Q. 前話、何が起きたの?
A. さてはて?
Q. 指輪霊と主人公、同種族なの?
A. さてはて?
Q. これ、コメディなの?
A. ホラー?タグさんもたま~に仕事する系コメディです。
ついに皆さんお待ちかね、テンプレ要素の極み登場回ですよー。
「───ユ゛ス゛さ゛ま゛あ゛ああああああーーーっ!!?」
「ひゃわっ!?」
《うわぁお》
街道をちょいと外れた森の中。
響き渡るは、御令嬢云々を空の彼方へとかなぐり捨てた第一声。
……うん、もう、これだけで察せるよね。色々と。
乗っ取られてる間の意識あったのね、この子。そら怖いわなあ。
「ご、ごわがっ! がら、だ、がってにっ!? う゛ぁ、あ、あああああーーーっ!?」
「……よしよし。もう大丈夫ですよ、サラ様?」
勢い良く飛び付かれて驚いた様子だったユズちゃんも、すぐに察して慰めモードに。
ボロ泣き状態のサラ嬢を抱き締めかえしてナデナデ……やっべ、何この絵面。尊い。
「あ゛ー……う゛ぅ、あああ…………っ」
「辛かったですよね……怖いですよね、自分の身体が自分以外の意思で動くあの感覚……」
そしてまさかの彼女が味わった恐怖を共感出来ちゃう人材というね。
……何というか、今回の事といい、そもそも私達と縁が出来た経緯といい、ある意味鬼のような引きの強さしてるよなあ、このお嬢様。
たまたま選んだ街で、たまたまとんでもない遺跡の情報手に入れちゃって。
そこでたまたま選んだ冒険者が、たまたま
そんで今回もごく普通にショッピングしてただけなのに、たまたま何かヤバそうな『ナニカ』に目を付けられちゃったという。……私達が居なきゃ今頃どうなってたやらだよ。
良いモノ悪いモノ問わずに引き寄せちゃうような星の下にでも生まれちゃったんかねえ。
(それはそうと、レイン? ……最後、どうなったんですか、アレ?)
《……分かんにゃい。ぶっちゃけなんにもわがんにゃい》
何故か相殺のおまけみたいな火の粉でやたらダメージ受けたらしい指輪霊を追いかけてみれば、当人(?)は超絶苦しんでたのに魔法による外傷は特に付いてなかったという事実。……のたうち回ってたせいで擦り傷だらけではあったけど。
……あれこれひょっとして推定憑依中の指輪霊さんにだけダメージ入ってる? なんて考えからもう一発撃つぞと言ってみれば、絵に描いたような「やべぇ」な顔するもんだから確信したよね。
そして超慌てて逃げだした背中に向かって、かつて暴発したマンドラゴラ疑惑の秘技【叫喚】の初となる意図的使用により足止め成功。
さてトドメだとばかりに杖を向けた瞬間……決死の覚悟で何かしてきたっぽいんだけども───
(なにか……
《ああ、うん。【記憶の部屋】に壁ドンされた的な感覚あったよね》
そこから何かくぐもった声が聞こえた気がして…………うん、それっきり。
何がどうなったやら調べようにも、どうしていいやら正直言ってサッパリ分からぬ。
そも『部屋』自体が割と意味不明なのに、その『外』とかいう概念が訳分からな過ぎてなー。
(……今までのように、記憶が増えていたりはしないんですか?)
《しないのよ、それが。……そもそもあいつ幽霊だったのかってのも疑問なんだよねぇ》
身体の乗っ取りは【憑依】で片付くにしても、認識改変(推定)に魔力弾まで撃ってきたりと、私達が知ってる幽霊とも『幽霊(?)』とも微妙に食い違うんよね。
少なくとも私にあんな事が出来るとは…………またやってみたら出来ちゃったらどうしよう。
……け、検証は後にしよう、そうしよう。今はこれ以上話をややこしくするもんじゃない。
それに、私もユズちゃんも今回あちらさんの『姿』というのを全く見れていない。
加えてあちらさんも、私の存在に気付いていた節が一切無かった。……最後の瞬間を除いて。
なーんか互いに互いを全然違うモノと勘違いしてたんじゃ? って疑惑が沸いてきますなぁ。
そもそも指輪を媒介にしてたってのが───ん?
《あ、そういえば当の指輪は?》
「指輪? ……あ、サラさ───」
「え…………ひぃ!? こ、こんなものッ!?」
「《あっ》」
己の手に嵌ったままの指輪に気付くや否や、指から引っこ抜いて力いっぱいブン投げるサラ嬢。
イヤ多分その指輪には何の罪も無いというか……まあ、気持ちは分からいではない。
分からいではないが……とりあえずちょっとチェックしとこうかね。
えーと、この辺に───あったあった、どれ……んむう?
(……どうでしたか?)
《紫色だった宝石が無色に変わってた。あの中に居たって事なんかね?》
(……宝石に憑依って、出来るものでした?)
《物相手には試しとらんね。……いや、遺体も物といえば物だけども……》
草葉の陰へと投げ込まれた推定無罪(?)の宝石付き指輪さん。なんとイメチェン(?)済み。
しかし変化は一応あったとはいえ、それが何を表すやらの特定なんて出来るはずもなく。
一応と思い『部屋の外』なる謎概念へ意識を向けようとしてみるも、暖簾に腕押し糠に釘……と表現出来るような手応えすら全く無し。……ダーメだこりゃ。
《ま、分からんもんはしゃーない! とにかく彼女が助かって良かったね、って事でここは一つ》
(……そうですね。今はそれだけ分かれば十分ですか)
幾ら考えても答えが出ない事に、ずっと頭やら時間やら使っててもしょうがない。
そんな私の言葉に、ユズちゃんは苦笑いで頷いてくれました。……
…………うん、
「ああ、お嬢様が御無事で本当に良かった───のですが、その……そろそろ私も助けていただけませんでしょうか……?」
「「《……あ》」」」
やっべ、忘れてた。……というかまだ動けないままだったの、フォークさん!?
いやマジで何なのあいつの能力!? やっぱ絶対幽霊じゃないよ、あいつ!?
幽霊っぽい要素がちょっとあっただけの得体のしれないナニカだよ!?
…………鏡見ろ? 映らんよ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
《―――王都よ、私は帰ってきた!》
「……なんですか、それ?」
《ああいや、一応やっとくべきかなー、と》
シワヒの街を出立してから数日。途中で起きた
ついに我々は王国が首都レイオードへと辿り着いたのであった……とまあ、語り口はさておき。
実際には『私』としてはともかく、幽霊のレインとしてここに来るのは初めてだ。
それでも何となく、帰ってきちゃったなと感じたりするのは、やはり『私』に引っ張られている部分がどこかにあるということなんだろうか。
……後で『私』の家ことスペクハイド邸がどうなってるか、ぐらいは一応確認に行こうかな?
まあ家主も何も一人残らず現世から居なくなっちゃったわけだし貸家にでもなってたり……って仮にも伯爵家の屋敷がそれは無いか。
《……ユズちゃん的にはこの王都はどう? 出身国の王都も見た事あるんよね?》
「……賑やかだとは思いますが、特に代わり映えはしないですね」
《ありゃ、そういうもん?》
「深く見れば違いはあるんでしょうけど、いち冒険者として見ればそういうものじゃないかなと」
と、まあまあドライな感想を呟きつつ、通りを歩くユズちゃんなのでした。
うん、まあ、王都なんて言われても何の思い入れも無けりゃそんなもんかね。
さてさてそんな彼女は現在、サラ嬢一行とは別行動中。
なぜならあの二人は今、王都滞在中に使う予定の屋敷を常駐する使用人(一名)を加えた布陣でこれからの使用に堪えるように整えている最中なのである。
流石にそれに冒険者が手出しするわけにいかんし、真昼間の王都の貴族邸の中で護衛の必要性もないだろうということで、一両日の自由時間が与えられたわけだ。
……こっちについて来たがってたけどね、お嬢様。
いやいや君は指示出しに残らなきゃいかんでしょうよ、とその場の全員から宥められていた。
いやぁ、あの指輪の一件以来めっちゃくちゃ懐かれたよねぇ……まあ、あれはしょうがない。
…………え、あの後一回「お姉様」呼びしても良いか聞かれた? マジで?
それで返答は……? え、断っちゃったの? そんなぁ、もったいねえ!?
まさか能力検証の為に席を外してたせいで、そんな絶景を見逃していたとは一生の不覚!
……その一生は既に終わってる? せやったわ。
「イヤ何目線で惜しんでるんですか。……それにしても私達が来るのは分かっていたはずなのに、今から屋敷の整備をするものなんですね」
《あー、そこはホラ、人手の問題もあるからさ》
あの屋敷を普段一人に管理させてるともなればね。……貴族的には最小級ではあったけど。
それでも維持だけ……主に外から見た時の見栄えだね。それを悪化させないだけで手一杯だよ。
人家ってやつは人の手が入らなくなるとあっという間に寂れていくから……人手が増えた時点で改めて整えることにもなるわけだ。
「……本当に、内側を知ると色々ともの悲しくなってきますね……」
《あー……いや、いわゆる想像される通りの暮らし振りをしてる貴族だってちゃんと居るんよ? というか多分そっちの方が多い……かどうかは、微妙、なの、か?》
「……侯爵、伯爵といった方々に比べれば、サラ様のような男爵、子爵の方が数は多いですよね。となると割合としてはやっぱり……?」
《え? あー、ほら、爵位の高さと領地が豊かな土地かどうかはまた別問題だから。伯爵家以上に裕福な男爵家、とかいうのもないわけじゃないし》
「……そういうものですか?」
そういうもんです。実際『私』より羽振りの良い子爵令嬢とか居たし。記憶に残ってたし。
その記憶の中じゃ、家格に合わない高位貴族の令息に付きまとっては眉をひそめられてるけど。
それを見掛ける度に『私』は「常識が無い」と憤慨して…………んぅ?
「……レイン? 聞いてますか?」
《え? あ、ごめん。ちょっと考え事してた》
「もぉ……レインにも重要なことなんですから、ちゃんと聞いて下さいよ」
ごめんて。……しかし私にとって重要なこと? この王都で?
いや、逆にどこならとも言わんけど、この幽霊(?)に関わるようなことなんてそうそう───
「『鑑定石』があるはずですよ、
…………なるほど。それは重要コンテンツ。
―――私を『鑑定』したら果たしてどうなるのだろうか?
この疑問はこれまでの旅路の中でも、実は結構な頻度で話題に上っていた。
通常の鑑定結果で分かるのは、名前に種族と年齢、そして所持する『スキル』。
スキルは生来のものが殆どだが、稀に新たなものが追加されていることもあり、その要因は人によって様々……というか特定出来ていない事例が殆どを占めるとか。
……逐一確認出来るもんじゃない以上、そりゃそうなるわな。
冒険者をはじめとする、スキルが生存率や仕事の選択肢に直結するような職業の人間であれば、そういった事例を胸に再鑑定を行うこともあるだろうが、そうでもなければ幼少期に一度鑑定してそれっきりというのも珍しくない。
物品鑑定に関しても、そうそう必要に迫られるような機会は無く。
なので『鑑定石』を設置した施設は、その希少性と重要性に反して意外にガラガラ閑古鳥。
今日の私達もその例に漏れず、王都のど真ん中に建つ荘厳な建物の中へとほぼスルーパス状態で入室出来ましたとさ。
そこで待っていたのは、見上げんばかりのサイズの透き通った青色の石柱。
そしてそれを固定する台座から床、壁に天井にまでみっしりと教会のステンドグラスを思わせる精緻な装飾が広がっている。
……『私』の記憶との齟齬は無いね。時期としては七、八年前……まあ、そんなもんか。
しかしなんかえらい手の掛かってそうな一室なんだけど、その……維持費とかどうなってんの?
鑑定料もそんな高くなかったし、これでやっていけんの? 公共施設扱いかもしんないけどさ。
ねえ『私』、その辺について何か───あ、知らないか。そりゃそっか。
どうしても気になるなら受付の人にでも聞けって話やね、うん。そこまでじゃないわ。
「……わたしも一応調べてみましたけど、やっぱり何も変わってませんね」
まるでSFの光モニターみたいな
……案外その手のゲームが現実になった系だったりするんだろうか? この世界。
特に面白い要素は無いって? まあまあそう言わずに私にも見せとくれい。
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名前 : ユズ
種族 : 人間
年齢 : 14
スキル:『火魔法』、『水魔法』
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わぉ、シンプル。
今を去ること九年前、これと年齢部分を除いて同じ表示が出たことでユズちゃんは親元を離れて学校へ行くことになったんだよなあ。
……あ、気になってるんだから人の批評してないでさっさと調べて? あ、はい、すみません。
では改めまして……刮目せよ!
これが私の鑑定結果だ!
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名前 : inanisipse({n[nuUrit[n[)
種族 : privatusd,p.d_ko.d,@
年齢 : 15601371429
スキル:『aliquidsimileexspiravit』
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…………。
…………。
……………………。
えー。
Is this me. …… What am I. ─── I am …… "What"!?
テンプレ異世界ならやっぱりステータス表記は外せませんよね。
というところで次回から新章開始です。