君の気持ちを知りたい   作:烏兎 満

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まぁ、ちょこちょこ書いてたやつです。


江ノ島へレッツゴー……

 

ユウトくんの夏休みの一日!!

 

10:00

部活

 

12:00

昼寝

 

18:00

バイト(スターリー)

 

24:00

爆睡

 

 

 

 #

 

 

 

「ユウト! 起きて起きて!」

 

 うぅ、頭が痛い。なんだ、なんだってんだ。いきなり部屋のカーテンが解き放たれて、窓から差し込む日光が俺の顔を焼く。クソ眩しい。

 

「今から江ノ島行くから、ユウトも行こう!」

「………なんでそうなった」

「えっと…………ぼっちちゃん、この夏休みずっとバンドメンバーと遊びたがってたみたいなんだけど、誰もぼっちちゃんのこと遊びに誘えてなくて………、今日行くことになったんだ!」

「もうバンド名変えろって」

 

 もう最終日だぞ。

 ズキズキと痛む頭を抑えながら、むくりと起き上がる。午前中の部活での疲労が体に溜まっており、正直どこにも行きたくない。

 俺は自分の体の欲求に従って、そのまま二度寝を敢行する。

 

「ちょちょちょちょ!! ほら起きて!」

「嫌だ、バンドメンバーだけで行ってこい」

「今ぼっちちゃんショックで気絶してるから、運ぶ係お願い!!」

 

 えぇ………。

 でも、流石に虹夏の頼みは断れないし、ひとりのためにも少し頑張るか。錆びたロボットがいきなり動き出したかのような動作で、ベッドから這い出る。

 

「わかった、行くよ行く」

 

 パァッと光り輝くような笑顔を浮かべる虹夏。そんなに行きたかったのかよ。でも確かにこの夏休み虹夏と旅行みたいな形で外出することはなかったな。

 

 部屋着から着替えて、虹夏に適当に髪の毛をセットしてもらい、スターリーの前に到着。

 

「おい、なんだこのお墓」

「それ後藤さんが弔ったセミのお墓らしくて………」

 

 なんだそれ。セミのお墓?

 俺は疑問に思いながらも、郁代から白目を剥いて全身の力が脱力しきっているひとりを背負う。おい、死んでないよな?

 あと、こいつ胸でかい。素晴らしい。

 

「ちょっと?」

「ごめんなさい」

 

 虹夏に腕をつねられてしまう。煩悩がバレてしまったらしい。最近、少しでもやましいことを考えるとすぐに虹夏に勘づかれてしまう。己はエスパーか何かか? それともこれが女の勘というやつなのか?

 俺は背中に伝わる柔らかい感触を極力無視しながら、下北沢駅を結束バンドメンバーと共に歩き出す。

 すると、こちらをじっと見ていたリョウが話しかけてきた。

 

「ユウト、その服いいね」

「最近南口の商店街で買ったんだ」

「それ古着でしょ? 今度一緒に古着屋巡りしよ」

 

 なるほど、リョウは確かによく古着を好んで着ている。今だって白いTシャツの上に黒いジャケットを羽織っており、パンツはピッタリとしたとした白デニムを履いており、かなりのヴィンテージ物だ。いやそのデニムどこでゲットした? まぁ、下北沢の駅周辺には、古着屋が異常なほどあるから珍しくも無いか。

 毎度毎度様々な古着を着こなしている山田リョウ。首から変な丸いネックレスしているけど、なんのこだわりがあるんだそれ。あと、その格好暑くない?

 

「まぁ、気が向いたら」

「明日行こっか」

「はぁ、いいよ。いい感じのコーデ頼むぞ」

「ふふ、任せて」

「リョウ先輩だけずるいです! 私も日賀先輩と古着屋まわりたいです!」

「はいはい、郁代とは今度行きますよ」

 

 こう、彼女の目の前で女の子と約束するのもどうかと思い、虹夏に目配せしたが、意外にも余裕な表情。

 しかし、あまりに不安にさせすぎるとあの夜のように爆発しかねない。バンド内での不和とかも怖い。俺から見てリョウは友達、郁代とひとりは妹のような存在なので、それ以上に発展することはない、と虹夏には伝えている。虹夏自身大丈夫と判断した上での余裕なのだろうか。

 

「虹夏、明日行っても大丈夫か?」

「もちろん大丈夫だよ! ちゃんと私とも二人きりで今度一緒に買い物してくれるならね?」

「はい、もちろんです」

 

 やっぱり不安に思うところ、というか嫉妬してるのかー、と考えると何か癖になりそうな喜びが溢れてくる。いや、この感覚はなんか虹夏にとって良くない気がするからあんまし感じないようにしよう。

 

 電車に乗り込む。夏休み最終日だからかはわからないが、乗客数は少ない。

 未だに死んだ魚のような目で虚空を見つめているひとり。ちょっと怖い。

 

「日賀先輩は勉強できるんですか?」

「全然できないよ」

「えっ!? 意外です!」

「いや、嘘だよ。喜多ちゃん、ユウトすぐ嘘つくから気をつけなよ」

「そうなんですか? じゃあ日賀先輩、今度勉強教えてくれませんか?」

「え、嫌だよ」

「なんでですか!?」

 

 ぷくっ、と頬を膨らませる郁代。

 

「いや、面倒で」

「わ、私って先輩にとってそんなに要らない子なんですか……?」

「そんなに言ってない。それに泣くのはずるいぞ?」

 

 公然の場で俺が女の子を泣かしたみたいになるじゃないか。やめてくれ。社会的に死ぬ。

 

「はぁ、わかった。テスト前だけだ」

「わかりました! お願いします!」

 

 先ほどの涙が嘘だったかのように一瞬で消えて無くなり、いつも通り元気溌剌とした笑顔に戻る郁代。してやられた。嘘泣きかよ。どこで覚えたんだよ。

 

 下北沢駅から藤沢で乗り換えて、片瀬江ノ島駅に到着した。

 いまだに現実世界に戻ってこないひとりを背負い直し、今出てきた改札を振り返る。他の普通の駅とは違い、神社のような赤を基調とした駅舎が建てられており、少し不思議な感覚に襲われる。なんか綺麗だから写真撮っとくか。

 写真を撮ろうとスマホを取り出した時、郁代に腕を引っ張られたかと思うとパシャリと小気味良いシャッター音が聞こえた。

 

「おい何勝手に撮ってんだ」

「思い出に一枚撮ろうと思いまして! あ、先輩のロインに送っておきますね!」

 

 郁代の有無を言わさぬ勢いにため息を吐く。念のためイソスタには載せるな、と忠告しておく。あんまりネットには詳しくないのだが、自分の顔が不特定多数の人間に見られるのは少し抵抗がある。

 すると、虹夏にも郁代と同じように腕を引っ張られるとまたもシャッター音が響く。俺はマスコットキャラか何かか。

 

「虹夏も撮るなら撮るで声かけてくれよな」

「あはは、ごめんごめん、ついね?」

「………いや、こっちこそごめん」

「なんで謝るの!?」

 

 虹夏を不安にさせてしまったことは俺の不手際だ。何事も虹夏を優先したい。その旨を伝えると若干遠慮がちに大丈夫と言っていたけど、嬉しそうに頬を染めていた。うん、可愛い。

 あたりを見渡すと、ある人物がいないことに気づく。

 

「おい、リョウはどうした?」

「あー、アイスクリーム買ってくるらしいよ。お金あるのかな?」

「ないだろ」

 

 この前だって新しいベースを俺にドヤ顔で見せびらかしにきたのを思い出し、あいつ大丈夫なのか? と心の中で思っていた。まぁ、ああいう奴が一番人生を楽しんでるんだろうな。

 

 アイスクリームを買ってきたリョウと合流して、海へと向かう。

 ようやく意識を取り戻したひとりもイケてるお兄さんたちの前に爆散。たこせんも食べたし思い出十分。さて、ひとりとともに俺もクライマックスを迎えたので帰ろうと思う。普通に疲れた。眠くて眠くて仕方ない。

 

「えー! 先輩帰るんですかっ!?」

「眠いから。俺抜きで楽しんで。それじゃ」

「日賀先輩、江島神社だけでも行きませんか?」

「無理」

「…………ぐすん」

「行くから行くから!」

「ユウトは涙に弱いっと」

「おい何メモしてんだ山田」

 

 いつから泣き真似が得意になったんだ。俺が行くと答えた瞬間引っ込む涙どうなってんだよ。あと、リョウが泣いても動じない自信がある。

 

 ガガガガと音が鳴り出しそうなほど疲労に軋む体を動かして、長い長い階段の前に到達する。たっか。快晴とは真逆の雰囲気に包まれる郁代以外の結束バンド御一行。

 

「ここから頂上まで登りますよー!」

「嫌だ!」

「…………」

「あたしも階段とか苦手だな〜、なんて……」

 

 ひとりは目の前の残酷な光景に声も出ないようで、先ほどよりも死んだ目で神社の鳥居を眺めてる。

 郁代だけが盛り上がる中で、どんよりとした空気を醸し出しながらも郁代について行くあたり全員の優しさを感じる。ちなみに、俺は優しくなくてもいいから帰りたい。

 

 後残り半分といったところの中腹で、ひとりが目敏く有料エスカレーターを発見した。虹夏、リョウ、ひとりの顔に笑顔が宿った。少しはお前ら運動しろ。

 乗る気満々な三人に対して郁代はどこか残念そうにしていた。まぁ、少しは付き合ってあげるか。

 

「俺は歩いて頂上目指そうかな」

「ユウト、お前は人間じゃない」

「し、正気ですか……?」

「ユウトが歩いて行くならあたしも頑張ってみようかな……」

 

 虹夏偉い。他二人はもっと体力つけろ。

 俺の言葉に郁代は咲き誇ったひまわりのような笑顔をこちらに向ける。どことなく目がキラキラとしているような………眩しい。太陽か何か?

 

「流石日賀先輩! 先輩ならそういってくれると思ってました!」

「はいはい。虹夏はどうする?」

「おんぶ」

「はいはい」

 

 ひとりとリョウにエスカレーター代を渡す。どうせリョウはひとりに借りる予定だったんだろ。後輩にたかる先輩は普通にクズだぞ。

 

 俺は虹夏を背負って郁代と共に頂上を目指す。まるで普通に歩いているかのようにポンポンと長い階段を登っていく郁代に俺と虹夏は戦慄を隠せない。郁代さん、登るの速すぎませんか?

 

「せんぱーい! 早く早くー!」

「ユウト大丈夫? あたしそろそろ歩けるよ?」

「いや、大丈夫だ。それにしても郁代体力すげーな」

「なんかバスケの試合とかも代役として出たりするらしいよ」

「バスケねぇ」

 

 虹夏には強がって見せたが今日は誰かを背負ってばかりだったからか、少し腰が痛い。いや、重いわけじゃないんだけどね?

 

 無事に頂上に辿り着いた頃にはひとりとリョウが既に景色を眺めながら寛いでいた。郁代はこの展望台登りましょう! と疲れを感じさせない笑顔でそう宣言して俺の手を引っ張ってくる。気持ちはさながらはしゃぐ妹に振り回される兄の図。

 でもまぁ、妹とかいなかったから少し新鮮だな。

 

 郁代に拉致られて展望台をエレベーターで登って行く。あの三人は下で待っているらしい。あいつら何しに登ったんだよ。

 郁代は目の前に広がる江ノ島の景色に向けてスマホを取り出すと色々な角度からパシャパシャとシャッターを切る。現代っ子だな……。

 すると、いきなり景色に向けていたスマホをこちらにかざす郁代。

 

「先輩、撮っていいですか?」

「ダメだ。………おい俺今ダメって言ったよな?」

「え、聞こえなかったです」

「はぁ」

 

 最近遠慮という言葉を忘れてきている郁代。そういうところはリョウに憧れちゃダメだよ。リョウにだけは染まらないで欲しい。

 

 景色を郁代と一緒に十分に堪能してから展望台を降りると、げっそりと生気が抜け落ちた三人がお通夜のような雰囲気でベンチに座っていた。

 

「トロピカル………フォーエバー……」

「………リア充爆発しろ……」

「ユウト早くきて………」

「何してんだお前ら」

 

 話に聞いたところによるとイチャイチャカップルに遭遇したらしく、自分たちは何しにここに登ったのか、なぜきつい思いをしてまで登ったのにこんな仕打ちを受けるのだろうか、と絶望に浸っていたらしい。

 クソどうでもいいことで落ち込んでいたらしい。

 

 とりあえずこの空気は嫌いなので、アイス奢ってやるか。

 

「アイス奢ってやるから元気出せ」

「力がみなぎってきた」

「流石ユウト!!」

「や、やった!」

「先輩ありがとうございます!」

 

 ちょろい。

 俺は近くの売店でアイスクリームを四本買い、四人に渡す。

 

「あともう一イベント欲しいですねー」

「あ! じゃあしらす丼食べに行こうよ!」

「お腹いっぱい」

「ほんと自由だな」

「と、とんびが……!」

「ぼっちちゃんが襲われてる!?」

「とんびって人襲うんですね………」

「いや、多分ひとりが舐められてるだけだと思う」

 

 ひとりがトンビに襲われたりと一イベント発生したが、命に別状はなさそうだ。いや、あったら困るレベルの問題じゃ無いんだけどね。

 またひとりを背負う羽目になってしまったため、結局最後まで付き合わなければならなくなりました。正直眠くてきついです。

 

 最後は音楽の神様が祀られているという神社に寄ってから帰るらしい。郁代はまだまだ物足りない、という感じだったが本当にそろそろ勘弁してほしい。

 江島神社よりは短い階段だったのだが、ひとりを背負っていることと今日一日の疲労が重なって、足腰が非常に辛い。

 意識の戻ったひとりを下ろしてから音楽の神様とやらに願い事をする。と言っても、何を願えば良いのやら。音楽の神様にスポーツの願い事をするのもなぁ。

 結局何も思いつかなかったので、頭空っぽにして何も願わなかった。全員で階段を降りる際はその願い事の話で盛り上がることとなった。

 

「リョウ先輩何願ったんですか?」

「私はダイヤの原石がそこら辺に落ちていますように願っといた。郁代は?」

「私は結束バンドのみんなとずっと一緒にいられますようにって願いました!」

 

 二人して大層なお願い事してるなぁ。まぁ、片方はちょっと自分の欲に忠実すぎるけど。

 

「虹夏とひとりは何願ったんだ?」

「私はライブ成功させてくれてありがとうございます、これからも宜しくお願いします、て願ったなぁ」

「あ、あはは、私も、お、同じです……!」

「ユウトは?」

「俺は………特に何も願わなかったぞ」

「ユウトっぽいね!」

 

 俺っぽいとは。

 

 

 

 ♪

 

 

 

 ガタンゴトン、と規則正しく揺れる電車の音で目を覚ます。

 いつの間に眠っちゃったみたい。周囲を見渡すと、私の左隣ですやすやと眠るリョウの姿が視界に入る。目覚めたばかりでまだぼんやりとしているが、どうやらまだ下北沢には到着していないようだ。

 

 そして右隣からも穏やかな寝息が聞こえてくる。

 私は珍しく公共の場で眠っているユウトの肩に体を預ける。彼の体温を全身で感じると、どうも人をダメにするクッションのように心地がいい。

 

 今日は練習の後の彼を無理矢理連れ出してしまって、少し申し訳なく感じる。でも、この夏休みユウトの部活が忙しかったり、バンドの合わせの練習だったりと少し予定が合わない日々で、どこか十日に遊ぶ機会がなかったのだ。

 でも、ちょっと強引になっちゃったかな……? 彼の顔を下から覗き見る。それはもう、眠りづらい体制だろうにぐっすりと眠っていて、可愛いと思う反面、休ませてあげればよかったな、という罪悪感も湧いてくる。

 

 ふと、彼の膝の上にある白いビニール袋に目が行く。はて、彼は何か買っていたっけ? 電車に乗るまでの記憶が少しあやふやであまり覚えていない。少々気になったため袋の中身を拝見する。

 

「うおぉー、流石だなぁ」

 

 まさかの袋の中身はしらす丼だった。持ち帰り用のお弁当を買ってくれていたらしく、私が食べたいと言っていたことをしっかりと覚えてくれていたみたい。本当に私のことをよくみてくれてる。嬉しいなぁ……。

 

「伊地知先輩、いつまでイチャイチャしてるんですか?」

 

 ふぇっ!? 喜多ちゃん起きてたの!?

 まさかの彼の右隣、私の席より一つ奥からジト目でこちらを見つめる喜多ちゃんがそう声をかけてきた。起きてたなんて知らなかった!? え、じゃあもしかして全部見られて………!

 

 そう考えた途端顔に熱が溜まっていき、とてつもない羞恥心が襲ってくる。いつも家でしている何気ないことをバンドメンバーに見られた恥ずかしさで頭が飛んじゃいそうだ!?

 

「はぁ、もう! 幸せそうで結構です!」

 

 珍しくぷんぷんと怒り出す喜多ちゃんの隣には今日何度目かわからない昇天しているぼっちちゃんもいた。

 

「ほら見てください! 後藤さんまた昇天してますよ!」

「ご、ごめんごめん! つい癖で」

「………むぅ」

 

 いまだ膨れっ面な喜多ちゃん。だいぶお怒りのようだ。

 

 まぁでも、これだけはユウトに言っておきたいな。今日色々とお世話になったし、思い出も十分作れたし。今はぐっすりと眠ってるから後で伝えてもいいんだけど、なぜか今伝えたくなってしまった。

 

「ユウト、今日はお疲れ様」

 

 今日はバンドメンバーとの思い出も作れたし、最高の一日だったよ。

 私の言葉に反応してか、ただの偶然か、夕日に照らされたその顔がほんの少し微笑んでいるように見えた。

 

 

 






最近、「にじかってだれ?」っていう概念がちょっと怖いです笑

考えたやつ天才だろ。虹夏ちゃんの可能性が広がりましたね。

まぁ、この小説書いたきっかけは虹夏彼氏概念に触発されて書いたんですけど、自分はクズ彼氏派よりスポーツイケメン派だったのでこんな主人公になりました。クズ彼氏だとDVやら何やらで虹夏ちゃん傷つけるのはちょっと………って思って。クズ彼氏も嫌いじゃないけどね。

でもやっぱり自分は虹夏ちゃんの彼氏はイケメンスポーツ男子一択です!

男式キャラメーカーで主人公作った。見たい?

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