君の気持ちを知りたい   作:烏兎 満

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君は世界で一番

 九月初旬。

 学生全員が絶望する時期。

 まぁ、学校は学校でそれなりに楽しい。

 前はそんなこと思わなかったけど、どうしてだろう。

 

 始業式も終わって、教室に戻ると新たな席順が発表されていた。

 

「あちゃー。席離れちゃったね……」

「………少し寂しいな」

「っ! べ、別にクラス変わるわけじゃないし大丈夫だよー!」

「まぁ、寝れるからよし」

「よーし、一発殴らせて」

 

 俺の席は一番後ろの真ん中らへん。虹夏は俺よりも前の席だ。

 残念って気持ちはある。

 すると虹夏が俺の背後から抱きついてきた。バックハグだ。殴るんじゃなかったのか?

 腰に手を回された時はドキリと心臓が痛む。

 

「虹夏、ちょっと。もうすぐ授業始まるんだが」

 

 顔を赤くして優しく抱きつく虹夏。

 クラスメイトは席順を見ることに夢中でこちらに気づいていない。

 それに、心臓も痛い。

 柄にもなく顔に熱がたまるのを自覚する。

 最近の虹夏はボディタッチが多い。他の男にしたら勘違いされるぞ?

 

 他の男……。なんか嫌だな。

 

「も、もうちょっとだけ!」

「…………」

「席離れちゃうし、なんか寂しい!」

 

 そう思ってもらえるのは嬉しいな。

 クラスメイトにバレる前に虹夏は離れる。

 

「えへへ、これで今日一日頑張れそう!!」

「あ、そう」

「そいえば、文化祭出し物とか自由になったらしいね」

「虹夏のバンド楽しみにしてる」

 

 そういうと、虹夏は両手を合わせて頼み込んできた。

 

「実はさ! ボーカルとギターがいないんだけど……」

「無理」

「断るのが早すぎる」

 

 やりたくない。文化祭は見る側でいたい。

 

「ふーん、そうやって断るんだ」

「うん。やりたくないです」

「私にも奥の手があるんだよ? 使っちゃうよ?」

「やってみろよ」

「ものすごい自信。これを見てもそう言えるのかな」

 

 スマホの画面をこちらに見せてくる虹夏。

 そこには号泣してる俺の横顔が。

 

「歌なら任せろ」

「よし、いい子いい子。ギターできるよね?」

「…………」

「できるよね?」

「できます」

 

 そういえば、前に俺はなんでも頼れって言ってた気がする。仕方ない。

 ギター。興味だけあって衝動で買ったけど、何も練習してない。

 家に飾ってるだけ。

 まさかそれを見られたか。

 よし、ギター頑張ろ。

 

「はい、みんな席に着いて」

 

 九月は大変そうだ。

 

 

 #

 

 

 九月九日。俺の誕生日。

 親からの連絡はない。

 まぁ、期待はしていなかった。誕生日なんて平日と変わらん。

 

 そう、思っていたのも今日までらしい。

 

 部活が終わってから家に帰ると、虹夏から家に来て欲しいとの誘いが。

 そして、ドアは空いてるから勝手に入って、とロインに書いてあったのでガチャリとドアを開く。

 家の中は真っ暗で何も見えない。

 え、お化け屋敷?

 ゆっくりと進んでいくと、リビングに仄かな灯りがついていた。

 

「誕生日おめでとー!!!」

「おめでと」

 

 パーン、というクラッカーの小気味良い音が炸裂する。

 電気がいきなり着いて目の前には、大きなケーキがあった。

 フレームには『ユウ君、誕生日おめでとう!』と書かれている。

 

「は、反応が欲しいなー」

「もっと喜べよ」

「お姉ちゃん。やっぱりサプライズじゃなかった方が良かったんじゃない?」

「おい、喜べよ」

「う、嬉しいーーーー!」

「めっちゃ棒読みだけど」

 

 店長の顔が怖かった。

 俺、サプライズ大好き。店長さんも好き。

 

「俺虹夏の誕生日ジュース奢っただけなんだけど」

「気にしないで! 来年は期待してるから!」

「店長も祝ってくれるのは意外」

「虹夏が相談してきてな。やっぱりこういうのはサプライズでしょ」

 

 ケーキか。もう随分と食べてこなかったものだ。

 

「うまいな」

「そうでしょそうでしょ。結構いいところから取ったからね!」

「虹夏」

「何?」

「アイスケーキが良かった」

「はい没収」

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい………」

 

 分かればよし、と返してくれる虹夏。

 

「お前ら仲良いな」

「お姉ちゃんは異性のいの字もないもんね……」

「ドンマイ」

「お姉ちゃん泣いていいかな?」

 

 珍しく魔王が泣いている。写真撮っとこ。

 

「あと、はいこれ」

 

 ある程度ケーキを食べ終わると、虹夏がリボンに包まれた箱を持ってきた。

 受け取ってみると案外軽い。

 

「開けてみて!」

「これは……」

「私とおんなじスカーフだよ! 色違いだけど」

 

 青色を基調とした水玉模様のスカーフ。

 虹夏とお揃いのスカーフか。

 なんか嬉しいな。

 

「よし」

「頭に巻くものじゃないと思うな……。もっとこう腕とかにつけといてよ」

「わかった」

 

 虹夏に言われた通り腕に結ぶ。

 

「えへへ、お揃いだね」

「そうだな」

 

 俺も虹夏みたいにずっとつけてようかな。

 それから三人でゲームしたりお話ししたりしてその日を楽しんだ。

 いいな。こういうの。

 きっと俺の人生の中の誕生日で一番最高の日だ。

 

「最後に写真撮ろー」

「おけ」

 

 虹夏が棚にスマホを設置してカメラアプリのタイマーを押す。

 写真を確認してみると店長が後ろの方でピースしていた。

 

「あれ、お姉ちゃんが映るなんて珍しいね」

「お前ら二人だけで撮らせるのは危険と判断してな」

「どういうこと?」

「もう、いい」

 

 拗ねた店長を放っておいて、この写真はホーム画面にしておこう。

 

「虹夏」

「なに? アイスケーキはないからね」

「あれ、ちょっと怒ってる? まぁいい。ありがとね」

「どういたしまして! そうそう、君は素直にお礼言っとけばいいんだよ」

 

 腕を組んで首を縦に振る虹夏。

 

 嬉しいな、祝ってくれるのは。

 うちの親、いつ帰ってくるんだろう。

 

 

 ♪

 

 

 八月下旬。

 そろそろ夏休みも終わりが近づいてきた。

 夏休みバイトしかしてなかったなー、と思っていた時ロインに着信がくる。

 名前を見てみるとユウト、と映される文字。

 

 ユウ君からだ!

 すぐにロインを開いて中身を確認する。

 

『今日遊ぼ』

 

 短く伝えられた遊びの誘い。

 ユウ君から誘うなんて珍しい。

 もちろん、行くという返事を返して私は支度を始めた。

 

 

 #

 

 

「お待たせー!」

「よし、下北まわるか」

「へー、何するの?」

「服とか見ていきたい」

「おっけー!」

 

 学生でも買える手頃な服屋を見つけたので、早速入店。

 私も部屋着が少々物足りなかったから、そこらへんも見ていこうかな。

 

「あ、これユウ君に似合うんじゃない?」

「試着しよう」

 

 紺色のジャケット。

 試着し終わったユウ君。

 うん、かっこいい。少し大人っぽくなったかな。

 

「よし、買おう」

「前から思ってたんだけど、お金とか結構あるの?」

「親が金持ちだから。口座から自分で勝手に引き落としてる」

 

 ほら、と財布の中身を見せてくれるユウ君。

 うわっ! 諭吉が十枚ぐらい入ってる……!

 私今日2万ぐらいしか持ってきてないよ……。

 

「このスタジャンもいいな。このVネックもいい」

 

 うわー、あの組み合わせにぴったりブラックジーンズと変な三角形とかついてるネックレスつけたら、ダメ男感が半端なくなりそう。

 

 ユウ君がダメ男……。

 なんか妄想が膨らむ。

 

「虹夏、お酒」

「もー、ほどほどにしてよね」

「虹夏、タバコ捨てといて」

「タバコ悪いから、そろそろやめなよ……」

「………チッ、一々文句言うな」

「いたっ! ご、ごめんなさい……」

 

 わ、悪くない……!

 で、でも今のユウ君の方が好きかな!

 

「何ぼーっとしてるの、虹夏?」

「な、なんでもない!」

「虹夏虹夏。これ、虹夏に似合う」

 

 あのお祭りからユウ君は私のことを名前呼びするようになった。今でも名前を呼ばれると慣れていなくて驚いてしまう。嬉しいんだけど、心臓に悪いよ……。

 ユウ君が少し興奮して指差す先には白と黒を基調とした部屋着だ。

 

「絶対似合う」

「えー、そんなに推すなら試着してみようかなー」

 

 絶対覗かないでよ、と注意してから試着室に入る。

 着てみると結構ぶかぶか。大きさ間違えたかな?

 

「素晴らしい」

「そ、そう?」

「フード被って」

「はい!」

 

 フードを被るとユウ君がスマホのシャッターをきった。

 

「ちょっと! 写真撮るなら言ってよー」

「これ、買いなよ」

 

 鏡の方を向くと、フードには動物のような耳がついており、白と黒の組み合わせからパンダのような印象を受ける。

 なるほど、ユウ君はこういうのが好きなのか。

 

「えー、どうしよっかなー」

「俺が買う」

「そこまで!? それは悪いよー」

「…………それ可愛いから買いなよ」

 

 少し目を逸らすユウ君。

 可愛いかー、そっかそっか。

 思わず口元がニヤついてしまう。

 

 パシャっとシャッター音が響く。

 またユウ君が盗撮してる……。

 最近やけに写真を撮られる。なんでだろうね。

 

 

 #

 

 

 九月中旬。

 スターリーの控えにて文化祭のバンドの練習をする。

 文化祭は九月の下旬。あと一週間ほどの猶予がある。

 

「ユウト、かなりギター上手いね」

 

 この一時的に組まれたバンド、『結束バンド』のベース担当山田リョウがユウ君のギターの腕を褒める。

 うん、私も思った。

 部屋にギターあるから少しは弾けるのかと思っていたけど、まさかここまでとは。

 

「まぁね。幼稚園からやってるから当然」

「嘘つけ」

 

 ドアを足で開け放つ豪快さで入ってきたのはお姉ちゃん。

 

「お前一週間前ギター何も分からなくて私のところに来ただろ」

「店長、そういう嘘つくから結婚できないんですよ」

「死ね」

「うっ!? ギブ……!」

 

 お姉ちゃんがユウ君を4の字固めして、ユウ君は死にかけてる。

 あちゃー、お姉ちゃんを未婚ネタで遊ぶとプロレス技が来るからなー。

 

 それにしても、ギターはお姉ちゃんから教わってたんだ。

 というか、元々全然できなかったんだ……。

 

「私のところに来たよな? その恩師に向かっていうべきことはわかるよな?」

「か、感謝してます! だ、だから…………」

「一週間で並のギターより上手くなるってどんな天才……?」

「正直私も驚いてる。才能の原石だよ全く」

「ユウト、私のバンドのギターと交代しよう」

「リョウはナチュラルに勧誘しないの」

「歌は高音も低音も使い分けるし、音程も外さない。そして、人を惹きつけるカリスマ性のある歌声。正直気持ち悪い」

「お姉ちゃん、ユウ君息してる?」

 

 お姉ちゃんの4の字固めから解放されてぐったりするユウ君。

 生きてるよね……?

 

 前から思ってたけど、ユウ君は学習能力が異常に高い。

 勉強もスポーツも、彼がやる気になればその才能が開花する。

 今回のようにギターとかの音楽系だって、才能を開花させた。

 もし、ドラムもやって私よりも上手くできるようになったらと考えるとゾッとしてしまう。

 

 でも、今回は本当に異常だ。一週間でギターをここまで弾けるのは流石にちょっとドン引きだ。

 

「こいつ、ギターに関しては徹夜でやってたらしいぞ」

「そんなことしてないです。やっぱり店長、嘘は………」

「あ?」

「なんでもないです」

 

 やっぱり学習能力ないのかもしれない。

 ユウ君もお姉ちゃんを弄ぶの飽きないなぁ。

 というか、ユウ君は自分の頑張りを言うのが恥ずかしいのかな? 小学生男子みたいでなんか可愛い。

 そんなことを考えていると、ユウ君が真面目な表情になって私を見る。

 

「ここでバンドとしての経験、積むんだろ?」

 

 彼が徹夜までして一週間ギターを頑張ったのは、私の夢を少しでも応援しようとしている姿勢の表れなのかもしれない。

 そう思うと自然と口元が緩む。

 

 そっか。全部私のため。

 ふへへ、私のため。

 そう思うだけで体の芯まで蕩けてしまいそうになる。

 

「虹夏、その顔気持ち悪い」

「ユウト、そう言いながら写真撮るのも気持ち悪い」

「ほら、お前ら早く演奏しろ。私が見てやる」

 

 こうして私たちは一時的なバンドながらも一生懸命練習した。

 お姉ちゃんからの太鼓判ももらったことだし、絶対に成功させてみせる!

 

 

 #

 

 

 文化祭当日。

 今回の文化祭は一日限りである。ユウ君と文化祭まわりたかったけど、そんな時間なかったのは残念。

 私のクラスは射的とか輪投げとか、お祭り系。

 

 午後からは体育館でのバンドがあるから、ユウ君と一緒に抜けさせてもらう。

 

 よし、今日はこの結束バンドの最初で最後の舞台披露。

 このバンド名で夢を目指そうと思っていたけど、リョウとユウ君に馬鹿にされたから変えようか迷うなー。

 やっぱり、安直過ぎたかな……?

 

 体育館はかなりの盛り上がりを見せていた。

 特に上級生の盛り上がりがすごい。

 人数も二百人はいるだろうか?

 

「緊張してる?」

 

 そう言って私の顔を覗き込むユウ君。

 このユウ君の距離感にも慣れてしまった。最近の彼は前よりも少し距離感が近い。仲がより深まったって、考えていいのかな……?

 

「………うん。中学に一回こんな感じでバンドしたけど、やっぱり緊張はしちゃうなー」

「…………。応援してる」

「っ! 何それ、君もやるんだよ?」

 

 ユウ君の言葉に私は喉の奥底から込み上げてくる喜びに全身が震える。

 そのまっすぐな瞳に見つめられて、射抜かれたような錯覚を覚えてしまう。

 

 彼の期待に応えたい……!

 

 緊張はする。

 失敗してしまうかもしれない不安もある。

 でも、彼の言葉から伝わる絶対的な信頼を裏切るわけにはいかない!

 

 舞台脇に入ると、もうリョウがスタンバイしていた。

 

「虹夏、なんかいい顔してるね」

「もちろん! 私の夢の第一歩なんだからね! リョウも頼むよ!」

「私はユウトの演奏聴きにきたようなものだから」

 

 な、何かすごい危機感を感じる。

 ユウ君取られないよね……? ドロドロの三角関係にならないよね!?

 

「別に虹夏が思っているようにはならないから安心して」

「そ、そっかぁ。って、わかるの!?」

「最近の虹夏はユウトにゾッコン……むぐっ!?」

「ちょーっと黙ろっか?」

 

 私は高速でリョウの口を手で閉ざす。

 ふー、危なかったぁ! ユウ君に聞かれてないよね?

 

 彼の方に視線を向けると、ギターのチューニングをしている。

 ギター持ってるのが様になってるなー。

 

「……結束バンドさーん、次お願いします」

 

 うわー、実行委員さんのクマがすごい。ここまで大きなイベントになる予定なかったから、大変そうだね。

 

「よーし、えいえいおー! ってやつやろ!」

「「えー、子供っぽい」」

「やっぱ君たちどこか似てるよね……。ほらほらそう言わず!」

 

 私は左手をかざす。

 二人とも渋々ながら協力するあたり、やっぱり優しいな。

 あ、ユウ君の腕に私のあげたスカーフが巻かれてる。

 へへ、嬉しいな……。

 

「虹夏、掛け声」

「あ、ごめんごめん。よし行くよ! バンド、成功させるぞー!」

「「おー」」

 

 なんか締まらない感じになってしまったけど、あの二人だし仕方ないよね。

 司会者が私たちのバンド名を読む。

 

「お次は結束バンドです。リーダーはドラムの伊地知虹夏さん」

「お願いしまーす!」

 

 私が出てきたところで会場から声援が飛んでくる。中学よりも勢いが違う。

 

「次に山田リョウさん」

 

 キャー! リョウさんこっち向いてー!

 相変わらず人気だなぁ。私とのこの温度差よ。

 

「そして! この下北沢高校の文化祭を自由な出し物にするように色々と動いてくれた、我が校のアイドル! 日賀ユウトくんです!!!」

 

 体育館が今日一番とも呼べるほどの声援が飛び交う。

 

「ユウトくーん! こっち向いてー!!」

「大好きー!」

「ユウトー! 俺たちに青春をくれてありがとー!!!」

「PK外すなー!」

 

 最後のは木下君っぽいな…。許してあげてよ。

 でも、やっぱり人気者だなー、ユウ君。司会の女子もやけに大袈裟な紹介だったし。

 そりゃそうか。

 勉強もできて、スポーツもできて、イケメンで、ミステリアスで、ギターも弾けて、かっこよくて、可愛くて………。

 少し、遠い存在に感じちゃうな。

 

 というか、前に言ってた文化祭のやつ。本当に何かしていてくれたんだ。

 これも私の夢のためって考えるとまだ始まってもいないのに、涙が溢れてきちゃいそう。

 いやいや、今からだよ。

 

「んんっ。結束バンドでーす! みなさん盛り上がってますかー!」

 

 オオオオオオオオオ、という歓声が沸いてくる。

 すごい、これがバンド。中学とは比べ物にならない熱気が漂ってくる。

 

「今回がこのバンドの最初で最後の演奏です! みなさんの心に残るような音楽を届けます! ぜひ聴いていってください!!!」

 

 会場全体が拍手でうまる。

 私の役目はここまでだ。リョウはMCとかやりたがらないので、ここは彼にバトンタッチ。

 

「ども、日賀ユウトです。先日のサッカー部の試合、応援ありがとうございました。PK外したのは、勘弁してください」

 

 体育館に笑いの嵐が広がる。

 

「今日でこのバンドは最後ですが、いつかきっと伊地知虹夏さんがこのバンド名で有名になるでしょう。今回のバンドが良かったらぜひ見にいってやってください。じゃ、盛り上がってこーぜ! 下高ぉ!」

 

 うおおおおおおおおお!!! という先のどれよりも大きな歓声に満たされる体育館。

 

 そう。私はこの景色が、この空気が好きなんだ。

 何よりもキラキラと輝いているこの空間が。

 

 彼がこちらに振り向いて笑いかける。

 彼が歌い始めてからは一瞬だった。

 

 彼の歌声に負けないほどのリズムをドラムで刻む。

 あのキレのあるギターは誰も二週間で完成させたものだとは思わないだろう。

 私は彼の努力に恥じないほどのドラマーだってここで証明するんだ!!

 

 私から見える彼の背中は大きい。

 あの大勢の観客の前で堂々と胸を張って歌っている。

 あぁ、やっぱり。

 

(ユウ君は世界で一番かっこいい……!)

 

 私たちの最初で最後のライブは、最高の輝きに満ちていた。




よし、このまま突っ走るぞー!
感想とか評価とか諸々ありがとうございます!!

みなさんブルーロック好きっすね。俺も大好きです。

この二人の結末、どうか見届けてください!
ではではー!
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