組んで、「待ってたわよ」とまるでどこぞの悪女のようなセリフでラベルを迎えた。

 

「ただいま」

 

「おかえりなさい。...ほら、あなたの好きなお酒でしょう? 注いであげたわよ」

 

「...あー。エウルア? ガッチガチに凍ってて飲めないんだけど?」

 

「...ふふっ...」

 

ラベルは「どうすんだこれ...」と凍ったお酒に四苦八苦しながらも、ニヤニヤと楽しそうに笑うエウルアを見て、「ま、彼女が楽しいならいっか」と楽観的に考えていた。

 

 

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夜も更けて、ようやく1杯のお酒を飲み終えたラベルだったが、横には既に酔っ払ったエウルアがいた。そんなエウルアに膝枕をしながら、ラベルはようやく2杯目にたどり着いた。

 

「...むぅ...。私にも注ぎなさいよ...」

 

「君はもう酔っているじゃないか...。そろそろ止めておいた方がいい。二日酔いになるよ」

 

「...明日は休みなの。だからいくら飲んでも平気よ」

 

「医者としてその考えは訂正したいかなぁ...」

 

ラベルは膝に頭を乗せているエウルアを撫でながら、ちびちびとグラスを傾けていると、膝元から可愛らしい寝息が聞こえてきた。

 

「あらら...。寝ちゃったかぁ」

 

男が女を膝枕するという普通ならば反対だろうとツッコミが飛んできそうだが、これが彼らの「いつも」なのである。魔物を討伐して、騎士団に報告したら、エウルアはそのままラベルの家(診療所)へと真っ直ぐに向かう。そしてそこでお酒を飲み、また魔物の討伐に向かうというループであった。

 

エウルアがラベルの家で眠ってしまうのは当たり前のことで、エウルアは、

 

「あの家に戻りたくないわ」

 

と、キッパリと言い捨てたこともあった。

 

今は膝枕だが、過去にはソファで眠ったり、ラベルのベッドで眠ったり、はたまた酔っ払ったエウルアがラベルに抱きつき、そのまま眠ってしまうなんてこともあった。

その度にラベルはエウルアのその抜群のスタイルと香りに悶々とする訳だが。

 

今回もエウルアはゴロンと膝枕の上で寝返りを打つと、その豊満な双丘がふるりと揺れ、ラベルはそれを見ないようにと必死に目を逸らすのだった。

 

 

 

「.........意気地無し.......」

 

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ラベルの診療所にはあまり人はやってこない。それはラベルが旧貴族であるからだ。シンプルな答えである。

 

しかし、1度このラベル・アルストカットの腕に診てもらった患者は、再びこのラベルの元に来るのは珍しいことではない。教会よりも遥かに精度のよい治療の腕を求めてやってくるのだ。

 

「...その分、お金はとるんだけどね」

 

「いやいや! 助かりました! 息子が急に高い熱を出すものですから...」

 

目の前にいるのは昨日治療を行ったアーサーの父親だ。後ろには母親とアーサー本人もおり、ぺこりと頭を下げている。

実は過去にラベルはこの父親の治療も行っており、それ以来この父親は家族に何かあればこのラベルの治療を勧め、今回先に教会に行ったのは「母親の判断」とのことであった。

そしてその母親もおずおずとラベルの前に出てくると、

 

「...私は、やっぱりどこかで旧貴族だから、と思っていたのかもしれません...。...初めから貴方に頼るべきでした」

 

と、謝っているのだか、言わされているのだか分からない言葉を述べ、アーサーの頭をむんずと掴み下げさせた。

十中八九、この母親は旧貴族に世話になるのが気に入らなかったのだろうとラベルは察知し、これ以上自らの仕事場にいられてもどちらにも利がないと判断し、それとなくアーサーとその両親を帰宅させた。

 

ため息を漏らしながら2階へと上がると、そこには頬杖をつきながら雑誌を読んでいるエウルアがいた。どうやら下の階の患者向けに置いておいた雑誌を拝借されていたらしい。普通に気が付かなかった。

 

「...私の顔になにかついてるかしら?」

 

「いや? 絵になるなぁと思ってさ」

 

サラッとこういう言葉が出るあたり、ラベルに口喧嘩では一生勝てないだろうとエウルアは感じた。「そう...」と再び雑誌に目をもどし、最近の流行だとか、ファッションだとか、興味のないことこの上ないが、ラベルの家に少しでも長く居るために、誰にも後ろ指をさされないこの空間にいるためにしばらく同じページを眺めていた。

 

するとエウルアの隣が沈み、横を見ると、ラベルがコーヒーを飲みながらエウルアの雑誌を覗き込んでいた。

 

「...あなた、デリカシーって知ってる?」

 

エウルアなりの精一杯の皮肉だ。

 

「さぁ? 知らないな。...君を嘲笑うモンドの人達に教えてもらおうかな」

 

「...」

 

エウルアは心の中で(コイツ...)と悪態をついた。

 

過去にエウルアはアンバーから「ラベルはどんな人なのか」と質問を受けた。その時のエウルアの回答がコレである。

「辛辣で、悪辣で、本っ当に性格悪いわよ。絶対に近づかない方がいいわ。...ただ、医療の知識と腕だけは確かだから、どうしてもって時だけは私がついて行くわ」

 

その時のアンバーは「エウルアと似たような人なんだなぁ」なんてほわほわと考えていた。

実際その通りである。

 

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時は流れ、日は既に何回も変わり、エウルアは騎士団本部へと向かった。

ちなみに隣にはラベルがいる。ラベルは朝起きたら目の前にエウルアの顔があり、心臓に悪いことこの上なかったが、開口一番に、

 

「騎士団本部に行くわよ」

 

と言われ、驚きがスっとどこかへ飛んで行った。

 

騎士団の人間はエウルアのことを認めている。エウルアの実力が確かなものなのもあるが、何よりも代理団長であるジンが味方なのが有難いことだ。

大きな扉を開け、エウルアが小気味の良い足音を響かせながら、入って左手にあるドアを開けた。そこには代理団長と騎兵隊長の2人がいた。

 

「連れてきたわよ」

 

「やぁ、おはようエウルア。それに...来てくれて感謝する。ラベル・アルストカット殿」

 

「殿、なんて止してくれ。そんなに敬意を払われるような人間じゃない」

 

「おいおい、我ら騎士団のメンバーを5人も救っているんだ。お前に敬意を払わずして、誰に払えってんだ?」

 

「そこにいる団長殿に払えばいいだろう」

 

「はっはっは! そう来なくっちゃな?」

 

「......で、何の用だ団長殿。一応これでも暇じゃないのでな。簡潔に頼む」

 

ガイアとの言葉の応酬を終え、ラベルはジンに向き直ると、どうやらエウルアとジンとで話し込んでいたらしく、エウルアがこちらに向かってきた。

 

「...ねぇラベル。もし騎士団に入ってくれって言ったら、断るわよね?」

 

エウルアはさも当然であるかのようにラベルにそう尋ねた。まるで初めからラベルが断るだろうと分かっているかのように。

そして、ラベルもそれに応えた。

 

「当たり前だ」

 

その答えを聞いてジンは額に手を当てて天を仰ぎ、ガイアはやれやれと首を横に降った。

 

「一応、理由も聞いても?」

 

「単純な事だ。俺はこのモンドの民を護ってやろうという原動力がない。...騎士団も血迷ったか? 評判を下げることになるのは分かりきった事だろう」

 

ラベルはバッサリと言い捨てた。一部エウルアに刺さりそうな文言もあったが、エウルアは一応「復讐のため」に騎士団にいるのだから、気にする必要はなかった。

 

「...血迷った訳では無い。君のその素晴らしい医療技術、それを誇示するいい機会になる。モンドの民も「素晴らしい医者がいる」と諸手を挙げて喜ぶことになるだろう」

 

「一体そこに辿り着くまでに何年掛けるつもりだ。...それと、僕は回りくどい話が嫌いなんだよ。さっさと本題に入ってくれ」

 

「...そうか。...魔物の大規模な侵攻が予見された。おおよそ1週間後だ。今現在、モンドに渡る為の橋に障害物を置くなど対策は講じているが、それでもけが人は出るだろう。教会のシスター達には民の避難誘導を依頼した。...となると我々を治療できる人間がいないんだ」

 

「騎士団の欠陥だな」

「黙って聞きなさい。一応機密なのよ?」

 

「...ありがとうエウルア。...そこで君に白羽の矢が立ったのだ。...どうか、我々に手を貸して貰えないだろうか」

 

そういうとジンは頭を深深と下げ、隣にいたガイアも連れて頭を下げた。そしてエウルアも、

 

「...ラベル。私からもお願い」

 

「...」

 

ラベルは少し考えた素振りを見せた後、エウルアを見、ため息をひとつついてから、

 

「...承知した。騎士団に手を貸そう。...俺の腕を高く買ってくれているとはいえ、死人が0というのはさすがに無理だからな?」

 

「...! あぁ! 感謝する!! 作戦の書類を準備するから少し待っていてくれ...!」

 

言うが早いかジンは書類を準備し始めると、ガイアがラベルに歩み寄り、

 

「感謝するぜ。正直、この侵攻でけが人が出たらお前の診療所に押し込もうとしてたんだ」

 

「どっちみち、って事か。...はぁ」

 

「...余計なことは言わない方がいいわ。せっかくラベルの気が向いているのだから。そのままにしておきましょう」

 

「エウルア? 君も結構な事言ってるよ?」

 

「ははっ。仲良くなったようで何よりだ」

 

「どうやら団長殿の目を診た方がいいようだな」

 

結局押し切られたラベルはそこそこの質量を持つ作戦書を押し付けられ、エウルアと一緒に家に戻ってから確認することとなった。幸いなことに、医者をやっているだけあって飲み込みは早かった。というのも、

 

「...こんなに書類いるのか? 僕、ここで治療してるだけじゃないか」

 

「確かにあなたの持ち場はここだけど、どの方角からどれだけのけが人が運ばれてくるのか、ある程度予測できた方がいいじゃない?」

 

「どう考えても1箇所からだろう。橋1つしか無いんだから」

 

「...確かに」

 

「君が折れないでくれよ...」

 

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書類を押し付けられた明くる日。

診療所に「CLOSE」の札をかけ、ラベルはエンジェルスシェアに向かった。理由は単純、お酒を飲みたい、ただそれだけ。

 

「...どうも」

 

「やぁ、君か。珍しいこともあるものだな」

 

「ディルックか。久しいな」

 

たまたまその日はディルックがバーテンダーとして立っており、ラベルは目の前のカウンター席に腰掛けた。

 

「蒲公英酒を頼もう」

 

「承知した。少し待っててくれ」

 

店の奥の方では騒がしい喧騒が聞こえてくる。あそこに行くと旧貴族という都合上、どうやっても面倒なことになるので、ラベルは入口に1番近いカウンター席に腰掛けたのだった。

 

しばらくして、目の前に蒲公英酒が置かれると、ディルックはラベルにこう問うた。

 

「...君も今度の作戦に駆り出されたんだろう?」

 

「...あぁ、そういえば君の名前もあったね」

 

この作戦において、ディルックは清泉町の防衛に当たるらしい。というか、何故一日でラベルが駆り出されたと知っているのだろうか。

 

「お互い苦労しているようだ。...だが、君がいてくれると心強いよ」

 

「...その口説き文句は想いを寄せる女にでもとっておいた方がいい」

 

「全く...。外部の人間に頼るとはな。騎士団も堕ちたものだ」

 

「それに関しては激しく同意しよう」

 

すると、2階からの騒ぎが一際大きくなった。ディルックとラベルは揃って上を見上げ、何が起きているのかと頭に「?」を浮かべていると、ドタバタと2階から1人の客が駆け下りてきた。

 

「た、大変だ! きゅ、急に人が倒れた!!」

 

「なに? ...あぁ、ちょうどいいな」

 

「こっちを見るなディルック。僕は今日はもう閉店したんだ」

 

「この騒ぎを収めてくれるのなら、お代は結構。それでどうだ」

 

「......はぁ。別に金には困ってないんだがなぁ...」

 

今日何度目か分からないため息をつきながら、ラベルは男に「どこだ?」と案内してもらい、2階へと登って男たちをかき分けると、そこには1人の男が倒れていた。そして、その向かい側には、エウルアが立っていた。

 

「...ふむ、まぁ飲みすぎだろうな。コイツ何杯飲んだんだ?」

 

「10杯くらい飲んでたわよ。その人」

 

「飲みすぎだろ...」

 

とりあえず吐かせるか...。とラベルがエウルアに手伝えとアイコンタクトすると、それに気づいたエウルアがうつ伏せの男を羽交い締めの形で上半身だけ持ち上げようとすると、

 

「おいおい触るなよローレンス! 穢れた血め!」

 

たちまちにエウルアにブーイングが起こり、1番近かった男が「どけ!」とエウルアを突き飛ばし、「これでいいのか?」とラベルを方を向いて先程エウルアがやったことと同じことをした。

 

「...あぁ、それでいい。そのまま便所に連れて行って戻させろ。とりあえずはそれでなんとかなる」

 

「分かったぜ。ありがとな旦那」

 

そして屈強な男が倒れていた男を便所に連れていくのを尻目にラベルはエウルアを探したが、既にそこに姿はなかった。

 

「彼女ならもう帰った」

 

「...そうか」

 

再び元の席に戻ったラベルにディルックはそう答えた。そろそろ店仕舞いの時間となると、ゾロゾロと2階から人が降りてきて、会計をし始めた。先程の男も意識が戻ったようで、ラベルを見つけると、近寄ってきた。

 

「...ありがとう。君のおかげだと聞いたよ。なにかお礼をさせてくれ」

 

ラベルはどうにもそのお礼が気に食わなかった。

何故、自分はお礼を言われて、エウルアは拒絶されたのか。

エウルアだってこの男を助けようと手伝ってくれたのだ。

酒も入ってどうにもイライラする。

 

そして、ラベルはこのような事を口走った。

 

「...君は恥じるべきだ」

 

「え? えぇ、もうこんな事しませんよ」

 

「違う。君は「旧貴族である僕」に助けられた事を恥じるべきだ」

 

ここで初めてラベルは自らが旧貴族であることをエウルア以外の他人に明かした。

突然のカミングアウトに男は面食らったように、その場で目を白黒させていると、ディルックの追撃が入った。

 

「ついでに言えば、僕も旧貴族に当たるな」

 

会計待ちの飲兵衛や男はさらに凍ったように動かなくなった。「あ...え...?」などと意味の無い言葉を絞り出している。

 

「君がローレンスを突き飛ばした時、僕は彼の治療を辞めようかと思ったよ。だって、旧貴族の施しを受けるんだぞ? 滑稽だなぁ。なぁ? 君もそう思うだろう?」

 

「い、いや...その...」

 

男はしどろもどろになり、二の句を継げない様だった。

 

「...アルストカット。聞いたことくらいはあるんじゃないか? それが僕の血筋だ。...そして問おう。僕は君たちに何か悪い事をしたかい? そして彼女、エウルア・ローレンスが君たちになにか良くない事をしたのかな? 教えて欲しい。どうやら僕と君たちとでは感覚にズレがあるようだからね」

 

最後に、「因みに僕は何もされてないよ。覚えがない。だから君たちが何故彼女をバカにするのか分からないんだ」とつけたし、そのままラベルはエンジェルスシェアを後にした。

その後、ディルックが「彼もそうだが、旧貴族をバカにしない方がいい」と釘をさしたようで、その後はエウルアもあまり気にすることなく、エンジェルスシェアでお酒を飲めるようになったのだとか。

 

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家の鍵は開いていた。まぁ分かりきったことだが犯人はエウルアだった。こんもりと膨らんだ毛布の中からすすり泣く声が聞こえてくる。

 

「...シャワーでも浴びたらどうだい?」

 

「...」

 

「...」

 

毛布の中のエウルアはラベルが帰ってきたことに気づいたのか、ピタリと泣くのを止めた。嗚咽はしばらく聞こえてきたが、弱々しくすすり泣く声は聞こえなくなった。

 

モゾモゾと毛布の外に出てくると、

 

「...飲み直すわよ」

 

「え」

 

「ここにお酒が入ってるのよね」

 

「いやさすがに止めといた方がいいと思うよ? 顔真っ赤じゃないか」

 

「うるさい。飲まないとやってられないのよ」

 

「おいおいおいおい」

 

既に顔が赤いエウルアは倉庫の扉を乱暴に開け、しばらく物色すると、ひとつのビンを取り出し、蓋を開けラッパ飲みし始めた。

 

「あーあー...。...知ーらね...」

 

エウルアは一気にビンの4分の1ほどを飲みきると、ドスンと音を立ててテーブルにビンを置き、フラフラとソファに倒れ込んだ。

 

「......にゃによ」

 

「呂律も回ってない。重症だね」

 

「うるしゃい。...らべる。らべるぅ...」

 

ラベルが危惧していたのはエウルアの身の危険や前後不覚ではない。

エウルアは酒に深く酔うと猫のようにラベルに甘えてくる。そしてどうやら記憶は残るらしく、翌日にラベルの目が覚めると、エウルアはすごい顔をしながら「忘れなさい」と、愛用の大剣片手に脅しをかけてくるのだ。

故にラベルは明日の我が身を案じていた。

 

どうしたもんかなぁ...。と考えていると、エウルアが覆いかぶさってきた。

 

「うおぉ...。あぶねぇ...」

 

「ふ、...ふふふ...」

 

エウルアは不敵すぎる笑いをこぼし、ラベルと対面座位の姿勢になると、

 

「ふふ...。...ねぇ、らべる?」

 

「...なんだ」

 

エウルアがこの話の切り出しをする時は大体ろくなことにならない。ラベルが身構えていると、エウルアはポツポツと話し始めた。

 

「私の穢れた血とあなたの血を混ぜたらどんな色になるのかしら...?」

 

「...? 拒否反応起こすんじゃないかな」

 

ラベルは医者の観点からそう答えた。

しかし、エウルアは納得していないらしく、

 

「...試してみないと分からないでしょ。相性がいいかもしれないじゃない」

 

「いや、君と僕の血液型って違うし、相性もへったくれもないよ」

 

「...ふーん? ふーーーーーん? そんなこと言っちゃうのね...」

 

「何が不満なの...」

 

聡い(煩悩まみれ)な読者の皆様はお気づきになられただろうか。

 

エウルアはラベルを食べようとしているのだ。

そしてラベルはそれに気づいていない。捕食者に狙われているのに気づかない被捕食者の運命など分かりきったことだろう。

 

「...じゃ、確かめて見ましょう。私の初めてなんて露ほども価値がないもの」

 

「...ん? ...ん!? ちょっと待ってくれよおい! 酒の勢いはマジで良くないって! ホントに! ...うおっ!? 離せエウルア! ベッドに運ぼうとするな! HA☆NA☆SE!!」

 

 

 

ここでやっとこさ気づいたラベルだったが、時すでに遅し。

力でねじ伏せられたラベルはエウルアのなすがままに搾り取られることとなった。

 

 

 

 

ちなみに何がとは言わないが、相性は良かったらしい。

 

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ラベルは人生初となる朝チュンを経験し、エウルアに土下座したが、エウルアは満更でもないらしく、顔を真っ赤にしながら、

 

「...悪く...なかったわ...」

 

なんて言うものだから、ラベルは朝から色々と大変なことになった。

 

そう。色々と。

 

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その後2人は特に色ついた話はなく、エウルアは戦闘の準備を進め、ラベルは医療器具や薬の準備に追われることとなった。

 

間もなく戦闘は始まる。

生憎の曇天。何時ものモンドの姿はなく、物々しい雰囲気が空を支配していた。

 

橋の向かいにはゾロゾロと大量の魔物が見える。おおよそアビスに操られているか、そそのかされたのか。その2択だろう。

 

 

 

戦いの火蓋は切るまでもなかった。

突貫以外の戦い方を知らない魔物に統率の取れた騎士団が負けるはずもない。

 

ラベルは時折運ばれてくるけが人の治療をしながら、早く終わらないものかと曇り空を見上げていた。

 

「...氷元素ってそんな使い方もあるのね」

 

「シスター・ヴィクトリアですか。そちらの首尾は?」

 

「なんてことないわ。わざわざこっちの様子を見にこれるくらいにはね」

 

「それは僥倖」

 

すると、騎士団の動きが変わった。

どうやらバリアを持つ敵が出てきたらしい。神の目を持っていないと対抗できないので、隊長クラスが先頭に立ち、無力な騎士達は門の辺りの守りを固めている。

 

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「アンバー!」

 

「任せて!」

 

氷のバリアを張っていたアビスの魔術師をアンバーが溶かし、エウルアは目の前の雷バリアの魔術師に集中した。

しかし、まぁちょこまかと動き回る。一撃一撃が遅めのエウルアにとって姑息にも動き回る敵は不得手であった。

 

「...チィっ!」

 

「エウルア!? 大丈夫!?」

 

「なんてことないわ!」

 

徐々に傷は増えていくものの、気丈にもエウルアは大剣を振るった。

 

 

 

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さて、ここで1つ。

歴史を見ると、有効な戦術、戦法というものがある。代表例で言えば「啄木鳥戦法」や「八卦の陣」などが有名だろうか。

 

そして、隊列が長く伸びた敵に対し、最も有効な策が、

 

側面からの奇襲、もしくは強襲である。

 

「姉川の戦い」をご存知だろうか。この戦はいかにこの奇襲が有効なのか物語っている。

 

つまり、何が言いたいかと言うと。

今、モンドの騎士団は側面から奇襲されたということである。

 

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モンドの側面にある船着場。

そこを見張っていたゲイルは目を見張った。なんと氷のスライムとアビスの魔術師を先頭にこちらに突っ込んできたのだ。

一応戦闘の準備はしていたが、アビスの魔術師は対処出来ない。

門を下ろし、急いで正面の門へと向かうのだった。

 

道理で正面の魔物が少ないわけだ。

側面から大量に来ているのだから。

 

ゲイルの報告は戦場を混乱に陥れた。別にゲイルが悪い訳では無い。むしろ対処不能になる前に報告したことを褒められるべきなのだが、今回ばかりは仕方がない。

 

ジンはこの状況に頭を捻り、唸った。

ラベルはそんな団長を遠目で見ると、ヴィクトリアを持ち場に戻らせた。ここから大量にけが人が出るかもしれない。

 

ジンは門の上から援護射撃をしていた...なんと言ったか。確かスクロース嬢の友人を側面の援護に向かわせた。

 

ラベルの元には側面からのけが人が大量に運ばれてきた。

どうやらシスター・ロサリアとその友人が既に側面で粘っていたらしく、壊滅的な事にはならなかったらしい。

 

治療を受ける傍らでそう話した騎士はラベルの治療を受けるとすぐさま側面へと戻って行った。

 

ラベルは正面に視線を戻した。どうやらアビスの魔術師共も連携が取れているらしい。段々と騎士団側が不利になっている。ラベルは既に一度アンバーを治療しており、いかに押されているのかを肌で感じ取った。

 

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戦闘はどうなったのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結論から言うと、西風騎士団は壊滅した。

 

アンバーは弓矢を砕かれ、エウルアは剣を杖にしてやっと立っている状態。

リサは今はシスター・バーバラが治療をしており、ガイアとスクロースは現在進行形でラベルが治療しており、スクロースの友人はカウンタースナイプを受け今頃城壁の上で倒れている。ジンは目の前で副団長と呼ばれていた幼なじみを失い、その場で膝をおってしまった。隊長格の中で唯一アルベドだけが未だに剣を振るっている。

 

今は神の目を持たない騎士達が時間を稼ぐべく狂気とも言える特攻をしている。

 

「バーバラ! こっちもお願い!」

 

「ヴィクトリアさん! 薬が足りません!」

 

 

そんな様相を見たラベルは覚悟を決めた。

2、3度深く呼吸し、治療をしていたスクロースの手から法器を奪った。

 

「えっ、ちょっ」

 

「...ラベル...。何する気だ......ゲホッ」

 

「黙って見ているといい。...旧貴族の意地ってモンを見せてやる」

 

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エウルアは肩で息をしながら、大剣の柄を握りしめ、なんとか立ち上がろうとするも、全身が悲鳴を上げている。立ち上がることは最早不可能だろう。

 

隣ではジンが大声で叫びながら絶命した副団長を抱きしめて涙を流している。

アンバーも最早戦う術がない。ウサギ伯爵も1度見られてしまうとどうしようもない。

 

目の前には大量のアビスの魔術師、更にはアビスの使徒までやって来ている。

 

もう、おしまいなのだろうか。そんな考えが頭をよぎった。

 

「普段戦ったことなんてないから、付け焼き刃にはなるが」

 

エウルアは自らの横から発された声に心底驚いた。

ラベルが立っている。ここは戦場で、彼は医者。戦いの術なんて知らない。しかし、彼の手には法器が握られている。

 

「...さて、エウルア。僕は今から...僕の一生を賭けるよ」

 

優しい顔でラベルはエウルアにそう告げた。

エウルアから見れば、その顔は恐ろしく、死の宣告でもされたかのように感じた。

 

 

 

 

「い、一生...? 一生って言ったの...?」

 

 

 

 

「あぁ、一生だ。...覚悟はさっき決めたんだ」

 

 

 

「ぇ......。まって、ダメ! お願い! やめて!! 私は!!!」

 

 

 

 

 

 

貴方が居ないと生きていけない。

 

 

 

 

 

 

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戦場のど真ん中に立ち、敵の数と攻撃目標を確認した。

 

初めての経験だ。

普段からモンドの民に「死ね」やら「消えろ」やら、あらゆる罵詈雑言を投げかけられたが、目の前にある殺意の方がよっぽど怖い。

 

 

「...はぁ.......」

 

 

別に寒いわけでもないのに白い息が見えた。自らの体温が下がっているのを確信した。

 

 

 

 

何も感じない。寒さで感覚もなくなってきた。いつの間にか降っていた雨も、僕に触れた途端に凍りついた。

敵方が僕のしようとしていることを察知したのか一斉に向かってきた。

 

あぁ怖い。

スクロース嬢から奪ったこの法器、別に法器なら何でも良かったのだが、壊れてしまうかもしれない。謝っておこう。申し訳ない。

 

 

 

あぁ怖い。

自分が今からすることが恐ろしくてたまらない。そもそも成功するのかも分からない。試しがないんだもの、仕方がない。

 

 

あぁ、恐ろしい。

あくまで僕は医者。医者なんだ。...死者0は無理だと言った。確かに言った。

 

 

でも、それでも。

救いたいんだ。だってやっぱりモンドが好きだから。生まれ故郷で、幼なじみがいて。幸いなことに僕を認めてくれる人だっている。

 

 

失いたくない。壊れて欲しくない。

...本当は今すぐにでもエウルアの元に戻りたいけど。

 

 

 

 

........................よし、

 

 

 

「やるぞ」

 

 

 

 

 

 

 

嗚呼、そうだね。エウルア。

 

大丈夫さ。君はもう大人なんだから。

 

1人でも生きていけるさ。

 

 

 

僕が今この状況、立て直すから、

 

......君のそんな泣き顔は、初めて見たかもね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『凍てつけ、世界よ(アブソリュート・ゼロ)』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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銀世界。と呼べばいいだろうか。

 

眩い光を放った法器は砕け散り、ラベルがいた位置から前方60mの全てが凍りついた。

 

水や橋、障害物、生命すらも凍てつき、絶対的な静寂が彼の前方に訪れた。

 

 

 

そして、彼はやはり医者であった。

 

 

 

ジンの腕に抱かれていた男は目を覚まし、エウルアの傷は癒えた。モンドの中にいる騎士たちもたちまちに復活し、次々と戦場に戻ってはその光景に絶句した。

 

 

 

誰が呼んだか絶対零度。半径60mの空間。

 

彼は自らが言った通り見事戦況を立て直した。

あとはそこに立っている氷像を砕くのみである。

 

彼が放った凍結は永遠に溶けない。ラベルは目の前の氷像を1つ倒すと、その氷像は砕け散った。

 

騎士たちは雄叫びを上げ、次々と氷像を破壊していった。

 

 

 

かくしてこの戦闘は終止符がうたれた。

 

 

 

 

呆然としていたエウルアはハッとすると弾かれたように立ち上がり、ラベルに駆け寄った。

ラベルは四肢を投げ出して大の字になって安らかな顔をしていた。

 

 

 

「い...いやっ。...嫌よ...。ダメ...。起きて...ラベル...!」

 

「......」

 

「...っ。つ、冷たい...。ね、ねぇ...嘘よね? し、死んだりなんか......」

 

「......」

 

「ら、ラベル。...ねぇラベル。お、起きてよ。ねぇ。まだお昼よ? ...だからほら...」

 

「......」

 

「お願いだから...! 目を覚まして...!」

 

 

 

エウルアの目からは大粒の涙が零れ出した。

本当に彼は自らの生命を、「一生」を賭けてしまったのだろうか。本当にそうなのだとしたら。

 

「......恨むから...。謝って...も...グスッ...絶対、許ざないがら!」

 

 

 

 

 

 

その刹那。エウルアの視界がまばゆい閃光で覆い尽くされた。

何事かとバックステップで距離をとると、そこには写真機を片手に持ったラベルがいた。

 

「おぉ、よく撮れてる」

 

なんて呑気なことを言いながら、のそりと立ち上がると、エウルアにスタスタと近寄り、

 

「ほら、見てよ。君の顔。やっぱ綺麗だなぁ。女優になれるよ」

 

「...」

 

「...怒ってる?」

 

「......」

 

「し、仕方ないだろ!? 本当に今の今まで意識なかったんだって! 氷像1個倒すので精一杯だったの! 目覚ましたら君が泣いてるんだもん! だからグハッ!?!?」

 

エウルアはラベルを力一杯殴りつけた。もちろんそこに手加減などは無い。

 

「わ、私が...どれだけ...」

 

「ごめんって! 本当に今さっき目覚めたんだって!! だからもう1発は勘弁sグベェ!?!?」

 

「恨むから! 絶対忘れない! あなたがなんと言おうと、どれだけ謝ろうと、絶対許さない!! ...だから」

 

「...だ、だから?」

 

ラベルは次のエウルアの言葉を震えて待った。

 

「だから、あなたは私の近くで一生、謝り続けること。あなたが賭けた一生がなんだったのか知らないけど。助かったのなら、私にその一生を賭けなさい」

 

「え、いや。僕多分一生冷え症なんだけど...」

 

「分かった!?!?」

 

「いえす! マム!」

 

 

 

 

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旧貴族同士の結婚とあって、あまり祝う人は多くなかった。

 

しかしながら、2人はモンドの端で幸せな愛の巣を築いた。

 

 

 

2人は復讐(償い)のために一生をお互いに捧げましたとさ。

 

 

 

 

「ラベル。今夜、するわよ」

 

「えっ。一般的には3日くらい間あけたほうがい「黙りなさい」...ハイ...」

 

「...ふふっ。それでいいのよ」

 

 

 

 

......前言撤回。大体夫が尻に敷かれてた。おおよそ物理的に。

 

 





とりあえずモンド、璃月、稲妻、スメールのキャラ1人ずつ書けました。

これからは出身とか関係なしに書いていこうと思います。

リクエストあればどうぞ活動報告に、お願いします。ご希望に添えるかは分かりませんがそれなりに参考にさせてもらいます。

あ、それからリクエストにNTRとか書いたら〇します。
あくまで純愛限定で書くつもりなので。そこんとこおねしゃす!

この小説の方向性について

  • もっとイチャイチャさせろ!
  • もっと慎ましくしろ!
  • もっとドロドロさせろ!
  • もっと官能的にしろ!
  • はよ書け!
  • 俺(私)の推しを出せ!
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