原神:幼なじみ物語   作:Mrミステル

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遅くなりました!!

アイデアが浮かばないんだもん!! 俺は悪くねぇ!!

幼なじみ、皆さんはいますか? 仲良くしてますか?
リアルの友人がマジで幼なじみと結婚した時はビビりましたね。はい。




甘雨

甘雨

 

雨は窓ガラスを叩き、雨垂れが砂利に穿跡を残す。湿気により広がる髪に四苦八苦する甘雨は傘を片手に璃月の街中を目的もなく歩いていた。

 

今は昼休憩。仕事は刻晴や神応に任せて昼食を取るべき時なのだが、特段食欲がある訳でもない。故にふらりふらりと雨の中を1人彷徨うという行動にはしっているのだ。

 

雨も強く、人ひとり見えない璃月は恐ろしい程の静寂に包まれており、時折見かける出店も早々に店仕舞いとなっていた。

 

「...雨の日の散策も良いものですね...」

 

そのままふらふらと璃月を歩いていた時、ふと甘雨は足を止め、聴覚に集中した。

 

何かが聞こえたような気がしたのだ。

 

まるで...助けを求めているかのような声。

 

雨音でよく聞こえない。傘に落ちる雨粒すら煩く感じるほどに。傘を閉じ、甘雨はもう一度聴覚に集中した。

 

「...っ!」

 

そして弾かれたように走り出した。

 

 

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甘雨は走った。

おおよその声の元に見当はついた。

 

だが、問題なのは声の主。

 

建物の隙間をぬけ、屋根すら足場とし、たどり着いた先に見えたのは、

 

 

 

まだ1年生きたかどうかの赤ん坊だった。

 

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「...困りました...」

 

赤ん坊が泣いているのだろうとは予想していた。しかしまさか捨て子とは...。もちろんだが甘雨は子育ての知識など持ち合わせていない。

 

どうする? 最近職場だろうとイチャつくあの二人に預けるか? ...いや、ダメだ。効率が落ちる。

 

だとしても、ここで見て見ぬふりをすればこの赤ん坊に待つのは誰にも看取られず、誰からも愛されず、温もりすら感じぬままに朽ちるだけ。

 

...凝光が言っていた孤児院もさすがに赤ん坊を受け入れることはできないだろう。既にキャパオーバーだと本人が言っていた記憶もある。

 

 

 

となると、自分が面倒をみる...? 

いや、いるではないか。子育ての経験があり、時間も持て余している存在が。

 

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「で、我の元に来たと」

 

「はい」

 

「...我を暇だと思っておるのか?」

 

「だって籠って寝ているだけですよね?」

 

「......」

 

「子育ての経験だってあるでしょう? 留雲真君?」

 

「...いつからこんな強情な奴に育ったのだ...」

 

という訳で甘雨は奥蔵山の留雲借風真君の元へとやって来ていた。

昼休みの時間をフルに使って来ているのだからほとんど押し付けるようにしてしまった。その申し訳なさから度々甘雨はこの奥蔵山へと顔を出していたが、結局のところ留雲真君が親バカっぷりを発揮し、この赤ん坊を溺愛していた。

 

しかしながら、そんなに上手くは行かない訳で

 

「目が開かない?」

 

「うむ。我はここ数日こやつの面倒を見ているが、一日中目を閉じたままだ。...これが捨てられた原因かもしれんな...」

 

「そうですか...。悲しいことですね」

 

一応顔を出した甘雨だったが、仕事を抜け出してきているのですぐに戻ろうとすると、後ろから嘴で掴まれた。

 

「待て、甘雨。そろそろ子育てを覚えても良い頃だろう」

 

「...え?」

 

「何をとぼけた顔をしておる。女に産まれたならばいつかは通る道だ。やっておいて損はあるまいよ。...申鶴の方は自ら願い出てきたぞ」

 

「ま、待ってください! まだ仕事が! あるんです!!」

 

「それについては既にあの夫婦から問題ないと許可を得ている」

 

「ちょっ!? 待ってください留雲真君! わ、私は別に子を作ろうなどとは考えていません!!」

 

「だとしてもだ。あの夫婦の子の面倒を見る機会もあるやもしれぬ」

 

 

 

こうしてあれよあれよという間に甘雨は育児を学ぶこととなった。とは言ってもやはり甘雨抜きでの仕事は回らないので、時間がある時のみとなってしまったが、留雲真君から学んだことは後に神応と刻晴の子供を抱く時も役に立った。

 

初めはすぐに泣いてしまう赤ん坊に四苦八苦していたが、すぐにコツを掴むと、一通りの所作は覚えてしまった。

 

 

そのまま数年がたった。色々と璃月も繁盛し、しばらく帰れない日々が続いた甘雨だったが、久方ぶりに奥蔵山に帰ってくると、彼の姿は見えなかった。

 

「留雲真君。彼は...光熙(こうき)はどこへ?」

 

「...彼奴なら仙術を学びに行った。いやぁ、教えてみるものだな。見る見る間に習得していく。筋がいい。教えていて楽しいくらいだ。今は魈の元で修行しているはずだ。タイミングが悪かったな」

 

「そうですか...」

 

甘雨が背を向けて帰ろうとしたその時、空から声が降ってきた。

 

 

 

「いや、最高のタイミングだ」

 

 

魈であった。留雲借風真君と甘雨の間に着地すると、後から見違えるように大きくなった光熙も着地した。

 

「魈師匠。ありがとうございました。俺も研鑽に励みます」

 

「うむ。...留雲、こやつ想像以上だ。我が想定していた半分の時間で訓練を終わらせてしまった」

 

留雲借風真君と魈が話し込むのを横目に、甘雨は背が伸びて心做しかガッチリした光熙に駆け寄った。

しかしながら光熙はやはり目が開かないようで、音だけで何者かが駆け寄ってくるのを探知し、その方向に体を向けた。

 

「あ、あの...。私です。甘雨です。覚えて...ますでしょうか」

 

「む、もちろん。あなたが甘雨ですか」

 

すると光熙は深深と頭を下げ、

 

「このような命を拾っていただいたこと、感謝してもしきれません。母親の代わりにもなって頂いたとも聞いております。本当に、深く、感謝致します」

 

「いえいえいえ! き、気にしないでください!」

 

甘雨はなんだか誇らしかった。

自分が産んだ訳ではないが、自分が育てた子供がここまで大きく成長し、留雲真君や魈先輩を唸らせるような才ある若者に成長したことが、だ。

 

そして、甘雨は強く光熙に惹かれていた。

 

一部の人から見れば倒錯的だと思われるかもしれないが、甘雨は大きく強く成長した光熙のそのオスの部分に惹かれていた。

 

魈よりも頭2つ分背が高く、横幅も大きい。目は開かないが、整った顔立ちをしている。

 

 

 

甘雨は3000年以上生きてきて、初めての恋をしたのだった。

 

 

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が、甘雨は自らが抱いている気持ちを「恋」だと判断するのに時間がかかった。

 

なにせ3000年だ。3000年生きた上での初恋。

 

もう世の中のことはほぼ知り尽くしている故のこの心。苦しいほどに甘雨を締め付けた。

 

仕事が手につかず、刻晴や神応に心配される始末。週末や余裕がある時には、なるべく光熙に会うために時間を作った。

刻晴と神応は甘雨のその様子を見て、「やはり仙人も人並みに休まないといけないのか...」と反省し、次年度から玉京台の求人枠が増えた。

 

 

 

「......ということがあったんです」

 

「ははは! 璃月は面白いところですね!」

 

光熙は目が見えないながらもボコボコした奥蔵山をひょいと駆け上がったり、駆け下りたりと、器用なもので、足音だけで甘雨が来たと察知するほどの聴力を手に入れていた。もはや目が見えないハンディキャップを感じさせない程である。

 

甘雨は未だに自らの初恋と光熙に対する母性を混同させたままでいた。

 

 

光熙はどんどん成長した。ついには申鶴を下すほどに力をつけ、もはや人外の域まで到達しようとしていた。

それをポーっと見つめる甘雨。明らかに恋する乙女の顔をしていた。

 

見かねた留雲借風真君はある行動へと移した。

 

 

 

「お見合い...ですか?」

 

「うむ」

 

「誰がですか?」

 

「光熙だ」

 

「...結婚、するのですか?」

 

「気が合えばだがな」

 

甘雨は露骨に沈んでいた。普通ならばめでたいことだと真っ先に喜びそうなものだが、だがこれを見て留雲借風真君は甘雨が光熙に恋をしていると確信した。

ちなみに光熙は鍛錬に出かけているだけである。

 

「そう...ですか」

 

「...戻るのか?」

 

「はい。仕事が残っていますので」

 

 

 

 

 

「...う.....雨......甘雨...甘雨!!!」

 

「ひゃあ!?」

「きゃっ!?」

 

仕事に戻ったはいいものの、甘雨は全く集中出来ていない。

 

「ちょっと、大丈夫? 集中出来ていないみたいだけど」

 

「......」

 

ずっと胸が痛い。甘雨は刻晴の質問にはしばらく答えずに自分の胸をキュッと掴み、

 

「...申し訳ありません。集中します」

 

「...そう。お願いね」

 

とは言ったものの、やはり甘雨の頭の中は光熙のお見合いの事ばかりであった。

喜ばしいことではある。今まで文字通り右も左も分からない光熙が今では女性との婚姻まで秒読みかもしれないとの事だ。

 

甘雨は今まで3000年以上恋を経験したことがない。故に、この苦しい気持ちへの対処法を知らない。しかし甘雨は自らに「応援しなくてはならない。喜ばなくてはならない」と考えるばっかりにどんどん辛く苦しくなっていく。

 

 

 

「甘雨さん。何かあったんですか?」

「ちょっと、本当に大丈夫なの?」

 

「...大丈夫です」

 

「大丈夫ってあなた...」

「...甘雨さん。貴女泣いてますよ。気づいてます?」

 

「......え?」

 

神応と刻晴に指摘され、そこでようやく甘雨は今自分が涙を流していることに気がついた。

 

「あ、あれ...おかしいですね...。...だめ...とまらな......」

 

「...甘雨、あなた疲れてるのよ。今日はたまたま仕事も少ないし、戻ってゆっくりしたら?」

「何か辛いことがあったんですか? 我々ももう上がれそうですし、飯食いながらでも話聞きますよ」

 

2人は心から甘雨を心配していた。故に、甘雨は2人の真摯な態度を見て、懐柔された。

 

「うぅ...。すみません。...お話、聞いてください」

 

刻晴と神応は、仕事を完了させるとすぐにテキパキと食事処の予約を取り、部下には帰宅命令を下した。3人は璃月名物の琉璃亭に向かい、優雅な雰囲気に包まれた店内で食事を楽しんだ。

 

琉璃亭は、璃月でも有数の高級料理店であり、その料理は美味しさと洗練された味わいが特徴だった。3人はその素晴らしい料理に舌鼓を打ち、会話も弾んでいた。

 

ある程度時間がたち、進む箸もほどほどになってきた頃、改めて刻晴が切り出した。

 

「...で? 何があったのよ」

 

刻晴の横では神応も酒を片手にこちらを見つめていた。

甘雨は自らの心の中の混沌を今一度整理して、ポツポツと吐き出した。

 

「実は......」

 

そして甘雨は全てを話した。

自分には息子同然の男がいること。

その男は人間で、もう成人であること。

留雲借風真君がその男に見合いを勧めたこと。

男が他の人のところに行くのがどうしようもなく辛いこと。

 

刻晴と神応はその甘雨の言葉を最後まで黙って聞いていた。いやもちろん2人の心境は、

 

(え? 息子? 人間? は?)

(もう絶対恋してるやんけ。嫉妬だろ)

 

と、もはや甘雨とは別のベクトルで混沌としていた。

 

「...どうしたらいいのでしょうか」

 

「付き合え」

「押し倒しなさい」

 

「えぇっ!?」

 

刻晴と神応に相談したのを後悔する甘雨であった。

 

 

 

「...で、貴女仙人なんですから、力で押し倒せばいいんですよ」

 

「なんのためのその格好なのよ。誘惑するためでしょ? いざとなったら即(ピーー)するためでしょ!?」

 

 

「酔ってるんですか!? お2人とも!? いや酔ってますよね!?!?」

 

 

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結局琉璃亭の店員に注意されてその日は解散した。

刻晴と神応の後ろ姿(恋人繋ぎの手)を見送った甘雨は、(自分も光熙とあんなことやそんな事を...)などと妄想にふけり、あまり為にならなかった2人のアドバイスを思い出しながら、奥蔵山に向かっていった。

 

 

 

「...おや、甘雨さん」

 

「ひうっ!?」

 

奥蔵山の麓。甘雨がこれから登山しようかと言うところで、後ろから声をかけられた。甘雨は妄想の世界に入り込んでいたため、全く気がつかなかったが、すぐ後ろに光熙がいた。

 

「よ、よく私だと分かりましたね...」

 

「俺は目が見えませんから。足音だけで大体誰がいるのかは分かるようになりました。1番楽なのは留雲借風真君ですね。翼ですし」

 

数年前からは想像もつかないほどに体躯も精神も成長した光熙。夜に出くわせば叫び声をあげそうな程にガタイがいい。

 

「これから登るのですか?」

 

「は、はい」

 

「では運びますよ。ちょっと失礼しますね...」

 

「えっ、えっ!?」

 

光熙は甘雨を横抱き、いわゆるお姫様抱っこの形で持ち上げると、跳んだ。

甘雨は横抱きにされながら、自分が跳んだ時よりもよっぽどの高度が出ているのを確認すると、もはや光熙の方が自分よりも強いのではないかと感じた。

 

 

「......ん? 暑いですかね? 今はそこまで...」

 

「え?」

 

「汗ですか? ちょっと湿ってます。後で拭くものを持ってきますね」

 

「...湿...? ...っ!? いいいいいいえ!! だっ、大丈夫です! こ、これはですね! ...」

 

妄想の結果である。

 

 

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光熙が女体について知識がほぼゼロなため甘雨は事なきを得た。

 

留雲借風真君はそんな様子の甘雨に、

 

「...案外卑しいのだな...」

 

と若干引いていた。

 

「言わないでくださいぃ...」

 

「いや...別に良いのだが...」

 

甘雨と留雲借風真君が気まずい雰囲気になっていると、光熙が拭き物を持ってきた。

甘雨はおずおずと光熙に問うた。

 

「その...光熙さん。お見合いの程はいかがですか?」

 

「ん? お見合い? なんのことですか?」

 

「え?」

 

「え?」

 

隣で留雲借風真君はめっちゃ笑っていた。

そして、ネタバレを行った。お見合いは嘘。いい加減そろそろ伴侶くらい見つけろという遠回しなメッセージだと伝えた結果、

 

「もおぉ! もおおおお!!! 留雲真君!!」

 

「待て! 話せばわかる! だから弓をしまえー!!」

 

「あ、あの...甘雨さん? ほどほどに...」

 

留雲借風真君は翼を氷漬けにされて1日飛ぶことが出来なかったらしい。

 

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「...悪は去りました」

 

「悪って...」

 

「あんなの悪以外の何物でもありません! 人の純情を弄んで...!」

 

「ははは。......で、どうしましょうか。...留雲真君は...」

 

あの後、留雲借風真君は甘雨と光熙に対して、お前ら付き合えばええやん。さっさと跡継ぎでもこさえて七星にでも据えろや。と暴論を持ち出した。甘雨としては願ったり叶ったりだが、光熙の気持ちを無視したくはなかった。

 

 

「その...私は貴方を......慕っています。愛しています。...この気持ちに整理がつくのに時間がかかりましたが...私は、光熙さんに恋をしています。...応えて、くれますか?」

 

甘雨は目を固くとじ、震えながら光熙の答えを待った。

しばらく経っても返事がなく、恐る恐る目を開くと、そこには面食らった光熙の顔があった。開いていない目から感情を読むことは出来ないが、間違いなく光熙は驚いていた。

 

「俺は人間で、貴女とは生きる時間が違います。...それでもいいのですか?」

 

ご最もだ。仙人と人間では寿命が全く違う。仙人というのは人間から見れば不老不死のような存在である。

それでも甘雨は光熙と共に歩むのか。

 

「...それでも。私は貴方の隣にいたいのです。例え貴方があと100年も生きられないとしても、私は貴方と共にその人生を行きたいのです」

 

既に甘雨は覚悟を決めていた。

璃月の小説に「初恋は実らない」などと戯言が書いてあったような気もするが、それは絶対ではない。現に、

 

「...分かりました。なら俺は、この一生を甘雨に捧げます。元より貴女に救われた命。断る理由がありません。...貴女の姿を見ることが出来たら良かったのに」

 

画して仙人と盲目の人間という歪な比翼が誕生した。

嬉しさのあまり甘雨は光熙に抱きつき、留雲借風真君は飛び上がって喜んだ。光熙は離さないとばかりに強く強く抱きしめた。

 

 

 

「で? 何時こさえるのだ? なんなら今からでも良いぞ?」

 

「うるさいです!!!」

 

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結局1ヶ月後には跡継ぎが甘雨に宿った。

目が見えない光熙は寝転がっていただけであったが、甘雨の艶めかしい声といやらしい水音を聞いて、

 

「随分と艶めかしい声を出すんですね」

 

「ちっ、ちがっ...これは......あぁっ!?」

 

光熙に火をつけてしまったらしい。留雲借風真君は「マジ? 速くね?」と素で驚き、鍾離はいの一番に祝福の言葉を送った。

そして色々と世話になった刻晴と光熙にこの事を告げた。

 

「...で、1ヶ月で懐妊、と」

 

「最近調子が悪そうだったのもそのせいですか」

 

「お、お恥ずかしながら......///」

 

あまりにもトントン拍子で上手く行き過ぎたため、刻晴や神応の方がびっくりしていた。そして2人はそのまま恋愛相談所のような扱いを受けたらしい。

 

ちなみにこの後神応は甘雨の幸せオーラに当てられた刻晴にロックオンされるのだが、それはまた別のお話。

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それから6年ほど歳月は流れた。結局甘雨は3人も娘を産み、基本的には光熙が子育てを担当した。幸いなことに3人ともに盲目ということにはならず、光を感じることが出来た。

ちなみに甘雨は娘を産んだ次の日から玉京台に出勤したところ、勤めている全員から「帰れ!!」とダメ出しを受けた。元より刻晴や神応が甘雨の育休のために人員を補充していたのだ。というか刻晴と神応が出勤した時にはもう既にデスクに甘雨がおり、2人揃ってブチ切れた。

 

「あなた何考えてるの!?!? さっさと帰りなさいよ!!」

「バカなんですか? バカなんですね? 普通出産即出勤なんて有り得ませんよ?」

 

「で、ですがこの仕事は......」

 

「いいから早く帰りなさい!! 母親がいないって子供のご飯どうするのよ!!」

「というか、産後の人って色気すごいですし集中出来ないんで帰ってください」

「...は?」

 

「わ、分かりました! 分かりましたから! ...どれくらい休めばいいのでしょう?」

 

「...仕事は変更ね」

「とりあえずマニュアルでも作りますか」

 

こうして玉京台は育休取得が可能になった。それと、刻晴と神応の働きかけのおかげで玉京台の求人は100%を越えることとなり、各署で歓喜の悲鳴が聞こえてくるようになった。

例)「残業がない!」 「休みが増えた!」 「結婚できた!」etc...

 

「むしろ今まで出来なかったのか...」

「いいじゃない。今はできるようになったんだから」

 

「ま、そうだな」

「そうよ。...ところで貴方、産後の女は色気がすごいって言ってたわよね?」

「...あっ(察し)」

 

案の定神応は刻晴に搾り取られることとなった。そして刻晴が出産したらまたこの文句で搾り取られる無限ループに突入したのであった。

 

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「パパ、そっちじゃない。こっちよ」

 

「ん? ああ、こっちか」

 

光熙は歳をとった。もう既に全盛期ほどの力はなく、足音だけで誰がいるのかを判別することは難しくなっていた。それでも甘雨と留雲借風真君だけはドンピシャで当てるのだが。

 

娘は今は18、16、14歳になり、勉学に励む者もいれば、修行に精を出す者もいた。

 

反抗期らしい反抗期は訪れず、娘たちは真っ当にのびのびと育った。とは言っても光熙も甘雨はあまり3人に干渉せず、娘も両親の背中を見て育ったため、非常に優秀に育った。特に恋愛観に関しては特別達観していた。当然と言えば当然である。

 

「パパ! 魈師匠が厳しいー!」

 

「そうか? 優しい師匠だと思うぞ」

 

「...我の修行を優しいというのは後にも先にもお前だけであろうな......」

 

 

「お母さん。この書類のここってなんか怪しいわよね?」

 

「見せてください。......なるほど、よく気が付きましたね。では、どのような不正でこのような数値が出るのか。分かりますか?」

 

「...それは......分からない」

 

「落ち込むことはありませんよ。では説明しますね......」

 

ちなみに、この子育てを見た凝光は夫に迫り、即日身ごもった。

刻晴は10人目を出産し、それでも甘雨には敵わないと言っていた。

煙緋は相も変わらず夫に常に主導権を握られ、申鶴は搾り取ると形容するのも生易しい程に激しくまぐわっていた。

 

こうして一部の重鎮のために、璃月は人口が爆発的に増えたのだった。

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「お母さんはさ。なんでお父さんと結婚したの?」

 

次女が甘雨に質問すると、長女も三女も興味津々とばかりに食いついてきた。はてどう説明したものかと甘雨は少し困った。というのは甘雨は一目惚れから光熙とゴールインしたのである。目が開かない青年に一目惚れというのはなかなか聞かない話であるし、3人ともに今は多感な時期である。

 

「お母さんはね。お父さんがまだ小さい時に捨てられていたのを拾ったのよ」

 

悩んだ末に甘雨は全てを話すことにした。

 

「捨て...!?」

「お父さんが!?」

「信じられない」

 

「それから、お父さんは人間だからいつの間にか私よりも背が高くなっちゃって。それで魈先輩と修行から帰ってきた時に...その...お父さんの......ね? 男の人としての魅力に...」

 

「お父さんムキムキだったの?」

「確かに璃月の人間よりは強そうだけど」

「お姉ちゃん? お父さん化け物だよ? 魈師匠も言ってたよ?」

 

「それで...留雲真君に騙されて...そのまま結婚しちゃったの」

 

「飛ばしすぎでしょ!?」

「なにがあったのよ!」

「あのクソ鳥...」

 

「そ、それで...その日のうちから盛っちゃって...。それで産まれたのがあなたよ」

 

「え、マジ?」

「というか私たち学校に通った訳じゃないからさ」

「うん、行為ってどうやるの?」

 

「えっ。あ、あらら? そ、そうでしたっけ?」

 

「誤魔化した」

「逃げるな」

「普通に教えて欲しいんだけど」

 

その後、最悪(最高)なタイミングで光熙が戻ってきた。

娘たちはここぞとばかりに甘雨を追い詰め、目の前で実践させるに至った。乱れに乱れた母親を見て、娘たちは揃いも揃って発情し、光熙はとんでもない目にあったらしい。

 

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70年が経った。

甘雨にとっては短く、光熙にとっては長い長い年月だった。

 

光熙は床に伏していた。もうあの頃のように奥蔵山を跳び移る事などできそうにない。ただただ布団の上で空虚な日々を送っていた。

 

長女は七星になった。今では郡玉閣を引き継ぎ、璃月の実権を握っているらしい。

 

次女は港で働いている。海洋についての造詣が深く、管理職が天職であった。

 

三女は1番仙人としての血が濃く、奥蔵山で修行の日々を送っていた。

 

甘雨は相も変わらず玉京台で残業しているようだ。周りの面子は変わったが甘雨だけは唯一変わっていない。

 

 

「...心残りが、一つだけ」

 

「光熙さん......」

 

「最期まで、貴女を見ることが叶わなかった...。1度でいい。1秒でもいいから、甘雨と娘たちの姿を見たかった......」

 

そうして甘雨と光熙が結ばれて71年目の日に光熙は息を引き取った。

 

長女はその臨終に立ち会うことが出来なかった。が、光熙の関係者の誰よりも号泣し、それにつられて甘雨も涙を流した。

 

次女は父の生き様に惚れ直した。目が見えずとも確かな愛の形として自分がいることを再確認した。

 

三女は偉大なる師が亡くなったと静かに涙を流した。父の亡骸を見て、最大限の敬意を表した。

 

 

 

 

姿を見ることなく71年間、光熙は甘雨を愛し続けた。

それとまた同じように甘雨も光熙を愛した。

 

璃月は人の世となり、甘雨を恐れる者も減り、時々声をかけられることも増えた。

その多くが未亡人である甘雨を手篭めにしようとするものであり、下心が見え隠れしていた。

 

そのような人間に対し、甘雨はいつも通り答えた。

 

「すみません。私には愛している人がいるのです。あの人と添い遂げるために生きているのです。...私はもう、一生分の恋をして、一生分の愛を受けました。......ですから、ごめんなさい。あなたに向ける愛はもう残っていないのです。...では」

 

辛いわけではなかった。いや確かに時々苦しくなることもあったが、その度に光熙と過ごした日々を思い出して、仕事に打ち込んだ。

 

時はまた流れ、3人の娘は半人半仙の為、齢が100を超えても若い容姿を保っていた。しかしながら、両親の生き様を見ていると中々伴侶が見つからなかった。

しかしながら、甘雨は娘たちに早く結婚するように告げた。

 

そして、甘雨はその娘たちが妥協せずに見つけた将来を共にする男性を連れて来た時に必ず同じ質問をした。

 

 

 

「こんにちは。あなたには私の娘を預けます。が、あなたの一生をこの子に捧げるほど、愛していますか? この子の愛にあなたは応えられますか? あなたはこの子と、生涯にかけて愛を育むと誓えますか?」

 

 

 





はい(はい)。

原神の世界人外多スギィ!!

今回はとりあえずアイデアが浮かんだ甘雨を書きましたが、今八重神子も執筆中です。

要望等は活動報告からおねげぇします。
というかリクエストしてくれ。ネタが無い。お願いします何でもしますから(何でもするとは言ってない)

アンケート投下します。
アフターストーリーは多分ひたすらにイチャイチャするだけの短いものになると思っててください。
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