君の気持ちを知りたい   作:烏兎 満

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 今日の午前すみません。投稿してから読み返してなんか違う、ってなって消しました。あと、性転換ありきで進めるほど作者に実力なかったので、性転換要素は無しで行きます。期待していた人すみません。


後日談
初詣へゴー


 元日。

 新年を祝う日である。

 普通の家庭だったら祖父祖母の家で親戚に挨拶とかするんだろうが、生憎と俺には関係のない話だ。

 

 普段通りの一日。

 別に夜更かしもしてないし、朝の目覚めは良好。

 ぐーっと伸びをしてからベッドから這い出る。

 

「………ロインか」

 

 起きてすぐにスマホを触るのは依存症だなんだと老人たちがニュースで取り上げていたが、別にそれくらいいいと思う。現代社会はスマホありきで成り立ってるし。

 

 ロインの内容を確認すると、虹夏からの着信が届いていた。

 

『初詣一緒に行こ!!(よく分からん絵文字)』

 

 付き合ってからまだ一週間も経っていない。

 だけど、彼女との関係は前よりも親密になった。

 どちらも同じマンションに住んでいるため、どちらかの家にお邪魔してゴロゴロと過ごした日も少なくない。俺はどちらかと言うとアウトドア派なのだが、虹夏はインドア派なので虹夏に合わせて家でゲームやら映画やらを楽しんでいた。

 俺についに彼女ができるとは感慨深いものだ。もっとも、自慢の彼女なので一生手放さない。別れたい、とか言われてもなんとか説得して別れてやらない。これ、重いんだろうけど、それくらい虹夏が好きなんだ。

 

 自分の惚気話はここまでにして、ロインの返事を考える。

 正直毎年元日は家でゆっくりしているので、行こうと思ったことはないのだが、虹夏に誘われたなら行くという選択肢しかない。

 手短に了承のサインをしてから、洗面台へと向かう。

 

 朝目が覚めてからすることは、洗顔をしてから化粧水を塗ってドライヤーをかけるぐらいのことだ。

 朝ドライヤーするかしないのとでは一日の髪質が大きく変わってくるからな。

 

 最近はより一層冷え込んでくるため暖かい私服を着た後、ロングコートを羽織って待ち合わせ場所であるスターリー前へと向かった。

 

 

 

 #

 

 

 

 スターリー前には虹夏がスマホを片手にいじっていた。

 

 虹夏の服装は焦茶色のダッフルコートの真ん中を開けて、黒いセーターを着ている。赤いチェックのマフラーに、ズボンはニットパンツ。よく見れば、黒セーターの中に赤いシャツを重ね着している。赤のシャツとか結構攻めてるな。まぁ、似合ってるけど。

 極め付けは手首に巻いているスカーフ。本当それ好きだな。

 

「おはよー」

「あけおめーことよろー!」

「あ、そっか。あけおめことよろ」

「じゃ、行こっか!」

「おう」

 

 軽く挨拶してから神社へと向かう。

 相変わらず元気な子だ。彼女の魅力の一つ。

 付き合ってから喋る時の距離感はそこまで変わっていない。元から距離が近かったからってのもあるけど、虹夏のコミュ力がお化けだからだと思う。だから、いろんな男子のことを勘違いさせちゃうんだよなぁ。

 

 そんなことを考えていると、虹夏が手を繋いでくる。

 

「つめたっ!?」

「虹夏の手があったかいんじゃない? 俺冷え性だし」

「ユウト冷え性なんだ。ホッカイロいる?」

「虹夏の手で十分」

「あっそ」

 

 反応が冷たいんじゃ。そこはもっと照れて欲しいのじゃ。

 虹夏が吐き出す息が白くて少し幻想的だった。

 

 徒歩数十分ほどで神社に到着。

 長い階段を前に虹夏が嫌そうな顔を作っている。

 

「ほら、早く行くぞ」

「………はーい」

 

 どことなくアホ毛が垂れ下がっているが、この冬休みずっとゴロゴロしてたんだ。少しは運動しろ。

 

「つ、疲れた〜! ユウトおんぶ〜!」

「もう少し頑張れよ。まだ中腹だぞ」

「もう中腹でしょ!」

「お前この前太ったとか言ってて落ち込んでたろ?」

「うぐ、体重のことは言うなっ!」

「ぐはっ!?」

 

 自分の体重のことを棚の上に置いておいて俺のことは殴らないで欲しい。ドラマーの力って女子でも普通に強いから困る。

 

 仕方がないのでおんぶをしてお社を目指す。

 

「流石ユウト!」

「はいはい、虹夏お嬢様」

 

 付き合ってから変わったことといえば、虹夏が少しわがままになったことぐらいか。遠慮がなくなったのはいいことだ。殴るのはやめて欲しい。

 虹夏は体重が重くなったと言っていたが、別に全然重くない。女子は些細な変化を気にするから多分本当にちょびっと体重が増えただけなのだろう。

 

 階段を登り終わり、虹夏を下ろしてからお参りの参列に並ぶ。

 

「今年こそはバンドを結成しようと思うんだー!」

「ほう、そりゃ楽しみだ」

「期待して待っているといい! 最高のメンバーを集めてみせる!」

「で、メンバーの目処はたってるのか?」

「ううん、全然」

 

 まだまだ遠い夢だな。

 順番が回ってきて御神前で五円玉を入れて二拝二拍手一拝をして今年一年の願いを頭に思い浮かべる。

 

 それから適当におみくじを買った。

 俺は小吉でした。昔から運だけは全然ないんだよな。

 

「やったー! 大吉だ!」

「小吉」

「意外とユウトは運ない感じ?」

「まぁ、そんな感じ」

「えーと、なになに? 私の恋愛のところ不穏なこと書かれてるんだけど」

「どれ?」

 

 目を通してみると、こんなことが書かれていた。

 

『気持ちを強くもつべし』

 

 うーん、よくありそうなおみくじの内容って感じなんだが。どこが不穏なんだ?

 

「んーと、別れる、とかないよね?」

「ありえない」

「だよね! よかったー」

「こういうのは気にしないほうがいい。俺の恋愛の欄には『一途を貫くべし』とか書かれてるから問題なし」

 

 先ほど虹夏がくたばりかけていた階段を下りながら、何をお願いしたかの話をする。

 

「ユウトは神様に何頼んだの?」

「神様とか信じない」

「めんどくせー。じゃあ何願ったの?」

「虹夏とのこれから」

「はぁ、そういうの平気で言うから慣れちゃったよー」

「じゃあもう言わない」

「あー、ちょっとちょっと。拗ねないでよー」

 

 知らない。もう言わないもん。

 虹夏は困ったような顔を作る。

 

「も、もちろん、そう言ってくれるのは嬉しいよ! だけど、あまりに自然に言うから慣れちゃったー、みたいな?」

「じゃあ、これからは頻度を減らそう」

「そ、それは困るかも!」

「なんで?」

「…………言われないと不安になっちゃうし」

 

 ぷいっとそっぽを向いて俺から顔を逸らす虹夏。

 やっぱり俺の彼女は可愛い。照れ隠しだったのか。愛くるしいな。

 

「はいはい、俺は虹夏だけを見てますよ」

「うむ、よろしい」

「虹夏は何願ったんだ?」

「最高のバンド組めますようにー、とか。あとは…………ユウトとのこれから」

「へー」

「いやいや、もっとそこは興味持ってよ!!」

 

 だー! と顔を赤くして俺の頭をべしっとジャンプして叩く虹夏。さっきの仕返しですー。

 

 まぁ、今年もいい一年になることでしょう。

 

 この日の俺には思いもよらなかった、大変な一年になることを。

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