原神:幼なじみ物語   作:Mrミステル

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書いたよ!(クソデカボイス)

書いといてなんだけど煙緋って何歳なんや。
んでもって寿命はどんくらいなんやろ。

分からん! 読者も気にしたら負けだゾ! 
二次創作なんてそんなもんだ!!


煙緋

 

璃月の法律家と言えば皆が口々に「煙緋のことだ」と述べる。疑いようのない事実である。

彼女は璃月の法をおおよそ司り、また彼女自身の生活のために利用している。

『天権』凝光も彼女のことを懇意にしている。煙緋の時間を拘束するには金は掛かるわ時間はかかるわで聞こえは良くないが、それでも彼女の元に相談に訪れる者は一向に減らないのだった。

 

「...と、言うわけだからお前が今私と一緒にご飯を食べているのはとてつもなく幸せなことなんだぞ?」

 

「へーへー。ありがてぇなぁ」

 

ここにいるのは煙緋とその幼なじみ竜泉である。

幼なじみとは言ってもこの竜泉という男、前科持ちまくりの大罪人である。窃盗が主な罪であるが、人殺しや強盗までもこの男は前科に含まれている。

 

煙緋と竜泉は牢獄の檻を挟んで煙緋の持ってきたカニ味噌豆腐を味わっていた。

ガツガツとかっこむ竜泉を見て煙緋は、

 

(ゾクゾクッ!)

 

なにかアブナイ感情を抱いた。

 

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煙緋は面会できる時間いっぱいまで竜泉が繋がれている牢獄の前で話し続けた。「今はこれが流行っている」「この間はこんな話があった」「民事の裁判は面倒だ」などなど、世間話を一通り話し終えた後、竜泉にゆっくりとこう問うた。

 

「...お前はまたすぐに釈放されるのだろう。誰とも知らない奴がお金で解決するんだろう? 確かに璃月の法律にもそういったお金の流れは許可されている。...だが、お前の場合は異常だ。もう既に2桁も牢にぶち込まれているのに君は牢の外にいる時間の方が長いだろう? 一体どんなカラクリだい?」

 

「......」

 

「話すつもりはない、か。悲しいねぇ。お前とは幼なじみなのに。もう少しくらい話してくれてもいいじゃないか」

 

この会話を最後に面会は終了し、煙緋は監獄を出た。

もはや見慣れるほどに同じ牢に繋がれた竜泉は今回も変わらず過ごしているようだ。

 

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『世紀の大罪人、また釈放!!』

今朝の新聞の一面はそれだった。煙緋にとってそれは心底どうでもいいことで、気になるのはお金を払ったその人物。隅々まで目を通すと、

 

「...あった」

 

『山海商会が釈放金を払い、竜泉は釈放された』

 

「山海商会、ねぇ...」

 

煙緋は熱いくらいのコーヒーを口に含みながら最近の山海商会について考えた。

 

山海商会といえば、最近になって急激に頭角を現した商会だ。主に山の幸と海の幸を使った貿易と料理を元に富を築いていったと煙緋は記憶している。凝光も警戒しているほどには勢いがあった。

そして彼ら山海商会はなんと言ってもフットワークが軽いのだ。

大抵の危険は無視して次々に新しい交易ルートや料理を生み出す。香菱も泣きながら「な゛ん゛て゛そ゛ん゛な゛の゛思゛い゛つ゛く゛の゛ぉ゛!!」と叫んでいたのが記憶に新しい。それほどまでに新作料理を出すスピードが速かったと言うわけだ。

 

チラリと窓の外に目をやれば、そこには人だかりができていた。おそらくその真ん中には竜泉がいるのだろう。...朝から元気な事だ。

 

ガチャリと扉が開いて、とんでもない声量の罵声が聞こえてきたが、扉を閉めたことでその声は聞こえなくなった。

 

玄関には竜泉が立っている。煙緋は焦ることなく迎え入れた。

 

「やぁ、おかえり。お勤めご苦労様」

 

「...黙れ。なぜお前がここにいる」

 

 

実はここ、竜泉の家である。

この煙緋という女、他人様の家で優雅に朝の時間を過ごしていたのだ。

 

 

「なんだいその言い草は。君がいない間この家の掃除をしていたのは他でもない私だぞ?」

 

「別に頼んでいない。人の家に勝手に侵入するのは法律を反故にしているではないか」

 

「ほぉ? 私と法律の話をするつもりかい? いいだろう。とことん付き合ってやろう。幸いなことに今日は一日休みを取れているからな。さ、まずは人の家に入ることだが...「まずは帰れ」...辛辣だなぁ」

 

「私とお前の仲ではないか」とボヤきながらコーヒーを飲み干しシンクにコップを置くと、またテーブルに戻ってきて今度は真剣な顔で竜泉に向き合った。

 

そしてこの竜泉に確信させたとも言える質問を投げかけた。

 

「君は、その水元素の神の目を持っていながら、なぜ千岩軍に捕まるようなヘマをするんだい?」

 

「...」

 

「君のそれは刻晴の恋人程の威力を持っている訳でもないし、夜蘭のような補助もできない。...けどね。私は知っているぞ竜泉。君のその能力はどう考えたって完全犯罪が可能な代物だろう? 違うかい?」

 

 

竜泉の能力は水元素を用いた幻覚(と世間では呼ばれている)を出すことが可能なのだ。

光の反射を用いて自らの姿を肉眼では捉えられないようにすることなど造作もない。分身だってできる。この能力を使えば全く気づかれないままに寝首を搔く事もできる。

 

 

「...法を破った者は処罰を受ける。当然だろ」

 

「そうかそうか。あくまで私に話す気は無いようだね。...私と君の仲なのに...」

 

「ただテメェが絡んで来ただけだろうが。......仕事がある。俺はもう出るぞ」

 

真正面から向き合う煙緋に対して、斜に構え全く取り付く島もない竜泉。

 

しかし煙緋はそれを狙っていた。煙緋としては竜泉が誰に会いに行き、どこで仕事をしているのか、非常に興味があった。

 

新聞を片付け、ソーサーもとりあえずシンクに置いておき、勝手口から外へ出ると、既に竜泉の姿は見えなかった。

が、しかし煙緋は竜泉を追跡する術を持っている。彼はいつも水元素を使って自らの姿をくらますのだ。だから水元素の痕跡を追っていけば自ずと彼の元にたどり着くのだ。

 

「ま、おおよそ見当はつくがね...」

 

 

水元素を辿っていけば「山海商会」の文字が見えてきた。十中八九ここに来るとは思っていたが、よくもまぁ堂々と来れたものだと煙緋は少し感心した。

 

奥では竜泉と山海商会の頭と思われる人物と話をしている。聞きとれはしなかったが、竜泉が頭を下げているので感謝しているのだろうと推測できた。

 

...にしても話過ぎではなかろうか。見れば山海商会の頭の女もデレデレではないか。竜泉もニコニコと愛想を振りまいている。とても罪人とは思えない。...あの女...。竜泉は私にはあんな顔した事ないのに...。

 

 

......

 

----------------------------------------------------------

 

「楊妃!」

 

「あ! 竜泉さん!」

 

この山海商会は竜泉のおかげで大きく発展した。楊妃と呼ばれる女性は元々は貧民であったが、偶然にも竜泉の目に留まり、商売の才能を見込まれて今に至る。

 

「...えっと...お勤めご苦労様です...?」

 

「ははは! 大したもんじゃないよ。2週間くらい」

 

この山海商会の資金、それはどこから出てくるかと言うとこの竜泉のポケットマネーだ。

竜泉はその幻影や透明化の能力を用いて情報屋として生計を立てている。商売敵として夜蘭がいる訳だが、彼女とはどうにも反りが合わないので別々に行動しているのだ。ちなみにこの2人は口裏合わせで情報の値段を調整している。この2人が情報という市場を独占しているのだ。

 

そこで得たお金を竜泉は他人のために使っている。自分の生活は最低限に、今回の山海商会しかり、他にも竜泉が手を回した商会や商人はこの璃月に多数存在している。たとえ捕まってもこの恩義があるからすぐに釈放されるのだ。

 

「その後変わりないか?」

 

「はい! 今週もたくさんの地方から注文が届いてて...。嬉しい限りです!」

 

「そうか。励めよ」

 

「はい! ...竜泉さんもお身体に気をつけて」

 

「...あぁ」

 

----------------------------------------------------------

 

「やぁやぁ奇遇だね竜泉!」

 

「煙緋...。趣味が悪いぞ」

 

竜泉が山海商会を離れてしばらくすると煙緋が話しかけてきた。竜泉は煙緋につけられていたことには気づいていた。あえて放っておいたのである。あまり構いすぎるとめんどくさいのだ。

 

「ところでお前。随分と楽しそうに話していたじゃないか。彼女が山海商会のリーダーかな?」

 

「そうだ。商売の才に恵まれている。先を読む力では負けないだろうな」

 

「ふーーん。そうかい。...やはり君の人を見る目にはつくづく驚かされる。彼女は容姿端麗でなおかつ商売の才もあるときたもんだ。『天は二物を与えず』なんて言葉があるが、本当にそんなものかねぇ...」

 

「心にもないこと言ってんじゃねぇよ」

 

「...お前は...なぜ、ああいった子に手を貸す? 保険か? 見返りか? それとも名声か?」

 

「テメェがどう思っていようが知ったこっちゃねぇが、敢えて言うなら...そうだな。とある奴の信念に感化されたからと言っておこう」

 

煙緋は少しばかり考える素振りを見せた後、パチンと指を鳴らすと、

 

「あぁ、孤児院の彼か。ということは彼女もあの孤児院の出かな?」

 

「そういうことだ。ほら、お前も仕事があるんだろ。行った行った」

 

こうして煙緋と竜泉は別れた。

楊妃という女性は過去に道端で倒れていたところを偶然にも竜泉が発見し、その後孤児院に預けられた過去を持つ。この孤児院の主と竜泉は昔ながらの付き合いで竜泉の頼みに二つ返事で了承してくれた。以来、この孤児院の主の依頼は優先的に受けている。

 

さて...

 

「またアイツは俺の家にくんだろうなぁ...」

 

竜泉は2人分の食料を買ってから帰路に着いた。素っ気ない対応をしているが、その実、やはり幼なじみとあって煙緋のことは大切に思っている。

 

 

「ただいまぁ!」

 

「...ここはお前の家じゃねぇんだが?」

 

「ふふ。知っているぞ竜泉。今夜は麻婆豆腐だろう? しかも2人分の。いやぁ助かるよ。今日はとても疲れていてな」

 

「...食うんだったらさっさと手を洗ってこい」

 

「はいはーい」と上機嫌に洗面所に消えていく煙緋を見て竜泉はため息をついたが、その顔は喜色に染まっていた。

 

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「なぁなぁ聞いておくれよ。今日の依頼だったんだが...」

 

「それ俺に言ってもいいのか?」

 

「君の仕事には関係ないさ。それよりも、だ! ここんとこの璃月の風紀はおかしい! と言われてしまってね。全く...ここ数年の性犯罪は増えるどころか減っているというのに...。おかしいと思わないかい?」

 

竜泉はジト目で煙緋を見つめていた。

「おめェの事だろ」と内心分かっていたが、別に1人のことではあるまい。としばらく考えてみた。

 

凝光→最近少し浮ついた話が出る。格好がハレンチ

刻晴→もう結婚した。格好はまだマシ

甘雨→浮ついた話は聞かない。格好がヤバい

申鶴→留雲借風真君に拾われる前からの付き合いがあるらしい。格好がヤバい

雲菫→もうほぼゴールイン。格好はお堅い

胡桃→いつも幼なじみに絡んでいる。格好は性癖クラッシャー

辛炎→ある1人の青年の前だと急にしおらしくなる。格好は全然セーフ

北斗→海上にいる時の諸々の処理に副船長を使っているらしい。格好はアウト寄り

香菱→友人にとんでもない胃袋を持つ輩がいるらしい。格好はセーフ

夜蘭→サボりと称してとある青年とよく密会している。格好は...どうだろう。

 

煙緋→男の匂いが全くしない。ガサツ。話は法律ばっかでつまらん。格好はハレンチ

 

「...ダメだな璃月」

 

「なっ!? お前までそんなことを!?」

 

「いやぁ...だって...ねぇ...?」

 

「そんなことないはずだ!! ほら! よく考えたまえよ!!」

 

...刻晴→夜めちゃくちゃうるさい

申鶴→監禁と変わりない拘束具合

凝光→孤児院の主を狙ってる

胡桃→幼なじみの青年と心中したいと明言

煙緋→年がら年中へそ出しスタイル

 

 

「いや...ダメだな。擁護できねぇ」

 

「何故だ!?」

 

「なぜもクソもあるか。そもそもお前のその格好どうにかしろよ。なんだ年中へそ出しスタイルって」

 

「んなっ!? 私をそんな目で見ていたのか!? こここここれはせっ、制服と言うやつだ!」

 

「せめて勝負服であってくれ」

 

そんな制服があってたまるか。

 

----------------------------------------------------------

 

「ほら、シーツ洗っといたぞ」

 

「おぉ、ありがとう。じゃおやすみ」

 

「あぁ」

 

そういうと煙緋は部屋へと入っていった。

もはや誰も突っ込まないが、竜泉の家にはベッドが2つある。なんだったら煙緋の家にも竜泉用のベッドがある。刻晴のように同衾する必要は皆無である。

 

「...それはそれで寂しいな...」

 

煙緋は悶々としていた。

自らの内側に咲く恋心は自覚していた。だから今朝竜泉の家にいたり、ストーキングしたり、楊妃と楽しそうに話す竜泉に嫉妬したり、思い出せば出すほどに燃えるようだった。

...よく捕まるのが難点だが。とはいっても彼は裁判で決して弁護人を雇わない。

 

そもそも彼は罪を犯していないはずだ。大多数がでっち上げだろう。盗みはまだしも殺しなど彼は絶対にしない。そもそもそういった事件は夜蘭が解決しているはずだ。

 

私は何度もお前の弁護人に立候補したね。

その度にお前は「よせ。お前の名声に傷がつく」と言って断ってくる。

傷なんてつくものか。必ず勝てる。お前は悔しくないのか。と聞いても「ダメだ」の一点張り。悔しくて夜蘭にも相談したんだが、彼女もお前を尊重するばかりで話にならなかった。

 

「...もっと頼ってくれよ......」

 

煙緋は毛布をギュッと握りしめ、唇を噛みながらベッドの上で丸くなっていた。

 

 

 

一方竜泉は次の顧客について調べあげていた。

 

「欲しい情報は次に高騰するネタ...。経歴は…前科持ちか。牢を出て1発狙いか? にしてはえらい丁寧な文字だし向こうの情報も正確だな」

 

「白だな」と竜泉は判断し、自信が持つネタを持って明日の用意をし終えた。

 

 

翌日、煙緋と竜泉が出会ったのは檻を挟んでのことだった。

 

----------------------------------------------------------

 

「...それで、君はマンマと騙されて牢屋行き、と」

 

「......どこでアイツの恨みを買ったのか知らないが、俺は今までやったことに後悔はしていない。その結果がこれなら別にいいさ」

 

 

煙緋はまた鉄格子の向こうに竜泉を見た。

彼はヘラヘラと笑っていたが、心を痛めているのは容易に見て取れた。

 

「...別にお前の生き様を否定する気はサラサラないが、なぜ自ら罠に飛び込むような真似をするのかな。...私だってお前がそんな風にしているのを見るのは辛いんだが」

 

「...それ、夜蘭にも同じことを言われたよ。でも、俺の答えは決まってる」

 

「見捨てられないから」と竜泉が答えると、煙緋は片眉をつり上げ、怪訝な顔をして

 

「それで裏切られてちゃわけないね」

 

と竜泉に背を向けて言い残すと、煙緋は牢屋を後にした。

 

煙緋は怒っていた。かつてないほどに。自らの幼なじみはひたすらに真っ直ぐで、彼自身の持てる全てをもって、顧客に応えている。

だが結果はどうだ。騙され、いたぶられ、牢にぶち込まれる。

確かに人を疑うことができない竜泉の責任でもあるだろう。というか竜泉を敵視しているのは璃月においてグレーな取引をしている団体ばかりだ。なぜそこに突っ込むのか訳が分からないが、煙緋が決めたことがひとつ。

 

「潰す。絶対にぶっ潰す。竜泉が受けた苦しみを10倍にして返してやる」

 

ハンムラビ法典もびっくりな復讐を誓っていた。

 

----------------------------------------------------------

 

復讐を違った煙緋とは裏腹に竜泉は牢の中で落ち着いて過ごしていた。

というのも、

 

「やあ、竜泉」

 

「神応さん。どうも」

 

竜泉は神応を待っていたのだった。夜蘭が凝光専属の情報屋と呼ばれるなら竜泉は神応専属の情報屋と言っても過言では無い。確かに民草の依頼も受けるが、1番のお得意様は神応だ。

 

「さて、君がそこにいるってことは黒確定かな?」

 

「確定でしょうなぁ。ヤツら部屋全体に神の目の妨害装置敷き詰めてやがって。お陰様で苦労しましたよ」

 

「...そこからでも命があるのは流石だな」

 

「伊達に情報屋やってませんので。...自分の家のいつものとこに資料は隠してあります」

 

「あいわかった。感謝するよ。すぐに出られるだろうから準備しといてね」

 

「...できれば世紀の大罪人なんて肩書きも消してくれると嬉しいんすけど」

 

まぁそれも期待していくれ、と神応も牢を去っていった。1人きりになった竜泉。食事が運ばれてきたが、最低限しか口にせず残りはひっくり返したのだった。

 

「不味すぎんだよ!!!」

 

「獄中で食えるモンに味なんか求めるな」

 

千岩軍の見張りに至極真っ当なツッコミを入れられた竜泉であった。

 

----------------------------------------------------------

 

『煙緋、勝訴。黒谷商会の悪事暴く』

 

「あっるぇ...ゴホッ...。神応さんより行動早い...」

 

翌日の新聞である。

竜泉が今牢に入る原因となった黒谷商会。その悪事を暴いたとして煙緋が讃えられていた。

 

竜泉は釈放される準備を進めている。今朝から風邪気味だが、それよりも煙緋がなぜ黒谷商会をピンポイントで潰したのか。若干の寒気を感じるが、とりあえず支度をしてしまおう。

 

----------------------------------------------------------

 

「ぅぉ...。キッツ...」

 

フラフラと寒空の下を歩いていると、竜泉の風邪は悪化したようだった。

それでも何とか自宅の鍵を開けて中に入ると、もう見知った靴が既に並べられていた。

 

「やぁ、おかえり。...って風邪かい? 休んだ方がいいぞ」

 

「...スマン。冷蔵庫って何が入ってる?」

 

「お前が牢にいる間に色々と買い足しておいた。飲み物か? あるぞ」

 

「助かる。ゲホッ...じゃあ俺は寝るから...」

 

「あぁ。お大事にな」

 

そう言って竜泉はベッドに倒れ込むようにして深く眠った。獄中生活の疲れもあるのだろう。

 

「...ここは女子力の見せどころだな」

 

煙緋は法律の本を片手にキッチンに立ち、豆腐多めの卵とじを作って待機していた。

 

 

夜、宵の口をすぎた辺りで竜泉は目覚めた。

煙緋は待ってましたとばかりに竜泉の様子を見に行った。

 

「やぁ、気分はどうだい」

 

「...しんどい」

 

「そうか。食欲はあるか?」

 

「...ある。獄中のメシは食えたもんじゃない」

 

煙緋はその言葉に一際深く微笑むと、先程の卵とじを少し温めて颯爽と竜泉の隣に腰掛けた。

 

「さ、食べたまえよ」

 

「おぉ...」

 

とは言っても竜泉は気だるげに身動ぎをするだけで、体を起こすのに10秒ほどかかっていた。

それを見た煙緋は、

 

(ゾク...)

 

なにか嗜虐心のようなものを刺激された。

いつもは優しく、煙緋の愚痴にも付き合いながらも基本的に一切の弱みを見せなかった竜泉が、今目の前で弱っている。

 

(ゾクゾク...)

 

「...煙緋? 皿を渡してくれよ」

 

煙緋は皿を離さなかった。不審に思った竜泉が顔を覗き込むと、そこには顔を赤くして息を荒くしている煙緋の顔があった。

 

「お、おい...。お前も風邪か...?」

 

「いやいやいや! そんなことはないさ! それよりもほら、あーん」

 

煙緋はハッと我に返るとスプーンで竜泉に卵とじを差し出した。

竜泉は口を開けて、煙緋が差し出したスプーンを口に入れた。

 

その様子を見た煙緋は、

 

(あ...はぁ...あは、...あはは! ゾクゾクする! 弱った竜泉がこんなにもか弱いとは...。はぁ...はぁ...)(恍惚)

 

少しヤバめの扉を開いていた。

今日この時まで、竜泉は煙緋に弱みを見せたことは無かった。しかしながら、今ならば腕力であっても煙緋が勝るだろう。

 

煙緋は今、その優越感と竜泉の支配権を握っていることを自覚すると胸と腹の奥がきゅっと締まる感覚に陥った。

 

竜泉は風邪と目の前からくる寒気の二重奏に毛布を少したくしあげた。

 

----------------------------------------------------------

 

それからというものの、煙緋はこのゾクゾクとした嗜虐心の虜となり、風邪が治ってからも、

 

「...」べシッ

 

「いてっ」

 

「...」ビシッ バシッ べシッ

 

「痛い! 痛てぇよ!!」

 

「...あはっ♡」バンッ バンッ!

 

「おいよせ煙緋! そろそろ本気で怒るぞ!」

 

それでも煙緋は止めなかった。

煙緋は竜泉が怒らないのを知っている。何があっても竜泉は絶対に煙緋に手を上げない。

 

「よせ! 止めろ! 止めてくれ!」

 

「...♡♡」

 

一通り竜泉を叩き、竜泉は部屋の隅に追いやられて、ガードの体制だ。

 

煙緋は自らが竜泉を痛めつけたという事実にブルりと震えた。

 

「あはっ...。大丈夫かい?」

 

「...大丈夫だけどよ。お前どうしたんだよ? 最近急に殴ってきたりしてさ。おかしいぞ?」

 

「いや...ちょっとね...」

 

煙緋は「いってて」と呻く竜泉を見て、トイレに駆け込んだ。私はこんな性癖だったのか...とドキマギしながらも、自らの欲を処理した。

 

 

一方で竜泉はそろそろ噴火しそうだった。

ココ最近、煙緋に訳もなく殴られる日々。さすがにキレそうであった。そして画策した。

 

(アイツが1番恥ずかしく感じるであろう辱めを...)

 

トイレから出てきた煙緋はスッキリした顔をしていた。

まだまだ日は高い。

 

----------------------------------------------------------

 

昼過ぎからは何事もなく過ごした。

 

一緒に散策したり、お茶しながら講談を聞いたり、少し顔見知りに挨拶したり、世間一般でいうデートを2人は楽しんだ。

煙緋はなんだかんだ竜泉のことが好きなのだ。

それは竜泉も同じなのだが、煙緋の方が矢印がでかい。

デートの最中でも竜泉が余所見をしていると「どこを見ているんだい?」と圧をかけてみたり、アクセサリー店では店内に響く大きな声で「薬指はお留守だぞ」と竜泉をからかったりした。

この後にどんな復讐が待っているかも知らずに煙緋は竜泉を挑発したのだった。

 

まもなく日が沈み、煙緋は満足そうに竜泉のソファに飛び込んだ。

今日は午前中に自らの欲望を満たし、午後は竜泉とデートというとても充実したものだった。明日からはまた仕事三昧だが、今だけはこの余韻に浸っていたかった。

 

 

まぁ、そんなことは許さないとばかりに竜泉が仁王立ちしているのを見るまでの話だが。

 

「り、竜泉?」

 

「...今日はよくもまぁ色々とやってくれたなァ。えぇ?」

 

「な、なんだよ...。何をするつもりか知らないが! わ、私は世間一般で言うサディスティックなんだぞ! 何かしたらタダじゃおかnひぃ!?!?」

 

煙緋は丸出しの腹に何かが這うような感覚を覚えた。目の前にいる竜泉の仕業なのは理解できるが、彼は何もしていないように見える。

その間にも腹をなぞられ、くすぐったいのが止まらない。

 

「ふっ...ふぐっ...はっはっは!! ひー! や、やめて! 止めてくれ! あっはっは! 竜泉! 君の仕業だろう!? や、やめっ...ははははは!!」

 

竜泉はただ仁王立ちしているだけで、このままでは煙緋が何もしていないのに笑っている頭のおかしな人に見える。

 

煙緋への腹嬲り(腹を水でなぞっているだけ)はしばらく続き、やっと解放された時には日は落ちていた。

 

「ひぃ...ぜぇ...ぜぇ...ゴホッゴホッ! ...酷いじゃないか!」

 

「...まだだ」

 

「...な、なん...うひゃぁ!?」

 

煙緋は腹よりもっと下。今度はそこを水元素でなぞられた。

 

「おおおおい! シャレにならないぞ!? 今すぐ離せ! 性的暴行だぞ!」

 

「...別に、俺は何もしていないぞ」

 

「嘘をつくな! 君の水元素が...」

 

そう。ここで煙緋は気づいた。竜泉の『神の目』が光っていないことに。

神の目の力を行使する時、それは輝きを放つ。常識だ。

 

「う、嘘だ...。じっ、じゃあ...これは...?」

 

煙緋の顔からはサーっと血の気が引いた。

思っていたよりもずっと竜泉が本気だったことに気づいたからだ。

その間もずっと擦られている。

 

「...んっ...ふぅ...り、竜泉...ぁっ......」

 

----------------------------------------------------------

 

 

1時間ほど、この辱めは続いた。

煙緋はソファにだらりと力なく寄りかかり、時折体を大きくビクン! と痙攣させた。

竜泉が操っている水の量も(竜泉の意図とは別に)増えることとなった。

煙緋は目に涙を浮かべながら回らない呂律で、

 

「...う、うったえてやる...。変態...」

 

と竜泉を睨みつけた。

竜泉は臆すことなく、煙緋に向き直ると、

 

「で、俺がやったという証拠はあるのか?」

 

と煙緋に問うた。

煙緋は(何を馬鹿な...)と竜泉を論破しようとしたが、とあることに気がついた。

 

「......」

 

「...煙緋、お前は自分が作った法律の穴にハマってんだよ。性的暴行の欄、見てみろよ。今、お前は自らの意思で俺の家にいる。その時点で同意だろ?」

 

「そ、そんなこと...!」

 

「今更連れ込まれたなんて言っても遅せぇぞ。今まで何回もお前が俺がいない時にも俺の家にいんの見られてんだから」

 

「やめろ...」

 

「で、お前は実際どうなんだ? 正直期待してんだろ? この後の展開」

 

「やめろぉ...」

 

「...「止めろ」って言ってもよ。お前だって止めなかっただろ? ...ほら」

 

ぐちゅっ!

 

「んひぃ!?」

 

煙緋は一際大きく体を痙攣させると、竜泉に抱え込まれた。いわゆるお姫様抱っこというやつだ。

 

「ほら、抵抗しないのか? 抵抗しないと同意になるぞ?」

 

「...」

 

抵抗したくても腰に力が入らない。

そして煙緋は元より抵抗する気はなかった。

 

「くそぉ...。絶対有罪なのに...」

 

負け惜しみを言ってみるが、それすらも

 

「バレなきゃ罪にはならねぇんだよ」

 

論破された。つくづくこの男には敵わないと煙緋は思い知らされた。

 

「おら、ベッド行くぞ。...お前って実はマゾヒストなんじゃねぇの?」

 

「なっ!? それだけは全力で否定させてもらう! 私は苦痛に快感を感じたりはしない!!」

 

「言ったな?」

 

「...ほぇ?」

 

 

この後、竜泉の能力である幻影と本体の波状攻撃によって煙緋は一瞬で陥落した。

初めてが3人で、なおかつ2人に攻められるという形になった煙緋は、常になぞられ、いじられ、休む暇もなかった。

しかし、煙緋は新たな扉を開いたのだった。

 

----------------------------------------------------------

 

「.........認めるよ。私がマゾヒストだと」

 

「...今更か? 俺はお前がサディスティックとか言い出した時は頭が壊れたのかと思ったよ」

 

煙緋が初めてを散らしてから幾数年、ようやく煙緋は自らがマゾヒストであると認めた。

あの日の後も、何度もいじられ、角までも開発されてしまってようやくである。

 

「...君は私が作った法律の穴をついて、私を手篭めにした。しかし...悔しいが、今はこうして子宝にも恵まれた。...幸せだよ。おそらくこの璃月の誰よりも私は幸せ者だ。薬指ももう留守ではない。それに...き、君に攻められるのは、嫌いじゃないからね///」

 

「いや穴をついたってか、自分から飛び込んだっていうか...」

 

「ふふ...そうかもね。......なぁ竜泉。今日は娘も夜まで帰ってこないだろ?」

 

「...それが目的か。今日は攻められたいんだな?」

 

「.........うん///」

 

 

 

そうして、2人はベッドルームに消えていった。

数時間後に娘が帰ってきたのだが、それに気づかない両親は攻めて攻められてを繰り返し、娘は保健体育の成績が飛躍的に上昇した。

 





はい。(賢者タイム)

アンケートの内容を全部取り入れた結果です。
やっぱり肉体言語がイチャイチャも官能も解決するんやなぁ...。

リクエストは活動報告におねしゃす! 多分そこに書いてあるキャラから書くZE! 推しがいる人はぜひリクエストしてくれよな! 目次から作者の名前クリックして「リクエスト」ってところで募集してるから!

後、中の人Twitter始めました。
それともうひとつ。投稿頻度、落ちます。大学始まるからね。仕方ないね

以上! これからもよろしくお願いします!!

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